| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 【灰村 諸葉が進む道】

作者:Bloo-D
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

転生
SCENE2
  第7話

 
前書き
再び波乱⁉︎ 

 
朝。

モロハ「……。」
-よく寝た……。-
 ̄窓から降り注ぐ陽の光で目が覚めた。
よく眠れたおかげか、なんだが良い気分だ。
が…、 ̄
モロハ「う…んん……?」
-何だ?身体が…重い……。オマケに、この膨らみは…何?-
 ̄なんだか身体が重くて起き上がれない上に、俺のすぐ隣の毛布が妙に膨らんでいた。 ̄
-なんだろう?-
 ̄疑問に思って毛布を捲ってみると…、 ̄
グリューネ「……。≪スヤスヤ≫」
-ぐっ、グリューネさん何でここに⁉︎しかもなんで俺に抱きつく感じに寝てる訳⁉︎
じゃあ身体が重く感じたのは、グリューネさんが俺に抱きついて寝てたからなのか⁉︎-
 ̄そこにいたのはなんとグリューネさん。しかも俺に抱きつく感じで寝てる。オマケに起きる気配も無い。 ̄
-マズイ。こんなところをカノンノにでも見られたらタダじゃ済まされないだろうなぁ。どうしよう…どうしよう……。-
 ̄身動きが取れない上にカノンノの事で困惑する俺。
昨日の事でカノンノが俺を意識しているのはある程度わかっている。手合わせ後に取った行動。オマケにロックスに“お嬢様はモロハ様を意識しておられますかから、ガッカリさせないで下さいね。”なんて言われてる。
俺の考えが正しければ、カノンノがこの状況を目撃すれば絶対に制裁を下すに違いない。寧ろそれ以外にあり得ない。
すると…、 ̄

グリューネ「う〜ん…もう朝……?」
 ̄グリューネさんが起きた。 ̄
モロハ「グリューネさん、なんで俺の部屋に?」
グリューネ「ふふっ、モロハ君と寝たかったからよ♪嫌かしら?」
モロハ「嫌じゃありませんけど、せめて寝る前に声をかけてくれるとありがたいんですけど……」
グリューネ「それじゃあロディが邪魔して来るでしょ。だから、あなたが寝た隙に忍び込んだのよ、モ・ロ・ハ・君♪」
モロハ「……。」
-“忍び込んだ”って、明らかに犯罪だろ……。-
 ̄グリューネさんに理由を聞くと、“俺と寝たかったから”と答えて来た。俺としては寝る前に声をかけてくれると良かったが、“ロディさんに邪魔されるから”と俺が寝た隙に忍び込んだと答えて来た。 ̄
グリューネ「じゃあモロハ君、目覚ましのキスをしてあげる♪」
モロハ「はあ⁉︎何で///⁉︎」
グリューネ「良いじゃないキスくらい。さっ、は・や・く♪」
モロハ「する訳無いでしょ///!とにかく俺はここで……」
グリューネ「あらっ、逃がさないわよ♪」
≪ドサッ‼︎≫
モロハ「うわっ!」
 ̄突然、目覚ましのキスをすると言って来たグリューネさん。そんなグリューネさんから離れようとベッドから出ようとした俺だが、グリューネさんは逃がすまいと馬乗りする形で俺の身体の上に乗って来て、しかも両腕を掴まれて俺は完全に無抵抗な状態になってしまった。 ̄
≪ズイッ≫
グリューネ「さあっ、逃げても無駄よ。大人しくキスをして貰うわね♪」
モロハ「……。≪ガタガタブルブルッ≫」
-ヤバイ、グリューネさんとても良い香り。オマケに胸があたって凄く気持ちいい。このままじゃキスどころじゃ済まされない。どうする…どうする……。-
 ̄無抵抗となった俺に身体を密着させ、顔を近づけて今にもキスしようと迫るグリューネさん。
しかも、今のグリューネさんの目は獲物を狙うかのような目になってる。それだけじゃなくグリューネさんから良い香りがする上に、身体を密着させて来ているから胸があたって来て、俺は大人の誘惑に負けそうな状態。
あまりの事態に困惑していたその時…、 ̄

