機動戦士ガンダムSEED 白き魔星
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02 阻止で始まる改編
前書き
やっと書き終わりました……
一時期スパロボ熱が一気に冷めたのがここまでになるとは思ってもいませんでしたよ。
連合によるプラント最高評議会お呼びザフトへの議会解散と武装放棄といった最終通告がされるも、勧告された指定時刻を待たずに連合軍によるプラントへの侵攻が開始された。
いざ開戦を果たし、戦闘が始まり連合軍側の圧倒的物量による戦力差によって予想通り圧勝だと。
連合兵士たちは息巻いていたものの結果は裏切れる形になってしまう。
ザフトが主力戦力として投入したMS〝ZGMF-1017 ジン〟に対し、艦隊主戦力である連合の切札。
、モビルアーマー《MA》の〝TS-MA2 メビウス〟が、まったくとは言わなくも想定以上に通用しなかったのだ。
開戦前、連合各政府を通し得た情報を基に検証した物とは異なっていた。
二足歩行の人形ロボットということから機動力に乏しく、高機動での戦闘を想定したメビウス相手にただの的でしかないと連合上層部の考えだったのだが見事なまでに覆される。
人形故に可能とする宇宙空間で手足を利用したAMBAC機動。
《Active Mass Balance Auto Control 》能動的質量移動による自動姿勢制御による自由度が高い小刻みな動きに対し、直線的機動が仇となって闘牛の如く避けられ、上下右左斜めと回り込まれる形で撃墜されてしまっていく。
急な方向転換に直線機動での高機動が売りなメビウスでは付いて行くことはかなわず、編隊を組んでMS一機との戦闘がやっとだという有り様。
兵装にしても基本武装であるガトリング砲やリニアガンは間接部以外は集中放火でなければ通用しないときている。
まして、機動戦闘中に狙いをつけでの間接部への攻撃。
そんな離れ業染みた行為ができるパイロットなどごく一部のエースのみだ。
想定外のMSの性能に煽られ必要以上に防衛を任されている小隊までが前に出過ぎ、直線機動の穴を通り抜けた対艦装備のジンに母艦を撃沈され戻ろうとすれば旋回機動が大きいことで致命的な隙となって狙い打ちされ撃墜。
そのような流れが生まれ連合は世間の予想を反し自慢の物量によってなんとか戦線を維持できる状態に持ち込まれていた。
が、アルティスが考えヴェーダが設計し改造したホワイトスター産のゲシュペンストの参戦によって戦線の維持は容易に崩されてしまう。
テスラドライヴによってもたらされる推力に付いていけず、なんとか攻撃を当てたとしてもガダリウムγの強固な装甲に傷を着けることもかなわず。
ジンとは異なる武装、戦艦の主砲であるビーム砲さえ両肩に装備されたEフィールドに阻まれ、フィールドを抜けたとしても対ビームコーティングで大したダメージを与えられない。
ビームが効かないと分かると放火を気にせずに突っ込まれ懐へ易々と接近を許し撃沈されてしまう状態を作り出された。
投入されたゲシュペンストによって戦線が崩され開戦早くも艦隊のラインを下げるか戦線そのものから後退を余儀なくされた連合艦隊。
ジン相手ならば善戦していた虎の子のエース部隊さえゲシュペンストに敵わないのだから仕方ないことだろう。
MA〝TS-MA2mod.00 メビウス・ゼロ〟連合のエース機。
中心のコックピットとリニアガンにメインバーニアがあるトンボのような細長い本体に、4つのバーニア付きポッドが特長のメビウスの1世代前に当たる機体。
4つのポッドは只の機動力を得るためのバーニアではなく、れっきとした武装である。
有線式オールレンジ攻撃兵装「ガンバレル」。
本体から切り放し、有線によって各ポッドのスラスターを使い操り備わる2連機銃でのオールレンジ。
敵対象を囲み追い込み1機でメビウス5機分の戦闘をできるという現存の宇宙用MAの中では破格の機体だ。
しかし、そんな破格な性能なためガンバレルを扱えるパイロットが少なく機体数も多くない。
