がっこうぐらし!The world in confusion
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chapter58
火蓋を切ったのは俺が先であった。
足に魔力と力をいれてゴーレムクイーンの懐に飛び込もうと飛び出す。
エスミ「さあ、現れなさい!私の僕!」
懐に飛び込もうとしていた俺にゴーレムクイーンは自身の魔法を発動俺とゴーレムクイーンの間に岩が集められて瞬く間にゴーレムを作り出した。
音姫「岩の人形!?」
優花「あれがゴーレムクリエーション!」
雄也「ゴーレムの生産が早い!?」
俺が驚いたのはゴーレムを作り出す早さ、ゴーレムクリエーションを使うものでもここまで作り出す早さは見たことがなかった。
雄也「局員のAランクは伊達じゃないかっ!」
只者ではないことを、改めて再確認し目の前のゴーレムをアークを振るう。
ゴーレムも黙って動かないわけがなく剣のように尖った腕でアークと打ち合い鍔迫り合いに持ち込まれる。
雄也「ごつごつしたからだの癖にかなりの柔軟…いや、これはゴーレムクイーンの操作力と読んだ方がいいかっ!」
ゴーレムがアークを弾くと弾いた逆の腕を前に突き立て串刺しにしようと俺の胸に目掛けて飛んでくる。
雄也「あぶな!」
咄嗟に後ろに回避し一読距離をとる。
エスミ「私のゴーレム前に防戦一方の様子ですわね」
雄也「そいつは…どうかな?」
ゴーレムクイーンが余裕の表情を浮かべ、俺を見下してくるが、次の瞬間ゴーレムの片腕が崩れ落ちる。
エスミ「っ!?私のゴーレムが!」
音姫「え!?いつのまに!?」
優花「後ろに飛んだとき、ゴーレムの腕に攻撃していたの見えていたわ」
優花の言う通り、バックで回避したとき突き出していた腕にセイクリッドスラッシュをお見舞いし腕を破壊したのだ。
雄也「通常ならまだしも、魔力付与したらはかいできる…これなら問題はあまりないな…」
エスミ「…それは…どうかしら…」
音姫「雄也くん!後ろ!!」
雄也「っ!?」
音姉の声に反応して後ろを振り向くと、腕を破壊した別のゴーレムが存在して石でできた弓矢を放ってきて咄嗟に体を捻らせるが矢が俺の肩を掠めて着ているバリアジャケットを貫き破け掠めたところから小量出血する。
優花「ゴーレムが…もういったい!」
2体目のゴーレム…しかも弓矢と武器が違う、遠距離タイプのゴーレムであった。
エスミ「1体だと思って痛い目を見ましたね…」
してやったりと、笑みを浮かべるゴーレムクイーンはタクトを振るうと片腕を失ったゴーレムの腕をすぐに修復される。
雄也「岩だから簡単になおるか…」
エスミ「なんど倒そうが私の僕達は直ぐに治りますの…そして…これが私の本気ですわ!!私の前に現れなさい!私の僕達よ!!」
ゴーレムクイーンは魔力を大きく解き放ち、大掛かりな何かをし始め、そしてそれは直ぐにわかることになった。
音姫「そん…な…っ!」
優花「2体でも厄介だってのに…」
雄也「…まだ増えるかよ…」
次々と生成されるゴーレム…その総数…
エスミ「これが私の最大ゴーレム数…16体…さあ、私の前に膝まづきなさい!」
ゴーレムクイーンの前に16体というゴーレムが立ちふさがる。
エスミ「行きなさい!私の僕達!」
ゴーレムクイーンの高らかな号令と共に2体の近接方のゴーレムが動き出して尖った両腕で俺を切ろうと振るってくる。
エスミ「はあ、私の僕と共に舞いなさい!」
2体のゴーレムから繰り出される過激な攻勢に俺は防戦一方に追い込まれていた。
反撃するにもゴーレム一体を攻撃しても後ろに控えているゴーレムに邪魔されて一体も倒せていない…倒したとしても直ぐに修復されるのは目に見えているが
雄也「何か解決策が…」
アークで受け流しながら、これの攻略を模索する。
一旦距離を取り足を地面につけた瞬間、魔法陣が発動した。
エスミ「かかりましたわね」
雄也「しまった!罠か!?」
魔法陣から巨大な岩石の手が俺の体を掴み身動きが取れない状態に陥ってしまう。
雄也「う、動け…ない…!」