ーーーー

≪パシュッ≫
カノンノ「モロハ、朝だよ!そろそろ起き…て……。」
モロハ「あっ……。」
-ヤバイ…天の助けとはいえ、カノンノだったら余計にヤバイ……。-
 ̄扉が開いたと思ったら、カノンノが部屋に入って来て固まった。
まあ、俺がグリューネさんに密着されているところを見たら固まるのも仕方が無いだろうけど、俺としては本当に最悪な展開だ。 ̄
カノンノ「モロハ、一体どういうこと?なんでグリューネさんがモロハの上に乗ってるの?≪ギラリッ‼︎≫」
モロハ「待ってくれカノンノ、落ち着いて!これは……」
カノンノ「"獅子戦吼"‼︎」
モロハ「ぎゃ〜〜〜!」
 ̄するといきなり大剣を手にとったカノンノ。今のカノンノが怒り心頭な状態になっていたのが、俺にはわかった。
そんなカノンノを宥めようとした俺だが、カノンノはそれを無視して攻撃。俺はその攻撃を躱す暇無く喰らって沈黙した。 ̄

グリューネ「あらあら。残念ね♪」
一方のグリューネは直撃の前にモロハから離れたため無傷だった。
-呪ってやる〜〜‼︎-

ーーーーーーーーーーーーーーー

 ̄その後…、 ̄
『……。』
 ̄ホールには重い空気が漂っていた。
正座させられている俺とグリューネさん。それに対峙するはカノンノと、話を聞いて駆け付けたロディさん。そしてその間に立つのはアンジュさん。
特にカノンノとロディさんからは、なんだが黒っぽいオーラみたいなものが放出されて本当に怖い。 ̄
アンジュ「それで、どういうことなのかしら、モロハ?」
モロハ「えーと、実は……」
 ̄アンジュさんに聞かれた俺はことの全てを話した。 ̄

ーーーー

アンジュ「なるほどね。」
ロディ「たく、油断の隙もないわね!」
グリューネ「良いじゃない。減るものじゃないんだし♪」
モロハ「俺の寿命が減る……。≪ボソッ≫」
「「……。」」
 ̄話を聞いて納得してくれたアンジュさん。けどロディさんは怒っている。まぁ、無理も無いか。それに対してグリューネさんは“減るものじゃない。”と言うが、俺としては寿命が減るものだ。俺がそう呟いた後、カノンノとロディさんはムッツリした顔でグリューネさんを睨んだ。 ̄
アンジュ「はぁー。全く、朝から大変ね、モロハは。」
モロハ「はい……。」
アンジュ「今回はグリューネさんが悪いんだし。モロハは無罪とするわ。それと、グリューネさんは今後モロハの部屋に入る事は禁止。破った場合は厳しい罰を与えるから気をつけてね。」
グリューネ「はい……。≪シュンッ≫」
モロハ「ほっ……。」
 ̄今回はグリューネさんが悪いとして俺は無実となり、グリューネさんは俺の部屋に入る事は禁止になり、俺は安堵した。
第一、こんな事が何度もあったらたまったものじゃない。 ̄

ロディ「ゴメンね。私が早く気付いていれば、未然に防げたのに。」
モロハ「いいんですよ。よく注意していなかった俺にも非があるんですし。」
 ̄話の後、ロディさんはグリューネさんを止めることが出来なかった事を謝ったが、俺はそんなロディさんを許してあげた。
第一として、今回の件はよく注意していなかった俺の方が悪いのだから、ロディさんが謝るものじゃない。 ̄

モロハ「あの…カノンノ……」
カノンノ「今回は仕方ないから許してあげるよ。けど、次からは気をつけてね?」
モロハ「はい、気をつけます……。」
 ̄とはいえ、俺としてはカノンノが心配だった。言い訳する前に攻撃して来たのだから、カノンノが怒っていることは間違いない。そのことでカノンノに謝ろうとしたが、カノンノは俺の事を察したのか許してくれた。
だが、笑顔で念を押して来たので、俺は気をつける事を誓った。 ̄

