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IS〜もしもの世界

作者:にゃーす
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41話


ー大会当日ー


「・・・ん」

といつものように午前4時に起きる。
簪さんを説得してから、積極的になったのかいつもは俺から声をかけているのだがここの所は簪さんが俺を見つけて声をかけてくれるようになった。そこは嬉しい。嬉しいのだが、鍛錬中を見に来る時も多々あるのでそこは恥ずかしかった。そんなこんなで見事機体が完成したのもあり前日は、まあはっちゃけてしまったのも仕方ないと思う。
と1人思案に暮れていると誰かがドアをノックするので出る。

「はいはい。おはようさん。って簪さんか」

「おは、よう。・・・迷惑だった?」

「ん、全然。俺は開会式まで少し運動するけど簪さんどうする?」

「ん。ついてく」

と軽く会話すると俺は織斑先生に許可を取ってある空いた教室を使っていつもしている鍛錬をする。

そんな様子を見てすこし驚く表情をした簪さんが

「・・・いつもこんなこと、してるの?」

と、聞いてきたので少し苦笑しつつ返答する。

「ん、まあな。時々一夏も連れて・・・あ、すまん」

一夏と簪さんの専用機は、元々同じ所が担当しているのだが、国からの要請もあり簪さんの専用機は後回しにされたのであまり一夏の事を口にするべきでは無かったのだが、

「・・ん。気にしてない」

と首を横に振る簪さんを見て思わず安堵の息をついてしまったので、くすくすと笑う簪さん。

「確かに、織斑くんのせいで自分で作ったけど、お姉ちゃんも一人で組んだし何より、泰人に会えたっていうのもあるし」

と少し嬉しそうな表情をするので少し戸惑う。
それを誤魔化すように鍛錬に集中するが、

「・・・泰人ってヒーローみたいだね」

と言ってきたので竹刀を振る腕を止める。

「ヒーローね。うーん、俺が?」

「うん。颯爽とは言えなかったけど私の悩みを解決してくれたでしょ?」

ちょっとした皮肉に笑いつつ返答する。

「まあ、いきなりだから仕方ないけどヒーローとは呼べないかな。ほら。ギブアンドテイクっていう素敵な言葉があるだろ?」

と言うと、簪さんがなにか考え始めたので俺も鍛錬に戻る。



数十分したらセットしたタイマーが鳴ったので自室に戻ろうとしたら簪さんもついてきたので適当に座っててもらう。
















ー開会式ー


「それでは開会の挨拶を生徒会長からしていただきます」

と言うと楯無さんが挨拶やら物騒なことやら色々言って次の対戦表の発表に移る。もちろん俺も知らないので表を見ると、

「・・・まじかよ」

なんと第1試合が枢木泰人、更識簪ペアvs織斑一夏、更識楯無ペアとデカデカと載っていたのだ。

生徒たちはみんな歓喜やらの声援で叫び楯無はテヘッとジェスチャーをかまし、俺と一夏はただただ目頭を抑えると言うなんともいえない状況。だがそんなことは御構い無しにどんどん進み俺は簪さんを捕まえつつ第四アリーナで準備をする。

そして戦略を立てようとしたその瞬間

ーズドォォォォン!

