先恋
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先恋〜番外編《陸太との出会い》〜
前書き
陸太と初めて出会ったのは…のお話です!
沙奈がまだ、高校三年生と時、夏休みに、祖父母の家に行くことになった沙奈は、電車を乗り継ぎ、祖父母の家に行っていた。沙奈は家庭の事情もあり、祖父母の家で、夏休みを過ごす事になっていた。
「じいちゃん、ばあちゃん、久しぶり!」
久し振りに大好きな祖父母に出会い、ましてや、夏休み中一緒に居れるという事から、沙奈の心は踊っていた。
「さーちゃん、久しぶりにきたんじゃけぇ、公園にでも行って、遊んでおいで、彼処は何も変わってないからね、さーちゃん大好きだったでしょ?」
祖母に言われ、沙奈はその公園に向かった。
「久しぶりだな〜、」
その公園は、山道のほとりに昔からある小さな公園だった。近頃では、不審者防止の為に、数本の木を撤去したらしく、幼い子から中高生まで安心して使える様になっており、沢山の人に愛される場でもあった。
「懐かしいな、昨年の夏休み振りか〜」
昨年の夏休みも祖父母の家に来ていたが、昨年は早めに帰れる事から、一週間程度しか滞在していなかった。その事もあってか、沙奈にはその公園が懐かしく感じた。しかし、その公園は山道のほとりにある事から、公園内に、山に続く小さな階段が付いているのも、大人達の中では心配されていた。山道を封鎖するか否かなどの考えもあがっていた。沙奈から見ても、確かに危険だと思う場所だった。…と、
「…あれ…?」
その階段を上っている、小学生くらいの少年が目に入った。沙奈は急いで駆け寄り、
「な、何してるの!危ないからそっちは駄目だよ‼︎」
少年を抱き上げ、広場へ戻そうとした時、
「離してよ!僕の秘密の場所があるんだから!」
少年は暴れながら言った。
「秘密の場所?」
「そうだよ!だから離して!」
少年は沙奈から離れ、階段を駆け上がった。
「あ、危ないってば‼︎」
沙奈は暗い山道に恐怖を覚えつつ、少年を追った。少年は迷うこと無く、小道に入り、またより細い道に入り…迷子になっているのかと思いつつ追うと、視界の開ける場所に着いた。
「え、何ここ…」
すると、少年は急いで振り返り、
「えっ、さっきの!もう!此処は僕の秘密の場所なの!なんでついてくるの!」
と怒った。「ごめんごめん」と沙奈は苦笑いで謝り、
「ここ、何なの?」
と聞いた。少年は不服そうにも、口を開いた。
「僕の秘密の場所。ここに住んでる人、誰も知らないの。みんな山を嫌がるから。此間こっそり登ってみたら見つけたの」
「よ、よく迷子にらなかったね」
「僕はもう10才だよ!迷子になんかならないよ!」
また少年を怒らせてしまい、沙奈は眉を下げる。
「ごめんごめん、そう、10才なんだ…」
「あ、ここの事は誰にも言わないでよ!」
少年は焦った様に言った。沙奈は悪く思いつつも、
「じゃあ、今日から、私もここで一緒に遊ばせて?良い?僕君、」
「えー!ま、まぁ、他の人に言わないなら良いけどさぁ…って、僕君じゃなくて、陸太だよ!陸太‼︎」
陸太は頬を膨らませた。沙奈はクスクスと笑いつつ、
「分かった、陸太君、あ、私沙奈ね、瑞木 沙奈!」
「ふーん…瑞木…、じゃあ、瑞木さんね、」
それから沙奈と陸太は、毎日の様に其処で遊ぶ様になった。初めは警戒していたらしい陸太も心を開き、 よく笑う様になった。
そうしている間に、夏休みも終わりが近づいた。
「陸太君、」
「ん?何?」
「今日で、会えるの最後なんだ、」
「え⁉︎何で⁉︎嫌だよ!」
「私、帰らなきゃいけなくて、夏休みの間だけ、おじいちゃんとおばあちゃんの家に来てたの、だから、もう…」
「何で急に!もっと前から言っててくれたら良かったじゃん‼︎」
「…ごめんね、」
沙奈も、陸太と遊ぶのが楽しくて、最後まで、さよならが言えなかった。陸太はそんな沙奈を当然のこと、恨んだ。
「…酷いよ、僕…もう帰る‼︎」
「待って‼︎」
沙奈が陸太の手を引く。陸太は泣いていた。沙奈は胸が詰まった。そして、泣きじゃくる陸太に、ペンダントを手渡した。
「開けてごらん?」
「…?」
陸太が開けると、中には写真が入っていた。これは、夏休みの途中、二人で撮った写真だった。
「これ、私も持ってるから、これがあったら、お互いのこと忘れない。だから、何時でも会える。ね?お姉ちゃんはずっと、これ持って、会えるの待ってるから!」
陸太は涙を拭い、
「ちょっと待ってて」
と言い、山道を下っていった。…しばらくして、息を切らして陸太が帰ってきた。
「ど、どうしたの⁉︎」
「これ…」
それは、陸太が書いた手紙だった。
「時間無くて…漢字書けなかった、けど、お手紙だから…」
陸太はそう言い、微笑んだ。沙奈は手紙を受け取り、陸他の頭を撫で、
「ありがとう!ペンダントと手紙があれば、何時でも会えるね‼︎」
「うん!」
次の日、沙奈が駅に行く前の数分で、あの秘密の場所へ行くと、其処に陸太の姿はなかった。何時も二人でいた場所に、二人が揃うことはなかった。それでも、沙奈は良かった。ペンダントと手紙が有ったからだ。陸太自身がこの場に居なくても、忘れはしないから__。
それから数年、沙奈は大学生になった。教師を目指し、学問に励んだ。実家を出て、一人暮らしをした今も、ペンダントと陸太からの手紙は、沙奈の家にある__。
後書き
お読み頂き、ありがとうございました!
こんな出会い方だったんですね〜w
此れからも二人を宜しくお願いします‼︎
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