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ̄その後食堂で朝食を終えた俺はホールに出た。
未だに依頼に出る事は禁止されていて本当に辛い。 ̄
モロハ「はぁ〜〜……。」
-本当に辛い。一体いつになったら終わるんだ?この地獄……。-
すると…、

カノンノ「あっ、モロハ。」
モロハ「やあっ、カノンノ。」
 ̄カノンノとはち会った。しかも手には本らしきものが抱えられている。 ̄
モロハ「カノンノって、絵を描くの?」
カノンノ「うん。自信は無いけどね。」
モロハ「へぇー。」
 ̄なんでもカノンノは絵を描くらしい。俺は絵にはあまり興味はないが、カノンノが描いた絵なら見てみたい気がする。
その時…、 ̄
ロックス「お嬢様。そろそろなくなる頃の筈でしたから、スケッチブックを買っておきましたよ。」
カノンノ「あっ、ロックス。ありがとう、じゃあ大事にしないと。」
≪タッタッタッタッ……≫
 ̄ロックスからスケッチブックを渡されたカノンノはそれを抱えてホールを後にした。 ̄

モロハ「カノンノって、絵を描くの?」
ロックス「はい。時間さえあればいつでも描いてますよ。」
モロハ「へぇー。」
-カノンノの絵かぁ…見てみたいなぁ。-
 ̄カノンノが絵を描くのかロックスに聞いてみたら、なんでもいつでも描いてるらしい。
それを聞いた俺は、カノンノの絵が見てみたくなった。 ̄
その時…、

ロックス「あっ!絵筆を忘れてました‼︎」
モロハ「えっ?」
ロックス「すみませんモロハ様、お嬢様に絵筆を届けてくれませんか?
僕はこの後、食堂に戻らないといけないのです!」
モロハ「別にいいけど、カノンノは今何処に居るの?」
ロックス「いつもは上の操舵室にいますから、そこにいる筈です。」
モロハ「わかった。」
 ̄どうやらロックスは、カノンノに絵筆を渡すのを忘れたみたいだった。その絵筆をカノンノに渡すよう頼まれた俺だが、カノンノが何処に居るのかわからない俺はロックスに聞いた。ロックスによると、普段は操舵室にいると聞いたので、俺は昨日アンジュさんから渡された船内見取図を頼りに操舵室に向かう。 ̄

ーーーーーーーーーーーーーーー

 ̄広い船内のせいか迷いそうにはなったが、操舵室に到着。
周囲を見回していると…、 ̄
カノンノ「モロハ、どうしたの?」
 ̄俺に気付いたのか、カノンノが声をかけてきた。 ̄
モロハ「実はロックスからこれを渡して欲しいって。」
 ̄そう言って俺はカノンノに絵筆を渡す。 ̄
カノンノ「ありがとう、わざわざ届けに来たのね。」
モロハ「まあね。それ以外に、カノンノの絵が見たかったから。」
カノンノ「私の絵を?」
モロハ「うん。」
カノンノ「でも、そんなに上手じゃないよ。」
モロハ「上手じゃなくても、気持ちが籠っていれば、どんな絵も上手に見えるんだよ。」
カノンノ「本当?じゃあ、見せてもいいよ。」
 ̄その直後俺は、カノンノの絵を見たい事を言った。
カノンノはなんだが気が進まない顔をしたけど、俺の言葉を聞いて見せる気になってくれた。 ̄
カノンノ「はい、これが私の描いた絵よ。」
 ̄そう言ってカノンノは3枚の絵を見せてくれた。何かの植物のような絵と建物のような絵、そしてなんとも表現出来ない絵。確かに上手じゃないかもしれないけど、俺にはそんな風には見えない。
寧ろ上手に見える。 ̄
モロハ「良い絵だね。どこに出しても恥ずかしくない出来だ。」
カノンノ「ありがとう。
ねぇモロハ、こんな風景って、どこかで見たことある?」
モロハ「……。」
-そんなことを言われてもなぁ……。-
カノンノ「どう?」
モロハ「いや、残念ながら…見たことない。」
カノンノ「そう……。」
 ̄俺はカノンノの絵を高く評価した。理由は上手に見えるからだ。
それを聞いたカノンノは笑顔を浮かべ、その風景を見たことあるか聞いて来た。が、俺はその風景は今迄に見たことがない。寧ろ記憶にないと言った方が正しい。その為俺は見たことがないと言うしかなかった。 ̄
モロハ「この絵は何かを見て描いたの?」
カノンノ「ううん。なんだが頭に浮かんだのを基に描いてるだけ。けど、これと同じ風景がどこかにあるって、私は思ってる。」
モロハ「そっか。じゃあ、俺はカノンノを信じるよ。」
カノンノ「あっ、ありがとう……///。」
モロハ「ねぇ、また絵を見せてくれる?」
カノンノ「うん、いいよ。≪ニコッ≫」
モロハ「……。」
-なんかカノンノの笑顔を見てると、誰かを思い出すなぁ。でも、誰だろう?-
 ̄カノンノにその絵の事を聞くが、なんでも頭に浮かんだ風景を基に描いてるらしい。
でも、カノンノが描いてるのだから、その風景がどこかにあると俺は信じる。また絵を見せてくれるか聞くと、カノンノは笑顔で答えてくれた。その笑顔を見てると、誰かを思い出す気がしたが、誰なのかわからない。 ̄

