魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者
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第一話 昇格試験 出会った三人
前書き
では、本格的に投稿させていただきます。
下手な文章ですが、どうかお付き合いください
outside
0075年4月 ミッドチルダ臨海第8空港近隣 廃棄都市
ビルの屋上に二人の少女がいた。
一人はハチマキを締め、足にローラーブーツを履いていた。
右手には回転機構のある篭手のような物を装着している。
ブンッ!
その重そうな篭手を物ともせずに、ハチマキ少女、スバル・ナカジマは何度も突きや蹴りを繰り出し、念入りにシャドーを行っている。
もう一人、オレンジ色の髪を短いツインテールにしている少女、ティアナ・ランスターは、黙々と中折れ式の拳銃型デバイスを手入れをしていた。
「スバル、あんまり暴れていると、試験中にそのオンボロローラーが逝っちゃうわよ」
シャドーをしているスバルに向かって、拳銃の手入れをしていたティアナが声をかける。
「えぇ~!ティア、嫌な事言わないで!ちゃんと油も差してきた!」
スバルはちょっとだけむくれてティアナに目を向けた。
ティアと愛称で呼ぶ辺り、二人はそれなりに長くコンビを組んでいる事が伺える。
「ところでさ、今日はもう一人昇格試験を受けるって言ってたよね?」
スバルがシャドーをする手を休めてティアナに話しかける。
「そうね。確か、そんな事を言っていたわね」
スナップを効かせて、ティアナは中折れ式の拳銃型デバイス、アンカーガンを元に戻した。あまり興味がないのか、返事が素っ気ない。
「ね、ね、どんな人なのかな?」
スバルは、逆に興味津々といった感じでティアナに絡みつく。
「あー!鬱陶しい!どんな人でもいいわよ!アタシ達のやる事に変わりはないんだから!」
ねーねーと抱きついてくるスバルを、ティアナはグイッと押し返す。
「でもー、試験中だけとは言え、一応チームメイトだよ?気にならないの?」
「別に…足さえ引っ張らなきゃどんなヤツでもいいわよ。アンタ、これから試験だってのに随分余裕があるじゃない?」
ティアナが呆れたように言う。
「だって、私とティアなら合格間違いないもん!頼りにしてるよ~!ティア!」
えへへ、と笑ってまたスバルがティアナに抱きつく。
「こら、やめなさいって!」
じゃれついてくるスバルを引き離そうとした時、
カチャリ
屋上の扉が開いた。
「「え?」」
???side
あー、緊張する。
ガラにもなく緊張したオレは、身体を解す為に大きく伸びをした。
今日の昇格試験、過去二回とは訳が違う。
オレは気合いを入れて、スタート地点である廃棄都市のビルの階段を上っていた。
前回、前々回とスベッた訳だけど、部隊の連中との賭けに負けた程度でそれ程プレッシャーなんか無かった。
だけど、今回はあの高町なのは教導官から推薦を受けての試験。
正直、オレのどこを見出してくれたのかは分からないけど、悪い気はしない。
美人のお姉さんに薦められたら、そりゃ男として頑張っちゃうでしょ!
部隊のバカ野郎達ならいくら恥かかせても何でもないけど、美人に恥かかせちゃいけねぇぜ。
合格したら、色々うふふな事やアハハな事が……ゲフンゲフン!
なんて妄想してる場合じゃねぇや。
今日はオレ一人じゃなく、女二人が一緒に受けるって言ってたからな。
オレのミスで足を引っ張らないようにしないとな。
よし!
いい感じの緊張に変わった!
オレは屋上につながる扉を開く。
そしてそこで目にしたのは……ハチマキ女とオレンジツインテールがイチャついている場面だった。
なんだコレ?
ティアナside
スバルがいつものようにじゃれついてきた時、屋上につながる扉が開いた。
屋上にきたのは、アタシ達と同じくらいの年齢の少年だった。
身長は、スバルと同じくらい?男子なら小柄な方ね。
腰まで届く黒髪を大ざっぱに後ろでまとめていて、ワイルドな感じがするけど童顔だからどこ可愛らしい印象があるわね。
その子が、ポカンとした顔でコッチをみている。
ハッ!
