Ｂｌｕｅ　Ｒｏｓｅ

「自分でも驚く位」
「確かに凄い勢いで飲んでるわね」
「あっ、もうか」　
　気付けばだ、龍馬はボトルを一本開けていた。飲みながらそしてだった、ソーセージ等も自分の分を半分食べていた。
「進むな」
「まだここに来てすぐなのに」　
　店に、というのだ。
「一本開けたわね」
「ワイン美味いからな」
「それだけ？」
「飲ませる景色で」
　周りも見て言った。
「それでな」
「それで？」
「やっぱり御前といるからか」
　優花に顔を戻して笑って言ったのだった。
「お酒が進むな」
「それでなのね」
「殊更な、やっぱり久し振りに会えたからな」
「それで機嫌がよくて」
「どんどん飲めるな」
「そうなのね」
「もう一本は半分こするか？」
　もう既にお店の人が開けている三本頼んだうちの三本目を見ての言葉だ。
「そうするか？」
「いえ、私はこの一本でいいから」
　優花は龍馬の申し出ににこりと笑ってこう返した。
「龍馬が飲んだら？」
「そうしていいか？」
「ええ、どうぞ」
　やはりにこりと笑って言うのだった。
「その一本もね」
「それじゃあ頂くな」
「それでね」
「朝のシャンパンも美味かったし」
「今もっていうのね」
「本当に美味いよ」
　自分でグラスにその赤ワインを注ぎ込みながら言った。
「御前も元気だしな」
「この通りね」
「長崎っていいか？」
　今度は長崎という場所についての問いだった。
「あの街も」
「いいわよ、とてもね」　
　優花はすぐに淀みのない返事で返した。
「雨は多いけれど」
「ああ、雨は多いか」
「歌にもなってるけれど」
「そういえばそんな歌あったな」
「そうでしょ、あの歌は本当だったのよ」
　実際に雨が多いというのだ。
「そのことが気になるけれど」
「それでもいい場所なんだな」
「過ごしやすい街よ」
「それは何よりだな」
「学校もいいし」
　通っているそこもというのだ。
「部活もね」
「その暴力教師以外はだな」
「ええ、その先生には近寄っていないから」
「忠告受けてだな」
「とにかく酷い人だから」　
　それに尽きるとだ、優花も答えた。
「だからね」
「そんな奴にはな」
「近寄らないに限るわね」
「ヤクザ屋さんには近寄らないだろ」
「ええ、誰もね」
「学校の教師って本当にな」
　眉を顰めさせつつだ、龍馬はワインを飲んで優花に言った。