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ̄カノンノに絵筆を届けてホールに戻ると…、 ̄
アンジュ「……。」
 ̄アンジュさんが難しい顔をしている。 ̄
モロハ「アンジュさん、どうかしました?」
アンジュ「あっ、モロハ。実はね、モロハのことが知らないところで知れ渡ってるらしくて、あなたへの決闘の依頼が殺到してるのよ。」
モロハ「えっ?」
-俺のことが?-
アンジュ「しかもその依頼の数…下手をしたら100を超えるかもしれないの。」
モロハ「⁉︎」
-100⁉︎勘弁してよ!第一、昨日のでも十分疲れたのに‼︎-
 ̄話を聞いてみたら、それは俺への決闘の依頼のことだった。しかもその依頼の数が100を超えるらしく、俺はただ驚くしかない。 ̄
モロハ「それで…どうするんですか…その依頼は……?」
アンジュ「それは断ろうと思ったのだけど……。」
モロハ「だけど……?」
アンジュ「その話を聞きつけた闘技場のオーナーが、“おいらの闘技場で執り行う。”って感じで、どうしてもやることになったみたいなの。」
モロハ「はあっ⁉︎」
アンジュ「でも、あまりにも多いから、40組になったらしいけど……。」
モロハ「……。」
-やらなきゃいけないのかよ……。-
アンジュ「とはいえ、ギルドの名声の為にも…頑張ってね、モロハ。」
モロハ「はい…頑張ります……。」
 ̄だが今の俺は依頼に出ることを禁じられている。幾らなんでもそう簡単に引き受けるわけにはいかない。
けどその件は闘技場のオーナーの勝手な判断でやることが決まっているらしく、アンジュさんもギルドの為に頑張ってくれなんて言って来た以上は引くわけにはいかない。
仕方なく俺はアンジュさんの指示で闘技場に行くことになった。 ̄

____________________

 ̄闘技場のある街に出た俺。 ̄
≪ガヤガヤ……≫
 ̄闘技場がある街のせいかなんだが活気に溢れている。 ̄
「おい。あいつって……。」
「間違いない。噂のあいつだ!」
「へぇー、あいつがあの。」
「初心者なのに、〔トレント〕を単独撃破した奴かぁ。だとすると、相当強いんだろな。」
「だろな。」
 ̄道中で俺のことを話してる人が大勢いる。どうやら俺の事は広く知れ渡ってるみたいだ。
けど、どうしてその話が広まったかは謎だ。 ̄

