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真田十勇士

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巻ノ三十九 天下人の耳その十

「ですが」
「義、ですな」
「それに従います」
 あくまで、というのだ。
「真田家におります」
「そうですな、では」
「はい」
 まさにという返事だった。
「私はです」
「真田家からは離れず」
「義によって動きますので」
「関白様からのお言葉でも」
「残ります」
 自身の家にというのだ。
「そのつもりです」
「そうですか」
「そうです、しかし」
「しかしですな」
「やはり関白様は」
「非常に素晴らしい方です」
 秀吉はというのだ。
「実に」
「噂以上の」
「その目で御覧になられれば」
 その時はというのだ。
「きっとあの方を慕われるでしょう」
「拙者もですか」
「そうです」
 まさにというのだ。
「そうなります」
「魅力がおありなのですね」
「それも極めてです」
「人を惹きつけて離さない」
「そうした強いものをお持ちです」
 魅力、それをというのだ。
「ですから」
「その魅力にですね」
「源四郎殿もです」
 まさにというのだ。
「きっとあの方を慕われるでしょう」
「そうなりますか」
「そのことは間違いありませぬ」
「では」
「はい、そうした方なので」
 秀吉がというのだ。
「多くの方が家を出られてです」
「あの方にお仕えしているのですね」
「妙に人を惹き寄せるものを持っておられます」
「そういえば」
 ここで幸村も言った。
「あの方は多くの側室の方も持たれていますね」
「はい」
「そしてどの方も」
「関白様を慕っております」
 その側室達もというのだ。
「実に強く」
「そうなのですな」
「そうです」
「それもですね」
「あの方の魅力故にです」
 決して顔立ちは整っておらず小柄な秀吉でもというのだ。
「そうなっているのです」
「それだけの魅力があるのですね」
「あの方には」
 まさにというのだ。
「これは外見のことではありませぬ」
「あの方の内面ですな」
「そうです」
 秀吉のそれからくるものだというのだ。
「非常に親しみを感じこの方ならばと」
「思わせる」
「そうしたものがおありなのです」
 秀吉にはというのだ。
「だからです」
「多くの方が家を出られてまで」
「そうしてお仕えしているのです」
「ですか、では」
「源四郎殿もです」
「強い意志がなければ」
「そうなられるでしょう」
 真田家を出てというのだ。 
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