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『夢の中の現実』

作者:零那
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『復讐』



父さんはアイツを呼び出してた。
どう言うて来さしたんやろ。

距離を取れば父さんが罪を犯してしまう。
庇い切れんようになる。

零那は、父さんに近付く。
アイツは、背後から来る父さんに気付いて無い。
父さんも、零那に気付いて無い。

父さんは数時間前と違って殺気立ってる。
伝わる...。
暗い中やけど、顔つきが違う。
後ろからでも解る。

何処からともなく父さんの手からスッと光るモノが出てきた。
ヤバイッ!!

零那は咄嗟に鞄のモノを取り出してヒールを脱ぎ捨ててダッシュした。

背後からってのは誤算。
アイツの背中の左側に刺さった。

父さんは、亀井サンが取り抑えた。

アイツは呆然と振り返り、零那を見て笑い出した。

父さんは放心状態。

今の内に!!
亀井サンに『行けっ!!』って合図した。

亀井サンは、父さんを肩に抱えタクシーに乗って、その場を去った。

チャント刺身包丁も置いていってくれた。

改めてアイツと対峙する。
普通に立ってるまま。

『オマエ零那か?』

『せやで、覚えとんやなぁ』

『今ワシに何したんや』

『コレで刺した』

急に慌てて後ろを見ようと暴れ出した。

零那は、次こそ正面から心臓を抉るように刺そうと思った。
刺身包丁の向きを変える。
奥深く迄、刺し込む。
其れをグッと動かす...
抜いてから、また刺し込む。

確実に逝かさな意味が無い。
父さんも凶器持って向かって来たとか言われても困る。

倒れたのを確認して、父さんの持ってたモノの指紋やら何やらをタオルで拭き取ってから、零那の鞄に入れた。

それからアイツの元に戻り、目が動いたのを見て、生きてると気付いて、零那は狂ったように何回も何回も刺しては抜いてを繰り返した。

いや、狂ったようにじゃなくて、完全に狂ってた。

いつの間にか、倒れ込んだアイツの上に乗って、刺し続けてたんやから。


 
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