英雄伝説～菫の軌跡～（零篇）

～星見の塔～



「一瞬で終わる、耐えぬ方が身のためだ………」

「……！？足元から凄まじい霊力を確認！今すぐこの場から退避してください！」

バルバトスが片手に魔力を溜め込み始めると足元から感じる膨大な霊力に気づいたティオの警告を聞いたロイド達は散開して回避しようとしたが

「破滅のグランバニッシュ！！」

「キャアッ！？」

「あうっ！？」

ロイド達と比べると身体能力が低いエリィとティオは回避が遅れた為、バルバトスの昌術によって発生した広範囲の衝撃波を受けて怯んだ。

「野郎……！見た目に反して魔法(アーツ)で攻撃するとか、中々策士じゃねえか！ハァァァァ……喰らいやがれ！！」

それを見たランディは龍の如き姿を伴う、炎の衝撃波を放つクラフト―――サラマンダーを放ったが

「引き裂いてやろうか！殺･魔神剣！！」

「おわっ！？」

バルバトスが放った巨大な衝撃波によって真っ二つにされると共に反撃され、襲い掛かる衝撃波を間一髪側面に跳躍して回避した。



「電磁ネット発射！！」

「ぬるい！！」

バルバトスの動きを少しでも封じ込めるために電磁ネットを放ったノエルだったがバルバトスは襲い掛かる電磁ネットを斧をぶん回して引き裂き

「灼熱のバーンストライク！！」

「キャアッ！？」

続けてノエルの頭上から火炎弾を降り注がせてノエルにダメージを与えた。

「エナジーサークル起動……これで大丈夫です。」

「今助けるわ！それっ！！」

「回復だと？貧弱すぎるわ！断罪の―――」

そしてティオとエリィがクラフトで自分達やノエルが負った傷を回復するのを見たバルバトスが二人に昌術を放とうとしたその時

「させるか！ハアッ！！」

「ぬうっ！？」

ロイドがクラフト―――スタンブレイクで妨害した。



「死ぬかぁ！」

バルバトスは自分の行動を妨害したロイドに反撃しようとして斧を振り上げたが

「フッ……」

「ぬっ！？」

銀が放った鉤爪によって振り上げられた斧や腕が拘束され

「来い……斬！！」

「ぐおっ！？」

そのまま銀の元へと引き寄せられ、斬撃を叩き込まれて怯んだ。

「うふふ、隙は見逃さないわよ♪二の型・改――――裏疾風！双牙！！」

その時銀と戦術リンクを結んだ事によって銀が放った鉤爪でとらえて引き寄せた敵達に止めを刺すクラフト――――龍爪斬が放たれる前からわかっていたレンが電光石火の攻撃で追撃してバルバトスにダメージを与え

「まだだっ！！」

レンの追撃が終わると銀が更にバルバトスの背後から追撃を叩き込んだ。



「俺の背後に、立つんじゃねえぇい！！！」

「！！」

背後から追撃を叩き込まれたバルバトスは振り向くと同時に反撃を銀に叩き込もうとしたが銀は人間離れした動きでバルバトスから距離を取り

「男に後退の二文字はねえ！絶望のシリングフォール！！」

「……………」

更にバルバトスが発動した昌術によって発生した頭上からの落石も次々と回避した。

「ほーらよ！！」

「ぬ……？グアッ！？目が……！」

その時ランディがスタングレネードをバルバトスの足元に投擲し、炸裂したスタングレネードはバルバトスの目を眩ませてバルバトスを怯ませ

「行きますよ………ファイアー！！」

「ブラッディブレイズ！！」

「隙あり！シュート！！」

それを好機と判断したノエルや武器を双銃に変えたレン、エリィは怒涛の集中銃撃でバルバトスにダメージを与えた。

「えいっ！やあっ！」

「せいっ！！」

「おらあっ！！」

その隙にバルバトスに近づいたロイドと銀、ランディはバルバトスを包囲してそれぞれの攻撃を叩き込んだ。



「どりぃやっ！」

「ぐっ！？」

「っ！？」

その時バルバトスはクラフト―――イビルチャージでロイドと銀をふっ飛ばして包囲網を抜け

「引き裂いてやろうか！殺･魔神剣！！」

「！グアッ！？マジかよ………！？」

ランディには巨大な衝撃波を放ち、襲い掛かる衝撃波をスタンハルバードで防御しようとしたランディだったがバルバトスが放った衝撃波の威力はあまりにも凄まじく、防御態勢が崩されると共にふっ飛ばされて地面に叩き付けられ、戦闘不能になった！

