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Blue Rose

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第四十一話 確信された事実その十四

「ここは引き摺り出すか」
「引き摺り出す、ですね」
「いいか、ここはな」
 鍛冶元は衝夫に知恵を授けた、暴力だけで体育教師としての知識すらまともに持っていない衝夫に対してだ。もっともそれは悪知恵であるが。
「あの娘の携帯に連絡をかけるんだ」
「ああ、それでですか」
「話があるとか言ってな」
「それで、ですね」
「脅してな」
 そしてというのだ。
「療養所から引き摺り出すんだ」
「あそこには潜入出来ないからですね」
「適当な理由をつけてあの娘の担任にでも聞けばいいさ」
「携帯の電話番号を」
「そしてな」
「脅すんですね」
「ああ、そうだ」
 その通りだというのだ。
「そしてな」
「そのうえで、ですね」
「適当な場所に呼び出して」
「一気にですね」
「ああ、脅してな」
「後はいつも通りですね」
「そうだよ」
 笑って言う衝夫だった。
「そうしてやろうな」
「わかりました、それじゃあ」
「ああ、まあ携帯の番号は聞いてくれよ」
「それもですね」
 衝夫は確かに体育教師としてのまともな知識もない、もっと言えば本もまともに読んだことのない教養の持ち主だ。しかしこうした悪知恵は時として働く。教師の特権を悪用した。
 それでだ、今もこう言うのだった。
「盗み見すれば」
「あの娘のクラスの名簿見てな」
「いざって時の連絡用にです」
「携帯の番号も書いてるよな」
「はい、俺も持ってます」
 クラスや部活の携帯のだ。
「これがまた使えるんだよ」
「弱みを握ってな」
「脅すのに」
「じゃあ使え」
「はい、それじゃあ」
「それでやっていこうな」
「わかりました」
 衝夫も今は確かな顔で頷いた。
「そうさせてもらいます」
「そういうことでな」
「まあ今度当直の時、いや」
「そうじゃなくてもだな」
「当直なんて申し出て交代してもらえますからね」
「それじゃあそこでな」
「はい、ちょっと誰かにお願いします」
 当直の先生にというのだ。 
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