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エクリプス(機動戦士ガンダムSEED編 )

作者:cipher
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第02話 その名はガンダム

ザフトに略奪されなかった1機のモビルスーツが今まさに立ち上がろうとしていた。


Side ヘリオポリス

「ヘリオポリス全土にレベル8の避難命令が発令されました。
住民は速やかに最寄りの退避シェルターに避難して下さい。」

コロニー内部で緊急放送が鳴り響いている。

住民達
「「キャー!」」

ヘリオポリスの住民は叫び声を上げながら避難シェルターへと逃げ惑っていた。

Sideout



Side テレサ・テスタロッサ

「コウキ、戦闘が始まった様ですね。」

『ああっ。今ドローンを飛ばす。
コロニー内の映像はドローンからの映像を見てくれ。』

光輝の左手に光の粒子が集まり、1機のドローンが現れた。
ドローンは空中に浮き上がるとコロニー内の映像を取り始めた。

「今ドローンから映像が来ました。」

『こちらは民間に大きな被害を出さないようにするのに手一杯だ。以上。』

そこで通話が途絶えた。

映像には光輝が圧縮空気弾や分解の魔法で、ザフトのモビルスーツ『ジン』から発射された弾道をそらしたり、消し去っているのが伺えた。
但し、光輝は熱光学迷彩により姿は見えない為に魔法を知らない者には光輝のやっている事は気づかない。

「カリーニン少佐。流石にコウキ殿ですね。」

「はい大佐殿。弾頭を捉える高速カメラでもないと、コウキ殿のやっている事は分からないでしょう。
民間への被害を最小限に抑えている様です。」

「それとオモイカネから救済案の第一稿が上がっています。」

「合成食料200万人分と海底の資源及び食料プラントの資材調達ですね。
妥当なラインです。本部に送って置きました。
準備でき次第、輸送艦隊が派遣される手筈になっています。」

「コウキ殿は戦闘を止めようとしていませんが、どう思いますか?」

「この世界では遺伝子操作された『コーディネーター』と純粋な『ナチュラル』が戦闘しています。
オモイカネの分析結果でも戦闘継続はやもえないでしょう。
両者の溝はトップを抹殺しても済まない状況です。」

「やはりそうですか?戦争の終わらせ方が大事ですね。」

Sideout



Side 無線(オープンチャンネル)

奪取したモビルスーツは地球軍の機体の為にモビルスーツ間の通信はまだオープンチャンネルで行われていた。
故に通信内容は光輝のヘッドホンにも筒抜けである。

ミゲル
『アスラン!』

アスラン
『ラスティは失敗だ!』

ミゲル
『何っ?』

アスラン
『向こうの機体には地球軍の士官が乗っている。』

ミゲル
『ならあの機体は俺が捕獲する。お前はそいつを持って先に離脱しろ。』

アスラン
(…キラ、いや違う。あいつがあんなところに居るはずは…)

ミゲルの乗るジンがサーベルを使う。
直前にマリューの乗るモビルスーツが色が変わった。

ミゲル
『何っ?』

ジンのサーベルと上部で腕を組んでいるモビルスーツとの間に火花が散っている。

ミゲル
『こいつ!どうなってる!?こいつの装甲は!』

アスラン
『こいつらはフェシズシフトの装甲を持つんだ。
展開されたらジンのサーベルなど通用しない。』

ミゲル
『お前は早く離脱しろ!いつまでもウロウロするな!』

アスランの乗るモビルスーツは離脱して行く。

Sideout


待っていたかのように光輝はEX-ギアの熱光学迷彩を解除した。
同時に噴射ノズルの圧縮空気ノズルも外し、本来のタービンエンジンで空中に舞い上がった。
光輝は残るジンへと硬化剤の入ったロケットランチャーを発射して行く。
弾薬は量子変換された状態でEX-ギアのコアのデータ領域に格納されている。
その辺のテクノロジーはIS(インフィニット・ストラトス)世界の天才科学者である篠ノ(しののの) (たばね)と共同開発である。
用は毎回補給をしなくとも100発程の弾薬なら発射可能である。

光輝はジン2機を捕獲して、パイロットを含め5人のザフト兵を捕虜にした。
捕虜は圧縮空気弾の魔法により気絶させられている。

残る1機のジンは地球軍のモビルスーツと戦闘中である。


Side テレサ・テスタロッサ

「コウキ、モビルスーツの戦闘を見て下さい。」

『ああっ見てるよ。明らかに最初の動きより動作がスムーズだ。
これは戦闘中にモビルスーツのOSを書き換えたな。』

「でも地球軍はナチュラルでそんな事は?」

『あのモビルスーツには地球軍の士官らしき人物と少年が乗っている。
この宇宙コロニー、ヘリオポリスはオーブと言う中立国の所有だ。
ここにコーディネーターがいても不思議ではない。』

