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IS~夢を追い求める者~

作者:かやちゃ
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第1章:修正の始まり
  第11話「修正の第一歩」

 
前書き
一章最終話です。....と、言ってもぐだぐだ進むだけですが。
 

 


       =桜side=



「そこまで!」

  俺の終了の合図に、目の前で起こっていた戦いが終わる。

「なんとか...勝てた....!」

「ま、負けちゃった....。」

  戦っていたのは秋十君とマドカちゃん。勝敗はギリギリ秋十君の勝利だ。

「これで56戦中、9勝47敗だ....。...勝ち越しにはまだまだ遠いな...。」

  秋十君が呟いた通り、マドカちゃんは滅茶苦茶強く、秋十君もなかなか勝てない程だった。おまけに束が専用機である“黒騎士”を与えたため、余計に秋十君の分が悪くなっている。
  それでも勝つことができるんだから秋十君も相当なのだが。

「でも、秋兄はワンオフを使ってないじゃん。私は使ったのに...。」

「むしろ使わせないと勝てない件について。」

「マドカちゃんのワンオフはデメリットが大きいからなぁ...。ロマン技って感じ?」

  マドカちゃんのワンオフは“エクスカリバー”といい。どこぞの騎士王そのまんまの事ができる。...当然、シールドエネルギーを大量に消費するが。なお、応用もできるらしい。

「決まったと思ったんだけどなぁ...。」

「...一度喰らってから最優先に警戒してるからな...。」

  喰らった事のある秋十君に言わせれば、“トラウマビーム”との事だ。
  ...そりゃあ、警戒するわな。

「完全に身動きできなくしてから撃ったつもりだったのに...。」

「道理で手足ばかり狙ってた訳か...。」

  事の顛末はこうだ。
  マドカちゃんがまず秋十君が回避できなくするように手足を狙い、最後に地面に叩き付けてから“エクスカリバー”で決めようとする。だけど秋十君は何とかそれから抜け出し、カウンターで逆転勝利した...と言う事だ。

「まぁ、マドカちゃんの詰めが甘かったな。」

「やっぱり使わなきゃよかった...。」

  ちなみにマドカちゃんはワンオフを使わない方が強い。

「...お?」

  模擬戦後の雑談をしている俺らに、何かがふよふよと近づいてくる。

「め~ちゅか。どうした?」

  飛んできたのは、ユーリちゃんをデフォルメしたかのような人形。“チヴィット”と呼ばれるAI搭載の人形で、ユーリちゃん似のこの子は“め~ちゅ”と呼ばれている。
  なお、発明したのはグランツさんで、AIの元はシュテル達と同じで、自己学習をする。シュテル達のデフォルメ版もあり、なぜかシリーズ化されている。

「....おお、もうそんな時間か。」

  め~ちゅは喋らないため、メモ帳に文字を書いて言伝を伝えてくれる。どうやら食事の時間らしい。ちなみに、チヴィットは基本喋れない。

「おーい、二人共、夕食の時間だ。」

「あ、はーい。」

「分かりました。」

  二人とめ~ちゅを連れて食堂へと行く。





「...ふと思ったんですけど、本来なら俺たち、受験生ですよね?」

「「....あっ。」」

  “受験”と言う単語にユーリちゃんとマドカちゃんも反応する。...そう言えば三人とも同じ年だったな。

「まぁ、ちゃんとISの知識のついでに勉強は教えてるからな。」

「中退に関してもモーマンタイ!ちゃんと偽造してるよ!」

  いや、無問題ではないだろ。偽造してるから。

「あ、そうそう。受験と言えば、三人ともIS学園に通ってもらうから。」

「え...IS学園に...ですか?」

  IS学園。その名の通り、ISについて学ぶ高校だ。当然、IS関係なので、ほぼ女子高と化しているが、厳密には女子高ではない。だから、秋十君も通う事はできる。...偏差値も結構高いけどな。

