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Blue Rose

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第三十一話 街を歩きつつその七

「いいことよ」
「バットも」
「変な人が入って来てもね」
「バットを振り回せばいいのね」
「頭にでも当たったら確実よ」
「相手は倒れるの」
「そう、軽くてしかも威力があるから」
 金属バットのいいところだ、高校野球でもホームランは金属バットにしてから増えた。
「いいのよ」
「姉さんに言われた通りにね」
「そうしたのね」
「そう、これで安全よね」
「安全は自分が作るものよ」
 他ならぬというのだ。
「だからね」
「バットも用意して」
「スタンガンや警棒も持ってるわね」
「いつも鞄の中に入れてるわ」
 優子に言われた通りにというのだ。
「いざという時の為に」
「そこは本当に気をつけてね」
「自分の身を守るのは自分ね」
「男の子だったこともね」
 このこともというのだ。
「同じよ」
「自分で隠すしかないのね」
「だから訓練も受けたのよ」
 療養所においてというのだ。
「そうなったのよ」
「そういうことね」
「そうよ、私も龍馬君も傍にいてもね」
 例えそれが出来たとしてもとだ、優子は妹に話した。
「出来ることは限られてるから」
「自分を守るのは自分ね」
「そうよ」
 あくまでこう言うのだった。
「だから気をつけてね」
「自分で」
「守ることも隠すことも」
「優花は隠すことも必要だから」
 その過去をというのだ。
「意識してね」
「そうしないといけないのね」
「どちらもね」
「それが私にとって必要なことなのね」
「隠すな、明らかにしろとか言うわね」
「情報公開?」
「マスコミの人がよく言うでしょ」
 大抵は政府や企業に言う、そこにアカウンタビリティという口にも耳にも障りのいい正義の代名詞の様な言葉も加わる。
「そうしろって」
「ええ、よくね」
「そう言う人に限って情報公開はしないわよ」
「そうなの」
「マスコミは自分達に都合の悪い情報を出さないから」
 そう主張するマスコミこそがというのだ。
「報道しない権利や自由とも言うわ」
「何でも報道するって訳じゃないのね」
「視聴者を騙すことだってするから」
 自分達の意図に従ってだ、彼等が動く様に誘導するのだ。
「だからね」
「マスコミこそがなの」
「そう、情報を公開しないの」
「そうしたものなの」
「情報を真っ先に集めることが出来て独占出来る」
 マスコミの特質だ、古きよき時代はその情報をマスコミは必ず公開しこの世の正義を照らすと考えられた。今は神話の話である。
「これは凄いことでしょ」
「権力?」
「そうよ」
 まさにそれだというのだ。
「情報はね」
「だからその権力を使って守る為に」
「自分達に都合の悪い情報は隠すの」
「そうした人達の言うことだから」
「信じない方がいいわ、それにね」
「その情報もなの」
「公開していいものと悪いものがあるのよ」 
 世の中には実際にというのだ。
「そしてね」
「私の場合は」
「悪いものよ」
 まさにそれになるというのだ。
「性別が変わったなんてね」
「滅多にないことだし」
「それが知られたらね」
「皆が私を変な目で見るわね」
「好奇の眼差しでね」
 まさにというのだ。 
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