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神様転生した先のサイバーパンクで忍者になって暴れる話

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リレーションズ・サクラ・アンド・ムラサキ
  1話

 
前書き
 今後は部を作っていこうと思います。
 忍殺語は難しいです。でも書くのが楽しい。 

 
 魔都トーキョーキングダム。その路地でふうまは時子と災禍、銀零と共にいた。
 雑多なトーキョーキングダムにしては珍しく、周囲に誰もいない。
 ふうま達の中心に、トキコが目をつぶって立っている。
 彼女の持つドウ・ジツは、視界自体を飛ばすことができる。偵察や捜査にはもってこいのジツである。
 これにより、彼等はある人物を探していた。

「さんざん、暴れたようだな。その井河さくらに似ている奴は」
「そのようですね」

 ふうまと災禍、銀雫達は顔を険しくしていた。銀雫にしては鼻を押さえている。
 所々に魔族達の死体がネギトロめいて捨てられている。
 死体はまるで同士討ちしたように、互いに刃を突き刺しているものさえあった!コワイ!

「この死体は一体?」

 呆けた表情で虚空を見つめているだけの魔族を見つけた銀零が、不思議そうに声を上げた。

「精神を壊しているな」
「精神操作にかかわる能力でしょうか?」
「かなり特殊な能力だ」
 同じ死体を見たふうまが、感心したような表情で言う。

「親方様。見つけました」

 トキコが眼を開けて告げた。懐から携帯端末を出す。画面に地図を写し出した。

「ここにいます。現在休息中のようで、動き出す様子は一切ありません」

 地図の一部分を指し示す。
 地図によれば、広い敷地の広場のようだった。
 広場を囲むように、ビルが三つ立っている。
 横幅がタタミ三つ分ぐらいの直通の道だけが、路地と広場をつないでいる。
 その広場の中心に、彼等の目的の人物がいるようだ。

「このビルからなら、相手に気づかれることはないでしょう」

 自身の背ほどもあるスナイパーライフルを背負った銀零が、地図のある一点を指さした。
 ふうまが銀零に視線を送る。

「狙えるか?」
「愚問です」

 ふうまの問いに、胸を反らして銀零は答えた。
 その胸は豊満であった。

「時子。ターゲットは今どうしてる?」
「休息中ですね。ただ」
 
 ふうまに聞かれた時子は、なにか言いにくそうに口ごもる。

「どうした?トキコ」
「サイカ=サン。実は」

 年長の災禍に問われた時子は、おもむろに閉ざしていた口を開いた。
 彼女の話をまとめるとこうなる。
 ターゲットは、米連らしき装備をしていた。
 姿形は、井河さくらと瓜二つ。
 ただし、

「現在のイカワさくらよりも若いだと?」
「はい。そうみえました」
 
 との事だった。

トキコの報告を聞いたふうまは、頭を悩ませている。

「米連のクローン実験体か?ザイバツから多少の情報が流れたようだし」
「米連の施設から逃げ出したのでしょうか?」
「それにしては、米連の人員が動いてませんね」

 災禍と銀零が意見を重ねていく。
 二人の意見を吟味したふうまは、トキコに視線を送る。

「他に気付いたことはあるか?」

 彼女は再び目をつぶる。数瞬後、目を開けてしゃべり始めた。

「前にお屋形様がスカウトしたダイブの装備と似た物を着ています」
「ということは米連関係者か。メンポ・ニンジャの関係ではないらしいから、遠慮は無用だ」

 ふうまの言葉に、すぐさま災禍が携帯端末を取り出しどこかへ連絡する。
 その後、どこからか足跡が聞こえてきた。
 路地裏や大通りから大量のクローンオーク達が現れた。彼らクローンオークは、ソウカイヤの手を使い様々な処で身を隠して生きている。
 そのクローンオークが今集結していた。

 クローンオーク達は、ふうま達の後ろでクローンヤクザたちは一斉に痰を吐いてから素早く後方に下がり、後ろに手を組んで威圧的に整列! まるで命令を待つジョルリの様だ。
 
 「銀零は狙撃場所で待機。時子はここで待機して、状況を俯瞰。災禍はクローンオークと共に俺と一緒に来い」 12

 ふうまの命令に時子達は頷き行動を開始。銀零は暗闇に身を隠し、トキコは大量のクローンオーク達と待機する。
 ふうまは災禍と数人のクローンオーク達と共に路地を進んでいくのだった。