「だいじょーぶ!今あっ君の事を世間にばらしたら騒ぎになるだろうけど、私達の計画では注目を浴びるだけで済むよ!」

「ダメじゃないですか!?」

  いいじゃん。どうせ、秋十君もISに乗れるのが分かってからは騒ぎになる事は覚悟してたんだしな。

「ワールド・レボリューションもだいぶ有名になったからな。秋十君の後ろ盾としても十分だろ。」

「...なーんか、それでも心配なんですけど...。」

  だろうなぁ...。..っと、さて、そろそろかな。

「束ー、ちょっと映してくれる?」

「んー?あー、あれね。オッケー。」

  空中に映像が映し出される。え?どうやってこんな事をしてるって?...ISを創れる人物が二人もここにいるんだよ?この程度、容易い。

「....どこですか?ここ。」

「IS学園の受験場所。」

「はい!?」

  そして映し出されるのは、とある部屋のカメラの映像。

「...なんですかこれ?」

「まーまー、見てなって。」

  部屋の中心には訓練用のISである“打鉄”が置かれている。
  しばらく見ていると...。

「お、来た来た。」

「来たって...これって....!?」

  誰かが入ってきた事に、秋十君は見覚えがあるのか驚きの声を上げる。
  ...当然だ。なんてったって。

「なんで...一夏が映ってるんだよ!?」

「そりゃまぁ、私がそうなるように本来なら(・・・・)仕向けてたらしいからねぇ...。」

「...“本来なら”?」

  秋十君も会話での違和感のある言葉に反応できるようになってきたか。...まぁ、今回のは束が分かりやすく強調してたからだけど。

「洗脳された私でもない。というか、この世界ではない空想上での世界だと、そうなってるみたいなんだよね。」

「...?どういう、ことですか...?」

  さすがに意図が分からない言葉を並べられて困惑する秋十君。他の皆も興味があるようで、耳を傾けてくる。

「...皆はさ、アニメや漫画での世界が、実在すると思う?」

「...?よくわからないですけど...普通は実在しないでしょう?」

「そうだね。でも、こう考えた事はないか?こことは違う、平行世界や、遠く離れた異世界には、アニメのような世界があるかも...と。」

  俺の言葉に、“まさか...”といった顔になる秋十君。

「...この世界は、“インフィニット・ストラトス”と言う、アニメにもなったライトノベルの世界と似ているそうだよ。」

「ライトノベルの世界....。」

  まぁ、普通は信じられないだろう。俺だって口頭だけで言われても信じられないし。だけど、俺の場合はあの神様に知識を直接与えられたからな。本当だと分かっている。

「だが、所詮は似ているだけだ。ライトノベルの方には、まず束の幼馴染としての“神咲桜”は登場しないし、“織斑秋十”という人物も存在しない。」

「え....?」

「そして何よりも、ライトノベルの織斑一夏とこの世界のとは、見た目こそ同じだが、中身が一切違う。...まぁ、これは理由があるけどな。」

  この世界での織斑一夏は中身が転生者で、洗脳を使う外道だからな。

「...まぁ、いずれ詳しく話すさ。今は関係ない。」

「はぁ....?」

  そうこうしている内に、ISに触れて起動させる織斑一夏。そして女性職員に捕まって騒ぎになる。

「あの...これは...。」

「“世界初の男性操縦者!”って感じだねぇ。...まぁ、初の男性操縦者は俺だけど。」

「ちなみにあっ君が二番目だね。」

  明日か明後日にでもニュースに出るだろう。

「そして、ニュースになった所を、ワールド・レボリューションとして俺たちを公表する。」

「....えっ?」

  いやぁ、騒ぎになるだろうね。(他人事)

「...で、公表するに当たって、俺と秋十君の名字は明かせない。」

「あ...既に世間には存在しませんもんね...。」

「まぁ、既に別の戸籍を用意してるんだけどな。」

  ちなみに“篠咲桜”と“篠咲秋十”となっている。...一応、兄弟な?

