Blue Rose
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第三十六話 永遠にその二
「これがね」
「そうなんだな」
「そう、これがね」
「貴族イコールお金持ちでもないか」
「それで平民の人達を搾取ばかりしてるとか」
「そういうのもないか」
「よく物語ではあるけれど」
貴族がそうである場合も多いが地主なり何なりとなる、昔の日本の教科書はマルクス主義史観が異常に強かったので地主や資本家、貴族は悪役であった。
「実際はね」
「色々か」
「何かのSF小説みたいな貴族は」
それこそ漫画の圧制者の様な者達はだ。
「いてもね」
「例外でか」
「フランス革命の頃も結構立派な人が多かったみたいだし」
「マリー=アントワネットとかか」
「王妃様もね」
そして国王であったルイ十六世も最期は立派であったという。
「毅然として死んでいった人達が多かったみたいで」
「しかも搾取とかもか」
「漫画みたいなのじゃなかったらしいから」
「そうだったんだな」
「あの時は飢饉が起こって」
パリ周辺で大寒波があった、それでセーヌ川が凍ってしまいパリに小麦を運ぶ船が動けなくなってしまったのだ。
「そのせいで暴動が起こって」
「その暴動がか」
「流れがどんどん変わって」
それでだったというのだ。
「革命になったって本には書いてあったわ」
「民衆の劇的な蜂起じゃないんだな」
「そういうのとはね」
「全然違ったんだな」
「実際はそうみたいよ、それにあの革命で」
一連のそれでだ。
「沢山の人が死んだし」
「王様や貴族だけじゃなくてか」
「そう、その平民の人達もね」
彼等が立ち上がったというがだ。
「粛清されてるから」
「何かとんでもない話だな」
「その街の市民の一割を殺すって決められて」
「その一割って何か悪いことしたのか?」
「いえ、数で決められたの」
革命に反対するだの何だのという罪を個々に問うたのではない、その街自体に問うてそのうえでのことであったのだ。
「一割を殺すって」
「何かナチスとかソ連みたいだな」
龍馬は扇を見る目を止めて優花に言った。
「それは」
「というかあの革命がナチスやソ連の元らしいわよ」
「そのままか」
「ロベスピエールのジャコバン派が」
「じゃあその街の人の一割殺したのも」
「ジャコバン派よ」
他ならぬその彼等だというのだ。
「フーシェって人がやったの」
「とんでもない革命だったんだな」
「実際はね、百万の人が死んだって聞いたけれど」
「百万な」
「当時のフランスの人口は一七〇〇万人位だったけれど」
単純計算で十七人に一人が犠牲になった、これを些細な犠牲だの革命に犠牲は付きものだの言って捨てられる人もいるだろうか。
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