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真田十勇士

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巻ノ三十八 双槍その五

 礼をし合いだ、こう言い合った。
「お見事でした」
「そちらこそ」
「直江殿の武見せて頂きました」
「それがしもです」
 笑みを浮かべて言い合うのだった。
「実に素晴らしい」
「これ程までとは」
 お互いに言うのだった、そして。
 ここでだ、こうも言ったのだった。
「それでは」
「はい、また」
「時があれば」
「手合わせをして楽しみましょうぞ」
 こう話すのだった、二人で。
 そしてだった、この話の後で兼続は幸村にだ、こう言った。
「では汗もかきましたし」
「はい、風呂なら用意しますが」
「いえ、風呂はこちらで」
「用意してあるのですか」
「左様です」
 微笑んでの言葉だった。
「それがしの城にいる時の屋敷にです」
「風呂があってですか」
「このお屋敷に近いので」
 その兼続の屋敷はというのだ。
「如何でしょうか」
「入って宜しいのですか」
「拙者遠慮は嫌いです」
 こうも言った兼続だった。
「ですから」
「わかりました、それでは」
「はい、これより」
 こう話してだ、そのうえで。 
 兼続は十勇士達にもだ、笑みを浮かべて言った。
「貴殿達も」
「それがし達もですか」
「風呂にですか」
「入っていいのですか」
「共に」
 笑みを浮かべたままの言葉だった。
「風呂を馳走に」
「ううむ、殿だけでなく」
「我等もとは」
「流石は直江殿」
「何という器の大きさか」
 こう言って唸る彼等だった、そして。
 幸村はその兼続の言葉に頷いてだ、こう答えた。
「はい、それでは」
「では共に入りましょうぞ」
 こうしてだった、幸村と十勇士は。
 共に兼続の屋敷に案内されてそこの露店風呂に入った、その露店風呂を見て十勇士達は皆驚いてこう言った。
「何と、露店風呂とは」
「まさに温泉」
「この様な風呂があるとは」
「この城に」
「ここからは湯が出ていて」
 兼続が驚く彼等に話す。
「それでこうして」
「風呂を楽しめる」
「そうなのですか」
「如何にも」
 こう十勇士達にも言う、そして。
 彼等はその湯に入った、するとまずは清海が言った。
「いや、これは実に」
「いい湯だな」
 穴山も言う。
「全く以て」
「最高の湯じゃ」
「こうして風呂に入れば」
 望月はこう言った。
「心も身体も癒されるわ」
「まことにのう」
 由利も言う。
「風呂は最高じゃ」
「ここで心も身体も清め」
 伊佐はここでも真面目であった。 
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