そうだった。今スバルがじゃれついてきて、いつものようにグリグリとアタシの胸に顔を押しつけているのだ。
マ、マズイ!これじゃ色々と誤解されてしまう!
男の子も、どうした物かと戸惑ってるし。
「あー……本日、試験を受けられる方ですか?」
あ、普通に話しかけてきた。とりあえず現状を無視したみたい。スルースキル高いわね。
「はい、そうです。あなたも?」
アタシに抱きついたままスバルが答える。っていうか、いい加減にはなれなさい!
「自分は、ミッドチルダ北部099部隊所属、アスカ・ザイオン二等陸士であります」
少年、アスカはそう自己紹介して敬礼をしてきた。
「あ、どうもご丁寧に…ってイタッ!」
ようやく離れたスバルだったけど、そこは違うでしょ!もっとちゃんとしなさい!
アタシはスパン!と小気味よい音がするスバルの頭を引っ叩いた。
「失礼しました。私はミッドチルダ南部368部隊所属、ティアナ・ランスター二等陸士です。コッチは同じく、スバル・ナカジマ二等陸士」
アタシは返礼してスバルの分も含めて自己紹介した。
まったく、もっと緊張感もってよね、スバル!
「ひどいよ~、ティア~」
頭を押さえてスバルが文句を言ってくる。ダメだ、全然分かってない。
「うっさいわよ!少しはピリッとしなさい!」
初対面の人が目の前にいるのも忘れて、アタシはいつもの調子でスバルに言ってしまった。
「だってぇ」
「だってじゃないでしょ!なんでアンタはそう緊張感がないの!あ……」
端から見たらどんな風に見えたのかな?
またもやポカンとアスカと名乗った少年がアタシ達を見ている。
でもすぐに、
「………プッ!」
圧倒されたように見ていたアスカが、急に吹き出して笑いだした。
「いや、ゴメンゴメン。試験前だってのに、緊張感無いなって思ったら、何か可笑しくなっちゃって」
謝りながらも笑いが止まらないアスカ。
思わず、アタシとスバルは顔を見合わせる。すると…
「あはは」「フフフ」
それが伝染したみたいに、アタシもスバルも笑い出していた。
outside
しばらくの間、三人は笑っていたが、やがて落ち着きを取り戻した。
「改めてヨロシク。オレの事はアスカって呼んでくれ」
アスカが右手を差し出す。
「うん、よろしくね、アスカ。私はスバル」
スバルがアスカの手を取ってニコリと笑う。
「OK、アタシはティアナよ。協力しあって合格しましょう」
ティアナもアスカと握手をした。が、アスカの出身部隊を思いだして顔を曇らせる。
(099部隊所属?あの部隊って確か…)
「一つ足りない部隊、落ちこぼれ部隊、愚連隊、不合格部隊、その他色々言われてるよ」
ティアナの表情を読みとったアスカが苦笑する。
「?」
スバルは何のこと?という表情をしている。
「あ…そんなつもりじゃ…」
バツが悪そうにティアナは言うが、表情に出てしまったかと後悔した。
ティアナは差別主義者ではない。逆に、差別する人間は許せないと言う性格だ。
ただ、099部隊に関して言えば噂程度の事しか知らず、その噂も決して品のいい物ではなかった。
だから少しくらい態度に出たとしても、ティアナを責めるのは酷と言うものだろう。
(せっかく試験前にいい感じでリラックスできたのに…アタシの所為で台無しにしちゃった…)
すぐにフォローを入れるべきだったのだろうが、どう言っていいのかが分からない。
ティアナが自分を責めていると、突然アスカが声をあげて笑った。
「気にすんなって!ウチの部隊の出来が悪いのは本当だし!オレ自信、この試験受けるの、今回で三回目だしな!」
「「え……?ええぇ!!!」」
その言葉を聞いたスバルとティアナの声がきれいにハモる。
「さ、三回目って、マジで?」
スバルが口を開け、ティアナが追撃する。
「ちょ…大丈夫なんでしょうね、アンタ!」
「マジだし、大丈夫だよ。三回目の正直って言うだろ?」
カラカラと笑うアスカを見て、ティアナは頭を抱える。
(こいつ、もしかしてただのバカ?)