「...用意がいいですね。」

「まあねー。じゃ、さっき言った通り、三人はIS学園に通ってもらうよ。」

「...分かりました。」

  受験関連は大丈夫だろう。足りない所はまだあるだろうけど、補えばいいし。









  それから翌日、案の定ニュースで織斑一夏の事が放送された。

「いやぁ、騒ぎになってるな。」

「...それで、いつ頃俺たちの事も公表するんですか?」

  未だに不安そうな秋十君がそう聞いてくる。

「うーん...明日?」

  タイミング的にも、それぐらいがいいだろう。





〈では、次のニュース....っ!?し、失礼しました。き、緊急ニュースです!〉

  入ってきた情報(俺らの事)に驚くニュースキャスター。...むしろ、この程度で済んでるから流石と言うべきか。

〈最近、話題となっている会社、ワールド・レボリューションから以前からISの男性操縦者を保護していたとの情報が来ました。えー、詳細は今日の正午からの会見で説明する模様です。〉

  そう言って、次のニュースへと入っていく。結構重要なニュースなのに少ししか動揺しないなんてプロだな。

「さて、さっさと行って準備するか。」

「え、俺も何かしないといけないんですか?」

  会見する場所に早めに行こうとする俺に、秋十君はそう聞いてくる。

「うーん...いや、奥に居といてもいいよ。俺が大体説明するし。」

「あ、そうなんですか?」

「まぁ、場合によっては秋十君も何か言ってもらうかもね。」

「えっ。」

  とにかく会見する場所へ向かわなければな。





「うわぁ...結構いる...。」

「急な会見なのに、よくこれだけ集まったな...。」

  正午になり、俺たちは集まっている人達を陰から覗く。

「...束さん、ホントに大丈夫なんですか?」

「大丈夫だって。変装もバッチリだし、声も変えられるよ。」

  今の束の恰好は、架空の社長である篠咲有栖で、束のウサ耳を外して髪を茶色にした感じだ。(案外、これでばれないものなんだな。)
  ちなみに俺は、髪を後ろに束ねているだけだ。

  時間が来て、俺と束は会見するために出る。

「えー、本日は、急な会見にお集まりいただき、ありがとうございます。」

  フラッシュで少し目が眩む。あ、ちょ、焚きすぎ!

「先日初の男性操縦者が現れた事で騒ぎになっていますが、実際は彼が初の男性操縦者となります。彼は三年前にISを動かせることが分かっていましたから。」

  束(変声済み)が隣に座っている俺を紹介する。
  さらに俺に対してフラッシュが焚かれる。目が悪くなりそうだけど俺は動じない。

「篠咲桜と言います。容姿と名前が女性に近いですが、これでも男性なのであしからず。」

「そして、もう一人の男性操縦者は篠咲秋十と言い、彼の弟に当たります。動かせる事が分かったのは、二年前です。」

  秋十君の事も紹介する。...まぁ、この場に出てきてはいないけど。

「...その篠咲秋十さんは、なぜこの場にいないんですか?」

「彼はまだ学生ですからね。申し訳ありませんが、口頭だけで伝えさせてもらいます。」

「はぁ..そうですか。」

  中学生だからな。会見するような器量はまだ持ち合わせてないからな。

「しかし、なぜそれほど前から分かっていたのに、今まで公表しなかったのですか?」

  すると、尤もな質問が飛んでくる。

「理由としては...そうですね。このような騒ぎになる事でしょうか?」

「騒ぎ?」

「はい。インフィニット・ストラトスは、女性しか動かせない。これは今までの常識でした。その中にいきなり男性操縦者が現れたとしましょう。女尊男卑となっている世間は騒ぎだし、中にはその男性操縦者を異分子として亡き者にしようとする輩が出てしまうでしょう。」

  束がそう言うと、記者の内数人が目を逸らす。...女尊男卑の思想に染まった奴か?

「なので、公表はせず、ISを動かせるという事を秘密にしてきました。」

「では、どうしてこのタイミングで?」

「それは三人目の男性操縦者、織斑一夏さんが現れた事に関係しております。彼が現れた事によって、おそらくは世界中の男性がISに乗れるか検査する事でしょう。そして、私の会社、ワールド・レボリューションから二人も男性操縦者が現れたとなれば、なぜ二人も見つかったのかと勘繰られ、最悪の場合、我が社の信頼が落ちてしまいます。...なので、敢えてこちらから公表した訳です。」