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ̄道をとにかく進んでどうにか闘技場に到着。
そこは人で溢れかえっていた。見物客らしき人もいれば、武器を抱えている人もいる。見た感じで千は確実に超える。 ̄
モロハ「凄いな…こりゃ……。」
 ̄その光景を目撃して俺はそう呟くしかなかった。
すると…、 ̄
「やあ、君がモロハだね。」
モロハ「?」
 ̄後ろから声を掛けられ、その方向を向くと、そこにはロックスによく似た生き物がいた。 ̄
モロハ「えーと…どなた?」
「おいらはモルモ。この闘技場のオーナーだ!」
モロハ「ああ〜…そうでしたか……。」
-こいつが…闘技場のオーナーかぁ。一思いに殴ってやろうかと思ったが…これじゃあ殴る気にもなれないなぁ……。-
 ̄話を聞くところ、本人は闘技場のオーナー。
俺にとっては、俺自身の不満を頂点にさせた張本人だ。もしそのオーナーに会ったら、不満の解消の為に殴ってやろうかと思ったが、相手がこれじゃあその気もどこかに飛んでってしまった。 ̄

モルモ「おいらの闘技場にようこそ。待ってたよ!」
モロハ「はあ……。」
モルモ「それじゃあ控え室に案内するよ。ここで話すのもなんだし。」
モロハ「お願いします。」
 ̄と言った感じでモルモに先導されて、俺は控え室に向かう。 ̄

ーーーー

モルモ「それじゃあ、今日の予定について説明するよ。今日は、君に決闘を申し込んだギルドの代表と単独で申し込んだ人の計40組で40戦行う。途中休憩は勿論あるから安心してね。」
モロハ「はい……。」
 ̄控え室に着いた俺は早速、オーナーのモルモから説明を受けた。
決闘は40戦あるらしく、気が遠くなる。けど途中休憩はあるらしくそれだけが俺を安心させる。 ̄

モルモ「それじゃあ、試合はもうすぐ始まるから準備してくれ。」
モロハ「わかりました。」
 ̄モルモにそう言われた俺は相棒の<サラティガ>を片手に持ち、決闘の場に歩いて行った。 ̄

ーーーー

 ̄決闘の場に出ると…、 ̄
『わあぁ〜〜〜〜‼︎』
 ̄観客席あたりから、耳を塞ぎたくなるほどの騒ぎ声に驚かされる俺だ。その中にはアンジュさんやカノンノ達もいる。因みに俺の前に立つ相手は、誰が見ても屈強の戦士だとわかる体格の持ち主だ。 ̄

モルモ「では只今から、ギルド<アドリビトム>のモロハとの決闘を執り行います!」
『わあぁ〜〜〜〜‼︎』
 ̄その一声と共に、決闘は始まった。 ̄

ーーーーーーーーー

 ̄この決闘、思ったより長く続くものでもなかった。昼休憩になるまでに38組を倒し、残る2組は昼を挟んだ後でやる事なった。 ̄
モロハ「ふう〜。」
-案外楽勝だったな。この調子なら、昼過ぎ辺りには終わるな。-
 ̄昼休憩で控え室に戻った俺はそう呟いた。 ̄

モルモ『これから午後の試合を始めます!選手は決闘の場に入場して下さい!』
モロハ「来たか。」
 ̄その時、午後の試合の始まりを報せるアナウンスが聞こえ、俺は決闘の場に向かう。 ̄

ーーーーーーーーーー

 ̄決闘の場に出てみると…、 ̄
「次の相手は、私です♪」
モロハ「?」
 ̄今度の相手は俺と同じ年代くらいのエプロン姿の女性。しかもその手には、妙なのが握られている。 ̄
モロハ「えーと…君は?」
「私はリリス・エルロンです。リリスと呼んで下さい。」
モロハ「エルロン?まさか、スタンさんの……」
リリス「はいっ、妹です。」
モロハ「成る程、道理でスタンさんに似てるんだ。」
 ̄次の相手はスタンさんの妹のリリス。確かにスタンさんによく似てる。 ̄
モロハ「けど…武器は?」
リリス「私の武器は、“おたま”と“フライパン”と“マンボウ”です!」
モロハ「なっ⁉︎」
-なんだよそれ⁉︎完全に武器でもなんでもないだろ!てかそれを武器にしてイイのかよ⁉︎-
 ̄念の為に武器について聞いてみると、両手に握られているおたまとフライパン,そしてどこから出したのかわからない大きなマンボウ。
これが本当に武器と言えるのだろうか……? ̄

