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Blue Rose

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第二十七話 新しい学校その十一

「そちらもね」
「あっ、そういえば」
「まだ飲んでないわね」
「はい、一口も」
 龍馬も言われて気付いた。
「そうでした」
「じゃあ飲みましょう」
「忘れたら駄目ですよね」
「そう、注文したから」
「それじゃあ」
「今からね、そういえばね」
 こんなことも言った優子だった。
「私コーヒー好きで結構飲むけれど」
「そういえば家でも結構飲んでますね」
「紅茶も好きだけれどね」 
 こちらもというのだ、コーヒーも。
「それでもね」
「コーヒーもお好きで」
「よく飲むけれど面白いお話があるのよ」
「面白いっていいますと」
「絶望の様に黒く地獄の様に熱い」
 こうした言葉をここで出した。
「天使の様に純粋で恋の様に甘い」
「そんな言葉があるんですか」
「そう、タレーランって人が言ったけれど」
「あっ、ナポレオンの家臣だった」
「知ってるの」
「漫画読んだら出てきました」
 そのタレーランという人物が、というのだ。
「ナポレオンの漫画だったんですけれど」
「外交官だったわね」
「外務大臣でしたね」
「あと何か役職あったわね」
「はい、侍従長か何かでしたね」
「そうだったわね」
「もう一人フーシェって出てまして」
 龍馬はこの人物の名前も出した。
「この人は内政で」
「二人でナポレオンを政治面から支えていて」
「後で陥れました」
「人間的には危険だったけれどね」
 二人共だ、ナポレオンにとって悪いことに。
「謀略家で倫理観もなくて」
「あの二人そうでしたね」
「政治家としては優秀だったけれど」
「凄い有能だったんですよね」
「そうよ、けれど人間的にはね」
「何かタレーラン見てたら」
 その漫画に出て来るタレーランをである。
「絶対傍にいて欲しくないですね」
「そうでしょ、フーシェもだけれど」
「どんな立場でも」
「ナポレオンが陥れられたから」
 稀代の英雄と言われた彼がだ、覇権を目指しイギリスとの戦いを続け国力を消耗してしまったのと共にこの二人に足を引っ張られたことが没落の要因にもなった。スペインでの失敗も大きかった。
「そう考えるとね」
「二人共傍にいて欲しくないですね」
「そうした人達の片割れだったけれど」
「そうした言葉も残してますか」
「美食家でもあったから」
 こちらも一代の人物だった。
「タレーランはね」
「コーヒーも好きで」
「言ったのよ」
「そうなんですか」
「他にも色々な言葉を残したり逸話があるわ」
 二尾の大きなヒラメを手に入れて一尾目をわざと落とさせて客達を落胆させてから二尾目を出すという演出をしたこともある。
「コーヒーについてもね」
「地獄の様に熱い、ですか」
「あと恋の様に甘い」
「お砂糖入れ過ぎだったんじゃないですか?」
 龍馬は優子の言葉を聞いてこう返した。 
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