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英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)

作者:sorano
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第1章~消えた飛行客船~ 第15話

~ミルヒ街道~

ボース市へ続く街道をリフィア一行を加えたエステル達は関所に向かって歩いていた。

「あ、そういえば3人に紹介する子がいたわ……パズモ!」

歩いていたエステルはあることに気付き立ち止ってパズモを呼んだ。

「ん………この子、守護精霊だね……」

「ほう、まさか守護精霊とまで契約していたとは………さすがじゃな、エステル!」

パズモを見たエヴリーヌとリフィアは珍しがってパズモを見た。

(へえ……この人、アムドシアスやハイシェラほどではないけどかなり上位の魔神ね……それに周りの2人も少しだけど魔神の血を引いているわね……)

見られたパズモは3人の力に気付き、3人がかなり強い力を持っていると思い呟いた。

(へ……パズモ、もしかして友達で魔神がいるの!?)

パズモの呟きが聞こえたエステルは思わず念話を送った。

(……前の主人が魔神を使い魔にしていたり、魔神の協力を受けて凄い威力を持つ剣や鎧を手に入れたの。だから友達っていうほど仲はよくないけど、知り合いではあるわね。(最も向こうはもう、忘れているかもしれないけどね……))

(ふわぁ~……パズモの前の主人、そんなに凄い人だったんだ………ねえねえ、その人強いの?パズモの前の主に会って話をしてみたいわ!)

(う~ん……強いと言われれば強いわね……でも、会うのはやめたほうがいいわ。)

(なんで?)

(ちょっと……ね。その内理由は教えるわ。(まあ、エステルならセリカの正体を知っても平気で友達になろうとするかもしれないけどね……))

(???うん、わかったわ。)

エステルが前の主人のことを聞いた時、パズモは前の主が世界の敵であることは流石にエステルには言えず、誤魔化した。



そしてパズモを見たプリネはあることに気付いた。

「(もしかしてこの子……)エステルさん。この子といつ契約したんですか?」

「えっと……結構前よ?6年前ぐらいかな……?」

「(6年前……もしかして……)ペルル!」

「はーい!」

プリネに呼ばれたペルルは姿を現した。そしてペルルは驚いた表情で自分を見ているパズモに気付いた。

「パズモ!?よかった、無事だったんだ~!」

(ペルル……!あなたも無事だったのね!どうしてその人の使い魔に?)

「うん、魔力がなくなってこの人に魔力を分けて貰ったの。それでパズモが見つかるまで使い魔にならせてもらって今まで、この世界で生きてこれたんだ。パズモはどうして?」

(あなたと同じよ。私もエステルに助けられてお礼にエステルの守護精霊になることにしたの。それにこの子、闇夜の眷属を友達って言ったの。だからそんなエステルを私は守りたいからいっしょにいるのよ。)

「そうなんだ……ボクも同じだよ!プリネといっしょにいたらボク達が目指していた理想郷を作るのに一番近いんだ!」

(そうね、メンフィル皇女といっしょにいるのなら確かに私達の理想郷を作る大きな一歩になるわね。でも今は私はエステルといっしょにいたいからすぐにあなたといっしょに行動はできないの。ごめんね……)

「ううん、いいよ!ボクも最近プリネとずっといたいって思っているから気にしていないよ!エステルって子は見た所人間だよね?だったら何十年だって待つよ!」

(ありがとう、ペルル。もし、エステルとの契約がなくなった時そちらのメンフィル皇女の方と契約していいか聞いてくれないかしら?)

「了解、えっとプリネ。ちょっといい?」

「……何でしょうか、ペルル。」

ペルルに呼ばれたプリネはもしかしたら約束通り契約を解除するかもしれないことに寂しさを感じながら答えた。

「えっと、あのね。パズモのことなんだけど、エステルとの契約がなくなった時プリネがパズモと契約してくれないかな?」

「別にいいですが……ペルル、私との契約のことはいいんですか?」

「うん!ボクなんかでよければメンフィルをより住みやすい国作りの手伝いのためにずっと使って!」

「ありがとう、ペルル。……エステルさん、もしあなたの寿命が来てパズモとの契約を解除した時、その子を引き取ってもよろしいでしょうか?」

ペルルがこれからもずっといてくれることに安心したプリネはエステルに聞いた。



「別にいいけど……凄く後になるわよ?あたしはまだ16歳だし、もしあたしの寿命が来てパズモとの契約を解除した時とかプリネもおばあちゃんとかになって寿命もあたしと変わらないんじゃないの?」

