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バーベキュー

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第五章

「だからね」
「どんどん食べるんだ」
「美味しいからね」
「お腹一杯食べるんだぞ」
「うん、朝早くお家出てここに来て」
 萌葉は大好きなカボチャが焼いたところを食べて言った。
「山道を歩いて」
「こうしてバーベキューを食べてな」
「とても楽しいでしょ」
「うん、石も拾えたし」
 あの紫の丸い石の話もした。
「よかったわ」
「いやいや、まだ終わりじゃないぞ」
「まだお昼よ」
 両親もバーベキューを食べつつだ、その萌葉に話した。
「午後はアスレチックだからな」
「その時はちゃんとスパッツを穿くのよ」
「あれっ、スパッツって」
 スパッツと言われてだ、萌葉は母に聞き返した。よく焼けた肉を食べながら。
「持ってきたの?」
「ええ、そちらはね」
「そうだったの」
「だって萌葉ちゃんその服を来て着たでしょ」
 水玉のワンピースのスカートをというのだ。
「だからね」
「持って来たの」
「そうだったの」
「アスレチックというか運動はスカートでしたら駄目でしょ」
「うん」
「見えちゃうからね」
 何が見えてしまうかは言うまでもなかった。
「女の子はそうしたことを気をつけないと駄目だから」
「だからよね」
「そうよ、だからスパッツを持って来たの」
「そうだったのね」
「じゃあいいわね」
「うん、スパッツを穿いて」
「アスレチックに行くわよ」
 午後はというのだ。
「そうするわよ」
「わかったわ」
「晩御飯はカレーだぞ」
 耕太はまた言ってきた。
「いいな」
「あっ、カレーなの」
「そうだ、カレーライスだからな」
「そうなのね」
 萌葉はカレーライスが大好物だ、だからそう言われて自然と笑顔になった。バーベキューも楽しみながらそちらでも笑顔になっているが。
「私凄く楽しみ」
「こうした場所で食べるカレーも美味しいのよ」 
 円香も娘に話す。
「バーベキューと一緒でね」
「そうなの」
「ここで炊いて作って食べるから」
 そのカレーをというのだ。
「楽しみにしていてね」
「うん」
 萌葉は母に笑顔で答えた。
「凄くね」
「それじゃあまずはだ」
 耕太は自分もだ、網の上にバーベキューの串を置きつつ話した。
「バーベキューだ」
「これを食べて」
「そしてだ」
 それからもというのだ。
「ちゃんとなおしてな」
「食べた後はね」
「それもしてだ」
「奇麗にしてからね」
 両親は萌葉にこのことを言うのも忘れなかった。
「行くぞ」
「お掃除の後でね」
「うん、私もお掃除するわね」
 萌葉は笑顔でだ、両親に答えた。そしてまたバーベキューを食べた。外で家族と食べる肉や野菜は彼女にとって忘れられない味だった。
 それでだ、午後のアスレチックもカレーも楽しみ風呂に入りテントで寝てだった。次の日家に帰って両親に満面の笑顔で言った言葉は。
「また行こうね」
「ああ、またな」
「三人で行きましょう」
 両親も娘のその言葉に笑顔で応えた、この年から萌葉は毎年夏は家族と一緒にキャンプに行った。そしてバーベキューを楽しむのだった。大好物となったそれを。


バーベキュー   完


                     2016・12・25 
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