暗闇を照らす白き日差し【影に身を委ねた一夏】
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更識姉妹
第6話 シスターズ
前書き
クラス代表歓迎会、そして簪との出会い
白夜SIDE
その日の授業が終わった放課後。
≪パンッ!パァンッ!≫
「白夜くん、クラス代表就任おめでとう!」
『おめでとう〜〜〜‼︎』
食堂の一部を貸し切って、クラス代表の就任パーティが執り行われることになった。
言うまでも無いが織斑先生からちゃんと許可はとってある。
「やったね、これでクラス対抗は絶対盛り上がるわね」
「うんうん」
「わたし達運が良かったよねー♪白夜くんと同じクラスになれて」
ハァ……人気者になるって辛いね……IS動かした件で騒がれてた時を思い出すよ……
箒「フン、お前は人気者だな白夜」
白夜「ちょっと黙ってろ」
マドカ「でも兄さんだから、どんな相手も敵じゃないと思う」
白夜「そうかよ……」
全く……にしても何でマドカは指名されなかったんだ?
まあ……別にとやかく言う気は無いけど……
ーーーー
≪パシャッ!≫
ん、誰だ一体?いきなり写真を撮って……
「は〜い、新聞部でーす。
私は二年の黛 薫子。新聞部部長をやってまーす、宜しくね。
今回は今話題の白夜くんに独占インタビューしに来ました」
新聞部……まあ……知る権利ってのはあるから当然か……
薫子「では白夜くん!クラス代表になった感想と意気込みをどうぞ!」
やっぱそれか……まあいいか…とりあえず言いたい事だけでも言うか……
白夜「正直気が引けますが、みんなの期待に応えるのも織斑先生との契約の内ですから、みんなの期待に沿う活躍をすると約束します」
薫子「ふ〜ん、契約ね。てかなんか普通過ぎるんだけど__」
白夜「なら織斑先生から許可をとったと言うなら、もう少し言っても構いませんよ?」
薫子「ゴメン、聞くのはこのくらいにしとくわ……」
その方が身の為かもな……
薫子「なら今度は、セシリアちゃんからもコメント頂戴」
セシリア「そうですわね、わたくしとしてまず言いたいのは__」
薫子「悪いけど長くなりそうだから写真だけ撮らせて」
セシリア「何故そうなるのですか⁉︎最後まで話を__」
薫子「大丈夫大丈夫、そこのところは捏造しておくから」
ああもう面倒くせぇ……もういい…ちょっと脅しを加えるか……
≪パッ≫
携帯で織斑先生に報告するフリするだけで充分だろう……
白夜「もしもし、織斑先生ですか?
実は新聞部で書かれてる記事の内容が捏造されて__」
薫子「ちょっと待って!織斑先生に言うのはやめ__‼︎」
白夜「内容はある程度盗聴器に録音してありますから処分は__」
薫子「やめて〜!ちゃんとした記事書くから勘弁して〜〜‼︎」
このくらい間に受けてるのなら問題無いだろう……
白夜「ってのは冗談ですが……」
薫子「心臓に悪いわよ!てか全然冗談に聞こえないんだけど‼︎」
白夜「まあ盗聴器に録音してあるのは事実ですからね。もし本当に捏造されていようものならそれを織斑先生に提出しますから、その時は覚悟しといて下さいね?」
そう言いながらポケットの中に忍ばせてあった盗聴器を相手に見せる、無論内容は全部録音されてるのも事実。
薫子「りょ…了解……」
脅しはこの辺で充分だな……
その後織斑先生から“格納庫に誰か居るみたいだから見て来い。”って連絡が入って早速肩から掛けてるライフルを手にとって格納庫へと向かった。
_______________
ANOTHERSIDE
白夜が織斑先生からの連絡を受けてるのと同じくして、第二格納庫では……
≪カタカタカタ……≫
一人の少女が一機のISと向き合うようにパソコンを操作していた。実は彼女の目の前にあるのが本人の専用機なのだが、機体は未完成で更に調整する度に“ERROR”が画面に表示される為、彼女は苛立ちと機体が完成しない事による焦りを抱いていた。
≪パシュッ!≫
「⁉︎」
突然格納庫の扉が開く音がし、彼女は急いでISを待機状態にして物陰に身を隠した。
≪タッタッタッ……≫
「!」
物陰から中に入って来た人物を見て彼女は驚いた、その人物は__
「白夜」
そう……白夜…織斑先生の命令で格納庫の見回りに来たのだった。
_______________
白夜SIDE
全く……一応見回ってはいるが、どこにも気配が無いぞ……
織斑先生からの連絡で確かめに来たは良いが、怪しい人影は見られない。
仕方ない……報告だけでも済ませるか……
≪カチッ≫
白夜「白夜より織斑先生へ、応答願います」
千冬『白夜か、何だ一体?』
白夜「言われた通り格納庫を見回っていますが、怪しい人影は見当たりません。いかがしますか?」
千冬『そうか、なら良しとしよう。そろそろ寮に戻れ』
白夜「了解」
≪カチッ≫
良し。報告は終わったから、サッサと帰るとしま__
「待って!」
白夜「⁉︎」
≪ガチャッ!≫
いきなり呼び止められて“侵入者か⁉︎”っと思って声が聞こえた方へライフルを向けるが……
「驚かせてゴメンなさい、悪気は無かったんだけど……」
≪チャッ≫
なんだ……学園の生徒じゃないか……心臓に悪いぞ……