「あはは………エステルさん、私も”闇夜の眷属”ですよ?多分数十年たったぐらいでは私は若いままですから。」

エステルの言葉にプリネは苦笑いしながら答えた。

「そう言えばそうよね。ねえ、プリネ。ずっと疑問だったんだけど聖女様って何歳なの??たまに遠目で見た事あるけど、聖女様がロレントに来てから全然年をとっている風に見えないんだけど……?」

「エステル、女性の年齢を聞くなんて失礼だよ。」

エステルがプリネに聞いたことをヨシュアは咎めた。

「まあまあ、ヨシュア。別にいいじゃない。私も師匠の若作りにはずっと疑問を持ってたわよ?最近師匠を見て、私の方が師匠より年上に思えてちょっとへこむのよね……」

「シェラさんまで……えっと実は言うと僕も気になっていたんだ。いいかな、プリネ?」

「別にいいですけどお母様の年ですか………すみません、正直いって私は知りません。多分、お母様も自分が今何歳かわからないかもしれませんね。」

「へ………なんで?」

エステルはペテレーネ自身が自分の年齢を把握していないことを不思議に思い聞き返した。

「”神格者”であるお母様には年齢など無意味ですから。」

「その”神格者”って言うのはなんなんだい?」

ヨシュアは聞いたこともない言葉が出て来てそれの意味を聞いた。

そしてプリネはペテレーネの年齢を知りたがっていた3人に神格者がどういう存在、そしてペテレーネが神格者を目指した理由の一つを話した。

「ふわぁ~……聖女様って年をとらないんだ………さすが聖女様ね~……」

エステルはペテレーネが年をとらないことを知り呆然とし

「凄いな……よくおとぎ話とかで出てくる不老不死が本当にあるんだね……」

ヨシュアは不老不死があることに驚き

「永遠に年をとらず、ずっと好きな人の傍に居続ける……か。師匠の好きな人ってメンフィル皇帝でしょ?メンフィル皇帝は魔神の血を半分引いているお陰で不老の存在だって前に師匠から聞いたことがあるわ。……夫は皇帝でしかも両方とも若い姿のまま……女としては羨ましい限りね……」