 ある広場で、身体にびっちりと張り付くスーツをきたオレンジ色の女が体を丸めて休んでいた。
 疲れを癒していた彼女は、何かを察したように体を起こして構える。スーツの前が透明であり、素肌が丸見えな。その胸は豊満であった。
 彼女の前に暗闇からふうまと災禍が姿を表す。

「ドーモ、ハジメマシテ。フウマ・ニンジャです」
「ドーモ、ハジメマシテ。フウマ・サイカです」
 先手を取ってふうま達がアイサツを交わす。

「ドーモ、フウマ・ニンジャ=サン。フウマ・サイカ=サン。イガワ・サクラです」

 アイサツを終えると、さくらの姿が影に溶け込んでいく。彼女のジツ。影を操り溶け込むエイトン・ジツだ!ゴウランガ!

「クローンがジツを!」

 本来クローンはニンジャ固有のジツを使うことはできないと言われている。使えないはずのジツを使った事に、災禍は驚きを隠せなかった。

「っ避けろ! 災禍!」

 立っている場所から飛ぶように離れながら、ふうまが災禍に支持を出す。
 災禍も指示通りその場から離れる。

「クローン? 私はちゃんとした井河さくらだよ」

災禍の立っていた影の中からさくらが現れた。

「話し合いすらなしか?」
「…………」

 ふうまの言葉に、さくらは眉を染めた。

「悪いことだとは解ってる。でも、謝らないよ。私にも理由がある」

 陰に溶け込もうとするさくら。
 だが、それを許さないように災禍が行動に出る。
 彼女はさくらと目が合っていた。

「イヤーッ!」
「ンアーッ!」

 災禍のジツであるドウ=ジツを使う。これにより、さくらの視界をジャックした。
 さくらは災禍のジツにより、視界が暗闇で覆われ何も見えない状態に陥っている。
 その間にふうまと災禍はその場から離れた。災禍のジツは瞬きをすると解けてしまう為、あまり長く持たない。
 数秒後、視界を取り戻したさくらが見たものは、

「ザッケンナコラー!」
「ザッケンナコラー!」
「ザッケンナコラー!」

 大量のクローンオークが向かってくる光景だった。

「アイエッ! オーク! オークでヤクザ! ナンデ!」

 クローンオーク達の全て同じダークスーツ姿と同時のヤクザスラングに、さくらが混乱した。
 どうやら、クローンオークの姿を見たのは初めての様だ。
 全員が同じ姿勢でさくらへ殺到!

「こんなのテストに出ないよぉ」

 弱音を吐きつつも、腰のカタナを取り出す。
 そしてその場の影に突き出した!

「イヤーッ!」
「グワーッ!」
「グワーッ!」
「グワーッ!」

 クローンオーク達の足元から、影のカタナが現れケバブめいた惨殺死体に変えた!コワイ!
 さらなるクローンオークが路地から出現!
 その場の影にカタナを突き刺す!

「イヤーッ!」
「グワーッ!」
「グワーッ!」
「グワーッ!」

クローンオーク達の足元から、影のカタナが現れケバブめいた惨殺死体に変えた!
 何度も現れるクローンオーク達を殺すが、多勢に無勢。このままではジリー・プアーだ!さくらは実際疲れが見え始めている。

「はぁはぁ」

 疲れで息が切れ始めている。彼女はジツの発動で、ある程度の体力を消費していた。
 そのせいでカタナを影にさすのが遅れた。
 隙を突いたクローンオーク達が、さくらの目の前まで移動している。

「イヤーッ!」
「グワーッ!」

 目の前のクローンヤクザにカタナを突き刺す。
 抜こうとするが抜けない。クローンヤクザのバイオ強化筋肉が、カタナをしっかり掴んでいる。
 後ろからクローンオークが、さくらに襲い掛かった。

「スッゾコラー!」
「ヒサツ・ワザ! イヤーッ!」

 向かってくるクローンオークの顔を、さくらの片手が掴んだ。

「グワーッ!」

 彼女はそのまま数瞬の間掴み続けて離した。

「スッゾコラー!」
「グワーッ!」

 掴まれていたクローンオークは他のクローンオークを突然殴った!
 これこそが、さくらのヒサツ・ワザである。元々持っていたエイトン・ジツを英連がハイテックで強化。相手の心の影に入り込み操作する恐るべきジツと化していた!スゴイ!
 そのクローンオークは、直ぐに近くにいるクローンオーク達に、囲んで棒で叩かれていった。
 カタナを諦めて手放し、大型のクナイを構える。

「イヤーッ! え」
「グワーッ!」

 クナイで近くのクローンオークの首を跳ねた瞬間、さくらの足が凍り付いた!
 近くのビルに隠れている、銀零のアンプッシュだ。彼女は右目で射抜いた物を冷気で氷結させる、ドウ・ジツの使い手だった。
 さくらはそれに気付かず、驚愕で体が硬直する!