必死に解こうともがくがびくともせず、完全にゴーレムクイーンの術中にはまったことにゴーレムクイーンは笑みを浮かべていた。
エスミ「さて、そろそろ…終わりといきましょう」
ゴーレムクイーンはタクトを振るうと近接型のゴーレムが俺に向かって走り出していき止めを刺そうと尖った腕を突き立てながら迫ってくる。
雄也「やばい!」
命の危機にあせる俺、その間にもゴーレムは迫ってくる。
エスミ「さあ、終わりです!ユウヤ・ツキミヤ!!」
ゴーレムの射程圏内に入るとゴーレムは大きく踏み込んできて俺の胸にゴーレムの手が突き刺さる…はずだった。
エスミ「なっ!?これは!」
突き刺さるはずのゴーレムの手はほんの数十㎝前で止まり、ゴーレムの体は氷によって凍りつき、身動きが取れない状況に陥った。
雄也「ぎ、ぎりぎり…詠唱が間に合った…」
本当にひやひや、心臓の鼓動が早くなっており、ひとつ遅かったら串刺しにされていたであろう。
雄也「咄嗟に、ブリザドで動きを止めることを思い浮かばなかったら、命がなかった…」
本当にひと安心としているがエスミの笑みはまだ収まってはいなかった
エスミ「安心するのはまだでしてよ」
エスミがそういうと、凍りついているゴーレムの凍っていない腕の部分が伸び始めた。
雄也「伸縮できるだと!?」
止めたはずの攻撃が迫り…身動きが取れない俺はなすすべがないが、横から飛び出してきた物がゴーレムを砕く。
エスミ「っ!!何者ですの!?」
雄也「…優花!」
優花「ここからは私も戦う!」
オスカーを手に持ち瞳をゴーレムクイーンを見据えて仁王立つ、俺の眼前には覚悟を決めた優花が立っていた。
作者SIDE
エスミ「あなた…何者ですの?」
優花「優花…あなたたちにちょっと因縁がある子供よ」
未だに岩石の手に捕縛されている雄也を他所にこの二人の間で話し合いが行われる。
エスミ「そのデバイス…記憶にありますわ、確か、このパンデミックと平行で行われていたプロジェクトDKで使われていた試作機…あなた、プロジェクトの関係者かしら?」
優花「今となったら、そんなの関係ないわ…」
エスミ「そう、確かにその通りですわね、私に倒される方のことなど気にすることも…ありませんわ!」
二人の戦闘の火蓋が切って落とされ、優花に破壊されたゴーレムの変わりに生成されたゴーレムと後方にいる遠距離型のゴーレムが動き出して優花も動きを合わせて動き出した。
雄也「優花!くそ!待ってろ今助けに…」
雄也は優花には相手が荷が重いと思い必死になって束縛を破壊しようともがき始める。
音姫「雄也くん!」
そこに、後方にいた音姫がやって来る。
雄也「音姉!直ぐに優花を下がらせてくれ!優花じゃ、あいつには敵わない、俺もなんとかこいつを!」
音姫「雄也くん!少しは落ち着く!」
雄也「落ち着いてなんていられ…」
音姫「冷静をかいたら見えるもの見えないよ!優花ちゃんの戦いをみて、戦ってた時気づかなかったと思うけど、あの人の弱点が見えてくるの」
雄也「ゴーレムクイーンの…弱点?」
優花が危険な立場にいることで冷静さを欠けていた雄也に音姫が宥めて、冷静さを持たせると雄也は音姫と共に優花とエスミの戦いを観察する。
優花「はああぁっ!」
ゴーレムの攻撃を避けながら隙あればオスカーで突いて着実とダメージを蓄積していく
優花「はぁ…はぁ…本当、押されてるわね」
エスミと優花、この二人では圧倒的な経験の数がこの戦闘に現れており、冷静に対処するエスミに対して、ゴーレムの猛攻を防ぎながら隙をうかがっている。
雄也「…どうして、オスカーの変形機構を使わない?あれでもう少しましな立ち回りだって…」
音姫「それはもうすぐわかるよ」
何故、オスカーの長所である変形を使わないのか疑問視している雄也に音姫が直ぐにわかると話すと、その直後優花が動いた。
優花「さてと…そろそろ…」
エスミ「そろそろ、息が上がってきましたか!」
エスミは近接型のゴーレム2体を優花目掛けて動かし、優花とゴーレムの間合いが2メートル程に縮まった時、優花がバックステップで後ろに飛び上がり、滞空中に今まで使わなかった変形機構を使い、ランスからガトリングへと変形する。
エスミ「変形した!?」
優花(今だ!)
