Blue Rose
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四十話 ならず者共の暗躍その三
「それは」
「言える話じゃないと言ったら駄目か?」
「言っただろ、行って来いってな」
「そこはいいんだな」
「ああ、言える話と言えない話がある」
父はそれを知っている言葉だった。
「誰にだってな」
「それでか」
「ああ、そこを確かめただけだ」
言えるかどうかをというのだ。
「それだけだ」
「そうなんだな」
「そうだ、俺はいい」
「お母さんもよ」
母も我が子に顔を向けて言ってきた。
「行ってきなさい、むしろ優花ちゃんに何かあっても行かないのなら」
「そっちの方がか」
「駄目よ、運賃とかは出すから」
金のことは心配するなというのだ。
「行かないって言ったら無理にでも行かせてるところよ」
「そこまでか」
「そうよ、無理でもよ」
龍馬が行かないと言った時はというのだ。
「というかあんた顔にすぐに出るから」
「あいつに何かあってもか」
「そこで言わないのなら問い詰めていたわよ」
「俺もだ」
父も言ってきた。
「御前は隠しごとが苦手だからな」
「それでか」
「わかる、そしてな」
「今言ったからか」
「こう答えたんだ、行って来い」
「長崎にか」
「ああ、行って来い」
また言った父だった。
「そして優花君を助けて来い」
「そうしてくるな」
「ただ、御前はまだ高校生だ」
息子のこのことを言った。
「出来ることは限られているな」
「そうよ、あんたはまだ高校生だから」
母も言ってきた。
「出来ることは限られてるからね」
「そこはわかっておけよ」
「あんたに出来ないことがあったら」
「一人じゃ出来ないことは他の人の助けを借りろ」
「優花ちゃんのお姉さんもいるでしょ」
母は自分の夫と共に息子に話した、これは龍馬を下げているのではなく彼自身のことをわからせてそのうえで優花を助けろと言っているのだ。
「さもないと優花君を助けられないのならな」
「あの人も頼るのよ」
「ああ、その優子さんから言われたんだ」
龍馬は両親にこのことも話した。
「実際にな」
「そうか、じゃあな」
「優子さんと一緒に長崎に行ってね」
「そして何とか優花君を助けてこい」
「あの子に何かあったのなら」
「そうしてくるな、まだ何かあるとは決まってないけれどな」
それでもというのだ。
「危なそうだからな」
「それじゃあな」
「頑張ってきなさいね」
「何時でも行って来い」
「お友達を助けて来るのよ」
「そうしてくるな、あいつは俺の友達なんだ」
それも第一と言っていい、そこまでのというのだ。
ページ上へ戻る