インフィニット・ストラトス~黒衣の創造神~
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第5巻
生徒会による演劇×対オータム戦
「何か用か楯無」
「そろそろ生徒会の出し物が始まるから呼びに来たのよ」
「こちらを手伝ったからか、まあいいとして何をやるんだ?」
「観客参加型演劇何だけど良かったら他の皆も来てよ、全員ドレスが着られるわよ~♪」
他の皆=専用機持ちの箒・セシリア・シャル・ラウラとなったが、全員ドレスを着せられると言う餌に食い付いたと言う。演目としてシンデレラらしいが少しだけ脚本を書き加えたが、本来だと王子様の王冠を取る事らしい。だがそれだと面白くないので、最強の王子として格好も王子服ではないのは俺と楯無しか知らん。
「一夏、着替えたかしら?」
「ああ。ちゃんと着替えたから準備完了だ」
「本来なら王子服何だけど、一夏が書き換えたのか黒の戦闘服に王冠の代わりに指輪を奪取した者が勝ちにしたから」
「そうしないと俺が楽しめないからな、俺が少々戦闘狂なのを知ってる楯無だから」
第四アリーナの更衣室、普段ならISスーツの着替え場所として使われる所に俺と楯無がいる。偵察機で覗かせてもらったが、第四アリーナ一杯に作られたセットはかなり豪勢となっている。観客満席御礼で、時折聞こえる歓声がここまで聞こえてくるようだけど脚本と台本など必要ではないから楽である。
「これが今回の指輪か・・・・外すと電気ショックとか無しだぞ」
「それは無いわよ、外す気更々ない一夏だからね。基本的にこちらからアナウンスするから、その通りに話を進めるけどセリフは全てアドリブで頼むわね」
そう言いながら舞台袖に移動するが、今回使える武器として剣と銃が使えるそうだ。本来だと逃げ回るらしいが、俺がそんな逃げ腰ではない事を知っている生徒会。幕開けと共にブザーが鳴り響き、照明が落ちてからセット全体に掛けられていた幕が上がって行く。アリーナのライトが点灯。
『昔々ある所に、シンデレラと言う少女がいました。否、それは最早名前ではない。幾多の舞踏会を潜り抜け、群がる敵兵を薙ぎ倒し、灰燼を纏う事さえ厭わぬ地上最強の兵士達。彼女らを呼ぶに相応しい称号・・・・それが「シンデレラ(灰被り姫)」!』
まあそうなんだけど、普通の出だしでは面白くないが一応ここまでは生徒会が脚本書いた所である。
『今宵もまた、血に飢えたシンデレラの夜が始まる。最強の王子とも呼ばれた者の指には隠された隣国の軍事機密を狙い、舞踏会と言う名の死地に少女達が舞い踊る!果たして最強の王子に勝てる者は現れるのであろうか!』
「まあ意味としては合ってるな」
「もらったぁぁぁ!」
叫び声と共に現れたのは、白地に銀のあしらいが美しいシンデレラ・ドレスを身に纏った鈴であった。
「おっと危ない」
「よこしなさいよ!」
「そう安々とくれてやるか!」
「死なない程度にしてくれるわ!」
中国の手裏剣と言う飛刀を投げて来るが、俺は剣ですぐに対応して見せた。剣で対応後、飛び蹴りにて向かって来るがショットガンで鈴に向けて発射。ギリギリで避けた鈴だったが、パンツが見えると思ったけどスパッツ履いてるから安心。
「あっぶないわね!」
「言ったろ、最強の王子と言う事はそれなりに武器を持っていると言う事だ。それと確認だが、ガラスの靴は普通のか?」
「いいえ、強化ガラスらしいから!」
「俺に格闘戦挑むなど、百年早いわ!」
剣で対応してから、強化ガラスで出来たガラスの靴だけを撃ち抜いた事で蹴り技に対する事が出来なくなった鈴。するとレーザーポインタが泳いでいたようで、ちゃんとサイレンサー装備しているから音が分からない。でも俺は剣でそれを防いだ事で、遮蔽物がある所へ駆け込む前に弾と弾がぶつかる音が聞こえた。
「流石セシリア、俺が持つ銃のタイミングを分かってるな」
一方セシリアは遠距離ライフルを持ちながら、俺を見ていると手でバイバイと振っていた事で逃げられてしまった。
「やはり一夏さん相手では遠慮出来ませんわね」
足元に薬莢の金属音を響きかせながら、スコープから目を離していたが狙撃の基本は『射撃と移動』に忠実となりながら次の狙撃ポイントへ向かい始める。