ジンはナイフの様な物で刺されて動かなくなった。
ジンのコックピットハッチが開きザフト兵が見えた。

「ザフト兵が脱出するようです。」

『多分、自爆装置を使うな。』

光輝がそう言うとジンが爆発した。

「コウキ、大丈夫ですか?」

『大丈夫だ。
地球軍のモビルスーツのパイロットは素人だな。』

光輝のいる側には脱出したパイロットが気絶していた。
ジンの爆発直後に光輝がパイロットを気絶させたのだ。

Sideout




Side ラウ・ル・クルーゼ

オペレータ
「オロール機大破、緊急帰投。消火班、Bデッキへ。」

アデス
「オロールが大破だとっ!こんな戦闘で!」

クルーゼ
「どうやらいささか五月蠅い蠅が一匹飛んでいるようだぞ。」

アデス
「はっ?」

オペレータ
「ミゲル・アイマンよりレーザービーコンを受信。エマージェンシーです!」

クルーゼ
「ミゲルが機体を失うほどに動いているとなれば…最後の一機、そのままにはしておけん。」

Sideout



光輝はザフトの捕虜を集め後ろ手に指を結束バンドで固定していく。
捕虜を拘束した光輝は再び空中に舞い上がり民間区へ飛んで行った。
被害状況の把握と壊れた建物の修復の為である。


Side マリュー・ラミアス

マリュー
「ううっ!」

ミリアリア
「気が付きました?キラー!」

マリュー
「うぐっ!」

キラ
「あー、まだ動かない方がいいですよ。」

マリュー
「ハァァ。」

キラ
「…すみませんでした。なんか僕、無茶苦茶やちゃって。」

ミリアリア
「お水、要ります?」

マリュー
「…ありがと。」

トール
「すっげーなぁ、ガンダムっての!」

カズイ
「動く?動かないのか?」

サイ
「お前ら!あんまり弄るなって!」

カズイ
「なんでまた灰色になったんだ?」

トール
「メインバッテリーが切れたんだとさ。」

マリュー
「その機体から離れなさい!」

マリューは威嚇射撃を行った。

トール、カズイ
「「うわぁ!くー。」」

キラ
「何をするんです!止めて下さい!
彼らなんですよ!気絶してる貴方を降ろしてくれたのは!」

マリュー
「助けてもらったことは感謝します。でもあれは軍の重要機密よ。
民間人が無闇に触れていいものではないわ。」

トール
「なんだよ。さっき操縦してたのはキラじゃんか。」

光輝が銃声を聞きつけて飛行しながら戻ってきた。
両手を上げて戦闘の意思がない事を示していた。

マリューは全員を銃で威嚇しながら話す。

マリュー
「みんなこっちへ。
一人ずつ名前を。」

サイ
「サイ・アーガイル。」

カズイ
「カズイ・バスカーク。」

トール
「トール・ケーニヒ。」

ミリアリア
「ミリアリア・ハウ。」

マリュー
「んっ。」

マリューはキラに銃身を向け促した。

キラ
「キラ・ヤマト。」

光輝
「コウキ・イチジョウ。民間軍事プロバイダーである『ミスリル』に所属している。」

マリュー
「私はマリュー・ラミアス。地球連合軍の将校です。
申し訳ないけど、あなた達をこのまま解散させるわけにはいかなくなりました。」

「「えー!?」」

マリュー
「事情はどうあれ軍の重要機密を見てしまったあなた方は、然るべき所と連絡が取れ
処置が決定するまで私と行動を共にしていただかざるを得ません。」

カズイ
「そんな!」

トール
「冗談じゃねぇよ!なんだよそりゃ!」

マリュー
「従ってもらいます!」

サイ
「僕たちはヘリオポリスの民間人ですよ?中立です!軍とかなんとかそんなの、なんの関係もないんです!」

トール
「そうだよ!大体なんて地球軍がヘリオポリスに居る訳さ!そっからしておかしいじゃねぇかよ!」

カズイ
「そうだよ!だからこんなことになったんだろ!?」

マリューは空に向かって2発の銃弾を発射した。

マリュー
「黙りなさい!何も知らない子供が!
中立だと関係ないと言ってさえいれば、今でもまだ無関係でいられる。
まさか本当にそう思っている訳じゃないでしょう?
ここに地球軍の重要機密があり、あなた達はそれを見た。
それが今のあなた達の現実です。」

サイ
「そんな乱暴な。」

マリュー
「乱暴でもなんでも、戦争をしているんです!
プラントと地球、コーディネイターとナチュラル、あなた方の外の世界はね。」

光輝
「皆、落ち着いて冷静になりなさい!
まず重要機密と言うがザフトに4機奪われている。
その時点で機密性が失われている。」

マリュー
「そっそれは…。」

光輝
「それにマリューさんは権限がないと思う。先ほど然るべき所と連絡が取れ
処置が決定するまで・・・と言っていた。
軍人なら仕方ない。皆の安全は私が保証しよう。
必要があればオーブ政府や地球軍との交渉も行う用意がある。必要ないと思うが…。」