「ザッケンナコラー!」
「ンアーッ!」

 ウカツ! その隙を突き、クローンオークがサクラの腹を殴った。
 吹き飛びビルに直撃!粉塵を撒き散らす。

「スッゾコラー!」
「スッゾコラー!」
「スッゾコラー!」

 煙の中へクローンオーク達が突撃。このまま拘束してネンゴロしようとしているのだ!
 このままでは、サクラの身が実際危ない。
 粉塵が晴れると、困惑してその場に立ち尽くすクローンオーク達の姿が現れた。

「一体どこへ」

 状況をビルから監視していた銀零が困惑。広場を見渡す。

「見つけた。イヤーッ!」
「ンアーッ!」

 突然彼女の後ろから現れたさくらがアンブッシュの一撃!
 横腹にケリ・キックを受けて、その場に倒れた。

「ドーモ、ハジメマシテ。イガワ・サクラです」

 倒れる銀零に向けてアイサツした。

「ドーモ。イガワ・サクラ=サン。フウマ・ギンレイです」

 銀零もかろじて立ち上げりアイサツした。
 アイサツを終えたさくらは銀零にクナイ・ダートを刺そうとする。だが、

「イヤーッ!」
「ンアーッ!」

 突如虚空から現れたふうまが、さくらに容赦ない蹴り!あれは伝説のカラテ技、サマーソルトキック!
 さくらは衝撃のあまり部屋の壁に叩きつけられた!ゴウランガ!
 片目が銀色に輝くふうまは一度目を閉じた。

「スゥーッ! ハァーッ!」

 そのまま一度ザゼン姿勢を取り深くチャドー呼吸。ジツで大量に消費した体力を、呼吸で促進していくニンジャ回復力で取り戻していく。
 もう一度開くと銀色に輝く光は消えていた。

「うぅ」

 立ち上がろうとするさくらを、今度は金色に輝く片目で見つめる。
 ザゼンを止めて立ち上がり、さくらに近づいていく。銀零も眼帯を外した片目で彼女を見つめ、ドウ=ジツをすぐに発動できるようにしている。
 さくらの目の前までふうまは移動した。

「まだだ。ヒサツ・ワザ! イヤーッ!」

 前に立つふうまに奇襲めいたパンチを放つ!ハヤイ!
 彼女のヒサツ・ワザでふうまの心の影に入り込もうとしている。しかしヒサツ・ワザは何の効果も表れず、威力のない掌底で終わった。

「ナンデ!」
「お前のジツを奪った」
「アイエッ!」

 ふうまの言葉に驚き、その場に座り込む。

「そんな…………。返せよ! この、イディオット!」
「バカハドッチダー!」

 ふうまは冷酷な瞳で罵りの言葉を吐き出す。慈悲が深きブッダでさえも目を背けるほどの汚い言葉だ!
 それでもさくらは毅然とした態度で、ふうまを睨む。

「それがないとムラサキ=サンを助けられないんだ! 返せ!」
「?」

 さくらの言葉にふうまは首を傾げた。
 何せ彼は、先日タナカ=センセイとしてむらさきとあったばかりであった。

「クローンむらさきでもいるのか?」
「はぁ! クローン? あのムラサキ=サンがクローンなわけないじゃん」
「いや、ムラサキ=サンは元気に五車学園で教師をしていたぞ」
「ええ!」

 ふうまの言葉に、さくらは驚きを隠せなかった。

「ムラサキ=サンは、まだ私と一緒に学生をしているよ」
「???」
 
 再びふうまは首をかしげる。さくらも何かおかしいと思い、首を傾けた。
 二人の間に困惑したアトモスフィアが漂う。銀零もその空気に飲まれて、首をかしげていた。

「どうやら、情報交換が必要なようだな。今度は話し合えるか?」
「……わかった」
 
 戦っている場合ではないことが分かったのだろう。さくらはふうまの提案に頷くのだった。
 
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