ハイスクールD×D~舞い踊りし剣舞姫~
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第二十二話
前書き
えっと……約……何ヶ月ぶりかわかりませんが、こちらを更新。
食堂にやってくると、既に皆席についていた。どうやら俺が最後だったらしい。
「遅いわよ、イッセー!」
「すまんすまん、ドライグから興味深い話を聞いていてな?」
『相棒ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!それは言うなと言っているぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!』
懐に入っていてあまり声が響かない筈なのだが……皆の顔を見てみると、どうやら先ほどの悲痛の叫び声はきちんと聞こえていたらしい。
「な、何があったんですの、ドライグさんは?」
「何やら私たちに聞かれたくない話のようだが……」
リンスレットとエリスがそう聞いてくるので
「いやぁ、興味深い話だよ。何せドライグが『相棒ぉぉぉぉぉぉ!!分かった!今後一切いじらないと約束するから!!だから、それだけはぁぁぁぁぁぁぁ!!!』……むぅ……」
今後いじらないというのは魅力的な提案だ。
「わかった、わかった。言わないから」
『ほっ……』
「な、何か二天龍が形無しだね……」
まさしくヴァ-リ言うとおりだろうと思う。
俺はそんなことを思いながら空いている席に着く。
俺の両隣はヴァーリとクレア。ちなみにアーシアの隣にはきちんとルビアが座っている。万が一もないだろうが念のためだ。
と、あれ?ソーナ会長や匙経ちの姿が見えないな?
「クレア、匙達は?」
「まだよ。多分着替えてるんだろうけど……」
「???」
?なぜ着替える必要が?
「それは正装を着なければいけないからね。次期当主とその眷属の皆だから」
と、俺がやってきた扉とは違う扉から一組の男女がやってきた。
男性の方はキリッとした感じの男性で髪の色は黒色短髪、瞳の色は深い蒼色。女性の方は髪の色はこちらも黒髪で腰元まで伸ばしており、それをポニーテールにしている。瞳の色はこちらはちょっと黒味がかかった赤色だ。
「私の名前はグリム・シトリー。ソーナとセラフォルーの父親だ」
「私はアーシェ・シトリー。同じくソーナとセラフォルーの母親よ」
「っ、会長とセラフォルーさんの両親でしたか。すいません、挨拶もなしに」
俺たちは即座に立ち上がって非礼を詫びる。
「いいのよ。楽にしてくれて。私たち自身格式ばったやり方は好きじゃないの」
「そうだそうだ。っと、ソーナ達はまだ来ていないのか?」
そう言いながら上座の席に座るお二人。
「そうですね。まだですね」
と、俺がそう言った瞬間
『…………、ダメ……!こんな…………う………』
『何言ってる………………う!!似合って…………!』
『そうだよ、そー……!行ける……………!』
俺が入ってきた扉の先からそんな途切れ途切れの声が聞こえてきた。
「?会長の声ね」
「うん、何か慌ててるみたいだったけど……」
「何かを恥ずかってるのかしら?」
クレア、ヴァーリ、フィオナの順でそう疑問を声に出す。
「まったく、あの娘は……」
グリムさんはそうこめかみを押さえながら立ち上がると、扉の前まで行き、思いっきり開く
「っ、ああっ!!?」
と、押されたタイミングと扉が開くタイミングが一緒だったのか会長がやや慌てた様子で入ってくる。
「「「「「「……………………」」」」」」
会長の姿を見た瞬間、俺たちは開いた口が塞がらなかった。
ソーナ会長の姿だが……ドレス、なのだ。青色の肩が空いている形のドレスでとても会長に似合っていた。
「っ!!!/////い、イッセー君……あ、あの……ど、どうですか……?」
「……………………」
やべぇ、なんて声をかけたらいいのかわからねぇ……。
『相棒、相棒!どうかと問われているぞ?』
「はっ!」
そ、そうだった!
「え、えっと……凄い、似合ってると思います……」
「っ!!!!!!/////////」
会長は顔を真っ赤にすると俺を素通りして空いている席に座る。
えっと、俺なんかしたか?率直な感想を述べただけなんだが。
「いやぁ、イッセー。やっぱり見る目があるよ。お前は」
「匙……お前まで礼装なのか」
「そりゃそうだろ。俺たちは会長の眷属だぞ?こういう場には礼装で来ないとな。さて、そろそろ食事が運ばれてくるからさっさと座ろうぜ」
匙はそう言うとスムーズに空いている席に座り、そのまま食事会が始まった。
正直に言おう。味なんてわからなかった。それ程に先ほどの会長の姿が衝撃的だった。
何とか応対はできていたと思うが、怪しい所だ。
『相棒』
この記憶はいつまで残るのだろうか?このままじゃ日常生活にまで支障を来たしそう。
『相棒、現実逃避は止めろ』
だぁっ!!止めろよ、ドライグ!!折角他の事を考えて現実逃避してたのに!!
「イッセー君、何考えてるの?」
「むぅ!イッセーさん、こっち向いてください!」
ええ、大体は予想できたでしょうか?それでも言わせてください。何でセラフォルーさんとアーシアが俺のベッドで俺と一緒に横になってんの?