現れたのが学園の生徒だったから安心して銃を下ろした。
てか俺がこんな子の気配を見落とすとは、なんとも情けない……
ん?っというかこの子……
白夜「日本の代表候補生でIS学園生徒会長の楯無さんの実の妹、更識 簪さん…だね?」
簪「うん。ゴメンね、驚かせるつもりはなかったんだけど__」
白夜「良いんだ別に、気にしてないから」
簪「そう、ありがとう……」
ハァ……全くな……
こんなんで驚くなんて本当に心臓に悪い。けどそんな事を言えばまた厄介になりそうだから敢えて言わないでおく……
白夜「ところで、ここで何してるの?織斑先生がここに誰か居るからって言われて来てみたけど?」
簪「そ…それは……」
ふ〜ん、悩んでるところで何か隠してるのは事実だな……
簪「その……えっと……」
ハァ……仕方ないか……
白夜「誰にも言わないって約束するよ。無論、あの織斑先生にも」
簪「えっ、本当に?」
白夜「当たり前だ。だから気にせず言ってごらん」
簪「じゃ…じゃあ……」
っという訳で、誰にも言わない事を条件に本人から事情を聞かせてもらった。
ーーーー
白夜「成る程、それはまた厄介な話だな……」
簪「うん……」
本人によると、なんでも自分の専用機の組み上げを行っていて、幾ら調整しても上手くいかないからこの時間に調整してるって話だった。
白夜「ならばその専用機を設計・開発したIS企業に頼めば良いんじゃ__」
簪「そうしたいのはやまやまだけど、そういう訳にもいかないの」
白夜「それは何故だ、一人じゃ何かと大変だろ?」
簪「……」
黙りって……ちょっと待てよ、まさか……?
白夜「確か……会長はISを一から組み上げたって話を聞いた事があるけど、もしや……」
簪「実は、そう……」
白夜「ハァ……」
溜息しか出ない。前に更識家当主がISを一から組み上げたって話は一度だけだが聞いた事があった。けど一からとなれば相当な知識が無ければ完成は不可能だが、本人がそれを実際にやってるとなると気が遠い……
簪「私もそれが出来たら、お姉ちゃんと肩を並べる事が出来る、お姉ちゃんみたいに強くなれると信じてるの。だから……」
白夜「そういう訳か……」
こりゃ複雑な家庭環境が絡んでるんだろうな……とはいえ、それにむざむざと干渉する訳にもいかんし……
白夜「けど一人でやってるとなれば、色々と問題にあたるんじゃない?
特に今も」
簪「それは…そうだけど……」
う〜ん……口を出すのはどうかと思うが…話を聞く以上放ってもおけんし……しゃあないか……
白夜「俺に手伝えることはあるかな、一人じゃ何かと大変だろ?」
簪「えっ?でも__」
白夜「迷惑なのは鼻から承知だ。けど、話を聞いたからには放っておく訳にもいかん。
それに、君はどうやら勘違いしてるようだね」
簪「えっ?」
白夜「君のお姉さんのことは幾度も聞いた事があるよ。
けれど、君が思ってる以上にそう強いとは思えない。特にメンタル面でね。
それに人はみんな弱いんだよ。どんなに強がっていても、裏を返せばそんな奴はみんな大事なところが欠けてて、そして脆くて弱いんだ。俺みたいに」
簪「白夜くんが弱い?
そんな事は無い、白夜くんは強いよ!私、クラス代表決定戦見てたから知ってるもん!」
白夜「それはどうかな?
確かに俺は強いが、俺は俺自身に力をくれたあの人を越えるまでは立ち止まる事は一切許されない、誰が止めようとただ進み続けるしかないんだ。そして俺はあの人を越えるまでは未来永劫死ぬことを許されず、不老不死のままこの世に生き続けなければならない。それは神によって定められた運命故に、何人たりともその運命に抗う事を許されない。
そんな地獄を経験してる奴が、本当に強いって言い切れると思ってるのか?」
簪「……」
色々と話してるうちに俯いて黙ってしまう更識さん。
同情は要らないが……これくらいは言っとくか……
白夜「こんな俺でも、時には誰かの助けを必要としたりする。今回のクラス代表決定戦だって、マドカの助けがなければ勝てなかっただろうな。何せ俺は、ISに関してはまだまだヒヨッコだからな。
だからお前も誰かに助けを求めても良いと思うぞ、別に損をするんじゃないんだからな」
簪「本当?」
白夜「ああっ、俺が言うんだ。断言するよ」
簪「……、白夜くんがそう言うなら信じるよ。他の人が言う事は信用出来ないけど、白夜くんが言う事なら信じて良い気がするから……だから宜しく」
白夜「ああっ、俺で良ければ宜しくな。あと言っとくけど、俺のことは“くん”付けしなくて良いよ」
簪「そう?なら私のことは“簪”って呼んで」
白夜「解ったよ、簪」
っと言った訳で簪のISを完成させる為に手伝う事になったけど、流石に俺達に出来る事は限られていたから、詳しい所は明日整備科ってところの人達に手伝ってもらうとして、出来る所だけやってその日はそこで終わって寮に戻った。
後書き
何か、一…じゃなくて白夜の話を書くとなんかシリアスな方向に転がってしまう気がするのは、やっぱり気のせいでしょうか……?
まあそれは良いとして次回は会長からの依頼、簪のIS完成へ……
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