「今回は模擬戦だろうと何が何でも勝たせてもらいますわよ、一夏さん」
『そうだと思っているが、簡単にはやらんよ』
念話が飛んできた事で、セシリアは冷静になってから次へと向かう。今回女子組にだけ教えられた秘密の景品、それについては俺も知っているが『一夏の指輪をゲットした者には、同室同居の権利を与える』と言うもんだ。最初こそキョトンとしていたそうだが、生徒会長権限で可能にしたそうだ。楯無の言葉を聞いて奮い立ったが、一部だけはどうせ勝てないだろうと思っていた。
『俺との同じ部屋になると言う事は、自動的に護衛任務ともなる』
「分かってますわ、ですがそれだと楽しめないかもしれませんしIS装備有りで避けて良しですもの」
独り言のように聞こえていたが、これは俺との念話だったのでステージまでの距離をISで移動する。狙撃失敗なら、次の狙撃ポイントへ到着したセシリアはライフルで狙い撃つと軽く避けてからセシリアに向けて何発も撃った。
セットの物陰に隠れていてはいずれ見つかるので、舞台で戦っている姿を見せている。なので軽く避けて撃つと観客が盛り上がるので走り出して移動するが、ライフル音が増えた事で剣で防ぎながら走っていた。
「あらら、ここは行き止まりと言う事は誘導された訳ね」
『一夏さん貰いましたわ!』
『一夏、今回だけは敵になっちゃってゴメンね』
『簪は謝らなくていい、これは俺から願ったもんだ。それに剣だけで防ぐ事自体が、最早人間業じゃないよなー』
「一夏、伏せて!」
俺とセシリア&簪による射撃から守ったのは、意外にもシャルであった。対弾シールドを装備していたが、服装は皆同じシンデレラ・ドレスである。なので対弾シールドから後ろにいたが、守られてばかりでは面白くないと知った俺。
「助かったが、まさかシャルが防御側とは」
「あはは、僕は戦うより守る方が似合っていると思うしね。それより指輪をここに置いてもらえると有難いなぁ」
「シャルの言う通りだが、スマン。後程、俺の部屋に来てくれ。じゃあな!」
「まあ一夏が言うなら、そうしておくよ」
逃げ出す俺に対して、ライフルではなく剣とナイフを持つ少女が現れた事で少しは面白くなりそうだな。
「一夏、覚悟!」
「指輪は私が頂く」
箒は日本刀でラウラは二刀流のタクティカル・ナイフだったので、俺は剣で対応し両サイドからの斬撃を軽く躱したのだった。
「危ない危ない、これだから子供に武器を持たせるなと言いたいが」
「流石は一夏、だが邪魔をするならまずはお前から排除しようじゃないか」
「邪魔をするな、ラウラ!」
「面白い・・・・来い!」
何故か勝手にバトルが開始したが、鈴とセシリアとシャルに簪となる。すると地響きがすると思いきや、やっと面白くなりそうな場面となった。
『さてさて、このままだと時間がありませんので只今からフリーエントリー組の参加となります!皆さん、王子様の指輪を目指して頑張って下さい!』
「やっと面白くなってきたな」
地響きの正体は数十人以上のシンデレラ、どんどん増えているがこうなったら素手だけで相手をするか。
「織斑さん、大人しくしなさい!」
「私と幸せになりましょう、王子様」
「その指輪をよこせぇぇぇ!」
こちらに向かって来るシンデレラの一群へ向けて、グレネードランチャーを撃った事で足が止まった。と言っても非殺傷能力のあるネット弾なので、シンデレラ達を一網打尽した。
「見つけたぞ、一夏!」
「そう来ると思ったぜ、箒」
剣と刀が火花を散っているが、片手で持つ剣に対してもう片方の手でショットガンを撃つ瞬間に離れた箒。片手でのショットガンを持つ俺、さて次はどう来ると思ったがどうやらオータムが動いたようなので自然的に足を引っ張られてセット上から落ちるようにして到着。
「着きましたよ」
「・・・・ふう、どうも」
誘導されるがまま、セットの下を潜り抜けて更衣室へとやって来た。演劇開始する前の部屋であるが、ここなら本気を出せる空間とされている。
「で?何故ここにいるんだ、巻紙さんよ」
「はい。この機会に貴方のISを頂きたいと思いまして」
例え暗くても誘導してきた人物が分かるようにグラサン掛けているが、名刺をくれた巻紙礼子で相変わらずのニコニコ顔だがそれは偽りの顔だと知っている。