アーシア、君には部屋が割り当てられた筈でしょ?セラフォルーさん、貴方にも自分の部屋があるでしょうに。
『はぁ、相棒は本当にもう……いや、まぁ気づくのに遅かったのは俺も同じだが……』
ドライグが何か呟いてるけど、無視だ。
神様、俺何かしましたか?何もした覚えがないんですが……。
『相棒よ、神はもういないぞ?』
うるさいよ、ドライグ。形式美なの。
『相棒が、形式美……ぷっ』
ドライグ、選択肢をやる。一目惚れの件をアルビオンにばらされるか、煮沸消毒されるか、焼かれるか、黙るか。好きなのを選べ。
『わかった!黙る!黙るから、煮沸とか焼くとか……アルビオンにあの事を話すのだけはやめてくれぇ!!』
わかればよろしい。というかお前さっきもう弄らないって約束したよな?
『あれは弄るの部類に入るのか!?』
入るだろう、馬鹿。
俺はそのまま、悶々としながら眠りについた。
というか、眠れんのか、これ……?
眠れない紋々とした夜を過ごした。そのせいで俺は目元に隈をはっきりと作っている。
同じように眠っていたアーシアとセラフォルーさんはぐっすり眠れたみたいだ。理不尽すぎる。
「い、イッセー大丈夫なのか?今日の会合くらいは休んだ方が……」
「いや、エリス。ここで俺が休んだら上層部の奴らが調子乗るかもしれんし……」
「だが、昨夜はまったく眠れなかったんだろう?私が代理として言っておくから休んでおけ」
「ルビア、気持ちは嬉しいけど、これは俺の問題だ。ルビアが背負う必要はないよ」
俺はそう言って目の前の扉を見つめる。この先は会合に参加予定の若手悪魔達がいる。所謂待合所みたいなもんだ。
「さて、じゃあ開けるぞ」
俺は意を決してドアを開ける。
「ゼファードル、こんなところで戦いを始めても仕方ないと思わないの?死ぬの?死にたいの?殺しても上に咎められないかしら」
扉を開けての中での第一声がこれだ。
「何だ、一体?」
ルビアが疑問に思うが、それは誰もが思っている事だろう。
先ほどの言葉を口にしたのは女性。まともそうな悪魔のみなさんの先頭に立っている眼鏡をかけた美少女が冷徹な声を発する。あんな可愛い顔をしているのにあそこまで冷徹な声を出せるのかと思ってしまう。
「はっ、言ってろよクソアマ!俺がせっかくそっちの個室で一発しこんでやるって言ってやってんのによ!アガレスのお姉さんはガードが固くて嫌だね! だから男が寄って来ないんだよ!いつまで処女やってる気なんですかねえ! だから俺がわざわざ開通式やってやろうって言ってやってんのによぉ!」
たった今、下品さに溢れるお言葉を言い放ったのが、もう一方の兄ちゃん。顔にタトゥー。緑色の逆立った髪。ほぼ裸な上半身。そこにも刻んでるタトゥー。スボンにジャラジャラ付けられている装飾品。
どうみてもヤンキーだな。あまり関わりたくはない。
「ふむ、貴殿らは?」
と、扉のすぐ近くで壁に寄りかかっている男性が聞いてきた。
「ああ、俺らは元素精霊界の代表だ。今回無理やり召集させられた」
「ああ、なるほど。という事はお前は兵藤一誠か?」
「ああ、そうだが……あんたは?」
「と、名乗るのが遅れたな。俺はサイオラーグ。サイオラーグ・バアルだ。バアル家次期当主。今後とも仲良くしてくれると嬉しい」
と、サイオラーグが手を差し出してくるので俺は素直に握手をする。
「……っ」
握手をして気づいた。この人の手、悪魔達のやるような魔力戦を想定したような鍛え方をしていない。かといって剣士でもない。挌闘家……それも生半可な鍛え方をしていない。まさしく努力の結晶のような手だ。
「?何か?」
「あ、いえ……いつか、相見えてみたいなと思っただけなので……」
「ほぅ、そうか。俺も楽しみにしているよ。にしても……はぁ……」
と、俺と握手をし終えてからサイオラーグはため息をつく。まあ、何となく理由は察せる。あのヤンキーだろう。
「ここは元々、時間が来るまで待機する場所だったんだがな」
そう前置きして、サイラオーグがさらに続ける。
「さらに言えば、若手が集まって軽い挨拶を交わす所でもあったのだが、実際はこのありさまだ。血の気の多い連中を集める以上、こうなる事くらい予想出来るものだがな。ヤツらが何をしようが関係無いが、ここらが潮時だろう。俺が止めてくる」
「いや、いいよ。俺がやってくる」
サイオラーグを手で静止し、俺が前に出る。
「何だと?しかし、お前は……」
「サイオラーグ……俺たちは人間だ。でもな、人間でも悪魔に負けないって見せつけとかないと、いけないんだよ」
俺はそう言ってから、玄室から剣を二本取り出し、全身の力を抜く。
「双剣技……瞬戟・閃光」
俺はそう呟き……スピード0から一気にスピードを100まで上げて二人の間に入った。
後書き
技解説
瞬戟・閃光……脳からの電気信号を意図的に早めて加速をつけるのではなく、一気に100まで引き上げる絶技。しかし、これを使用した後は脳からの電気信号が低下し、体を動かすことが困難になるため、一撃必殺かこれを用いて戦線を離脱しなければ狙い撃ちされるため、使いどころが難しい技である。
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