ライブラリー=ラブ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第五章
「喜んで協力させてもらうわ」
「悪いわ」
「賄賂は貰ったから」
それ故にというのだ。
「私が軍師になるから」
「それでか」
「いい?私の言う通りに動くのよ」
いきなり動いてばかりの慎をまた見据えて言った。
「くれぐれもね」
「くれぐれもか」
「そう、あんたの行動は失敗するから」
そのいきなりのものはというのだ。
「だから私の言う通りにするの、いいわね」
「さもないと失敗するか」
「寿美礼に振られたいならいいわよ」
半分忠告、半分脅しで言った言葉だ。
「それでもね」
「告白するならハッピーエンドしかないだろ」
「だったらよ、いいわね」
「御前の言う通りにしろ、か」
「まずロシア文学を読んで」
そしてと言うのだった。
「演劇部の舞台も観る、そして」
「御前が紹介してくれるんだな」
「そう、その時どう紹介するかも言うし」
さらにだった、真礼は慎に話を続けた。
「そこからも私の言う通りにするのよ」
「軍師の言葉いは絶対に従え、か」
「まさにね、私を大久保利通さんと思いなさい」
「じゃあ俺が西郷さんか」
「そうよ、私が大久保さんになるから」
薩摩藩のナンバーツーであり西郷と共に維新に多大な功績のあった彼の様にというのだ。
「わかったわね」
「わかった、じゃあ一蔵さんって呼ぶな」
「そこまで言わなくていいから」
本格的な呼び方は断った。
「とにかく、写真の分は貢献するからね」
「何ならもう一枚どうだ?」
「貰っておくわ、じゃあまずはロシア文学の本をどんどん読破するのよ」
寿美礼がロシア文学好きだからだ。
「そして演劇部の舞台も観て」
「演劇にも関心を持つ、か」
「それからさりげなくよ」
あくまで、というのだ。
「図書館で私があの娘と一緒にいる時にね。事前に連絡するから」
「それでか」
「図書館にさりげなく来て私達のいる場所までにもね」
さりげなくというのだ、この時も。
「それであの娘じゃなくて私を見てね」
「挨拶をするんだな、御前に」
「そうするのよ、後は自然と私が紹介するから」
そこまでの手順を踏んだうえでというのだ。
「それからお話をして」
「告白か」
「違うわよ、そこから何度も図書館で寿美礼とお話をして」
「それでか」
「そう、順序よくよ」
「一気には本当に駄目なんだな」
「要するにあんたのやり方はね」
慎本人を見て言う真礼だった。
「駄目なのよ」
「絶対にか」
「そう、絶対によ」
完全否定の言葉だった。
「あんたのそうした行動はね」
「だから御前の言葉に従ってか」
「動くのよ。あとついでに言っておくけれど」
「ついでに?」
「私はあんたの軍師になったけれど」
それでもというのだった。
ページ上へ戻る