突然自身が起きたかのような揺れに襲われ、自分は平気だったが簪さんが倒れそうだったので慌てて抱える。

「っとと。大丈夫か?」

「う、うん。それより今のは?」

と状況確認をするためにISを起動。一夏らにチャネルを開くよう掛けつつそこから逆探知、各々の視界などからデータ化した情報で敵を確認する。と、

「っ⁉︎なんだ・・・これ、多すぎる!」

異常とも呼べる敵の数。軽く10体は確認できる。
と、すると俺の取るべき行動はー

「簪!ISを起動して楯無の所へ!早く!」

「う、うん。でも泰人は?」

「俺は生徒の避難の援護をする!・・・危なくなったら逃げろ。いいな?」

「うん。・・・気をつけてね?」


豹変した俺の言動に戸惑いつつもその場を離れる簪さんだが見えなくなるまでこっちを振り向いていた。

「さて、・・・行くか!」

ISを展開。ワンオフの能力の発動と、同時に体内による発電を最大まで上げ。身体強化も最大に、そのまま敵まで一直線に駆けた。

「・・・いきなり正念場だが」

敵は鈴と一夏の時のゴーレムだが黒いマネキンのような禍々しい殺意に満ちていた。

「・・・織斑先生。聞こえますか?」

「・・・何だ?枢木か!」

「はい。時間が無いんで一言。今から生徒達の周りに斥力バリアを展開するんで5分で避難させてください」

「・・・わかった。だが危なかったら退けよ。いいな?」

「了解。死ぬまで守ります」

「・・!おいくるるっ」

言い終わらない内にチャネルを切る。そして体内の電力をエネルギーに変換、特殊な磁場を発生させ、敵の攻撃を弾く見えない盾を周りに張る。武器名は「雷神の羽衣」
そして残った電力で光学迷彩を施す。装備名「ステルス迷彩改」ちなみに熱迷彩も搭載されている。

「・・・」

敵は勘違いしてくれるのか生徒には目もくれず俺を探す。ざっと5体か。と冷静に見つつ、二対の超振動刀を抜く。そのまま固まっている二体の背後に移動し首を薙ぐ。他の三体はすぐに距離をとり、切り捨てられた二体は気付かずに爆散。俺はこれからの死闘に身を震わすように、みんなを鼓舞するように、

「さぁて、いっちょ頑張りますか!」


そう言うと同時に決死の撤退戦が始まった。
















ー5分ー


「・・・・」

「っがああああっ!」

現状は悲惨、とも言えなくも無いがとりあえず踏み止まってはいた。生徒も無事避難し、残るは敵の撃破だけだ。ーだが現実はそうもいかなかった。

「・・・っぐ!・・くそっ」

もうエネルギーは残り少なく、いつもより能力の使用が強かったのか、発電量が落ちていた。最初の二体と一体の三体はなんとか倒したが、やはり肉体の過負荷による限界でうまく攻撃を躱せず、なんとか写輪眼を使い凌いでいるといった感じだ。しかし頭痛がひどくなっている辺り能力の限界は近い。
そして焦りが漏れたのか、敵の攻撃が激しくなる。