光輝の言葉で皆は落ち着いた。

光輝
「マリューさん。右肩を怪我しているようですね。治療しましょう。」

光輝はマリューの右肩の包帯の上に手を添えた。

マリュー
「なっ何を!」

光輝
「しっ。静かに直ぐ済みます。」

光輝は魔法陣を展開して皆が見えるように可視化した。
光輝の右手が光、光が収まると手を離した。

光輝
「もう包帯を外して結構です。治療は済みました。」

マリュー
「あっアレ?」

マリューは混乱している。確かに光輝が触れた傷の部分はほんのり温かくなり、痛みが引いたのだ。
恐る恐る包帯を外し、怪我していた箇所を触る。

マリュー
「こっこれは?」

銃弾の穴も服から消えていて、血のりさえ消えている。
皆、今見たことを不思議がっている。
一人トールだけは地面にうずくまって足を押さえている。
傷跡を確認していたトールがマリューの胸を凝視した為にミリアリアに足を踏まれたのである。

光輝
(認めたくないものだな。自分自身の若さゆえの過ちというものを。)

光輝がぼそっとつぶやいた。

光輝
「えっへん。今のは魔法だ。
魔法を見るのは初めてかな?」

ミリアリア
「魔法!ファンタジー小説に出てくる魔法なんですか?」

光輝
「その魔法で合っている。
それで…重要機密を見てしまったあなた方は、然るべき所と連絡が取れ
処置が決定するまで私と行動を共にしていただかざるを得ません。
何てな。」

光輝はマリューの言葉を引用してチャカして場の空気を和ませた。

Sideout



マリューは学生達に指示を出している。
光輝は捕獲したジンと捕虜達を移動させている。



Side マリュー・ラミアス

キラ
「こちらX-105ストライク。地球軍、応答願います。地球軍、応答願います!」

サイ
「ナンバー5のトレーラー、あれでいいんですよね?」

マリュー
「ええそう…。ありがとう。」

サイ
「それで?この後は僕たちはどうすればいいんです?」

マリュー
「ストライカーパックを…。そしたら…キラ君もう一回通信をやってみて。」

キラ
「はい。」

キラはストライクのコックピットに乗り込み操縦している。

キラ
「どれですか?パワーパックって!」

マリュー
「武器とパワーパックは一体になってるの!そのまま装備して!」

トレーラー片隅では学生達が話をしていた。

ミリアリア
「まだ解除にならないのね、避難命令。」

サイ
「親父やお袋達も避難してんのかな?」

カズイ
「あ~あ、早く家帰りてぇ~。」

その時、爆発が起きてジンとモビルアーマー(データ上はメビウス・ゼロとなっている)がコロニー内部に飛び込んで来た。

光輝
「そこのザフト軍。戦闘を中止しろ。
さもなくば、こちら捕虜達を殺す。」

拘束された捕虜達はヘルメットを外されていた。
その捕虜達を光輝が銃の様な物で狙っている。
光輝はヘッドセットの音をスピーカーに出している。
会話の内容をマリュー達に聞かせる為だ。

ジンは捕虜達を確認すると銃を上に向けた。

「こちらは民間軍事プロバイダー・ミスリルに所属しているコウキ・イチジョウだ。
ザフト軍及び地球軍メビウス・ゼロに告ぐ一時停戦を要求する。
コロニー内には民間人がいる。明らかに国際法違反である。」

クルーゼ
『ちっ。こちらはラウ・ル・クルーゼ、条件を言え。』

光輝
「24時間の停戦を要求する。その後、地球軍のヘリオポリスからの撤退。
撤退確認後にヘリオポリスの外で捕虜の解放を行う。」

クルーゼ
『その言葉に保証は?』

光輝
「我々は民間の組織であり信用が大切である。
また、捕虜は地球軍が捕まえた者ではない。我々ミスリルの捕虜である。
コロニーの破壊を阻止する為に拘束した。」

クルーゼ
『条件を飲もう。だが地球軍が撤退しない時は?』

光輝
「その時は勝手にコロニーの外でドンパチやってくれ。
その心配はないだろうが、既に開発中のモビルスーツは強奪されてコロニー内に立てこもる理由はない。」

クルーゼ
『24時間だな。確と約束を守れよ。』

光輝
「メビウス・ゼロも分かったな。」

フラガ
『ちきしょう、俺の出番がないではないか…。』

その時、爆発とともにアークエンジェルがコロニー内に飛び込んで来た。

光輝
「ちっ。間の悪い。
マリューさん、説明よろしく。」

光輝はどこから取り出したか不明な一対のヘッドセットをマリューに渡す。

マリューはしかたなく受け取ると、アークエンジェルと交信を始めた。

Sideout




 
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