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ハイスクールD×D~黒衣の神皇帝~ 再編集版

作者:黒鐡
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月光校庭のエクスカリバー
  彼は至った×真実からの極秘事項発言

リアスside

正門から堂々と入り込む私達。私は異様な光景に言葉を失った、校庭の中央に四本の剣が神々しい光を発しながら宙に浮いている。中心に怪しい魔法陣が校庭全体に描かれていたが、魔法陣の中央にいる初老の男、バルパー・ガリレイの姿を確認する事が出来た。私は疑問に思っていると。

「四本のエクスカリバーを一つにするのだよ」

バルパーは、面白ろ可笑しそうに口にした。

「バルパー、あとどれ位でエクスカリバーは統合する?」

「ッッ!」

空中から聞こえる声で部員全員が空へ視線を向けた時、月光を浴びるコカビエルの姿があった。宙で椅子に座り、こちらを見下ろしていた。椅子を浮かしているのは堕天使の力なのか、余裕そうに足を組んでいる。

「五分もいらんよコカビエル」

「そうか。では頼むぞ」

コカビエルはバルパーから私に視線を移す。

「サーゼクスは来るのか?それともセラフォルーか?」

「お兄様とレヴィアタン様の代わりに私達が・・・・」

風切りの音が聞こえたので、音がした方向を向くと体育館だった場所は影も形も無くなっていた。あれを消し飛ぶ何て力なの。

「つまらんがまあいい。余興にはなるか」

体育館があった場所に、巨大な光の柱が斜めに突き刺さっていた。あれを受けると私達は、最悪消滅しちゃうわね。

「さて、地獄から連れてきた俺のペットと遊んでもらおうかな」

コカビエルが指を鳴らす。すると闇夜の奥から、ズシンズシンと何かが地を揺らしながら近づいて来た。あれはケルベロスだわ。何て物を連れてきたのよ、私は滅びの魔力でケルベロス相手をするが桁違いのディフェンスで弾き飛んだ。

「地獄の番犬の異名を持つと有名な魔物は、本来地獄か冥界へ続く門周辺に生息している。なのに人間界に持ち込む何て!」

朱乃の雷でもビクともしないので、全長八メートルから十メートルあるから私達では相手にならない。小猫の拳でもかすり傷のようだったが、ケルベロスが火炎を向けようとしたその時だった。ケルベロスの首の一つが斬り落とされていた!誰なの?

「加勢しに来ましたよ部長!」

「私もいるぞ」

祐斗とゼノヴィアだった。ケルベロスは、一瞬後退したがゼノヴィアの聖剣で滅んだからこれなら勝てるわ。聖剣の一撃は、魔物にもダメージを与えるんだから。

俺は現在、学校にある監視カメラで見ていた。お守りには盗聴機能もあるのでそれを聞いていた。

「祐斗、来てくれると信じていたわよ。それとゼノヴィアさんも、イリナさんはどうしたの?」

「僕とゼノヴィアとイリナは、一誠君から貰ったお守りによって一誠君の家に強制的に転移させられました。イリナさんは、怪我をしていたのですが命に別状はありません。先程コカビエルが動いた、と聞いたので一誠君に頼んでここまで来られました。ただ一誠君が来るのに時間がかかるそうです」

「二体目のケルベロスが来るぞ!木場、お前はケルベロスの注意を逸らしてくれ。私が一撃を喰らわせよう」

祐斗は魔剣二本で立ち向かっていき、目を斬って注意を逸らす。その後、ゼノヴィアによる一撃でもう一体のケルベロスは、塵芥して宙へ霧散していった。リアスと朱乃による魔力で、宙にいる堕天使幹部であるコカビエルへ襲い掛かるが片手を前に突き出して防いだ。

「ふん、小娘が何人いようと私には敵わない。赤龍帝の力があれば、少し面白みがあったがな」

確かに俺が持っている赤龍帝の力を譲渡すれば、何十倍の魔力になるだろう。リアス達だけでは倒せないだろうが、その時バルパーに動きがあった。

「・・・・完成だ」

バルパーの声がして、校庭の真ん中にあった四本のエクスカリバーがあり得ない程の光を発し始めた。やっと一本になったが、俺の剣なら一撃で破壊出来るので俺が一から創ったエクスカリバーだろう。眩い光が終わった時、校庭の中央にあったのは青白いオーラを放つ一本の聖剣だった。

「エクスカリバーが一本になった光で、下の術式も完成した。あと二十分もしない内にこの町は崩壊するだろう。解除するにはコカビエルを倒すしかない」

あの光はこういう意味だったのか、こりゃ俺が行かないと不味い事となるな。人間である俺でも、創造神黒鐵である俺が簡単に介入する事は出来ない。遠隔操作でその魔法陣を無効化するか、と思った俺は空間から手を伸ばした。無効化した事でバレないようにその術式を破壊した。

バルパーやコカビエルも気付いて無さそうなので、二十分後になったら光り輝く事にしといて空間から手を戻した。映像を見ると魔法陣が光り出していたが、それは偽物だから心配はいらん。サーゼクスらが来てもいい状態にした頃、一本になったエクスカリバーをフリードに持たせた。