シェラザードは女として最高の幸せを手に入れたペテレーネを羨ましがった。

「”魔神”ってそんなに凄いんだ……あれ?もしかして3人共あたしより凄く年上??」

エステルは感心しながらあることに気付き3人に聞いた。

「私は18になったばかりですけど、ほかのお2人は……」

プリネはリフィアとエヴリーヌを見て言い淀んだ。

「エヴリーヌは何万年も封印されて眠っていたからよくわかんない……」

「な、何万年~!?どれだけ凄いのよ……リフィアは?」

エヴリーヌの言葉にエステルは思わず叫んだ後、リフィアに聞いた

「む……余か。余もあまり年は気にしていないのじゃが、少なくともシェラザードよりは年上のはずじゃ。」

「え!?背はあたしよりも低いのにシェラ姉より年上!?」

「背のことは申すでない!余も一応気にしているのじゃ!……全くなぜじゃ?母やカーリアン婆はあれだけ体つきがいいのになぜ余だけ……ブツブツ……」

「えっと……リフィア?どうしちゃったの??」

急に独り言を言いだしたリフィアにエステルはわからなかった。それを見たプリネは3人に小さな声で話した。

「リフィアお姉様……ああ見えて、家族の中で自分だけ背や胸が小さいことを凄く気にしているんです……だから、今後そのことは言わないで貰えると助かります……」

「あはは……了解。」

「うん、僕も絶対に誰にも言わないよ。」

「私も女として誰もが気にする事、絶対に言わない事を誓うわ。」

3人はプリネの頼みを苦笑し、真面目な表情で了解した。

「ん……?……プリネ……あれ……」

魔獣に気付いたエヴリーヌはプリネの服を引っ張り魔獣の集団を指差した。

「あら、魔獣ですね。リフィアお姉様!戦闘です!」

「ブツブツ……何!?フフフ……ちょうどいい、余の鬱憤を受けてもらおうか!!えーいっ!!」

プリネに言われたリフィアは我に帰り素早く魔力でできた光の弾ーー追尾弾を放った。光の弾に当たった魔獣は一撃でやられセピスを落とした。

「凄っ……あんな小さな魔力の弾で魔獣が一撃……」

エステルはリフィアの魔力の高さを実感し驚いた。

「エステル、呆けてないで武器を構えて!」

「っと、そうね!」

ヨシュアに言われたエステルは武器を構え、魔獣の集団との戦闘を開始した。



戦闘は終始エステル達の有利だった。エステル、ヨシュアの息がぴったりな攻撃に加え、パズモの援護、シェラザードの鞭による攻撃や魔術攻撃、何より新しく仲間になったリフィア一行が圧倒的な強さを見せた。

「余の風格を拝め!鋼輝の陣、イオ=ルーン!!」

リフィアの属性を選ばない純粋魔術はどの魔獣にも大ダメージを与えるか消滅させ

「んっ。………はい、どかーん」

エヴリーヌの弓矢による攻撃は魔獣を正確に射抜き、放った上級の風の魔術ーー『贖罪の雷』は地面をすさまじい勢いで走りそれに直接当たった魔獣は哀れにも一瞬で消滅し、

余波を受けた魔獣にもダメージを負わせ

「行きます!ふっ、はっ、そこっ!!……出でよ魔槍!狂気の槍!!」

プリネのレイピアによるリウイ直伝の突剣連続技ーーフェヒテンイングで確実に魔獣を斬り伏せた後、魔術を使い離れた敵にも大ダメージを与え

「プリネには指一本触れさせないんだから!えーい!超ねこパーーンチ!!」

プリネを守るようにプリネの傍らでペルルは自らの翼を使って魔獣を仕留めていった。そして戦闘はあっと言う間に終結した。

「よし、バッチリね!……にしてもメンフィルのみんな、本当に強いわね。”魔神”や”闇夜の眷属”のエヴリーヌやペルルはともかく、プリネやリフィアとか皇女様とは思えない強さね……」

エステルは新しく仲間になった同行者達が明らかに自分達より実力があることを知り、王族であるプリネ達がなぜ、そんなに強いか疑問に思った。

「王族とは民を守るため時には、先頭に立って戦場に出る必要があるからの。じゃから余達が強いのは当然じゃ!」

「私もお姉様と同じ理由です。私は家族の中では戦闘が一番経験不足です。ですからそれを補うためにもお父様のほか、カーリアン様やファーミシルス様によく稽古をして頂きました。そのお陰でもありますね。」

「そうなんだ……2人ともあたしより凄いわ……」

自分と同じくらいの2人がすでに民のことを考えているのを知ってエステルは感心した。

「カーリアンって人はもしかして、強者揃いのメンフィルの中でも一、二の実力を持つと言われるあの女性剣士かい?同じ実力を持つファーミシルス大将軍にも稽古してもらうなんて、”闇の聖女”さん直々の魔術に加えて戦闘の稽古相手の凄さ……それは強くなるよ……メンフィル皇帝も大陸で最強の突剣使いって言われているし。」

ヨシュアはプリネに戦闘指導をした人物の名前を知り、プリネが強い理由に納得した。

「確かにリウイは強いがそんなリウイを剣で追い詰めた相手がいるぞ。」

「はっ!?あのメンフィル皇帝に剣で追い詰めるってどんな化け物よ!?」

シェラザードはリフィアの言葉に驚愕し、リウイを追い詰めた相手がどんな相手か想像できなかった。

(もしかして……)

(セリカ~……なんでメンフィルの王様と戦ったの~……?そんなことしたらレスぺレント地方で賞金首や指名手配にされちゃうよ~……?ただでさえセリカには敵が多いんだから……)

リウイを追い詰めた相手に心当たりのある守護精霊や使い魔はそれぞれ複雑な表情をした。

「ふむ、それは機会ある時に教えてやろう。それよりボース市とやらに早く行こうぞ!」

「そうね!関所も見えてきたし、やっと半分ね!先を急ぎましょう!」

そしてエステル達は関所を越え、途中で会った遊撃士ーーグラッツの言葉に疑問を持ちつつボース市に到着した…… 
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