英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)
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第118話
~封印区画・最下層・最深部~
「まずは回復したほうがいいわね!……」
エステルは今までの戦闘で傷ついた仲間達を回復するためにアーツの詠唱をしようとしたが
「AAキャンセラー………」
なんとトロイメライは駆動しているエステルのオーブメントに反応して、片手を上げて、光の槍の雨を降らした!
「あうっ!?」
「くっ!?」
「やっ!?」
「うっっ!」
「キャッ!?」
トロイメライの攻撃によってエステルはダメージを受けると共に駆動中だったアーツをキャンセルされ、ヨシュア達もダメージを受けた。
「ハッ!」
カーリアンだけは双剣を震って、自分に襲いかかる光の槍を打ち払った!
「アーツを放つのは極力控えなさい!多分、オーブメントの駆動に反応して、今のを撃って来るわ!」
「あ、あんですって~!?」
カーリアンの忠告を聞いたエステルは驚いて叫んだ。
「じゃあ、これで回復して下さい!ええい!」
そしてティータは魔導砲を天井に向けて特殊な砲弾を放った。すると砲弾は空中で分解して、エステル達に降り注いで、エステル達の傷を回復した。
「ありがとうございます~。」
ティータの回復クラフト――バイタルカノンを受けて傷が回復したリスティはお礼を言った。
「アーツがだめなら魔術はどうかしら!?…………………集いし怒りの風よ、吹きあがれ!!大竜巻!!」
カーリアンの忠告を聞いたシェラザードは魔術の詠唱をした後、放った。するとトロイメライは何の反応もせず、シェラザードの魔術を受けた。トロイメライの足元で大きな竜巻が出来て、トロイメライを襲ったがあまりダメージを受けている様子ではなかった。
「……あんまり効いていないわね……でも、これで魔術には反応しない事がわかったわ!」
「わかったわ!……ニル!!」
シェラザードの言葉を聞いたエステルは攻撃、回復、両方とも優れるニルを召喚した。
「ニルの出番のようね………って、何アレ!?」
召喚されたニルはトロイメライを見て、驚いた。
「トロイメライとかいう、人形兵器よ!」
「人形兵器………確かに命の息吹は全く感じられないわね。……機工女神の遺産………はさすがにありえませんわね。」
エステルからトロイメライの正体を聞いたニルは一瞬、自分達の世界の古き遺産かと思ったが、異世界である事をすぐに思い出し、否定した後連接剣を構えた。
「アーツを放つと妨害して来るから、ニルは魔術による攻撃と回復をお願い!」
「わかったわ。」
エステルの言葉に頷いたニルはトロイメライの動きを警戒しながら、エステルと共に詠唱をした。
「光よ、集え!光霞!!」
「風よ、切り裂け!旋刃!!」
ニルとエステルが放った魔術はトロイメライの命中したが、全く怯む様子はなく、腹の部分から砲口を出した後、エネルギーらしきものを溜めた!
「!散りなさい!」
トロイメライの次の攻撃がなんとなく予想できたカーリアンは横に跳んで回避しながら、警告した。そしてエステル達が散開するとエステル達がいた所に強力な爆撃が放たれた!爆撃は床を走り、壁にぶつかった後大きな爆音をたてた。そして爆撃の後の床ははがれ、壁は爆撃によって黒ずみ煙をたてていた。
「あ、あぶな~………」
黒ずんで煙をたてている壁を見て、エステルは冷や汗をかいた。
「………………」
そしてトロイメライはなんと、小型の人形兵器を数体召喚した!そして小型の人形兵器達は体を光らせた後、アーツを放った!
「目標補足……アースランス」
「目標補足……シャドウスピア」
「目標補足……フレアアロー」
「わっと!?」
「はわわ!」
「フッ!」
標的にされたエステルやティータ、ヨシュアはなんとか回避した。
「……パズモ!!」
敵の数を見て、人手が足りないと思ったエステルはパズモを召喚した。
「手を貸して、パズモ!」
(わかったわ!……戦意よ、芽生えよ!……戦意の祝福!!)
エステルの頼みに頷いたパズモは魔術を使って、エステル達の身体能力を上げた。
「えいっ!」
そしてティータは魔導砲で召喚された人形兵器達をトロイメライを巻き込んで攻撃した!
「おぉぉぉぉ!」
さらにヨシュアがクラフト――魔眼を使って、小型の人形兵器達の動きを止めたが
「……………」
「!……ハッ!」
トロイメライの動きは止まらず、片手でヨシュアを攻撃して来た。トロイメライの攻撃に気付いたヨシュアは双剣の加護や魔術の加護によっていつも以上に身体の反応速度等上がっていたので、回避に成功した。
「……………」
トロイメライはまたしても腹の部分の砲口からエステル達に向かって連射した!
「させませんわ!」
(させない!)