ーーーー

 ̄っとそんな話はそっちのけに…、 ̄
リリス「では行きます!」
モロハ「おうっ、来い!≪ギラリッ‼︎≫」
 ̄決闘が開始され、リリスが俺の懐辺りを目掛けて突っ込んで来た。そんなリリスを迎撃するべく俺は<サラティガ>を構える。 ̄

≪カンッカンカンッ‼︎≫
リリス「えい!やっ!たぁ!」
モロハ「……。」
-やるね。-
 ̄武器が変わってる分、闘い方も違う。おたまとフライパンで斬り下ろしからの武器での打ち付け。
しかも隙も見当たらない。流石はスタンさんの妹だ。
すると…、 ̄
リリス「"リリスラッシュ"‼︎」
モロハ「くっ!」
おたまとフライパンでの連続打ち付け。
リリス「"死者の目覚め"‼︎」
モロハ「〜〜⁉︎」
-うっ、なんてけたたましい音だ。耳がイカれそう……。-
おたまとフライパンで打ち鳴らしての音波攻撃。これには観客も耳を塞ぐ始末。
攻撃はこれに留まらず…、
リリス「マンボウかもん!"まんぼうストライド"‼︎」
モロハ「げっ⁉︎」
マンボウの背中に乗っての体当たり。
だがモロハ、どうにかその攻撃を躱した。

モロハ「やるな。なら、俺も負けてらんないな!」
 ̄そう言って俺は反撃を開始する。 ̄
モロハ「"飛天翔駆"‼︎」
リリス「うわっ!」
空中にジャンプして、斜め下のリリス目掛けて急降下。
更に…、
モロハ「"閃空裂破"‼︎」
リリス「あっ!」
回転斬りで敵を浮かして、追撃に空中から突き攻撃。
そして…、
モロハ「一気に決めてやるっ!"魔皇刃"‼︎」
リリス「きゃっ!」
周囲に放たれた強力な衝撃波。

リリス「くっ…参りました……。」
『わあぁ〜〜〜〜‼︎』
 ̄今のが見事に決まり、これで39連勝。
観客達はかなり盛り上がっている。 ̄

ーーーーーーーーーー

モルモ「では最後の試合を執り行います!最後は我が闘技場のチャンピオン!マイティ・コングマンだ〜〜‼︎」
『おぉおお〜〜〜〜‼︎』
モロハ「……。」
-最後の相手はチャンピオンかぁ〜。面白い、やってやるぜ!-
 ̄リリスが退場した直後に最後の対戦相手が発表された。
なんでも闘技場のチャンピオン。これには観客も湧き立ち、俺もヤル気を出す。 ̄

モルモ「では登場していただきましょう!闘技場チャンピオン!マイティ・コングマン‼︎」
 ̄その一声と共に、チャンピオンが姿を現した。
頭は刈り上げで、腰辺りにはチャンピオンベルトのようなベルトを着けていて強そうに見える。 ̄
コングマン「ふっはっはっはっはっ!俺様がチャンピオンのマイティ・コングマンだ‼︎」
『わあぁ〜〜〜〜‼︎』
 ̄甲高い声での紹介の直後、観客から歓声が湧き上がる。相当人気みたいだ。 ̄
コングマン「おめぇがモロハだな?その実力、チャンピオンであるこの俺様の筋肉でしっかり見極めてやろう!」
モロハ「はいっ、お願いします!≪ギラリッ‼︎≫」
 ̄この人がチャンピオンだとわかれば俄然やる気が出る。 ̄

