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ロックマンゼロ~救世主達~

作者:setuna
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第4話 デュシスの森

 
前書き
ルインの初任務 

 
デュシスの森に転送されたルインは目の前で負傷しているレジスタンス兵に声をかけた。

「君、大丈夫?」

「エルピス様の命令で、ベビーエルフのことを調べにきたのですが…ネオ・アルカディアの奴らがやってきて…怪我をして、動けない仲間がこの先にいます…助けて下さい、ルインさん!!」

『この森を抜ければ遺跡があります。簡易転送装置を使って、動けないレジスタンスを助け出して下さい』

「了解」

ダッシュで駆け抜け、蜂型のメカニロイドや盾を持ったパンテオンを返り討ちにしながら、ルインは一気に突き進む。

途中でダッシュジャンプでも通れない場所に出た。

「これは、私のダッシュジャンプじゃ、通れないな」

ルージュ『では、他のルートを…』

「いや、構わないよ。飛んで行けばいいんだから!」

緑を基調とした機動力特化のアーマーに換装し、背部と頭部のバーニアの推進力を利用することで可能性となるエアダッシュでそれを突破する。

『ルインさん…』

通信機越しのエルピスの声にルインは溜め息を吐いた。

「言っときますけど、私はネオ・アルカディアとは何の関係もないですから。似てるのは単なる偶然です!」

このアーマーの専用武器であるダブルセイバーを抜き放ち、パンテオンに斬り掛かる。

「ハ、ハルピュイア様!?な、何を…」

今のルインの姿をハルピュイアと誤認したパンテオンが動揺する。

「だから私はハルピュイアじゃないってば!次はこのアーマーだ!!」

今度は火力重視のFXアーマーに換装し、メガトンクラッシュでパンテオンを盾ごと粉砕する。

「あ、あれはファーブニル様!?一体どうなってるんだ!?」

次々と四天王達に酷似した姿と能力に変えるルインに、ネオ・アルカディア軍に動揺が走る。

「だから私はネオ・アルカディア四天王とは無関係なんだってば…当たれっ!!」

両腕のナックルバスターを構えると、ショットを連射することで立ちはだかるパンテオンとメカニロイドを粉砕していく。

そして扉を潜ると、この遺跡の防衛システムが起動した。

「何これ…二百年前の重要拠点の防衛システムのランダ・バンダみたいなもんかな?どれどれ…」

HXアーマーに再換装し、このアーマーの能力であるエネミーアナライジングで弱点が目であることが分かり、FXアーマーに再換装して弱点である目に向けてショットを連射することで粉砕した。

ルイン「弱点すら分かれば怖くないってね」

索敵能力があるPXアーマーに換装して辺りを見回すと、バイザーのレーダースコープが反応をキャッチしたので、HXアーマーに換装する。

ホバーを利用してゆっくりと降りていき、反応があった場所に向かって下にあったシャッターを潜ると、そこに隠れていた怪我をしているレジスタンス兵を発見する。

「大丈夫だった?」

「ひっ!?け、賢将ハルピュイア!?」

ルインの姿に怯えるレジスタンス兵からバスターを向けられてしまい、思わず溜め息が出てしまう。

「だから私はハルピュイアじゃないから…何でみんなして間違えるのかなぁ…」

基本形態のZXアーマーに換装すると、ようやく怯えていたレジスタンス兵が落ち着いた。

「あ、ああ…ルインさんでしたか…紛らわしい格好をしないで下さいよ…この遺跡は罠が一杯です。気をつけて下さい」

「うん」

簡易転送装置で傷ついたレジスタンス兵をレジスタンスベースに転送する。

「いちいち助ける度に銃を向けられちゃたまらないよ…仕方ない。面倒だけどレジスタンスを発見したらZXアーマーに換装するしかないか」

深い溜め息を吐きながら、PXアーマーに換装してレジスタンス兵の捜索をしながら先に進む。

しかし、あまり進まないうちに穴に落ちて動けなくなっているレジスタンス兵を発見した。

「君、大丈夫?助けに来たよ」

「ルインさん、ありがとうございます。他の仲間も無事なんでしょうか?」

「あ、うん。大丈夫だよ。必ず助けるから」

仲間の身を案じるレジスタンス兵を簡易転送装置でレジスタンスベースに転送する。

「この調子だと他にも罠に嵌まったレジスタンスがいるね。」

捜索を再開すると、ブロックによって閉じ込められたレジスタンス兵を発見し、剛力を誇るFXアーマーでブロックを引っ張り出した。

「大丈夫?助けに来たよ」

「どうもありがとう…ここまで来たのはいいけど、帰れなくなっちゃって…」

そして簡易転送装置でレジスタンス兵をレジスタンスベースに転送すると、ルインはレーダースコープを使いながら次々とレジスタンス兵を救出しながら遺跡の最奥に向かい、最後のシャッターを潜った。