  あまりちゃんとした理由ではないと思うが、それで納得した人もいる。
  ...つまりは、信頼を落としたくないって訳だしな。

「しかし、それでは結局二人が危険に晒されるのでは?」

「...実を言うと、織斑一夏さんがISに乗れると分かる前から、もうすぐ公表するつもりだったんですよ。私が会社を設立したのは、彼らにとって頼れる後ろ盾になるためですから。」

  束がそう説明する。実際、後ろ盾にもなるしな。

「...そういえば、篠咲社長と、彼らの関係は?」

「...義理の兄弟...もしくは、保護者と被保護者ですね。実の家族ではありませんが、家族のような関係のつもりです。」

「なるほど....。」

  記者の人達は一心不乱にメモにまとめている。

「...それで、これからどうするおつもりですか?」

「そうですね...IS学園に入学させるつもりです。織斑一夏さんも、彼らも、ISに乗れると分かった以上、いつものように暮らすのは危険です。例え、強力な後ろ盾がいたとしても。ならばということで、他国に干渉されづらいIS学園に入学させれば、ある程度は安全ですし、ISの技術も身に付けて自衛がしやすくなります。」

「その事に、二人は賛同しているのですか?」

  今度は俺に対して質問してくる。

「..私も、秋十君も、賛同しています。確かに、女性ばかりのいるIS学園に行くのは、抵抗がありますが、命の危険がありますので。」

  この後も些細な質問がいくつかあったが、特に何事もなく会見は終わった。







「...女尊男卑の人達が何か仕出かすと思ってましたけど、なにもありませんでしたね。」

「え?あー、それね。」

「....?」

  会見後、秋十君の言葉に、俺が曖昧な感じで返す。

「.....え゛っ?」

「お疲れー、マドカちゃん、ユーリちゃん、クロエちゃん。」

  秋十君がとある光景を見て絶句する。

  なにせ、他の人達には見られない場所で女性が何人か縛られているんだからな。

「いきなり秋兄や桜さんを襲いにかかるなんて、バカみたいだね。」

「束様や桜さんの言うとおりでしたね。」

「...あれ?弱くないですか...?」

  口々に感想を言う三人。...何気にユーリちゃんが一番ひどい事言ってるな。

「まぁ、事前に女尊男卑の奴らは来ると予想してたからな。三人に頼んで捕まえてもらった。」

「なるほど...。」

「皆お疲れー!はい、ウサちゃん飴!」

  束(変装はそのまま)が三人に兎の形をした飴を渡している。

「...で、この人達はどうするんですか?」

「...警察行きだな。」

  警察に送る前に色々と(束が)尋問するけど。

「直接襲ってきたという事は、ISの腕前は高くても、下っ端な場合があるからな...。後ろで手を引いている奴が聞きだせればいいが...。」

「まぁ、そんな簡単に行く訳ないけどねー。」

「だよなぁ...。」

  俺と束が本気出せば簡単に分かるけど。...と言うか、女尊男卑の奴らを片っ端から潰してもいいんだけどな。

「...でも、下っ端なら、もっと強い人が出てくるんじゃ...。」

「あー、ユーリ?言っておくけど、今回の奴らって普通より操縦が上手いからね?」

  ユーリちゃんが不安がって言うけど、マドカちゃんがそれを訂正する。

「....えっ?」

「あー...もしかして、自分の事を強くないって思ってる?」

「はい...会社でも、あまり勝てませんから...。」

  ちなみにユーリちゃんは相性こそあるものの、会社内では一番弱いかもしれない。勝つ時は勝ちまくるんだけどな。

「...会社の操縦者全員が代表候補生並の強さでも?」

「......はい?」

「ユーリは見てなかったから知らないだろうけど、適当な代表候補生の戦闘映像でも見てみなよ。世界の強さが分かるから。」

  ...自覚なしの強者って、恐ろしいな。

「じゃあ、会社に戻るぞ。はい、詰め込んで詰め込んで。」

「...この人達をですか?」

「当然。」

  “そんな、荷物のように...”とか言いながら気絶している女性たちをトラックに詰め込んでいく。...あ、ちゃんと人払いは済ませてあるぞ?