しかしニルとパズモがエステル達の前に出て、簡易結界を展開して防いだ。
「えいっ!」
「ハァァァァ………紅燐剣!!」
そしてパズモとニルの後ろからティータが放った魔導砲の砲弾とヨシュアが放ったクラフトがトロイメライ達に命中した!
「はっ!シルフェンウィップ!!」
「え~い!」
さらにシェラザードの鞭のクラフトやリスティの身体を回転しながら攻撃する突進クラフト――ごろごろがトロイメライ達に命中し、小型の人形兵器は壊れる寸前になった!
「ハァァァァ………旋雷輪!!」
そしてエステルは雷を棒に宿した旋風輪――旋雷輪を放って、トロイメライのダメージを与えると同時に小型の人形兵器達を倒した!そしてトロイメライ両手を広げると合体させていた浮遊兵器をエステル達を大きく囲み、背中にエネルギーをチャージした!
「!!エステル、天使達にとびっきりの結界を張らせなさい!今までとは比べ物にならない攻撃が来るわ!」
トロイメライの行動を見たカーリアンはエステルに警告した。
「わかったわ!ニル、パズモ!お願い!」
カーリアンの警告に頷いたエステルはニルとパズモを見て、言った。
「ええ!」
(わかったわ!)
そしてニルとパズモは協力して、ドーム型の結界を作って、自分やエステル達を囲った!ニルとパズモが結界を展開すると同時に背中にチャージしていたエネルギーを腕から浮遊兵器に送り、浮遊兵器はそのエネルギーを囲んでいる全体に放った!
「……ジェノサイド……」
放たれたエネルギーは大爆音を立てエステル達に襲った!
「くっ………なんて、エネルギー!」
(エステルは私達が護る!)
ニルとパズモは両手から伝わるエネルギーの衝撃に顔を歪めながら、結界を維持するために両手に魔力を通し続けて、結界を維持した。そして大爆音は収まった。
「フゥ……」
(なんとか、防げたわ………)
攻撃が止んだ事に気付いたニルとパズモは安堵の溜息を吐いて、疲弊した様子で結界を解除した。
「2人とも、ありがとう!疲れているだろうから、一端戻って!」
「わかったわ。」
(気をつけて、エステル。)
2人の疲弊している様子を見たエステルは2人を一端自分の身体に戻して、休ませた。そして大技を撃った反響かトロイメライは、煙を立て動かなくなり片方の腕が技の反動か、雷のアーツ系を受けたかのように痺れているように見えさらに煙を出した。
「!!今が好機よ!一気に畳みかけるわよ!」
トロイメライの様子を好機と感じたカーリアンはエステル達に総攻撃をするよう言った。
「わかったわ!みんな、行くわよ!」
「う、うん!か、覚悟してください!い、行きます!やあぁぁぁぁぁ!」
エステルの号令に真っ先に頷いたティータはSクラフト――カノンインパルスを放った!ティータのSクラフトを受けたトロイメライは体のさまざまな所が傷ついた!
「行くよ……!ふん!はっ……はっ………断骨剣!!」
そしてヨシュアは次々と一瞬で敵の背後や横に移動して攻撃し
「行きますよ~!超・ねこ、ぱんち……奥義!!」
リスティは強烈な打撃でトロイメライの砲口を破壊し
「行くわよ♪奥義!桜花乱舞!!」
カーリアンのSクラフトはトロイメライの体の到る所にひびをはいらせ
「行くわよ、クインビュート!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はぁっ!!!」
シェラザードのSクラフトによって、トロイメライは体をよろけさせた所を
「これで決めるっ!桜花!無双撃!はぁぁぁぁぁぁぁぁ!せぃ、やっ!たぁぁぁ!!」
エステルのSクラフトが命中し、6人の総攻撃を受けたトロイメライはついに音をたてて崩れた!