「うふふ、感謝してね？」

一方銀と戦術リンクを結んでいたレンはダメージを受けた銀にリンクアビリティ――――『クイックティア』を発動して銀の傷を回復し

「エニグマ駆動――――ダークマター！！」

「グオオオオオ………ッ！？」

仲間達の猛攻の間にオーブメントの駆動を終わらせたティオがバルバトスに動きを封じ込めると共にダメージを与えるアーツを放ったバルバトスの動きを封じ込めた。



「みんな、頑張って！！」

その隙にエリィが回復弾を放つクラフト―――ホーリーバレットをロイドに放ってロイドの傷を回復し

「ランディ先輩、頑張って下さい！」

「サンクス！」

ノエルはランディに近づいて戦闘不能を回復する薬―――アセラスの薬を使ってランディの戦闘不能を回復した。

「しまった………！ノエルお姉さん、バルバトスの動きに注意して！」

一方バルバトスの前でアイテムを使う事は基本厳禁である事を知っていたレンはノエルがアイテムを使った事に気づくと真剣な表情でノエルに警告した。



「え―――――」

そしてレンの注意にノエルが呆けたその時！

「アイテムなぞ使ってんじゃ……」

「な――――キャアッ！？」

なんとバルバトスが一瞬でノエルの前に現れてノエルの首筋を掴んでノエルを地面に叩きつけて足で何度も踏みつけた後膨大な闘気を込めた斧を構え

「ねえぇぇぇぇええええっ！！」

「キャアアアアアアアッ！？す、すみません…………」

斬り上げ攻撃を放ってノエルを空高くへと吹っ飛ばし、地面に叩き付けられたノエルは戦闘不能になった！

「ノエル！？野郎……！ハァァァァァ………パワースマッシュ！！」

それを見たランディは強烈な一撃をバルバトスに放ったが

「隙だらけなんだよぅ！」

「グッ！？」

バルバトスはランディがクラフトを放った瞬間斧を振り上げてランディをふっ飛ばした！



「エニグマ駆動――――ハイドロカノン！！」

「グッ！？」

その時オーブメントの駆動を終えたティオが高火力かつ敵をふっ飛ばす水のアーツをバルバトスに叩き込み

「ロイド、お願い！」

「ああ、任せろ！はっ！えいっ！やぁっ！」

エリィと視線を交わしたロイドがバルバトスに近づいてトンファーによる連続攻撃を叩き込んだ後一旦後退した後突撃し、エリィは雷の弾丸をロイドの突撃と共に放った！

「「スター――――ブラスト！！」」

「ぐああああああああっ！？」

ティオのアーツによって全身が水にぬれていたバルバトスはロイドとエリィの雷の弾と共に、電光石火のチャージをかける突撃技である協力技(コンビクラフト)―――スターブラストを受けた事によって感電して怯んだ。



「我が舞は夢幻…………去り逝く者への手向け………眠れ……銀(しろがね)の元に！縛！！」

感電して怯んだバルバトスの様子を好機と判断した銀は無数の鉤爪や鎖を放ってバルバトスの全身を拘束し

「ふふっ、この一撃でフィナーレにしてあげる♪」

「こいつはどうだい……！？」

それを見てSクラフトを叩き込む絶好の機会と判断したレンは武器を魔導杖に変えて更に鞘を抜いて仕込み刀に膨大な闘気を纏わせて光の大剣と化させ、ランディはスタンハルバードに闘気による炎を纏わせ

「滅！！」

「煌めけ――――洸凰剣！！」

「クリムゾン―――ゲイル！！」

銀が突撃すると同時にレンは残像を残しながら一瞬でバルバトスに詰め寄って光の大剣と化させた仕込み刀を叩き込み、ランディは薙ぎ払い攻撃で炎の闘気を叩き込んだ！

「ガアアアアアアアアアアアアッ！？」

3人が放ったSクラフトをまともに受けてしまったバルバトスは悲鳴を上げながらふっ飛ばされて壁に叩き込まれた！



「はあ……はあ………勝ったの……？」

「………！いや、まだだ……っ！」

ふっ飛ばされて壁に叩き込まれたバルバトスを見てバルバトスが戦闘不能になったと判断したエリィは疲れた表情で呟いたが、バルバトスがまだ余力を残している事に気づいていた銀はバルバトスを警戒しながら声をあげた。

「ククク………ハハハハハッ！」

するとその時バルバトスは狂気の笑みを浮かべて笑いながら立ち上がり

「チッ、まだ立てるのかよ……！？」

「そ、そんな……わたし達にはもうこれ以上戦う余力は………」

「クッ……！」

その様子を見たランディは舌打ちをし、ティオは不安そうな表情になり、ロイドは唇を噛みしめた。



「クク………どうやら貴様らもカイル・デュナミス達と”同類”のようだな……………貴様らを喰らい尽くすのはカイル・デュナミス達のように我が飢えを満たせる程の強さになってからだ……それまでは俺以外の雑魚共に喰らわれるなよ？ハーハッハッハッハッ！！」

そしてバルバトスは狂気の笑みを浮かべてロイド達を見つめて笑いながら暗黒の球体に包まれて消えた！


 

次回のバルバトス登場の予定は終章です（遅っ！！）なお、閃篇でも当然出番はありますが戦う相手はむしろ敵陣営ばかりの予定ですから下手すればある意味リィン達の味方かも？（オイッ！！）まあ、Ⅶ組でまともに戦えるのはフィーとサラだけ（後は神気合一化したリィン）ですから、ロイド達と違って敵幹部を完全に無力化できないリィン達じゃあ普通に考えてバルバトスは荷が重すぎますね（冷や汗）