英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)
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第117話
ついに始まったリシャールとの決戦、カノーネの時と同じようにエステルとティータ、ヨシュアとシェラザードが二手に分かれて人形兵器を相手にし、リスティは翼で飛んで状況に応じて2組の援護をする事にし、カーリアンはリシャールと戦い始めた。
~封印区画・最下層・最深部~
「……………」
エステルとティータを標的にした人形兵器は背中から砲弾を出して、エステル達に向けて放った!
「回避するわよ、ティータ!」
「う、うん!……あう!?」
迫りくる砲弾を見て警告したエステルに答えたティータは回避しようとしたが、あまり戦いを経験した事がなかったティータは動きはあまり洗練されてなく、
エステルのように回避行動に移るのが遅く、回避行動に移った時こけてしまった。そして迫りくる砲弾はティータを襲った!
「ティータ!」
「!!」
迫りくる砲弾にエステルは焦った声を出し、ティータは目をつぶったその時、リスティが飛んで来てティータを抱きかかえ、その場を天井に飛んで離脱した。そして人形兵器が放った砲弾は地面に当たって爆発した。
「大丈夫ですか~?」
「えへへ……助けてくれてありがとうございます。」
リスティに尋ねられたティータは笑顔でお礼を言った。そしてリスティはティータを地面に下ろした。
「ティータ、大丈夫!?」
「エステルお姉ちゃん……心配かけちゃってゴメンね。」
「ティータが無事ならそれでいいわ。リスティ、ありがとう。」
ティータの無事な姿を見てホッとしたエステルはリスティを見てお礼を言った。
「リスティ、子供や友達が傷つく所は見たくありませんから~。無事でよかったです~。」
「…………」
一方エステル達を撃破できなかった人形兵器は先ほどと同じ攻撃をエステル達に放った!
「何度も撃たせないわ!…………やっ!!」
エステルは棒に火の魔力を込めてクラフト――捻糸棍を放った!すると闘気の弾と化している衝撃波に火がともり、炎の弾となって人形兵器が放った砲弾に引火して、砲弾を空中で爆発させた!
「よし……これも出来たわ!クラフト名は捻炎棍ってところかしら♪」
新技が成功したエステルは口元に笑みを浮かべた。
「か、覚悟して下さい!」
「!?」
そしてティータはクラフト――スモークカノンを放って、人形兵器の視界を奪った!視界が煙に包まれた人形兵器は混乱して、その場で留まった。そこに
「雷、ねこ・パ~ンチ!!」
「!!」
リスティは雷を宿した超ねこパンチ――雷ねこパンチを人形兵器に命中させ、人形兵器に大ダメージを与えると共にショートさせて、動きを鈍らせた!
「これで決める………ハァァァァァァ!雷波!無双撃!」
「!……………」
そしてエステルはSクラフトを放った!エステルの持つ棒の効果が技の威力を倍増し、Sクラフトを受けた人形兵器は完全に沈んだ。
一方ヨシュアとシェラザードが相手をしている人形兵器との戦いは最初からヨシュア達が優勢だった。
「………………」
「フッ!」
「ハッ!」
人形兵器が放った砲弾を2人はその場から離脱して、攻撃を回避した。
「雷よ、走れっ!……電撃!!」
「走れ雷!!……プラズマウェイブ!!」
「!?」
シェラザードが放った魔術とヨシュアが放ったアーツ、2種類の雷に命中した人形兵器は今までと同じように機能がショートして、その場で動かなくなった。
「絶影!!」
双剣の持つ効果で素早さが非常に上がったヨシュアはアーツを放った瞬間、次の攻撃の構えを始めた後、クラフトを放ってダメージを与えた!
「行くわよ……サンダ-ビュート!!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!はぁっ!」
「!?…………」
そしてシェラザードが止めに放ったSクラフトを受けた人形兵器はエステル達が倒した人形兵器と同じように沈黙して動かなくなった。
一方リシャールはカーリアンを相手に善戦をしていた。
「はぁぁっ!!」
「っと!」
リシャールが放った闘気が籠った居合のクラフト――光鬼斬をカーリアンは見切って、自分に襲いかかって来る神速の抜刀を武器で捌いた。
「どーりゃー!北斗斬り!!」
「はっ!」
そしてカーリアンが放ったクラフトをリシャールは刀でカーリアンの攻撃の軌道をずらして、受け流した。
「フフ……これならどう!?」
クラフトを受け流されたカーリアンはすぐに反転して片方の剣で攻撃した。
「ぬっ!」
しかしリシャールは刀でカーリアンの攻撃を受け止めた。
「それぇっ!」
「くっ!」
カーリアンの攻撃を受け止めれたリシャールだったが、もう片方のカーリアンの剣の攻撃は防御できず、腹を斬られた。
「っつ!」
腹を斬られたリシャールは大きく後ろに跳んで、カーリアンから距離をとった。
「フフ……今の一撃だけで中に着込んでいた鎧にひびを入れるとは恐れ入りました。」
「ま、この私にかかれば鎧なんてあってもないようなものよ♪そういう貴方こそ、結構やるじゃない♪”剣聖”から鍛えられているだけはあるわね♪」
リシャールの賛辞にカーリアンはウインクをして答えた後、好戦的な目でリシャールを見た。
「フフ……その”剣聖”を破った貴女がそれを言いますか?」
「破ったと言っても、あくまで棒を得物にした状態だからねぇ……私は二つ名通り、本来の得物である剣で戦えば、下手したら私を凌駕すると睨んでいるのよね。」
「フフ、確かに。ならば自分が”剣聖”の剣は”大陸最強”を誇る貴女方を越える事を証明してみましょう!」
そしてリシャールは抜刀してクラフトを放った!
