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艦隊これくしょん!平和な鎮守府の日常?

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提督、デジャブを感じる

「ふざけるなっ!!私の艦隊を貴様は何だ思っているのだ!!」

怒声。非常に平和な鎮守府に響いた声の中心地に居たのは提督であった。本来は酷く温厚で滅多に怒らず声を荒げる事さえ少ない彼が怒声を上げた事で秘書艦である長門は目を白黒させていた。手にしている通信機に向かって憤怒の表情をしながら更に声を荒げた。

「何を怒っているかだと貴様の頭の足りなさ加減だ大馬鹿者!!!こんな物の何処が作戦だ!戦力を囮に使うだけでは飽き足らずこのお粗末な陣形や内容は何だ!!ふざけるのも大概にしろ!!」

激怒しているのは新たに抜擢された作戦参謀が提出した深海棲艦に対する総攻撃作戦と証した穴だらけの作戦と言えない企画書であった。相手はそれを自信満々でそれを自分に送りつけてきただけではなく是非錬度が高い自分の艦隊に囮役をして貰いたいなどと抜かしてきた。

「何が参謀本部期待の有望な参謀だ笑わせるな!士官学校からやり直せ屑が!!」

力任せに通信機を叩きつけ強引に通信を切り椅子に座る提督。酷く息を荒げていたので少しずつゆっくりを息をして冷静さを取り戻す。

「その……大丈夫か提督?」
「………ああ、大きな声を出して悪かったね長門さん。びっくりしたでしょ………?」
「まあ、な……お前が大きな声を出すなど指揮を取る時かびっくりした時ぐらいだったからな」

―――はははっお恥ずかしい。と頬を掻きながら笑う提督。だがそんな彼が激怒するほどに酷すぎる作戦だったという事だ。それに彼は提督養成大学校時代に特SSS級の戦略シュミレーションを最初に制覇したという経歴を持っており参謀本部のトップも取れると言われたほどの逸材。

「ったく最近の参謀本部の連中は何考えてんだよ。ああもう、私が参謀コースの椅子蹴った意趣返しのつもりかよこの野郎」
「そういえば戦略シュミレーションでは最上級難易度をクリアしたと中将殿が言っていたな」
「ああ。それで提督養成コースから参謀コースに編入しろって言われたんだよ、それを蹴ったからね私」

参謀コースは完全なエリートコース。そのコースに入れば高い地位が絶対的に約束されるが入ることさえ非常に困難とされるコース、それに入れるのは大体が大金持ちの子供やら高い地位の軍人の子供などだけ。それからスカウトが来るほどこの提督はある意味異常といえる。

「あーもうちょっちイライラしてきた、ちょっと防波堤で釣りでもしてくる!」
「ああなら私も付き合うぞ。秘書艦だからな」
「それ関係あるのかな?」

秘書艦として提督の傍にいるのは可笑しくは無いが今の提督はかなりストレスを抱えている状態。共にいなければ少々危ないと長門も思ったのだろう。そして二人はヲッちゃんを連れて防波堤で釣りを始めることにした。

「はぁ~……釣りは良いねぇ……人類が生み出した娯楽の一つだよ♪」
「そこまで釣りが好きなのか?」
「まね、風に吹かれてぼんやりしながら食料を得られる。これほどまでにのんびりした食料確保を兼ね備えた娯楽は無いよ」
「提督。ヲッカナ釣レタヨ。コレデ5匹目」

共に釣り糸を垂らしているヲッちゃんは初めて釣りをするのだがかなり快調なご様子。深海棲艦というだけあって力は常人よりもかなり強くかなり大きめの魚もバンバン釣り上げている。本人も大きな魚を多く釣れてかなり嬉しそうにしている。

「そういえば報告を忘れていたがよっと。先ほど開発で烈風が出来たぞ」
「マジか長門さん!?マジで言ってんの!?」
「マジだ。頼まれていた配合で開発をしたら6回連続で烈風が出来たぞ」
「………長門さん、運良すぎじゃね?」

と長らく共にしてきた相棒ともいえる戦艦の豪運に呆れている竿が凄まじい撓りを見せ海へと引き込まれていく。

「お、おおおお!!!?来た来た来た!!!」

長らくご無沙汰だった大物あたりにテンションが普段の3倍ほどに膨れ上がる提督。思わず立ち上がり力強く竿を引くが相手も負けていないのかすごい力で引いている。

「ぬおおおおお!!負けてたまるかぁああああ!!!!オンドリヤアアアアアアア!!!!!!!!!!!」

渾身の力を込め力強く泳いでいた獲物を海面の上、太陽の下へと引きずり出した!!んが

「………えっ?」
「………デジャブ?」

太陽の下へと照らし出されたその姿は幼い少女、だが灰色掛った体と白い服と髪。そして血のように赤い瞳、明らかに深海棲艦。

「アッホッポサン」
「ポッ?……アッオ久!ヲッチャン!!」

―――ほっぽちゃんこと、北方棲姫。鎮守府に参★上。


「え~っと………」
「ポッ?」
「これは………どうした物か………」
「ホッポサン、如何シテ来タノ?」

釣れてしまった北方棲姫、陸にあげ見なかったことにして執務室に戻った三人だがいつの間に付いてきていたのか部屋の中にいる北方棲姫。激しいデジャブなどを感じながらこれからどうするべきなのかと考える提督と長門。

「烈風、ナイ……?」
「あるにはあるが……欲しいのか?」
「ウン!オ姉チャン、烈風欲シイ!!」

烈風があると解ると満面の笑みを浮かべてこちらを見てくるほっぽちゃんに長門と提督は思わず硬直。顔を顰めて如何した物かと会議する。

「ど、どうする提督……?幸いな殊に烈風は余っているしやっても悪くは無いのだが」
「でもあげてこっちに徳があるかって事だよね、一応敵だし」
「「でも……」」
「ポッ?」
「「(こんな純粋な瞳をしている子の頼みを無碍に出来ない………!!!)」」

子供好きな二人にとって純粋すぎる視線を向けてくるほっぽちゃんのお願いを蹴るのは難しいが軍人としての立場もあるためどうしたらいいやらと困ってしまう。そこでヲッちゃんが

「ホッポさん。烈風ヲッアゲル代ワリニ提督達ヲッアノ人達二会ワセテアゲタラ如何デス?」
「アッソレイイカモ!!」
「ヲ、ヲッちゃんあの人たちって?」
「港湾棲姫サンと離島棲鬼サン。ソシテ戦艦棲姫サンノ事デス」
「「―――えっ?」」 
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