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真田十勇士

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巻ノ五十二 島津四兄弟その八

「それも許されぬわ」
「関白様は」
「とてもですな」
「では三国だけですか」
「やはり」
「そうなるであろう」
 また言った幸村だった。
「やはりな」
「では」
「島津家も引きませぬし」
「どうしてもですな」
「戦は避けられませぬな」
「そうなる、そして戦になり」
 そしてというのだ。
「島津家は戦い」
「あの家はですな」
「武士の意地も見せられる」
「そうされますか」
「間違いなくな、それが残念だ」
 幸村はまた声に無念さを出して述べた。
「平穏にことが済まぬのがな」
「しかしそれがですな」
「戦国の世の習いですな」
「戦は避けられぬ」
「どうしても」
「うむ、そうなるからな」 
 それ故にというのだ。
「それが無念だ、しかし」
「あれだけの方々がですな」
「失われるとなりますと」
「やはりですな」
「残念ですな」
「そのことは」
「おそらく四兄弟全員がそうなることはないが」
 しかしというのだ。
「四人のうちどなたかがな」
「命を失うとなると」
「それが残念ですな」
「確かに」
「見事な方々だけに」
「だからこそ」
「うむ、死ぬことがなければ」 
 それがというのだ。
「よいがな、どなたも」
「そうですな、確かに」
「そのことは我等も思います」
「あの方々に幸があらんことを」
「島津家にも」
「そう思う、ではな」
 ここでだ、幸村は。
 北を見た、そこには博多がある。まず彼等が目指すその方角を見てだった。そうして十勇士達に言うのだった。
「北に行くか」
「博多ですな」
「まずは博多に行き」
「そして、ですな」
「博多から大坂に戻りますか」
「関白様にお知らせする」
 九州で見たもの全てをというのだ。
「そうしようぞ」
「はい、では」
「まずはあちらに向かいましょう」
「博多に」
 こう話してだ、そしてだった。
 主従は後は一路博多まで戻った、真田家だけが知っている忍道を通り。そして風の様な速さでだった。
 一行は博多まで来た、その博多でだった。
 主従は大坂に行く船を探したがだ、その中に。
 来島水軍のあの船を見付けた、それでその船の停まっている場所に行くと。 
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