エスミが隠していた変形機構に驚いている隙に優花はオスカーの銃口をエスミに向けてガトリングを発射し無数の魔力弾がエスミへと向かっていく。
エスミ「くっ…!」
エスミは苦い顔をしながら周囲にいるゴーレム2体を射線上に移動させ、優花の攻撃を防御する。
雄也「っ!!」
音姫「…やっぱり…」
雄也「優花はこれを教えたかったのか?…それならこんな危険なこと…」
音姫「…それは家族だからだよ」
雄也「か…ぞく?」
雄也は優花の伝えたいことを理解はしたが方法真意がわからなかったが、音姫は家族だからこそだと言い切った。
音姫「うん、雄也くん、二日前のあの夜で将来のこと話し合ったときのこと覚えてる」
雄也「ああ、もちろんだ…そういえば、優花はあのとき何か呟いていたな…それが何か関係が?」
音姫「私、ちょっと気になってね、昨日の夜に聞いてみたの」
回想
まだレクイエムが発動する前の夜、夜の校舎で音姫は昨日の晩に気になったあの事を聞くことにした。
音姫「ねえ、優花ちゃん」
優花「何?音姉」
音姫「ちょっと気になってたんだけどね、昨日の晩、優花ちゃん将来の夢で何かいってたから…」
優花「……あれ…ね」
音姫「あっ、無理にはいいよ…本当にちょっと気になっただけだから」
音姫の問いに考える仕草をしながらどうするか悩み、ほんの数秒の末、考えがまとまった。
優花「別に、将来の夢…って訳じゃないんだけど……ひとつだけ…欲しいものがあるの」
音姫「欲しい…もの?」
優花「私は…その…
家族が…ほしい…」
音姫「え?」
優花が欲しいもの…それが家族であったと口にすると音姫は驚いた表情で優花を見つめる。
優花「わたしって…昔の記憶を無くして…あの施設にいる前のことは何も覚えてなくて…肉親とか…兄弟とか誰もいない…わけじゃない、だから…それに今日悠里や胡桃や由紀のこと見てたら…」
音姫「欲しくなったんだ」
音姫が優花が思っていることを言い当てると優花は少し赤く頬染めながら小さく頷く。
音姫「でも、優花ちゃんには雄也くんが…例え実の兄妹じゃなくても…」
優花「…確かに…そうだけど…向こうはどう思ってるかわからないじゃない」
音姫「それじゃあ雄也くんに直接聞きにいったらどうかな?」
優花「…一応…聞いてみる」
回想終了
雄也「…優花がそんなことを…」
雄也は優花の願いを知り、目の前で戦う優花に見つめる。
息を上げながらも一歩も退かない優花、その立ち姿は小さきながらも凛々しさを覚えるほどであった。
優花「きゃ…っ!」
雄也「優花!」
そんな優花が遠距離のゴーレムの矢を肩に掠り血が傷元から飛び出る。
優花は掠めたこたにより、悲鳴をあげ、怪我をおったことで雄也も優花の名前を読んで声をあげた。
エスミ「ふふ、いい、悲鳴ですわ、なら思う存分に…上げさせてあげますわ!!」
近接型のゴーレム2体が動きだし、優花に向けて尖った腕を振るい優花に攻撃繰り出しオスカーを使い捌こうとするが肩を負傷したこともあり思うように体が動かずにゴーレムの繰り出す攻撃を捌ききれず肩、腰、腕と体は徐々に傷つけられていく。
優花「あっ…あ、くっ!」
音姫「優花ちゃん!!雄也くん、このままじゃ!」
雄也「ああ、ちょっと手荒だが…」
雄也も優花の劣勢をみて動きだし、その優花は遠距離のゴーレムの矢を右足に深く掠り、これにより、膝をおり、その場から動けなくなる。
優花「くっ…!」
エスミ「ふふ、もう終わりですわね…」