試験前に、お荷物を抱える気分になるティアナ。
そんなティアナの気も知らないでアスカは続けた。
「オレの強みは、防御力と足の速さだ。まあ、攻撃力は凡庸だけどな」
「防御力って…これからターゲットを撃破しなくちゃいけないのよ?分かってるの!?」
ティアナは頭を抱えたままアスカを見る。いや、睨んでいる。
「だから、攻撃は任せるよ。オレはバリアを張って二人を守る。これでいいんじゃないか?」
「なに勝手に決めてんのよ!」
ティアナの絶叫が辺りに響いた。
「あー、頭が痛いわ。マジで」
試験前からドッと疲れるティアナ。
大事な試験をアスカの所為で壊されたくない、と割と本気で思っていた。
その様子を見たアスカがティアナに声をかける。
「ま、そんな訳でウチの部隊の出来が悪いのは本当の事だ。気にすんな」
「あ…」
アスカの言葉に、ティアナはハッとする。
先ほどの自分の態度。
アスカの部隊を聞いて表情を曇らせた事。そして、それを気にして自分を責めていた事。
その胸のモヤモヤした感情を、アスカは取り除こうとしていたのだ。
「……もう、アンタもスバルと同類ね!調子が狂っちゃうわ!」
プイッとティアナは顔をそらす。
若干、頬が赤くなっているのは、素直にお礼を言えなかった恥ずかしさからきたものだろう。
「へへ、そりゃどうも」
悪びれる訳でもなく、アスカは笑う。
どことなくスバルと同じような笑い方をするな、とティアナは思った。
「???」
ただ一人、スバルはそのやりとりの中で何があったのか、分からずにいた。
アスカside
とりあえず、いい感じで試験に向かえそうだ。
スバルはムードメーカーって感じで、実際の舵取りはティアナがやっているみたいだし、それに乗っかればうまく行きそうだ。
そんな事を考えていたら、時間が来た。
アラームが鳴って、同時に空中にフォロスクリーンが浮かび上がる。
オレ達は横一列に並んでピシッと直立不動になる。
「おはようございます!さて、魔導師試験の受験者さん、三名、そろってますか?」
スクリーンにプラチナブロンドの人形みたいにカワイイ美少女が映し出されて、元気にこちらに話しかけてきた。
「「「はい!」」」
オレ達はそのスクリーンに向かって敬礼する。
はて?この美少女が試験官なのか?
何か、見ていて微笑ましいんだけど。
「確認しますね?時空管理局陸士386部隊に所属のスバル・ナカジマ二等陸士とティアナ・ランスター二等陸士。同じく時空管理局陸士099部隊所属のアスカ・ザイオン二等陸士ですね?」
「「「はい!」」」
「保有している魔導師ランクは陸戦Cランク。本日受験するのは、陸戦魔導師Bランクへの昇格試験で間違いないですね?」
「「はい!」」
「間違いありません!」
オレ達は、美少女試験官に負けないくらいに元気よく答えた。
気合いじゃ負けねぇぞ。
「はい!本日の試験官を勤めますのは私、リインフォース・ツヴァイ空曹長です。よろしくですよ!」
美少女試験官、リインフォース・ツヴァイ空曹長が可愛らしく敬礼する。
うはぁ、その手のお友達には辛抱たまらんね。オレは年上趣味だけど。
「「「よろしくお願いします!」」」
いけねぇ、いけねぇ。余計な事を考えている場合じゃない。
今回はオレ一人じゃないんだ。絶対に合格してやるぞ!
フェイトside
そろそろ試験が始まる頃かな?