ーーーー

コングマン「それじゃあ行くぜ!」
モロハ「はいっ!」
 ̄試合開始と同時に攻撃態勢に掛かるコングマンさん。俺は警戒しつつ邀撃に入る。 ̄
≪ガッ、ドガッ、ドゴッ‼︎≫
コングマン「おりゃっ、うりゃっ、とぅあっ‼︎」
モロハ「くっ……。」
 ̄拳で闘って来るコングマンさんを俺は素手で迎撃。
けど、素手じゃどうにも防ぎ切れない。 ̄
コングマン「"ファルコンフレッジ"‼︎」
モロハ「ぐっ!」
ジャンプしながら膝蹴り。
更に…、
コングマン「"グレイトアッパー"‼︎」
モロハ「うわっ!」
地上でアッパー、更に跳び上がりつつアッパーを繰り出して空中高く打ち上げ。
そして…、
コングマン「"ヘルズハリケーン"‼︎」
モロハ「ぐえっ!」
素早い拳の五連攻撃。
だがこれに留まらない。
コングマン「これだけじゃねぇぞ!」
モロハ「⁉︎」
-まさかっ⁉︎-
 ̄なんか嫌な予感がしたが、その予感は的中した。 ̄
コングマン「今だぜ! 気合だぁ!"トレビアンヒップ"‼︎」
モロハ「うわっ!」
両手で殴りつけて浮き上がったモロハに強烈なヒップアタックとともに押しつぶし。

ーーーー

カノンノ「モロハ!」
これを見たカノンノは驚きの声を上げる。

ーーーー

モロハ「くっ!」
-流石だな。けど、ここまで来た以上、負けるわけにはいかない!-
≪スック≫
モロハ「なら今度は、こっちの番です!」
コングマン「おうっ、来やがれ!」
 ̄コングマンさんの攻撃でその場に倒れたが、すぐ立ち上がって負けじと攻撃を叩き返す。 ̄
モロハ「いっけぇ!"虎牙破斬"‼︎」
コングマン「ぐぉっ!」
下段斬り上げからの上段斬り下ろし。
更に…、
モロハ「逃がさない!"真空裂斬"‼︎」
コングマン「どうぁ!」
空中へと縦回転斬り。
そして…、
モロハ「一気に決めてやる!"真空千裂破"‼︎」
コングマン「ぬぅあっ!」
連続突きからの回転斬り。
モロハ「まだだ‼︎」
コングマン「何っ⁉︎」
コングマンと距離を詰め…、
モロハ「うおおおっ!これでとどめだ!"冥空斬翔剣"‼︎」
コングマン「ぐっひゃあ!」
2度斬りつけた直後の、真上にジャンプしながらの斬り上げ。

コングマン「くっそう、悔しいが仕方ない。負けを認めよう。」
 ̄コングマンさんが負けを認めた事で俺の勝ちが決定した。 ̄

ーーーーーーーーーー

モルモ「試合終了!長い闘いの中、多くの挑戦者を征したのは、ギルド<アドリビトム>のモロハだ〜〜‼︎」
『わあぁ〜〜〜〜‼︎』
モロハ「ふうっ……。」
-終わった……。-
 ̄長い闘いが終わり、やっと帰ることが出来ると思い一安心する。
が…、 ̄

コングマン「なぁモロハ。」
モロハ「はい?」
コングマン「お前、ギルドの奴だったよな?」
モロハ「そう…ですが……。」
コングマン「なら話が早い!おめぇらの拠点に案内してくれ!」
モロハ「⁉︎」
 ̄帰ろうとした時、コングマンさんが声をかけて来たので話を聞くと、拠点(バンエルティア号)に案内しろと言って来た。 ̄
モロハ「なっ、何故……?」
コングマン「何でも何も、おめぇが勝ち逃げするなんて許さねぇからさ!チャンピオンは常に1番でなくてはならねぇ!
だから、おめぇを倒すまで、おめぇのとこのギルドに居座らせて貰うからな。
勿論、ギルドの仕事は手伝うが、俺様の筋肉を心置きなく発揮出来る仕事に限定して貰うがな。」
モロハ「なっ、成る…程……。」
 ̄理由を聞くところ、“チャンピオンは常に1番でなくてはならない”と言う事らしい。 ̄