有線で本体から遠く放れるガンバレルの機能を扱うためには全方位を見渡せポッドの位置を眼で追わず常に認識ができる突出した空間把握能力を必要とし、メビウス・ゼロは本体の操縦をしながらもガンバレルの操作をパイロットにしいられる。
そんな複雑化した機体の操作が可能なパイロットは大国が組んだ連合軍ですら少なく希少希有。
だからこその、虎の子の切り札。
だが、そんな貴重な兵士を乗せた機体は宇宙に棺桶となって散って逝く。
メビウスでは数で攻めなげれば相手にならないジンと1機で渡り合えるゼロが白い魔星によってもたらされた悪夢の幻影によって。
「ふふ、こうも一方的になるとわな。キミが用意した機体は過剰なまでの物だったようだぞ、アルティス」
コーディネーターにとって初となる戦争。
宇宙に孤立したコロニー故に人口と資源に限りがある問題がありながらも連合の豊富な人材と資源で物言わせた数の暴力の物量差。
それをナチュラルより優れたコーディネーターの能力に個の突出した質の力ではね除け上回り殺し合いを優位に持ってこさせた。
ただでさえゲシュペンストはコーディネーターの身体能力任せの操作でOSは二の次なジンとは違い、OSがTCーOSで完備され無駄な労力を操作に向けずに済んでいるのだ。
しかも操縦しやすいコクピット、これで純粋なコーディネーターとしての技術と反射神経を発揮できている。
今この時もナチュラルでありながら並のコーディネーターを突出した能力で上回るラウ・ル・クルーゼが、彼専用に作られたゲシュペンストと言う強さを持って突出した質の力がメビウス・ゼロとメビウスで編隊を組んだ部隊を蹂躙していく。
推進力がメビウスより優れたメビウス・ゼロがクルーゼ機の足を止めるため前に出て包囲するようガンバレルを展開、死角を狙い打つよう配置されたガンバレルが火を吹くもクルーゼ機はまるで全身に目があるとでもいうのか悠々と避け機体を止めることなく周囲のガンバレルを気にもせず細長い本体を狙う。
右手に装備したM950マシンガンより放たれた数十発の弾丸は回避する間もなく正確に吸い込まれるように当り撃ち抜かれる。
隊長機が堕とされたことで生まれた残りのメビウス4機の僅かな動揺を的確に〝感じ取り〟その隙を狙うため背部スラスターウイングに装着されている2つのコンテナが開く。
―― わざわざ隙を逃す理由など、まして戦場では有りはしないのだよ。
コンテナから射出された小型の円盤。
3つの鋭利状の羽が展開しプロペラのようになって、まるで手裏剣のように回転し2つはメビウス目掛け飛翔するそれ。
「行け、サイコ・リッパー!」
正体はニュータイプ用兵装としてサイコミュ兵器に改装されたスラッシュ・リッパーだ。
本来はT-LINKシステムを通して念動力で操り遠隔操作するT-LINKリッパーが元の形なのだが、アルティスがクルーゼの能力に宛がうためサイコミュ兵器へと変更した。
ラウ・ル・クルーゼの能力は血族か同じ空間把握能力を持った者どうしの間だけで互いを感じられるというものであり、そのことから考えるとニュータイプよりも物理的距離を関係なく感覚共有と意志疎通がカテゴリーFに近い。
しかしカテゴリーFよりもニュータイプ染みた勘の良さと空間把握能力を持っていることからニュータイプとカテゴリーF、どっち付かずの曖昧な存在だとアルティスは推察した。
クルーゼの能力を明確にニュータイプへと近づけさせ覚醒させる、彼の機体に備え付けたサイコフレームにサイコミュシステムはそのためだ。
アルティスの狙いは見事にはまりラウ・ル・クルーゼはニュータイプへと覚醒を始めている。
サイコ・リッパーを見事に操ってみせ、4機のメビウスを切り裂き撃墜したことがその証拠だろう。
「――ふむ。この機体ごしに相手を感じる感覚が彼の言ってたいたものか……ならば完璧な物へとつかんでみせよう。幸い訓練にはちょうどいい場だ、私の糧になってもらおうか連合兵の諸君」
開花し確実に自身の物になりつつある己れの能力を完璧にするため新たな獲物を目指しゲシュペンストを向かわせる。
正直、彼にとって連合軍は撃破する敵ではなく実験と経験値獲得の為の獲物へと成り果てていた。
他の場へ視点を移しても似たような状態だ。
ゲシュペンスト単体でもそうだが、ジンと連携することによってさらに酷い有り様へとなってしまっている。