エスミは膝をつく、優花に堂々と近づき、近づくなかでゴーレムで優花の両腕を掴ませて身動きが出来なくする。
エスミ「そろそろ、終わりといたしましょうか…」
完全に窮地の中…束縛された優花の表情はなぜか、この状況では考えられない、笑みを浮かべていた。
エスミ「何故、笑みを浮かべているの」
この状態で笑みを浮かべる優花に対して、笑みを浮かべるか訪ねるエスミ
そんなエスミに優花は口を開けた。
優花「2体…」
エスミ「2体?なんのことですの?」
優花「あなたが…ゴーレムを操作できる限界個数よ」
エスミ「っ!!」
優花が告げられた言葉に動揺の色を表すエスミ、この表情からその事実が事実であると物語っている。
優花「これは後ろにいた音姉と私ですぐわかった…だって、あのとき時点でもっと簡単に追い詰められた筈だもん、ただそのときは確信じゃなかった」
エスミ「…いつ、確信したと言うのですの」
優花「確信したのは私が戦ってるとき、あのとき変形させて直接あなたに攻撃したとき、あなたはゴーレムを使って防御した…その時、私を攻撃していたゴーレムは2体とも停止していた…つまり、2体しか操れない証拠になったわけ」
優花はあの滞空中に射撃した時横目で攻撃を仕掛けていたゴーレムを確認しエスミの能力を分析していた。
これにより、動いている2体以外は驚異では無くなったことになる。
その事実を述べられたエスミは苦い顔を浮かべるが直ぐに表情が戻る。
エスミ「ですが、あなたは捕まり、今息の根を止める直前…今のあなたに何ができて?」
エスミの言うとおり、今の優花はゴーレムによって捕まり何もできない状況、それでもなお優花の笑みは崩れない。
優花「わかっただけで十分、その程度ならあなたはあいつの足元にも及ばない、あんたなんて一撃で終わ…っ!」
エスミ「お黙りなさい」
優花が雄也だけで十分に倒せると坦々と口にすることに腹をたてたエスミは優花の頬叩いて黙らせる。
エスミ「お喋りは終わり、今からその顔醜く傷つけてあげますわ!!」
腹をたてたことは叩いたことでは収まるわけがなく、エスミの隣にいる近接型のゴーレムで優花の顔に切りつけようと操作しだす。
優花「ああ、ひとついい忘れてたわ」
エスミ「?今頃命乞い?もう遅い」
優花「私だけに目を向けて周りが見えてない時点であなたの負けよ」
エスミ「っ!!!」
優花の告げたことで何かに気づいたエスミは雄也がいる場所に漸く目を向ける。
だがそこには壊れた岩石の手だったものと音姫だけ、肝心の雄也がどこにも見当たらない。
優花「行って…お兄ちゃん」
雄也「ああ、任された」
中々と聞き取れない程で呟く優花に、その呟きが聞こえ返事を返した雄也はバリアジャケットが至るところ焼け焦げ髪は一部分が凍りついている状態で既にエスミの懐に入り込んでおり光の力を纏った一撃を今まさに放とうとしていた。
エスミ(もうここまで!これでは防御が!!)
雄也「よくも…」
そう一旦言葉を区切り雄也は全力のセイクリッドスラッシュをエスミに向け…
雄也「俺の妹にいたぶってくれたな!!」
エスミ「キャアァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!」
その言葉ともに渾身のセイクリッドスラッシュがエスミに繰り出されエスミは攻撃によってものすごい勢いで吹き飛ばされ司令室の扉を突き破っていった。
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