「下がれっ!」
リシャールが放った刀気によって輪を作り、それを放つクラフト――光輪斬はカーリアンに向かって、回転しながら襲った!
「冥府斬り!!」
しかしカーリアンが放ったクラフトによって、刀気の輪は真っ二つにされた。そこにリシャールが一瞬で距離をつめて、クラフトを放った!
「うおぉぉぉ~!」
「(へ~………)それ、それ、それぇっ!」
リシャールが放った神速で連続して放つ抜刀クラフト――光連斬に対してカーリアンは感心しながら双剣で捌いていた。
「せいやっ!」
そしてリシャールは最後の一撃に力を入れて攻撃したが
「甘いわよ!それぇっ!!」
「くっ!?」
カーリアンの攻撃によって、吹っ飛ばされた。吹っ飛ばされたリシャールは空中で受け身をとって、着地をした。そこにカーリアンが距離を詰めて来てクラフトを放った!
「それぇっ!3段斬り!!」
「ハァァァァ!!」
カーリアンの剣筋ををリシャールは冷静に見切って、刀で捌いた。
「はぁぁっ!!」
「っと!」
リシャールは反撃にクラフト――光鬼斬を放ったが、カーリアンは後ろに跳んで回避した。そしてリシャールは手に持つ刀に最大限の闘気を込めた!
「散り逝くは叢雲………咲き乱れるは桜花……今宵、散華する武士が為、せめてもの手向けをさせてもらおう!」
そしてリシャールはカーリアンに一瞬で詰め寄って、抜刀した!
「はぁぁっ………!」
「っと!これは本気で対処しないと不味いわね!」
今までの技とはけた違いだと気付いたカーリアンは自分に襲いかかる一回の抜刀によって出来た4つの斬撃を冷静に見切って、対処した。しかし
「せいやっ!」
「チッ!」
リシャールが放った最後の一撃は回避が間に合わず、脇腹を掠った!
「秘技!桜花残月!!」
リシャールがSクラフト名を叫ぶと、カーリアンの脇腹から血が大量に出た!
「っつ!?やるじゃない!でも、今度はこっちの番よ!」
脇腹から伝わる痛みに顔を顰めたカーリアンだったが、好戦的な表情でリシャールを見た後、双剣に魔力と闘気を込めてリシャールに放った!
「激しいの、行くわよ♪魔剣斬り!!」
「ぬぐっ!?」
一瞬で敵につめより、闘気と魔力を込めた双剣で敵を斬るカーリアンのSクラフト――魔剣斬りを受けたリシャールは着込んでいた鎧が破壊されて、呻いた。
「フフ………耐えられるかしら?白露の桜吹雪!!」
「ぐっ!?…………ガハッ!!」
カーリアンのSクラフトを至近距離で受けたリシャールは吹っ飛ばされ、壁にぶつかって呻いた。
「これで終わりだ……はっ!」
「ガッ!?」
そこに人形兵器との戦闘を終えたヨシュアがSクラフト――漆黒の牙を放って、リシャールにさらにダメージを与えた!そしてそこにエステルが棒を構えて、Sクラフトを放った!