「三流芝居を止せ、巻紙礼子・・・・いやお前の名はオータム。亡国機業のお前が俺に何の用だ?」
「ちっ・・・・ガキかと思えば大人の面をしやがって」
「俺は生憎と大人なのだよ、俺の事を知っていると思ったんだがどうやら俺が誰かなどと知られてないようだな」
「知っているさ、国連軍ブラック・シャーク隊の長にして総司令官をしている織斑一夏少将」
ガキだと思われたので軽く蹴り技放っただけで、オータムは腹を蹴られた衝撃でロッカーに叩きつけられた。
「それがお前の正体か、全く俺も舐められたもんだ」
「ゲホッ、ゲホッ!これがお前の実力だと言いたいのか」
「企業に成りすました謎の美女だと言いたい口だが、俺にとっては全然嬉しくもない」
二発蹴りをするが、躱した事で何とかなったようだが今回俺のISを頂くと言ったのであれば切り札として使わないでおこう。恐らくコイツのコア欲しさに来たのだろうし、生身だけで倒す事が俺だけのみ出来る事だ。
「本来ならISを使わせてもらうが、今回は使わないで剣だけで対応させてもらおうか。さっさとそちらのISを使え」
「噂は本当のようだったが、生身で対応出来る力を私に見せてみろや!」
スーツを引き裂いて、オータムの背後から鋭利な爪が飛び出してきたが見た目からして蜘蛛の脚のように見える。黄色と黒と言う配色はまさに禍々しい感じで、刃物のような先端だな。
「くらえ!」
「そんなので俺を倒せるとは思わないもらいたいね」
背中から伸びた装甲脚、先端が割れるように開いて銃口を見せている。俺は剣を構えているだけで、決して回避などしないで銃弾ごと叩き斬っている。剣による斬撃を後ろ飛びで避けながら、俺は確認の為に言う。
「一応確認だが、悪の組織の一人で秘密結社『亡国企業』で間違いねえよな」
「そこまで知っているのであれば、ここで簡単に返す程オータム様じゃないぜ!」
完全なIS展開状態になっているようだし、こちらは黒の戦闘服と剣を持っているだけだがPICの細やかな操作で避けて装甲脚の銃口から実弾射撃をしてくる。八門の集中砲火で、左右から迫ってくるのでそれを全て斬り落としてから一度後方へ下がる。
「くそったれ!こんなの聞いてねえぞ、装甲脚を真っ二つにしただと!」
「俺が持つ剣はただの剣ではない事を知らせてやる」
あちらはSEやら絶対防御を持っているISだが、アラクネ相手でも近接武器だけで相手をしている。攻撃をする度にオータムは顔を歪めながら、次はどのような攻撃をするか考えている様子。
「もう一つ確認だ、第二回モンド・グロッソで俺を拉致した組織はお前らか?」
「そうだぜ!感動のご対面と言いたいが、こんな真正面から突っ込んで来ても回避出来るのは何故だ!?」
エネルギーワイヤーで構成された塊は、俺目掛けて巨大網へとなるが一刀両断にして糸を一塊にしてからオータムに投げ入れた。隙が有り過ぎなのか、それともバカなのか簡単に捕獲する事が出来た。ソイツが持っていた《剥離剤》を回収してから、再び飛び膝蹴りで動けなくなったオータムはロッカーに叩きつけられた。
「ぐぅぅ・・・・」
「聞こえているか?《剥離剤》を持っている時点で可笑しいと思ったが、どうやらミッション失敗のようだな。ISを強制解除出来てしまう代物だが、一度使うと二度と使えなくなってしまう」
「させるかよ!」
糸を両断したオータムは横腹に蹴りを入れるが、欠伸が出る程遅いと感じながら避けてから逆に蹴りを入れた。ここは全システムをロックしている場所だが、既にブラック・シャーク隊が別働隊と戦っている。とりあえずオータムのISを再起不能状態にさせた為、オータムがIS本体から離れた事で自爆するつもりか。
「お、逃げるのか。いいぜ、再戦ならいつでも来やがれ」
光を放ち始めた事で、シールドビットを張った事で数秒後に大爆発を起こした。展開したシールドビットによって守られたので、俺は大丈夫だがあの女め。ISのコアを自爆前に取り出したようだが、装甲と装備だけを爆破させたようだった。
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