「フリード!」

「はいなボス」

暗闇の向こうから、白髪のイカレ神父が歩いてきた。

「陣のエクスカリバーを使え、最後の余興だ。四本の力を得たエクスカリバーで戦ってみせろ」

「ヘイヘイ。まーったく、俺のボスは人使いが荒くてさぁ。でもでも!チョー素敵仕様になったエクスなカリバーちゃんを使える何て光栄の極み、みたいな?ウヘヘ!ちょっくら、悪魔でもチョッパーしますかね!」

イカレた笑みを見せながら、フリードは校庭のエクスカリバーを握った。木場にゼノヴィアが話しかける所を見たので盗聴した。

「リアス・グレモリーの『騎士』である木場よ。共同戦線が生きているのならば、あのエクスカリバーを共に破壊しようじゃないか?」

「いいのかい?」

木場の問いにゼノヴィアは不敵に笑う。

「最悪、私はあのエクスカリバーの核になっている『欠片』を回収出来れば問題ない。フリードが使っている以上、あれは聖剣であって聖剣では無い。聖剣とて普通の武器と同じだが、使う者によって場合も変わる・・・・あれは異形の剣だ」

「くくく・・・・」

あれは確かに異形だな。俺が持っている聖剣エクスカリバーは、黄金で柄は所々に装飾されているし宝玉がいくつもついている。更に付け加えれば、俺の魔力で創った物だから俺でしか触れられないようにしてる。俺専用ではあるが、ここでバルパーは笑っていた。

「バルパー・ガリレイ、僕は『聖剣計画』の生き残りだ。いや正確には貴方に殺された身、悪魔に転生した事で生き永られている」

至って冷静にバルパーに告げる木場だが、その瞳には憎悪の炎が宿っていた。バルパーの答え次第では一触即発だな。

「ほう、あの計画の生き残りか。これは数奇なものだが、こんな極東の国で会う事になろうとは縁を感じるな。ふふふ」

嫌な笑い方をしているバルパー。小バカにしてるようなものだな。

「私は聖剣が好きなのだよ。それこそ夢にまで見る程に、幼少の頃エクスカリバーの伝記に心を躍らせたからなのだろうな。だからこそ、自分に聖剣使いの適性がないと知った時の絶望だった。自分では使えないからこそ、使える者に憧れを抱いた。その想いは高まり、聖剣を使える者を人工的に創り出す研究に没頭するようになったのだよ。そして完成した事だから、君達のお蔭だ」

「何?完成?僕達を失敗作だと断じて処分したじゃないか!」

眉を吊り上げ、怪訝な様子の木場だった。確かに表では失敗と言ってたかもしれない、だがそれは裏があったのだ。アスモデウスが調査したお蔭で知る事になった本当の事実を。

「聖剣を使用する時、必要な因子がある事に気付いた私はその因子の数値で適性調査した。被験者の少年少女、ほぼ全員に因子はある物の、どれもエクスカリバーを扱える数値に満たさなかったのだ。そこで一つの結論に至った。ならば『因子だけを抽出し、集める事は出来ないか?』・・・・とな」

「なるほど。読めたぞ。聖剣使いが祝福を受ける時、体に入れられるのは・・・・」

どうやらゼノヴィアは気付いたようだが、俺もアスモデウスからの報告を聞いた時は驚いた。疑問に思う皆を置いて、バルパーは更に続ける。

「そうだ、聖剣使いの少女よ。持っている者達から、聖なる因子を抜き取って結晶を作ったのだ。こんな風に」

バルパーが懐から光り輝く球体を取り出した。眩い光だな、あれは聖なるオーラの結晶だ。

「これにより、聖剣使いの研究は飛躍的に向上した。それなのに教会の者共は、私だけを異端排除されたのだ。研究資料だけを奪ってな。貴殿を見るに、私の研究は誰かに引き継がれているようだ。ミカエルめ。あれだけ私を断罪しておいて、その結果がこれか。あの天使の事だ、被験者から因子を抜き出すにしても殺す事はしてないか。その分だけは、私よりも人道的と言える。くくくくく」

愉快そうにバルパーは笑う。木場もゼノヴィアも、バルパーの研究から始まる因果に巻き込まれたという感じだな。

「・・・・同志達を殺して、聖剣適性の因子を抜いたのか?」

木場が殺気を籠った口ぶりでバルパーに聞く。

「そうだ。この球体はその時の物だぞ?三つ程フリード達に使ったが、これは最後の一つだ」

「ヒャハハハハ!俺以外の奴らは、途中で因子に体が付いていけなくなって死んじまったけどな!うーん、そう考えると俺様はスペシャルだねぇ」

「・・・・バルパー・ガリレイ。自分の研究、自分の欲望の為、どれだけの命を持て遊んだ・・・・」

木場よ落ち着け。こういう時は、冷静になって考えた方がいいと教えたはずだが恐らく怒りで忘れているな。木場の手が震え、怒りから生み出される魔力のオーラが奴の全身を覆った。凄まじい程の迫力だな。

