非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
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第14話『能力』
前書き
今回は自分の中二病が発揮できる(かもしれない)話です。書く前からちょっとワクワクしてます。
暁君が魔術部に正式に入部した。といっても、俺や部長が逃がさなかったというのが正しい。俺にとっては友達、部長にとっては部員、逃す理由はないのだ。
それから放課後は大体、俺と暁君と部長の3人で魔術室にいた。
特に話題もなくただただ駄弁り、俺が暁君とまともに話せるようになった頃、不意に部長が魔術部らしいことを訊いてきた。
「なぁ二人とも、どんな魔術を覚えたい?」
「「え?」」
不意な質問に、俺と暁君は部長の方を向く。
「だから魔術。何が良い?」
「えっと、話の意図が…」
とんとん拍子に話を進めようとする部長に、俺がストップを掛ける。ホントに意図が読めない。
「ん? あぁ、いや普通に」
「いや普通って…」
魔術の時点で普通ではないのだが、どうやら深い意味はない質問のようだ。
魔術か…。素質があると言われたから使えるんだろうけども、結局練習も何もしてなかったな…。
「魔術って例えば何ができるんすか?」
暁君がそんな質問を部長にする。すると部長はこう答えた。
「何ができるかは人次第だが、とりあえず何でもできるぞ」
部長ならそう言うと思ったが、ホントに言うとは…。
人次第っていうのが残念だが、俺でも色々できるようになるのかな?
「そんなアバウトじゃなくて具体的に…」
暁君がそう言った。
まぁ確かに“何でも”じゃわかんないよな。
「えっと…部活動紹介でやった空間移動があるだろ。あと他には身体増強、それに軽い属性魔法だって使えるぞ。魔法陣さえ有ればだけどな。それから──」
「ちょっと待ってください。属性って何ですか?」
淡々と語られていく言葉の中に俺は気になった点があり、訊き返した。
それを聞いた部長は語りを止め、説明を始めた。
「属性についてか?」
「はい」
属性、って聞くとやっぱ火とか水とか、そんなの想像しちゃうんだけどそうなのかな?
「火とか水とか、そんなやつ」
「おぉ…!」
思った通りの答えが返ってきて、俺は目をキラキラと輝かせる。まるでマンガの世界じゃないか!
「そうだ! この際君たちの属性を調べておくか!」
「調べる?」
部長が急に思い出したかのように唐突に言った。“属性を調べる”ってどういうことだろう?
「じゃあ説明してやろう!」
「例え話は無しでお願いします」
「え~」
部長が説明すると言った途端、俺はそう忠告する。すると部長は不満そうな声を上げた。
もし例え話をされたら、俺の場合わかりやすくても時間が掛かってしまうのだ。だから申し訳ないが、部長には普通に説明してもらおう。
「う~ん・・・じゃあ“個性”って言葉はわかるよな?」
「そりゃもちろん」
「属性とは、個々で違う個性の様なモノなんだ」
「へぇ〜」
属性が個性・・・ってことは火とか水とか言うのは個性なのか? つまりはこれも素質なのか?
「人に宿る属性は多種多様で十人十色。自分と属性が同じ人は世界に1人としていない。そういうもんだ」
「世界で1つの属性…ってことですか?」
「そういうこと。日々新しい属性が発見されてるぞ。俺たち魔術師はそれを“能力”と括っている。能力の属性だけは、魔法陣無しで使うことができるんだぜ」
自分だけが持つ特別な力、か。何かカッコいいな!
「てことは、今からそれを調べようってことっすか?」
「そういうこと! どっちからでも良いぞ」
部長は気楽な様子で言った。
俺と暁君は顔を見合わせる。
「じゃあ俺から行きます」
「OK。じゃ始めるぞ三浦!」
「あれ!?」
俺は驚いた。
なぜなら部長が用意した測定器が魔力測定器と形状が全く一緒だったからである。まさか使い回し…?
「じゃあここに手を・・・」
「計り方まで一緒ですか…」
前に行った動作をもう一度繰り返す。手を置き、目を瞑って集中するのだ。
すると機械はまたも音を鳴らしながら駆動し、光を発していた。
「はい終わり。ちょっと待ってろ」
前回と比べると意外と終わるのが早かった。こんな短時間でわかるものなのか?