ジン相手になんとかやっていたところにゲシュペンストが合流したのだから仕方ないことだろう。
◆
さて、そんな最中でアルティスは何をしているというとだ。
もちろんZAFTとして戦闘に参加し地球連合軍に対峙していた。
初の実戦ではありながらも自身専用に改良を施したゲシュペンストでメビウスとメビウス・ゼロを相手に圧倒しては他のザフト兵士たちに能力の高さと存在感を魅せている。
赤をメインに細部を黒と白で塗装をしたパーソナルカラーのトリコロールなゲシュペンスト。
T-LINKシステム用に整備されたタイプTTをアルティス用にした物だ。
基本性能はZAFTに渡したゲシュペンストのものと同じではあるが、システム補助操作に用いているT-LINKシステムで補助インターフェースの簡略化が図られているのと、イノベイターでもあるアルティスの脳量子波にあわせた機体制御システムを搭載しており他の機体とは反応速度の桁が違う。
こう機体仕様を見るに専用機の恩恵だと思うだろうが、それだけではない。
ガンダムXで主人公のガロード少年が訓練でやった全方位からのビームを避けるシミュレーションをこなし、ビーム兵器を含めた実弾兵装を用いてMD《モビルドール》とMWたちに殺しにくるよう命令してでの実戦形式をやって生き残ってきたのだ。
彼の実力はだてではない。
右に標準装備のM950マシンガンを、ジンの装備であるバズーカのM68キャットゥス500mm無反動砲を左に持たせ、両脚に同じくジンのM68パルデュス3連装短距離誘導弾発射筒、背にはT-LINKリッパーを備えた状態で戦闘をこなしている。
M68パルデュスは無理矢理取り付けた感が否めないがM68キャットゥスの方は凡庸性が高く、史実にて傭兵サーペントテールの叢雲劾が実弾兵装を用いる際にアストレイで使用するバズーカだけあってゲシュペンストでも十分扱える。
むしろ、ジンよりかはゲシュペンストの方が機体強度とテスラドライヴのおかげで反動が少なく扱いやすい。バズーカはアルティスの好みの武装でなくとも楽に墜とせるよう対艦ように渋々持っている状態なのだが、連合からすれば反動の隙を狙えなくたまったもんじゃない。
ビーム兵器はプラズマステークと供用のプラズマソードを解禁しているものも射撃系の物はしていない。
そのためM950マシンガンでは威力が足らず必要なのだ。
他にも数で劣り質で勝負するしかないザフトにとって補給で戦線から一時的にも抜けるというのは痛いという理由で、できるだけ長く戦場に滞在するため全部乗せ状態が好ましいからでもある。
監視をしている戦艦はアガメムノン級ルーズベルト。ウィリアム・サザーランド中左が指揮する大西洋連邦所属の艦だ。
ウィリアム・サザーランド、史実においてブルーコスモス盟主ムルタ・アズラエルが軍部の駒として重保し使っていた過激派の小飼の軍人である。
そして、史実でプラントが国として独立後の自給自足の足掛かりとして食糧生産用の農業プラントに改造したユニウス市の内、4基の中の1基であるユニウス・セブンを核によって破壊した作戦を指揮した人物だ。
アニメと外伝漫画内だけだとしても歴史を知る身として核攻撃を態々させる訳にはいかない。
プラントに組し、ZAFTに参加しているのだから自分の住む場所である。
自身の家をなにもせず破壊させる輩などいるわけがない。
しかし、アルティスの予想よりも動きがない。
動かないならば動きやすいようにしてやるまで。
アルティスはルーズベルトから離れている状態から機体を更に距離を取る。
ついでに逃げるよう動き、それに勘違いして浮き足立ったメビウスの編隊を引き付ける形で撃墜することも忘れない。
そしてルーズベルトが動くサザーランドの指示により動く。
やはり近すぎたのだろう、此方を警戒して動かなかったのだ。
アルティスからすればそれなりに距離を取っていたつもりなのだが、アズラエルが軍内部の派閥を動かす私兵として使う人材だけあってなかなかやるようだ。
やっと動いたルーズベルトのハッチが開きメビウスの発進態勢へと移行される。それを捉えた。
―― 歴史通り、ヴェーダの計算が導き出した通り、核を使うか!