「これで決めるっ!桜花!無双撃!はぁぁぁぁぁぁぁぁ!せぃ、やっ!たぁぁぁ!!」
「これまでか…………」
エステルのSクラフトを全て受けてしまったリシャールはついに膝をおり、立ち上がれなくなった。
リシャールが膝をおると同時に黒のオーブメントーー『ゴスペル』が妖しく光り出した。
「さすが、”戦妃”にカシウス大佐の子供たち……。だが……時間は稼げた。」
リシャールは自分を破ったエステル達に称賛の言葉を送った後、目的は達することができたので不敵に笑った。
「しまった……!」
「くっ……!」
それを見たエステルとヨシュアは『ゴスペル』を止められなかったことに無念を感じると同時に、『ゴスペル』が出す妖しい光にうかつに近づけなかった。
「……………」
「ふ、ふええ~!?」
シェラザードは何が来てもいいように警戒をし、ティータは慌てて声を出した。
「あっちゃ~……あれが本命だったようね………先にあっちを壊すべきだったわね……」
「何が起こるんですか~?」
カーリアンは『ゴスペル』を先に止めるべきだった事に後悔し、リスティは周囲を見渡して呟いた。そして地震が起こり、『ゴスペル』が妖しい光を周囲にまき散らすと遺跡内の照明がどんどん消えて行った。
『ゴスペル』の妖しい光は広範囲にわたって影響を与えた。
~封印区画・第3層空中回廊~
「しまった!『導力停止現象』か!」
遺跡内の異常にいち早く気付いた博士は思わず叫んだ。
~封印区画・最下層・最深部~
そして地震が終わると同時に『ゴスペル』も役目を果たしたかのように見え、妖しい光を出さなくなった。
「な、何だったの、今の……」
「導力停止現象なんだろうけど、今までのものとは違っていた……。まるで、何かが解放されたような……」
エステルの呟きにヨシュアは答えたが、実際に何があったかよくわからず困惑気味で答えた。そして突如部屋の床が光りに謎の装置に金色の光が宿ると同時に謎の声が響き渡った。
「……警告します……。全要員に警告します……」
「え……」
「あの装置が喋っているんだ……」
エステル達は聞き覚えのない声に驚いた後、ゴスペルが置いてある装置を見た。
「『オーリオール』封印機構における第一結界の消滅を確認しました。封印区画・最深部において『ゴスペル』が使用されたものと推測……。『デバイスタワー』の起動を確認……」
そしてエステル達の周りに建っていた4本の柱が地面へと収納されて行った。
「な、なによこれ!?一体何が起こるの!?」
「落ち着きなさい!いつでも戦えるようにはしておきなさい!」
慌てているエステルにカーリアンは双剣を構えて警告した。
「第一結界……『オーリオール』封印機構……。大佐、これはいったい!?」
「わ……わからない……。このような事態になるとは想定していなかった……」
唯一事情を知っていそうなリシャールにヨシュアは尋ねたが、リシャールも何が起こったかわからず戸惑いの表情を見せて答えた。そして装置はさらに伝え続けた。
「第一結界の消滅により、『環』からの干渉波、微量ながら発生……。『環の守護者』の封印解除を確認……。全要員は、可及的速やかに封印区画から撤退してください……」
機械的な声の警告がなくなると、エステル達の横にあった壁がなくなり、大きな空洞が出来た。そして空洞の奥から小さな赤い光がいくつか出て、リシャール達が連れていた人形兵器とは核が違う超大型の人形兵器と周囲を浮遊している人形兵器が現れた。
「な、なに、このブサイクなの……」
「気を抜かないで!こいつが『環の守護者』だ!」
人形兵器の見た目に呆れているエステルにヨシュアは警告した。
「これほどの人形兵器が地上に解放されたら、とんでもないことになるわ!なんとしてでも、ここで仕留めるわよ!」
「は、はい!」
シェラザードの言葉にティータは頷き、魔導砲を構えた。
「やれやれ……ちょっと面倒そうだけど、さっさと倒すわよ!リスティ、無理そうなら貴女は下がってていいわよ!」
「いいえ~、リスティも戦います~!」
カーリアンの忠告にリスティは首を横に振って答えた後、攻撃の構えをした。
「ゲート固定……導力供給完了……再起動確認……MODE:索敵行動……座標確認……『環の守護者』トロイメライ……索敵行動開始……」
未知なる存在、『環の守護者』がエステル達に襲いかかったが、相手の攻撃は単調であったので戦いのセンスがいいエステル達は相手の攻撃を何度か見て、慣れてくると攻撃の予測などできたので、隙を見つけて全員が集中攻撃を行った。メンバー全員でSクラフトや強力なアーツをトロイメライに命中させたのだが敵は倒れなかった。
「な、なんで倒れないの!?」
普通なら倒れているはずの攻撃を与えたつもりなのに全然弱っている様子を見せない、トロイメライを見てエステルは焦った。、
「まだ、何かするつもりだ!」
ヨシュアはトロイメライの様子がおかしいことにいち早く気付き、仲間達に警告した。そしてトロイメライは取り巻きの浮遊していた人形兵器を自らの手と合体させ、さらに足や手も伸び、頭の部分も変形して姿も戦闘向けに見える姿になった。
「MODE:完全殲滅……『環の守護者』トロイメライ……これより殲滅行動を開始する……」
トロイメライは変形した後、エステル達に襲いかかった。後にクーデター事件と呼ばれる真の最終決戦がついに始まった……!
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