「はあはあ……。な、何とか倒せた……?」
「う、うん……。動けなくはしたみたいだ……」
リシャールとの戦いを含め、3連戦で疲弊したエステルとヨシュアはトロイメライが崩れて動かなくなるのを見て、安心し膝をついた。
「リスティ、疲れました~。」
「はうう~……」
「ハァ……なんとか終わったわね。」
リスティやティータ、シェラザードも疲弊した様子でその場で膝をついた。
「フフ……久しぶりに歯ごたえのある相手だったわ♪」
一方カーリアンだけは余裕の笑みを浮かべて、倒れているトロイメライを見ていた。
「『環の守護者』か……。どうやら、そいつの目的は『輝く環』を封印していたこの施設の破壊だったようだな……。そして、『輝く環』の封印と同時に扉の中で機能を停止したのか……。『輝く環』をめぐって古代人同士が対立していたのかあるいは……。しかし……肝心の『輝く環』はどこに……」
エステル達との戦いから回復して立ち上がったリシャールは崩れているトロイメライを見て呟いた。その時崩れていたはずのトロイメライの手が動き始めた。
「なんと……まだ動けるのか!?」
それに気付いたリシャールは驚愕の表情でトロイメライを見た。そしてリシャールの言葉通りトロイメライは立ち上がってエステルをめがけて腕を振りかぶった。
「まだ動けたの!?」
カーリアンも同じように驚いた後、双剣を構えた。
「ヨ、ヨシュア……!」
「エステルッ……!」
ヨシュアは疲弊した体で無理やり立ち上がり、エステルの壁になりトロイメライの攻撃をエステルの代わりに受けようとしたところ、トロイメライの腕が攻撃されトロイメライは攻撃を一端やめ、自分に攻撃をした敵ーーリシャール大佐に体を向けた。
「……させんっ!」
「え……」
「た、大佐……!?」
意外な人物の援護にエステルとヨシュアは驚いた。
「君たちは今しがたこいつと死闘したばかりだ!私の方はもう動けるようになった!時間を稼ぐことくらいはできる!」
自らを犠牲にして自分達を逃がそうとするリシャールの言葉にエステルはすぐに頷けなかった。そしてリシャールは単独でトロイメライと戦い始めた。たった一人で無謀とも思われる戦いをリシャールは優勢に戦った。
「す、凄い……!」
「さすが、父さんの剣技を継いだだけはあるね……」
「へ~………やるじゃない♪あれならティファーナやリオーネ辺りだったら結構いい勝負ができるんじゃないかしら?」
リシャールの強さにエステルやヨシュアは驚き、カーリアンはリシャールの強さを見て、今は亡き戦友とリシャールが戦った時を連想した。
「何をしている!早く行け!!」
リシャールは自分の戦いを見て感心しているエステル達に早く逃げるように言った後、トロイメライに攻撃をし続けたが、敵の固い装甲への度重なる攻撃に刀が耐えきれず折れてしまいリシャールはそれに気付いて、無防備になってしまったところを敵の巨大な手に体ごと掴まれた。
「う、うおおおおおおっ!?」
「た、大佐!?」
「く……どうしたら!?」
リシャールの窮地にエステルとヨシュアは疲弊した自分達での助け方がわからず、焦った。
「カーリアン様~、なんとかならないですか~?」
「……できなくはないけど、下手したらあの捕まっている人間を殺してしまうかもしれないわ。」
リスティはカーリアンにリシャールを助けられないか尋ねたが、カーリアンは難しそうな表情で答えた。
「カーリアン殿!」
「……何かしら?」
トロイメライに掴まれているリシャールに呼ばれたカーリアンはリシャールを見た。
「できるのならどうか、私ごとこの守護者を破壊して下さい!……それが無理ならエステル君達を連れて、撤退して下さい!」
「そ、そんな!?」
自分を犠牲にしようとしているリシャールにエステルは悲痛な声を出した。
「諦めないで下さい、大佐!」
「私の事は気にするな!君たちとの勝負に敗れた時……私の命運は……尽きていたのだ!」
「そ、そんな……」
自分の命を諦めているリシャールにエステルは悲痛な表情で呟いた。
「だから……気にすることはない……。私の計画は失敗に終わったが……。最期に君たちを助けられれば後悔だけは……せずにすむ……」
リシャールが自分が死ぬことに観念した時、入口から男性の声が聞こえて来た。
「やれやれ……。諦めなければ必ずや勝機は見える。そう教えたことを忘れたか?」
そして男性は一瞬でトロイメライに近づいて攻撃した。
「せいっ!」
男性の一撃はリシャールを掴んでいる腕ごと、棒による強烈な一撃でへし折った。
「え……!」
「あ………!」
「まさか……!」
「先生……!」
「エステルのお父さん~………!」
「『剣聖』カシウス・ブライト……!フフ、相変わらずやるじゃない♪」
男性の姿ーーカシウスの姿を確認したエステル達は驚いて呟いていたが
「今だ!止めを刺せ!!」
カシウスの号令に今優先すべきことに気付き、全員は残る力全てを使って弱っているトロイメライに強力な集中攻撃をした。
「か、覚悟してください!い、行きます!やあぁぁぁぁぁ!」
「行きますよ~!超・ねこ、ぱんち……奥義!!」
「行くわよ、サンダ-ビュート!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はぁっ!!!」
「はぁぁぁぁぁぁ!!はっ!……漆黒の牙・斬の型!!」
「奥義!桜花乱舞!!」
5人の総攻撃を受けたトロイメライは体の到るところから爆発を起こしていた!そこに普段の雷とは異なり、暗黒属性の加護を加えた紫色に怪しく光る雷を棒に宿らせて、棒を構えたエステルがSクラフトを放った!
「ハァァァァァ!暗礁!雷波!無双撃!!」
エステルが放った雷波無双撃の上位技――暗礁雷波無双撃を止めに受けたトロイメライは体中が爆発が連続で起こった後、腕や足が爆発によって破壊され完全にバラバラになった…………!
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