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アバンチュール

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第一章

                 アバンチュール
 浮気、その言葉を仕事仲間から聞いてだ。私はまずは吹き出して言った。
「私そんなことしないわよ」
「自分ではそう思ってるのね」
「だって。彼氏がいるのよ」 
 それでとだ、私は彼女に返した。
「それでどうしてなのよ」
「浮気するのかって」
「普通はしないでしょ」
「いやいや、結構あるのよ」
 友達は私にくすくすと笑ってこうも言った。
「これがね」
「世の中には?」
「そうよ、あんたjはそうしたことをしなくてもね」
「そんなものなの」
「だからよく離婚とかあるんじゃない」
 友達は今度は離婚を話に出して来た。
「価値観の違いとかが理由の場合もあるけれど」
「浮気もなのね」
「離婚の理由で多いわよ、よく旦那さんが愛人作ってとかいう話あるじゃない」
「まあ聞くことは聞くわ」
 私は友達に合わせてその話は認めて頷いた。
「芸能人でもね」
「あるでしょ、ダブル不倫とか」
「ドラマでもね」
「実際にあるのよ、特に男の人はね」
 友達はその顔を次第に真面目なものにさせて答えた。
「浮気するから」
「女よりも」
「ええ、結構いたりするから」
 そうした浮気者がというのだ。
「実際ね」
「それあんたの近くにもいたの?」
「実はうちの叔父さんがそうで」
「浮気者なの」
「飲む打つ買うのロクデナシなのよ」
 私はその話を聞いてこの時も心の中で思った、よく聞く話だと。とはいっても私の身近にいないので実感はない。
「これがね」
「よく聞くタイプの人ね」
「仕事はしてるけれど最高のロクデナシで」
「浮気ばかりしてるの」
「四回離婚してるわ」
「よくそんなに離婚出来るわね」
「それで今五人目の奥さんと一緒だけれど」
 それでもというのだ。
「今回もなのよ」
「浮気してるのね」
「そうなのよ、また離婚するんじゃないかしら」
「そういう人いるのね、やっぱり」
「そうなの、だから気をつけてね」
 私にもという口調だった。
「あんたも」
「私もなの」
「だからあんた彼氏いるでしょ」 
 私にこのことをだ、あえてという感じで強く言って来た。
「それならね」
「気をつけろっていうの」
「万が一ってあるから」
「ないわよ、そんなの」
 私はこの時は笑って言えた。
「幹雄君に限って」
「本当にそう言えるの?」
「言えるわよ、ないわよ」
 笑ってこうも言った。
「そんなことは」
「まああんたの話を聞くとね」
「そうでしょ、そんな感じじゃないでしょ」
「うちの叔父さんとは違うわ」
 その飲む打つ買うの三拍子で四回の離婚を経験してまたしても浮気をしている様なそうした人とは、というのだ。
「やっぱりね」
「そうでしょ、そんなことしないから」
「そうよね、けれどね」
 まだ言うのだった、私に。
「誰でも間違いはあるし」
「幹雄君もなの」
「ひょっとしたらだから」
「気をつけろっていうのね」
「そうよ」
 こう私に言うのだった。 
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