ズームされ写し出されたルーズベルトのカタパルトにはミサイル装備のメビウス。予想通りとはいえ、人類同士での戦争で使うようなもんじゃない。歯軋りしつつも自身の瞳で捉えた情報をヴェーダを通して核対策にコロニー近辺に配置させた部下へと送る。
その部下とは――
「はいはいっと! 光学迷彩・ASRS解除、行くよリヴァイヴ!!」
跳ねた毛先が特徴の軽そうな性格の女性。
「ええ、分かってますよヒリング。では、手はず通りに」
理知的な物腰がよさそうな感じの青年。
コロニー近辺に突如表れるゲシュペンストで編成された部隊、アルティスが用意して光学迷彩で姿を隠し、レーダーとセンサー両方に写らないASRSで隠すよう配置しておいた部隊だ。
指揮を勤めるのはイノベイドの二人。
ヒリング・ケアとリヴァイヴ・リバイバル。
二人ともアルティスがホワイト・スターのデータベースにあった情報から生み出したイノベイド。
ガンダムOOに敵としてリボンズに付く形で登場した二人だがそんな記憶は持ち合わせていない。
データから生み出しただけなのだから容姿と名前が同じだとしても別人だ。
なお他のゲシュペンストのパイロットたちは量産型MWシリーズたちが勤めている。
ゲシュペンストはアルティスがZAFTに提供した物だが、ヒリングとリヴァイヴの両機は個人に合わせたカスタマイズがされている。
イノベイド用に調整した脳量子波制御装置を共通にヒリング機は片腕だけのプラズマステークを両腕に装備し格闘戦向けに、リヴァイヴ機は彼の狙撃特性を生かすためオクスタン・ランチャーを狙撃して各種センサーを強化し射撃戦向けに。
彼ら、彼女らは、ルーズベルトから発進してきた核ミサイル装備のメビウス隊に対処するため行動を開始。
「捕らえるのは核装備の機体のみ。他は――」
核ミサイルで武装したメビウスを隠すよう通常装備のメビウスも攻めてきており、狙いは核ミサイルのメビウスだけなため。
「他のザコはツブしてオッケー! サクッと終わらせちゃうよ!!」
と、通常装備のメビウスめがけて自機の両手に持たせたM950を構え突っ込むヒリング。
そんなヒリングに溜め息を溢しつつアルティスから指揮を任された配下の量産型MWシリーズに指示を出しつつ自身もオクスタン・ランチャーを構えさせ準備に入る。
ヒリング機を先頭にゲシュペンストによって次々に撃墜されるルーズベルト指揮下のメビウス隊。
なんとか振り切ろうもリヴァイヴ機からの狙撃によって潰えてしまう。
数を減らされていくなか、核搭載機にゲシュペンストが張り付きスピードが落ちると機体までが止まり沈黙していく。
中でパイロットが慌てふためき操作しようとするが、何一つ反応せず。
答えはウィルスだ。接触回線からゲシュペンストによって流し込まれた機体コントロールを沈黙させる。
「くそ、くそっ!! なんなんだよチクショォォオッ!!?」
パイロットがいくらがむしゃらに動かそうとしようも、いくら叫び散らしても現実は覆らず。
「目標ノ沈黙ヲ確認。確保シマス」
量産型MWシリーズが乗るゲシュペンストに捕らえられ、運ばれていく核搭載機。
始めからの作戦通りであり、連合内部の反コーディネーターの組織であるブルーコスモス派の横暴を暴くための証拠の確保が目的で無事に達成。
本来なら核分裂を阻害するNJを散布して万全な形でやるべき作戦なのだが、次の戦場にて効果を最大限に発揮させるため見送る形となった。
なお、ユニウス・セブンと他の食糧生産コロニーに周辺コロニーの住人は、もしもの時のために避難済みである。
そして、今回の作戦成功をもとにコロニー郡でしかなかったプラントは最高評議会主導によって独立への道を進むことになる。
◆
プラント理事国を中心に結成した地球連合軍がプラント制圧のため送り込んだ宇宙艦隊とプラント義勇軍ZAFTによっておこった大規模な戦闘。
連合艦隊はZAFT軍が有するMSの前に数で勝りながら強力な質の前に、有理を想定していたというのに戦果をあげられず大ダメージを受け敗北。
また、戦闘後に各メディアとネットワークを通して全世界へとプラントが国家として理事国からの独立を宣言。
地球連合の各国は大国として威信に傷を大きく受けることになる。
そして大西洋連邦はブルーコスモスが行おうとし失敗した核攻撃も証拠も含めて大々的に報道され国家としての信用にダメージを受けることに。
この報道に対してブルーコスモス派は作戦に失敗したばかりか証拠まで抑えられ公表されたことで怒りに煮えくり返りながらも否定。コーディネーターに対して更なる憎悪を深めることになった。
後書き
なーんか独自解釈が多い気が……
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