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Blue Rose

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第三十五話 欧州の美その十二

「こういうのは御前だからな」
「芸術になるから」
「だからな」
 それでというのだ。
「頼めるか」
「私でいいの」
「ああ、御前がよかったらな」
 それならばというのだ。
「頼めるか」
「私でよかったら」
 これが優花の返事だった。
「それじゃあね」
「ああ、頼むな」
「じゃあ次はお土産のコーナーに行って」
「それでな」
「ティーカップのセットを買いましょう」
「親父とお袋へのお土産でな」
「お金、あるわよね」
 念の為にだ、優花は龍馬にこのことも確認した。
「そっちは」
「お小遣いもあるし親父とお袋からもな」
 笑ってだ、ここでもまた二人のことを話に出した。今度は先程とは別の意味で。
「かなり貰ってきたからな」
「それじゃあ」
「お金には困ってないさ」
 この旅行では、というのだ。
「安心してくれよ」
「ええ、それだったら」
「次はお土産のコーナーに行って」
「買いましょう」
「そうしような」
 龍馬の両親へのお土産をだ、二人は陶器達を見ながらそうした話もした。全てが陶器に囲まれた中で。そして。
 その陶器達を見てだ、龍馬はこうも言ったのだった。
「日本や中国、そこにな」
「欧州もね」
「入ってるんだな」
「アジアの陶器を輸入して」
 優花も龍馬に話す。
「欧州の貴族の人達のアレンジがね」
「入ってか」
「こうなったのよ」
「そうした風に陶器を造らせたんだな」
「そうなの」
「だから何か不思議な感じがするんだな」
「アジアと欧州が合わさって混ざり合った」
 優花も言う。
「そうした文化的な不思議さね」
「それだな、よく白人がアジア人を差別してるとかな」
「白人至上主義とか?」
「白人は皆そういうの持ってるとか言う人いるよな」
「白人は偏見、差別主義の塊だって」
「言う人いるけれどな」
「そうした人も確かにいるけれど」
 優花もそうした考え、白人至上主義もっと言えば差別主義の存在を否定しない。それはこの世界に確かにあるからだ。
 しかしだ、彼女は彼女が知っていることから龍馬に話した。
「そればかりじゃないでしょ」
「それはうちの学校にいてもわかるな」
「むしろ偏見がない人、偏見を嫌う人の方がね」
「多いな」
「むしろ白人は皆そうだって言う人の方がね」
「偏見強いな」
「そうしたことを言う人達こそ差別主義者なのよ」 
 逆に、というのだ。
「私メッセンジャーさん好きだし」
「阪神の助っ人のな」
「阪神、日本のファンを愛している阪神の外国人選手は」
「本当に多いよな」
「バースさんだってそうだったじゃない」
 阪神ファン達に心から愛されていた最強の助っ人だ、そしてバースもまた彼等の愛情に応えているのだ。今も尚。
「阪神を、そして日本もね」
「好きだっていうのがわかるな、あの人は」
「今もね」
 まさにというのだ。
「八条学園にも沢山の白人の人がいるけれど」
「偏見ある人なんてな」
「いないでしょ」
「これ黒人でも黄色人でもな」
「そう、相手が自分達を差別しているとか声高に言って」
 そしてというのだ。 
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