「さあ…さっさとそれを返すんだ…それさえ返せばお前も無事に返してやる。さあ、よこせ!!」

シャッターを潜った先には蛇型のレプリロイドとレジスタンス兵が睨み合っていた。

「何をしてるの、早く逃げて!」

「あ、ありがとうございます!あの、ヒューレッグ・ウロボックルは、斬影軍団の生き残りです…お気をつけて」

ルインの声に、レジスタンス兵は安堵の表情を浮かべながら、部屋から脱出した。

「シャー、ここは、我々ネオ・アルカディアでさえ滅多なことで入れぬ場所だ…。お前をここから生きて出すわけにはいかん。悪いが死んでもらうぞ」

ウロボックルの言葉の終わりと同時に蛇型の足場である“アルトロイド”が変化する。

「ちょ、いきなり自分の得意なバトルフィールドなんて…卑怯だね」

アルトロイドは自在に動き回り、足場を不安定な物にしているが、ウロボックルは慣れているのか、ルインよりも素早く動いている。

跳躍して、ルインから距離を取ると、腕を足場に突っ込んだかと思えばルインの足元から腕が生えてきた。

咄嗟にジャンプでかわしながら、ZXバスターで反撃するものの、ウロボックルは変幻自在に動き回り、ルインに攻撃を仕掛けてくる。

「ああもう、やりにくい!ならこれならどうだ!!」

PXアーマーに換装してハンキングウェッジの鉤爪を天井に引っ掻けてぶら下がる。

「ファントム様!?」

今は亡き主に酷似した姿にウロボックルが思わず動きを止めた。

「喰らえ、十字手裏剣!!」

理由は分からないが、好機と見たルインは腕から巨大な手裏剣を発現させ、それを投擲した。

「それは、ファントム様の…!」

ファントムに酷似した攻撃まで使うことにウロボックルは驚愕して動揺するものの、手裏剣を何とか翻す。

着地した瞬間に足が動かないことに気付き、アルトロイドが凍結し、ウロボックルの足まで凍結していた。

「なっ!?」

「さっきのお返しだよ」

ファントムの次はレヴィアタンに酷似した姿…寒冷地・水中戦特化のLXアーマーに換装し、着地と同時にハルバードを足場に突き刺して凍結させたのだ。

「ファントム様の次はレヴィアタン様の能力まで…!?お、お前は何者だ!?」

「私?私は……イレギュラーハンター・ルインだよ」

更にハルバードに力を込めると、アルトロイドとウロボックルを完全に凍結させ、とどめを刺すためにHXアーマーに換装してセイバーをチャージする。

「喰らえ…プラズマサイクロン!!」

凍結したウロボックルにHXアーマーの最大の必殺技であるプラズマサイクロンを炸裂させ、粉砕した。

ウロボックルのDNAコアとアルトロイドがリンクしていたのか、アルトロイドが機能停止を起こして落下した。

ルインは慌てずホバーでゆっくり下降し、着地と同時にZXアーマーに換装する。

「ふう…何とか倒せたよ……」

ああいう相手はイレギュラーハンター時代に戦ったことがあったのが幸いした。

それにしてもあの司令官はもし自分がやらなければ全部ゼロにやらせるつもりだったのだろうか?