私とはやては、ヘリに乗って試験会場である廃棄都市上空に来ていた。
「お?早速始まってるなぁ」
ヘリのサイドハッチを開けて、ショートカットの女性、私の親友でもある八神はやてが身を乗り出すように下を見ている。
「リインもちゃんと試験官している」
嬉しそうに笑うはやて。
娘とも言えるリインの初の試験官だから凄く心配していたけど、上手く行っているようで安心したみたいだ。
でも、そんなに身を乗り出してると危ないよ?いくら空を飛べるからって、油断禁物だよ。
「はやて、ドア全開だと危ないよ。モニターでもみられるんだから」
「はぁい」
私が注意すると、はやては素直に返事をしてハッチを閉めた。
そして、私の隣に座る。
私は、モニターに受験者の三人を映し出す。
「こっちの二人が、はやての見つけだした子達ね?」
私はモニターに映っているスバル、ティアナを指さす。
データを見る限りだと、二人とも凄く優秀。
特にスバルは身体能力も魔力もまだまだ発展途上、いくらでも鍛えられそうだ。
「うん。二人ともなかなか伸びしろがありそうな、ええ素材や」
はやては、うんうんと嬉しそうに頷く。
「今日の試験の様子を見て、行けそうなら正式に引き抜き?」
私ははやてに尋ねる。
私たちは、これから設立する新設部隊のフォワードになりそうな人をスカウトする為にここにいる。
どこかトボケているように見えて、はやての目は確かだ。
はやては、早い段階でこの二人に目をつけていたらしい。もっとも、それを聞いたのはつい最近の事だけど。
この親友は、隠れて悪巧みをして私たちを驚かすのが好きなようだ。
まあ、やりすぎてたまになのはと”OHANASI”したりもするけど。
「直接の判断は、なのはちゃんにお任せしてるけどな」
「そっか」
はやてが見つけてきて、なのはが判断するのなら間違いはないだろう。
「部隊に入ったら、なのはちゃんの直接の部下で教え子になる訳やからな」
はやてはそう言って、スバルとティアナをアップにする。
うん、二人ともいい表情だ。
「ところで……」
そう言いながら、はやてはもう一人の受験者の男の子をモニターに映し出す。
「こっちの子は何者や?」
カクッ
その言葉に、私は思わずコケてしまった。
「あ……いや、はやてがセッティングしたんじゃないの?」
てっきりこの子もはやてが見つけてきたと思っていたので、知らないってのは予想外だった。
「いんや、知らんなぁ」
ケロッとして答えるはやて。
普通、自分でセッティングしたシチュエーションに知らない人物が混じっていたら焦るだろうに、はやては全然動じない。
それがはやての強さでもあるんだけど……少しは気にした方がいいんじゃない?
「アハハ……あれ?この子、なのはの推薦を受けてるよ」
私はアスカの資料を目にしていた時、見慣れた名前が推薦欄にあるのを見つけた。
はやても、それを見て驚く。
「ほんまや。なのはちゃん、099部隊に行った事あったっけ?」
教導職をしているから呼ばれればどこにでも行くけど、099部隊に教導しに行ってたかな?
私は暫く考えた後、以前なのはが言っていた事を思い出した。
「……確か、一ヶ月前に立ち寄った事があったって言ってたよ?099部隊だと思ったけど…」
ちょっと記憶が定かじゃない。
何となく話の流れで言っていたような気がしたんだけど……はやてもその場にいなかったっけ?
「あー、何か言ってたなぁ。でも、半日もいなかったんやなかったっけ?」
はやても思いだそうとしているのか、額に指を当てて考えている。
「うん。別の部隊に教導で行ったんだけど、間違えて099部隊行っちゃったって言ってた」
「アハハ、なのはちゃんらしいわ。あ、思い出した」
はやてがポンと手を打つ。
「そん時に、面白い子がいるって言うてなかったか?」
あ、私も思いだした。
「あぁ、言ってたね。どんな子かは聞いてなかったけど、アスカがそうなのかな?」
私は、更にアスカの資料を読み進める。すると、一つ引っかかる所を見つけた。
「あれ?この子、三ヶ月前に昇格試験を受けて不合格になってるよ」
「なんやて?」
はやてもその資料に目を通す。
再試験を受けるには再教育と再訓練を半年間行わなくっちゃいけないんだけど、なのはが推薦している。
推薦してまでチャンスを与えるのには、何か訳がある筈だ。
資料をみる限りでは、攻撃力は普通で武装局員と大差ない。
希少技能を持っている訳でもない。
ただ、防御技術がずば抜けているかな?
「お?そろそろ始まるみたいや」
資料を見ていた私に、はやてが教えてくれた。
「なのはにどんな考えがあるのか分からないけど、見せてもらうよ」
どうやら、なのはも私たちを驚かすのが好きみたいだ。
親友のイタズラ心がどんなものか、楽しみにさせてもらうよ。
アスカside
オレ達は試験が始まるまでの僅かな時間を利用して作戦会議を行っていた。
まあ、会議ってほど大げさなものじゃないけどね。
「んで、プランはあるかい?」
オレは管理局の黒いバリアジャケットを展開しつつ、ティアナに尋ねる。
え?なんでティアナかって?
