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Blue Rose

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第四十話 ならず者共の暗躍その二

「龍馬君が行けたらね」
「その時はですか」
「長崎にね」
「けれど優子さんは」
「私は何があっても行くわ」
 既に決めている言葉だった。
「そうするわ」
「けれどどうして俺は」
「学生さんでしょ、授業があるからよ」
「けれどそれは優子さんも」
「確かにお仕事はあるわ」
 医師としてだ、優子もそうした立場だ。
 だがそれでもとだ、優子はすぐに龍馬に話した。
「けれど院長さんが手配してくれるから」
「その時はですか」
「行けるわ」
 長崎、今優花がいるその場所にというのだ。
「そしてその時は飛んででも行くから」
「じゃあ俺も」
「一緒になのね」
「当たり前です、あいつのことです」
 龍馬の返事は変わらない、そこには断固としたものがあった。
「ですから」
「その決意は変わらないのね」
「はい」
「そうね、君はそうした子ね」
 優子も龍馬が一度決めると、それが自分がいいと思ったことなら曲げない性格であることを知っていた、それで言うのだった。
「それじゃあね」
「はい、俺も長崎に行きます」
「ではその時はね」 
 優子は龍馬の決意を受けて彼にあらためて言った。
「若しご両親が何か行ったりしたら」
「その時はですか」
「私からご両親にお話するから」
 だからだというのだ。
「安心してね」
「すいません」
「お礼はいいわ」
 ここではにこりとしてだ、優子は龍馬に言った。
「君の決意を聞いたから」
「だからですか」
「その時はそうするわ」
「そうですか」
「ええ、じゃあ行きましょう」
「一緒に長崎に」
「その時はね」
 こう龍馬に言うのだった、そして。
 優子との電話が終わるとだ、龍馬はリビングでそれぞれ酒を飲んでいたりテレビを観ていた両親にこう言ったのだった。
「俺また長崎に行くかも知れないけれどいいか?」
「優花君に会いにか」
「それでなのね」
「ああ、またな」
 その両親に話した、彼は今は酒を飲んでおらず素面だ。
「行くかもな、それもあいつが本当にやばくなったらな」
「行くのか?長崎に」
 父は焼酎を飲む手を止めて自分の前にいる我が子に問うた。
「また」
「ああ、あいつに何があったらな」
「そうか、わかった」
 ここまで聞いてだ、父は頷いて息子に言った。
「行って来い」
「いいのか?」
「優花君がやばくなったらだろ」
「ああ、ちょっと何かありそうなんだよ」
「その何かは言えるか」
 父は息子の目を見てまた問うた。 
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