「どれだけゼロのこと気に入らないんだか……」

「ルイン……?」

「大体………え?」

聴覚器に届いた声にエルピスへの愚痴を止めて、声のした方を向くと、目覚めてからずっと会いたいと思っていた存在。

「本当に…ルイン…なのかい…?」

「…エックス!!」

間違いない。

薄ぼんやりしているし、ローブみたいなものを着てはいるが、紛れもなくエックスだ。

ルインは勢いよくエックスの胸に飛び込む。

「本当に…本当に君はルインなのかい!?本当に…」

受け止めたものの、未だに信じられないと言いたげな表情を浮かべているエックス。

「私だよお、一体何がどうなってるのかさっぱりだよ!目を覚ませば世界は荒廃してるし、エックスは行方不明だし、ゼロは記憶喪失になってるし…もう何が何だか分からないよ……」

「本当に……ルインなんだね。生きていてくれた…良かった…本当に良かった…っ!」

感極まったのか、エックスが彼女の華奢な体を強く抱き締めた。

二百年ぶりの彼女の温もりを、それを感じることの出来る幸福をエックスは噛み締めた。

しばらくして互いにハッとなって離れた。

「あ…ご、ごめん……」

「え?あ、あわわ…こっちこそごめんね…エックスに会えて嬉しかったからつい…」

少し時間が経過して顔の熱が引くと、ルインは再び今のエックスを見た。

「それにしても、エックス…その姿は…」

「この姿のことかい?僕のボディは事情があって動かせないから、サイバーエルフとなって行動しているんだ」

「サイバーエルフって…大丈夫なの?無理してない?」

サイバーエルフとなっていることにルインは心配するが、エックスの次の言葉で吹っ飛んでしまうことになる。

「大丈夫だよ…僕にはまだまだやらなければならないこともあるし…それに君にまた会えた…。出来ることなら、望む未来を君と一緒に生きたいんだ」

「へ?どういうこと?」

「君と一緒に生きる未来…ケイン博士の研究所が無くなった時、もう二度と叶わないと思っていたんだ…一体…何処にいたんだい?」

「え…あ、ケイン博士の地下研究所…」

「そう…あの時、コロニーが落下した時、諦めたりしないで、根気よく探していれば…君を一人にしなくて済んだのに…ごめん…」

申し訳なさそうに謝罪するエックスに対してルインは笑みを浮かべた。

「いいよ。別に…だって、またエックスに会えたから!!」

「ありがとう…それにしても、ベビーエルフが二人共目覚めてしまった…ベビーエルフはまだ子供だ。二人は心細さにうちふるえながら…母を求めて泣いている…」

「ベビーエルフ…シエルの研究室にいたエルフとさっきのレジスタンスが持って行ったエルフのこと?」

あのサイバーエルフに何か問題でもあるのかとエックスに尋ねると、エックスは深刻そうな表情で言葉を続ける。

「そう…ベビーエルフ達は母に会うためなら、何でもする。人の心を揺さぶり、運命を狂わせる…母である、ダークエルフに…僕が封印しているダークエルフに会いたいがために…ね」

「あのエルフ…危険な物なの…?なら、破壊…は、現時点では無理だよね…シエルが新しいエネルギーの開発に必要だって言ってたし…頃合いを見て、シエルと話してみるよ。今は…ベビーエルフを厳重に保管しておくから」

万が一シエルに何かあってはいけないし、危険な存在ならば早めに対処しなくては。

「すまない…」

「それと、エックス…ごめんね……」

「え?」

「私…二百年もエックスの傍にいてあげられなかった。あの時、ゼロを助けて全員で協力すれば退却くらい出来たはずなのに……」

「うん…君がいなくなって、そしてゼロもいなくなって…僕は長い間…一人で沢山のイレギュラーと戦ってきた…それはとても辛く悲しい戦いの日々だった…しかし、何よりも悲しかったのは、段々、何も感じなくなってくる自分の心だった…」

エックスの心情が切々と紡がれる。

ルインとゼロがいなくなってからの時間、エックスがどんな気持ちでいたかが痛いぐらいに伝わってくる。

「ごめんね…」

「ううん…さっきの君の言葉をそのまま返すよ。また君に会えたから…もういい」

「…エックス。ありがとう…そろそろレジスタンスベースに戻らないと……」

「あ」

「何?」

エックスは何を思ったのか、ルインのヘッドパーツを取ると、軽く額に口付けた。

「っ!?え、ええ…エックス…!?」

口付けされたことに気付いたルインは赤面した。

「僕はもう遠慮はしないよ。二百年も待ったんだから……また会える日を楽しみにしてる……またね」

「あ…うう……」

エックスは人型から球体になると去っていき、1人残されたルインはエックスは変わったと心底思い知らされた。 
 

 
後書き
オリジナルエックス登場。
200年片思いしてきたからか、遠慮なしに攻めていきます。 
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