  その日、どこからともなく複数の女性の叫び声が聞こえたそうだが、ナンノコトヤラ(棒)







「...結局、特に収穫はなしか。」

「捨て駒だったみたいだねー。」

  翌日、俺と束は尋問した女性の情報を纏めていた。

「捨て駒ならこのまま解放しても消されるだけだな。」

「私としてはどーでもいーけど、あっ君とかは後味悪そうにしそうだなぁ...。」

  秋十君も、ユーリちゃんも優しいからな。...マドカちゃんは秋十君を護るためなら冷酷になるから論外になるけど。

「いっその事、うちで雇ってしまえば?」

「えー?女尊男卑に染まったクズだよ?メリットがないよー。」

  ...結構言う事キツイな、束...。

「俺たちは女尊男卑をなくすんだろ?女尊男卑に染まったのなら、さらにその上から正しい常識で染めればいい。たった数人だ。この程度、どうって事ないだろ?」

「....うーん...そう、だね...。」

  歯切れが悪いが何とか納得したみたいだ。

「じゃあ、彼女らを常識に染めるついでに私をさー君色に染めt」

「そぉいっ!!」

  やはり変な事を口走った束にチョップを....って、何っ!?

「ふっふっふー、甘いよさー君!」

「躱した...だと!?」

  束は俺のチョップを躱し、そのままソファーに押し倒してきた。

「私だってさー君の動きはよーく知ってるんだよ?」

「くっ...!(抜け出せない...!)」

  束も俺ほどではないが、とんでもない身体能力を有している。そのせいか、俺でも束から抜け出せん...!

「なにを...する気だ...!」

「なにをって....ナニ?」

「おまっ....!?」

  いや、まぁ、束の想いは薄々どころか確信してたけどさ...!まさか、こんな強引な手段に出るなんて...!

「私、もう我慢できないんだよ...。」

「束....。」

  頬をほんのりと赤らめながら、束が俺に迫ってくる。
  抜け出せないし、万事休すか...?





     ―――ガチャッ



「桜さん、束さん、少し休憩に―――」

「「....あ。」」

  唇と唇が重なる寸前、ドアが開いてユーリちゃんが入ってくる。

「えっ?あ、あ、あああの、えっと..その....!」

  顔を真っ赤にしながらしどろもどろになるユーリちゃん。

「.......きゅぅ...。」

「えっ?ちょ、ユーリちゃん!?」

  脳がショートでもしたのか、ついには気絶してしまう。





「...はぁ...。」

  頭を抱えながら、ユーリちゃんを膝枕している束をチラ見する。

「ちゃんと口止めしておかないとな...。ユーリちゃんは言いふらす性格じゃないけど。」

「んー、むしろ、ゆーちゃんも一緒に...。」

「おいやめろ。」

  なに巻き込もうとしてるんだ。

「えー?だって、ゆーちゃんもさー君の事を...。」

「それでもだ。まだ中学三年生の年齢だぞ?」

  もうすぐ高校生だけど、それでもダメだ。
  ...え?ユーリちゃんの気持ちには気づいてたのかって?...まぁ、俺といる時は常に嬉しそうにしてたから、さすがに...な。

「(...天災の俺でも、恋愛だけは苦手なんだよなぁ...。)」

  どう対処すればいいのか分からないし、ましてや二人以上に好かれるとなるとどうしようもない気がしてくる。

「...とりあえず、起きたら適度な説明と口止めだな。」

「ちぇ、つまんないなぁ。」

「あのなぁ....。」

  この後、束の不貞腐れっぷりに呆れつつも、起きたユーリちゃんに説明をして念のために言いふらさないように言っておいた。





  ....しばらくユーリちゃんが俺と目を合わせる度に顔を赤くして逃げるようになったのは、泣きたくなった。...純真な子な分、拒絶紛いな事をされると余計傷つく...。







 
 

 
後書き
あ、黒騎士の設定は原作とは違いますよ?参考にはしますけど。(というか原作未読です。)

と、言う訳で次回から原作へと飛びます。受験とかの過程はキングクリムゾンで消し去る。
...まぁ、二章の前にキャラ設定を挟みますがね。

それではまた次章で。
 
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