リリス「それじゃあ、私も案内して貰っても良いですか?」
モロハ「えっ?」
リリス「お兄ちゃんったら、家を出たキリ連絡して来ないので。ついでにギルドで働かせて下さい。私、お料理が得意なので。」
モロハ「わかった。
それじゃあ、2人共船に案内しますね。ギルドリーダーには、俺から話しておきます。」
コングマン「おうっ、これから宜しくな!」
リリス「不束者ながら、宜しくお願いします。」
 ̄すると今度はリリスが出て来て船に案内して欲しいと言い出して来た。スタンさんが連絡して来ないらしい上に、ギルドで働きたいそうだ。
断るわけにもいかないので、2人を船に案内する事にした。 ̄

____________________

モロハ「はぁ……。」
 ̄船に戻った頃にはすっかり夕暮れ時になっていた。それはまだしも、今の俺は今迄になく疲れている。
その理由は、船に戻る道中、男性から勝負だの女性から結婚してくれだの大勢に言い寄られ、振り切るのに長時間走っていたからだ。
リリスとコングマンさんは余裕な表情だが、俺は疲労で一休みしたいところだ。
そんな状態のままホールに入ると…、 ̄

スタン「はぁ〜、腹減ったなぁ〜。今晩は何だろなぁ。」
ルーティ「あんた、いっつも平和よねぇ。」
 ̄スタンさんとルーティさんが話してる。 ̄

リリス「平和…確かに、平和って良いですよねぇ。」
スタン「そうそう、平和って良いもの…って、リリス⁉︎」
ルーティ「しかも、コングマンまで!」
リリス「えへ。来ちゃいました☆暫くお世話になろうと思って♪」
コングマン「モロハを倒すまでの間、ここで厄介になろうと思ってな!」
 ̄するとリリス、2人の後ろについてそう呟き、その声に気付いた同時にコングマンさんにも気付いた。 ̄
スタン「コングマンは良いとして、なんでリリスがここにいるんだよ?」
モロハ「俺が連れて来ました。スタンさん、家に連絡してないとかで。」
スタン「あっ、忘れてた。」
リリス「忘れてたじゃないでしょ!人をどれだけ心配させたと思ってるのよ!ちゃんと反省してるの⁉︎」
スタン「うっ、すみません……。」
ルーティ「自業自得ね。」
モロハ「ははっ……。」
 ̄リリスが来た事にスタンさんが驚きの声を上げたから、俺がその事を説明し、それを聞いたスタンさんはすっかり忘れていたそうだった。その直後にリリスから説教をうけてスタンさんは反省し、ルーティさんはバッサリと言い切り捨てた。 ̄

ーーーーーーーーーーーーーーー

 ̄その後、アンジュさんにリリスとコングマンさんを紹介し、晴れて2人は同じギルドの仲間となり、リリスは早速食堂を手伝う事になった。 ̄

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ̄その後の夕食は仲間が増えた事でご馳走となって、一段と盛り上がった。 ̄

ーーーーーーーーーーーーーーー

 ̄その晩、風呂に入ってようやく安心出来ると思えば、いきなりルカとエミルが“イリアから逃げて来た。”と風呂場に駆け込んで来て、そこにイリアが入って来て大騒ぎになった。 ̄

ーーーーーーーーーーーーーーー

 ̄騒ぎの後、疲れたまま部屋に戻って、寝着に着替えずにベッドに入った。 ̄
モロハ「ふうっ……。」
-明日から…か……。-
 ̄俺は心の中でこう呟いた。
何の事かと言うと、“明日からは依頼に出ても良いよ。”てリリスとコングマンさんをアンジュさんに紹介した際にそう言われたからだ。 ̄
-明日からはやっと依頼に出られる。楽しみだなぁ。-
 ̄ようやく依頼と思うとワクワクする。
明日に備えるため、部屋の電気を消して眠りについた。 ̄ 
 

 
後書き
次回。ヘーゼル村へ。
サレと激突。
モロハ、新しい力に目覚める。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