「っしまった!」

5分だが3体もの敵の攻撃に緊張が切れてしまったのか、残りの二体による巨大物理刀で吹っ飛ばされる。
そしてそのまま反転のままならず、地面に叩きつけられる。


「っ!泰人⁉︎」
「泰人くん⁉︎」
「泰、人⁉︎」

結構遠くまで吹っ飛ばされたのか織斑、楯無組の所まで飛ばされていた。

「っ!・・・くそっ動かねぇ」

肋骨が数本折れたのか息がヒューヒューとなり、目の前がエラーで埋め尽くされる。

「・・・よくも!」

と楯無さんが何やら大技を使うのか巨大な槍を展開する。

「・・・だ、めだ!それは!っ、一夏!簪!楯無を守れ!」

となんとか指示をだして自分はISのエラーを無視して立ち上がろうと刀を地面に突き刺す。

「くっ・・・ああっ!」

楯無さんを守りきれず敵の攻撃を受け、血を流す楯無だが、槍を展開したままニヤリと笑みを浮かべる。そのまま敵に向かって叫ぶと同時に周りが光に包まれた。

「はあああああ!」

ミストルテインの槍発動ー






「っごほっ!ごほっ!」

視界一面に舞う土埃にむせつつ、なんとか浮上してみんなの安否を確認する。
だが一番心配なのは楯無さんだった。


「楯無さん!みんな無事ッ⁉︎」

とチャネルをかけようとしたその瞬間土埃の中から巨大な手が伸び、頭を掴まれた。

「っぐあああ!」

とっさに掴まれた手を逸らしたが手から放たれた熱線は肩を貫通していた。
そしてその勢いで土埃が払われ見えた視界はー

「・・・おい、楯無さん!」

楯無さんは死んだように横たわり、一夏や簪は動けないのかなんとかしていたが俺は楯無さんを抱え、状態をみる。

「・・・泰人、くん?」

なんとか生きていた。槍で敵の攻撃を無効化していたおかげもあったがそれでも早く医者に見せなければいけなかった。

「一夏、簪。動けるか?」

「ああ、なんと・・か」

そういって近づく一夏と簪が表情を強張らせつつ返事をする。

「すまない。楯無さんを任せる」

「え・・・泰人、は?」

驚くように聞いてくる簪に対して俺は優しく返事をする。

「ごめんな。簪。あいつらは俺が相手をするから一夏と一緒に楯無さんを見ててくれるか?」

その返事になにか言いたげだったが何を思ったのか小さくかぶりを振る。

「ならなおさら、私は泰人の側に、いる」

と意地でも動かないと言いたげな、覚悟をした目を見て笑いつつ

「そっか。じゃあ、頼む」

といって楯無さんの側により、

「すいません少ししたら戻るんで待ってて下さい」

と自分のISのエネルギーを楯無の治癒用ナノマシンに譲り、敵の前にでる。

「・・・!だめ!なんてことを・・・!」

俺の装備が無くなっていることに気づき止めようと腕を掴むがそれを避け、頭を撫でる。

「大丈夫です。安心してください」

不安に見つめる楯無さんを一夏に任せ、簪にフォローを頼みつつ万華鏡写輪眼を開眼する。途端に頭痛が停止を求めるが、俺はさらに能力を使う。

「オールマイティ[己の痛覚を操作できるようにする]・・・」

と言って痛覚を切ると目の前が真っ赤になり敵と自分だけしか映らなくなる。痛覚、すなわち体が限界を超えないようにする脳のストッパーで、これを無くすということは文字通り、限界を無くし、四肢が動かなくなるまで痛みを無視できる。脳も例外ではないのでこれは賭けだ。だが能力を持っていながら敵に負けるくらいなら、死んで守ったほうがマシだった。

「・・・さて、お前ら」
そういってスサノオを発動。いつもと違い、巨人のような姿を自分の鎧に変える。見た目は重そうだが、気の集合体だから全く重さを感じない。そして手の周りを神威で纏う。
そのまま時止めを使用、30メートル離れていた敵のコアをそのまま握り潰した。

「ー⁈」

といきなり目の前まで来たので少し戸惑う敵のだが接近して0距離で熱線を浴びせた。

「っ!泰人!」

叫ぶ一夏らだ自分たちの視界が驚愕を示していた。
全く傷一つ付いていなかったのだ。そして意にも介さず敵の一体の両腕を掴み、引きちぎる。

「ー!」

逃げた一体が近接刀を振り回してくるが

「遅い」

と、そちらを見ずに掴み、壊す。
腕を無くした敵は逃げようと足元のスラスターを使って離れるが俺はその足をふとももから折る。バランスを崩した敵はそのまま壁に激突しつつも逃げようともがいていた。そんな敵を冷ややかな目で見つめ、両足を掴み、そのまま真っ二つに引き裂いた。

「おら、あとはお前だけだぞ?」

ゆっくりと残りの敵に振り向き歩いてくる泰人を震えるように数秒見たあと、背中を向けて逃げようと視線を外す。

「はい、アウト。」

それと同時に手から伸びた、刀状のもので敵のコアを正確に貫いていた。

「ギ、ギギギ」

と金属の擦れる音を放ちつつ、もがく敵を鬱陶しそうに高々と放ったら、

「喧しい」

と横薙ぎに三連続で切り捨てた。
そして地面に落ちていくのを見ながらゆっくりと自分も降り、写輪眼を解いた。すると限界だったらしく、頭痛が戻り、そのまま気絶して倒れるのだった。














 
 

 
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