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提督はBarにいる。

作者:ごません
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どう考えてもあのワンコは提督LOVE勢だと思うんだ。

 
前書き
 軽空母・戦艦と来たので次は駆逐艦です。またもサブタイで特定余裕だとは思いますが、まぁ気にしない。

 また、作者の思い付きで書いているので時系列はバラバラです。なので、1話完結型のストーリー集と思って頂ければ読みやすいかもしれません。 

 
今日は鎮守府挙げてのお祭り騒ぎだった。春先に発令された大規模作戦『第十一号作戦』において、我が鎮守府が敵中枢……通称【甲種艦隊】を見事に撃破したとして表彰され、更にイタリアより派遣された戦艦2隻を初め、合計5隻の新たな艦娘を新戦力として迎える事となった。

 その作戦完遂祝いと新規加入の艦娘の歓迎会として、鎮守府全域を解放して1日休みとした。姉妹艦で、呑み友達同士で、戦友同士でと思い思いにグループを作り、中庭や浜辺、食堂等でピクニックや酒宴を開いていた。

 かく言う俺も、今日は仕事は休みだと、執務室を朝からBarセットに切り替えて一人で祝杯を上げていた。

「か~っ、どうしてこう、陽が高い内から呑む酒は旨いかねぇ。」

 一人で呑みながらそんな事を呟いた。今日はビール。つまみには茹でたての(冷凍)枝豆に板わさ、炙ったスルメにビーフジャーキー。祝杯にしちゃあ何ともチープな肴だが、ビールのつまみはこの位でちょうどいい。

 呑んでいるのはサッポロの黒ラベル。俺は国産ビールメーカーだとぶっちぎりでサッポロ党だ。次いでアサヒ、サントリー。キリンはあまり得意じゃない。

「提督さ~んっ!!」

 執務室のドアが勢いよくバン、と開かれたかと思うと、これまた勢いよく此方に向かって走ってきた艦娘が、俺にジャンピングダイブをかます。

「ぐえっ!」

 なんともまぁ、マヌケな声を出して椅子ごと倒れた。咄嗟にジョッキを離したお陰でビールまみれにはならなかったが。

「何すんだ夕立!危ないだろうが‼」

 飛び付いて来たのは夕立。先日の第十一号作戦での最殊勲艦と言っても過言ではない駆逐艦娘だ。



 俺と夕立の付き合いもかなり長い。着任早々に艦隊に加わり、過去の蛮勇に違わぬ活躍を見せてくれた。そして改ニとなってからは『ソロモンの悪夢』との異名そのままに、駆逐艦離れした戦闘力でウチの鎮守府最強の一角と呼べるまでになった。第十一号作戦でも、最終海域に鎮座していた戦艦水鬼にトドメをさしてみせた。
 しかし普段は天真爛漫を絵に描いたような振る舞いで、誰にでも親しく、俺にも警戒心を持つ事無くスキンシップを求めてくる。その人懐っこい性格と「ぽい?」という口癖、そして犬の耳のように跳ねた癖っ毛と口からはみ出す八重歯が合わさって『ぽいぬ』とあだ名される程に可愛らしい。
 だが、駆逐艦はマズイ。色んな意味で。流石にこの年でケンペイ=サンに連行されてKRS(ケンペイ・リアリティ・ショック)なんて発症したくない。

「だってぇ、夕立寝てたらお姉ちゃん達に置いてかれたっぽいんだもんっ!!」

 むぅ、と頬を膨らませて文句を言う夕立。詳しく聞けば、今日は姉の白露達と街に買い物に行く予定だったらしい。しかし夕立も疲れていたのだろう、今の今まで寝ていたらしい。白露達も頑張った夕立に気を遣ったのだろう、疲れているなら寝かせておいてやろうと。それが気に入らないらしく、このワンコは大層ご立腹だ。

「だから、夕立は提督さんと二人っきりでやけ酒するのっ!!」

 なんともまぁ、夕立らしいと言うか、単純ド直球と言うか……。

「ところで夕立、お前酒飲んだ事あんのか?」

「無いっぽいっ!!」

 大丈夫かよ、オイ……。 
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