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真田十勇士

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巻ノ四十三 幸村の義その五

「しかしな」
「家はですか」
「持つべきですか」
「そうあろう、だからな」
 さらに言う幸村だった。
「御主達もじゃ、そろそろ女房を迎えるべきじゃな」
「十人共ですな」
「皆」
「そう思うがどうじゃ」 
 十勇士達自身に問いもした。
「このことは」
「ううむ、そうですな」
「そう言われますと」
「それがし達もです」
「これまで考えてこなかったので」
「ですから」
「今すぐ答えを出さずともよい」
 こうも言った幸村だった。
「そうした話ではないからな」
「徐々にですな」
「我等は考え」
「そしてですな」
「やがては」
「そうじゃ、共にじゃ」
 まさにというのだ。
「過ごす者達をな」
「得る」
「そうしますか」
「そうせよ、そして生きるのだ」
 夫婦でもというのだ。
「それが必ず御主達の力にもなる」
「では」
「上田に戻れば」
「その時にですな」
「我等は皆」
「そうなるな、まあゆっくり話していこうぞ」
 このことはというのだった、そうした話もしたのだった。大坂城において。そしてその話をしてからであった。
 幸村主従は大坂城を後にしてだった。上杉家の屋敷に入り。
 そこでだ、兼続に共に酒を飲む場でこう言われたのだった。
「今日は大きな日となりましたな」
「はい」
 幸村は兼続にすぐに答えた。
「まさに」
「左様ですな」
「関白様にお会いし」
「そして大谷殿とも」
「大谷殿に言われたことですが」
「はい、それはです」
 兼続は笑みを浮かべて幸村に答えた。
「まさに刻限です」
「直江殿もそう言われますか」
「だからこそです」
「大谷殿に言われた」
「左様です」
 まさにそうだというのだ。
「ですから」
「このことはしかとですな」
「お考えになられるべきかと」
 兼続は酒を飲みつつ静かに話した。
「真田殿も」
「やはりそうですか」
「はい、このことは関白様にです」
「父上にですな」
「お話がいきますが」
「どうなるかというと」
「順調に進むと思います」 
 こう言うのだった、彼も。 
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