そう思って目を開けると、部長が何やらメモのような紙切れを持っていた。その正体を訊こうとした俺よりも先に部長は言う。
「ふむ…。三浦、お前の能力は“晴風”だ」
「ん?」
あまりにも唐突過ぎてつい聞き流してしまう。
そりゃあんなポンと言われたら当然だ。こういう時はせめて、もうちょっとタメるってもんでしょ…。
「だから“晴風”。風属性だ」
「風…ですか」
部長が二度言って、ようやくピンと来た。
どうやら俺の属性は“風”ということらしい。
何か嘘臭い気もするが、ここで部長が嘘をつく理由もないので本当の話だろう。
風って…強いのかな?
「ちなみにレベルは3だ」
「いやわかんないですよ…」
また新たな概念が出てきた。いや、レベルって言葉の意味はわかるのだが、それの基準がわからない。
「レベルってのは、全ての能力に付けられる強さの階級のことだ。レベル1が一番弱くてレベル5が一番強い。あくまで能力の強さを表すから、例えレベル1でもレベル3くらいの力なら練習すれば出せるぞ」
「なるほど」
部長の説明で俺は納得した。
てことはアレか? レベル3ってのは普通なのか? またも俺は普通なのか!?
「部長、次は俺をお願いします」
「はいよ!」
そんな俺をよそに、暁君が部長に頼む。
もう部長にも慣れたのか、あんまりオドオドした様子は無かった。
「じゃあさっきと同じように──」
「──ほい終わり。ちょっと待ってて」
部長はそう言って、測定器の下から紙切れを取り出した。あれがメモか。
「おまたせ。えっと…暁の能力は“暁光”。お!珍しいな、属性は光と火だ。ちなみにレベルは4」
「え!?」
部長が「珍しい」やら「レベルは4」やら言った瞬間、俺は自分が暁君に能力的に負けたことを察した。
もしかしたら俺の数少ない特徴かもと思った『魔術』だったが、どうやら上がいたようだ…。とても虚しい。
「それって…すごいんすか?」
「もちろんだ! 2属性持ちなんて学校に1人いるかいないかの割合なんだぜ!」
しかもかなりレアらしかった。くっ、とても羨ましい。
「ちなみに部長の能力は何すか?」
「俺か? 俺は“夜雷”だ」
「夜雷?」
俺の晴風と言い、暁君の暁光と言い、随分と凝った名前をしてるな。能力ってそういう仕組みなのか? カッコイイからいいけど。
「そう夜雷。黒い雷だ」
「え、ちょっと出してください」
俺は黒い雷というのが気になり、部長にそう頼む。
すると部長は快く引き受け、右手をつき出す構えをとった。
「さて。じゃああの木に撃とうかな」
部長は開いた窓から見えた、どこにでもありそうな木を指さした。
てか今サラッと『撃つ』って言ったな、この人。ツッコみたい所だが、部長が真剣な顔になったので俺は黙っておくことにした。
部長はその後、指鉄砲を構える。
「弾けろ」
ドガァァン
部長が呟き、黒い何かが指から放たれたと思うと、ものすごい衝撃波、というか風圧が俺たちを襲った。その勢いは目を開けることができないほどであり、俺と暁君はしゃがんで落ち着くのを待った。
そしてようやく風が収まったと思い目を開けると、信じられない光景が広がっていた。
「木が黒焦げに…!?」
「え、ヤバ…!?」
なんと、さっきまで何事もなかった木の幹が、燃えたように黒焦げになっていたのだ。
「部長、これは…?!」
「これでも一応軽気だぜ? ちなみに俺の夜雷はレベル3だ」
レベル3の軽気でこの威力!? 俺は開いた口が塞がらなかった。
すると部長は俺ら2人を指差しながら言う。
「お前らにもこれくらいはできる。体育祭までに頑張って仕上げようぜ。明日からバリバリ練習だ!」
「「へ??」」
俺と暁君は顔を見合わせ、首を傾げた。
あんなのが、俺にできるの?
後書き
少し荒いですが完成しました。
次回には続きません(笑)
やっぱ魔術、魔法を使うなら、属性が欲しいですよね、はい。
これはFT小説の名残でしょう。
この設定が入ると、いよいよ『非日常』ですね!
あ~先が楽しみだ!!
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