そりゃ、スバルは……ゲフン、ゲフン。と、とにかくティアナに聞いたんだよ!
「プランもなにも、アンタの実力が分からないんだからどうしようもないでしょ?」
「ごもっとも」
至極当然の意見で返す言葉がねぇや。
手にしたミッド式のストレージデバイスを肩に担いで、オレはどうしたものかと考える。
「じゃあさ、私とティアの動きをアスカがサポートするってのはどう?」
お、スバルも一応考えたのか、身を乗り出して言ってくる。けど……
「だから、アスカの力量が分からないから下手にコンビネーションを組めないの!」
「いひゃい、いひゃいよ、ティア!」
あ、またじゃれ出した。ティアナがスバルのほっぺたをグイグイ引っ張る。
おーおー、よく伸びるな、スバルのほっぺたは。
もう少し見ていたかったけど、時間がない。話を進める事にする。
「じゃあさ、二人が何かする前にオレに教えてくれよ。それ聞いてオレの行動を決めるから」
まあ、早い話、二人に動きを合わせるんだけどね。
流石にティアナが不安そうな顔になる。当たり前か。
「大丈夫なの?そんなので」
ティアナが心配するのも無理はない。
実戦で初めて組むヤツ相手に、そんな上手くできるとは思ってないんだろうな。
「大丈夫だよ。臨機応変は慣れっこだし、オレもアンタらの足は引っ張りたくない。それに……」
オレはティアナの目を見る。真剣で、覚悟を決めた良い目だ。
「絶対に落ちれない、そんな顔してるしな」
「……」
それには答えず、ティアナはオレの視線を受け止める。
「多分、最善の策はアンタらのコンビネーションを崩さない事。タイミングを見計らってオレが動く、でいいんじゃないの?」
「……そうね。下手な作戦を立てるよるり、いつも通りにやるのが一番だわ」
どうやらオレの考えが伝わったらしい。
歳は変わらないのに、頭の回転は早いな、ティアナは。
「んじゃそれで行ってみよー!」
スバルがグッと右手を振り上げた。いいね、そのノリ。
「おう!」
オレもそれに乗っかって右手を突き出す。
そして……
「はいはい」
ティアナで落とした。うん、いい感じのコンビネーションだね。
「えぇー!ティア、ノリ悪いよ~!」
スバルが頬を膨らませるが、むしろティアナが乗ってきたらどうしようかと思ったぞ?
止めるヤツがいないじゃん。
「あのね……そろそろ始まるみたいよ」
呆れていたティアナの表情が、途中から真剣な物になった。
「さて、やりますかねっと!」
オレもティアナに触発されて、十分に気合いが入った。
デバイスを握る手に力が入る。
オレも今回だけは落ちれない!オレを見出してくれた高町教導官に報いる為にも!
そして、今日出会ったばかりだけど、変に気兼ねしなくていい、この二人の足を引っ張らない為にもな!
outside
試験官のリインが、テスト内容の説明を始める。
「三人はここからスタートして、各所に設置されたポイントターゲットを破壊。
ああ!もちろん破壊しちゃダメなダミーターゲットもありますからね?
妨害攻撃に気をつけて、全てのターゲットを破壊。
制限時間内にゴールを目指してください。何か質問は?」
「あ……えーと……」
スバルがティアナの顔を見る。少し考えた後、
「ありません!」
ティアナが答えた。
「了解であります!」
アスカも、モニターのリインに向かい答える。
「では、スタートまであと少し。ゴール地点で会いましょう、ですよ!」
可愛らしく人差し指を立てて、リインはモニターを閉じる。と同時に、カウントダウンが始まった。
引き締まった表情の三人。
「レディ……GO!」
ティアナの合図で三人は走り出した。
昇級試験で出会った三人。
この三人が、いくつもの試練を乗り越えていく仲間になると言う事を知るのは、まだ先の事である。
後書き
私の文章は、まあこんな感じです。
本作品の主人公のアスカは、どちらかといえば地味な性能ですが、良かったら見守ってあげてください。
基本的にオリジナルのストーリーを崩さないで主人公がどう絡んで行くかを楽しんでいただければ幸いです
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