「それだけ言うのならば、この因子の結晶を貴様にくれてやる。環境が整えた後で、量産出来る段階まで研究は進んでいる。まずはこの町をコカビエルと共に破壊しよう。あとは世界各地で、保管されている伝説の聖剣をかき集めようか。聖剣使いを大量量産し、統合されたエクスカリバーを用いてミカエルとヴァチカンに戦争を仕掛けてくれる。私を断罪した愚かな天使共と信徒共に、私の研究を見せつけてやるのだよ」

それがバルパーとコカビエルが手を組んだという訳か、俺は一人部屋にいて画面越しで見ているともう少しで二十分経過する。まだかよサーゼクスは。

『相棒が行ったらいいのではないのか?』

『赤龍帝だろうが、神だから簡単に争い事には巻き込まなくてね。基本的に介入をしてはいけない、と言うルールがあるのさドライグ』

『神っていうのはただ見守ってるだけなのか。だがいつか行く時があるのだろう?』

『悪魔の加勢が来ても治まらない場合は、俺がやるしかない。それか白龍皇が出てくるかだな、確か堕天使の所にいるとアザゼルから聞いた』

俺とドライグが念話してた時に変化があった。木場が因子の結晶を手に取った所だったが、恐らくバルパーが興味を無くしたから木場の手元にあるのだろう。木場は、哀しそうに愛しそうに懐かしそうにその結晶を撫でていた。

すると結晶が光り出したが、光は校庭を包み込むように拡大していく。校庭の地面に、各所からポツポツと浮いて形となる。人のカタチになって、木場の周囲を囲むように出てきたのは、青白く光を放つ少年少女達だった。

「恐らく戦場に漂う様々な力が、因子の球体から魂を解き放ったのか」

画面越しに見ると、朱乃が俺と同じ事を言っていたように聞こえる。それに駒王学園には、魔剣・聖剣・悪魔・堕天使という状態だった。木場は彼らを見つめ、懐かしそうで哀しそうな表情を浮かべた。

「皆!僕は・・・・僕は!」

俺にも分かるぜ木場。少年少女達は、かつて聖剣計画の被験者達であり処分された者達。

「・・・・ずっと・・・・ずっと、思っていたんだ。僕が、僕だけが生きていいのかって・・・・僕よりも夢を持った子がいた。僕よりも生きたかった子がいた。僕だけが平和な暮らしを過ごしていいのかって・・・・」

霊魂の少年の一人が微笑みながら、木場に何か言っている。画面越しだから、何を言ってるか分からないが口をパクパクしている。だが何となく分かった。すると朱乃が代わりに話し始めた。

「・・・・『自分達の事はもういい。君だけでも生きてくれ』彼らはそう言ったのです」

それが伝わったのか、木場は双眸から涙が溢れていく。魂だけの少年少女達が、口をパクパクとリズミカルに同調していたがこれは聖歌か!彼らは聖歌を歌っている・・・・木場も涙を流しながら、聖歌を口ずさんでいた。

それは彼らが、辛い人体実験の中で唯一希望と夢を保つ為に手に入れた物。それは過酷な生活で、唯一知った生きる糧となってそれを歌う彼らと木場は、まるで幼い子供のように無垢な笑顔で包まれていた。彼らの魂が青白い輝きを放ち出したが、その光が木場を中心に眩しくなっていく。

『僕らは、一人ではダメだった・・・・』

『私達は聖剣を扱える因子が足りなかった。けど・・・・』

『皆が集まれば、きっと大丈夫・・・・』

彼らの声が、スピーカー越しに伝わってくる。本来聖歌は、悪魔にとって苦痛になるものだ。現在あの校庭には、様々な力が入り乱れている特殊な力場の所為なのだろう。だけど木場やリアス達は苦しみがっていない事で、寧ろ温かさを感じるようになっていた。友を、同志を想う温かいものだ。俺の目からも涙が自然と出ていた。

『聖剣を受け入れるんだ・・・・』

『怖く何てない・・・・』

『例え、神がいなくても・・・・』

『神が見ていなくても・・・・』

『僕達の心はいつだって・・・・』

「・・・・一つだ」

彼らの魂が天に昇り、一つの大きな光となって木場の元へ降りてくる。優しく神々しい光が、木場を包み込んだ瞬間俺は思った。木場は至ったなと。

『相棒、あの「騎士」は至ったな』

『ああ、本来神器とは所有者の想いを糧に変化と進化をしながら強くなっていく。それとは別の領域がある。所有者の願いが、この世界に漂う「流れ」に逆らう程の劇的な転じ方をした時、神器は至る。それこそが・・・・禁手(バランス・ブレイカー)だ』

俺とドライグが声を重ねて言った時、闇夜の天を裂く光が木場を祝福しているかのように見えた。

木場side

・・・・ただ生きたかった。研究施設から一人逃げ出し、森の中で血反吐を吐きながら走った僕はそれだけを考えていた。森を抜け、とある上級悪魔の少女と出会った時、命の灯火が消えかかっていた。

「あなたは何を望むの?」

死に逝く間際の僕を抱えて、紅髪の少女は問う。擦れていく視界の中で僕は一言だけ呟いてた・・・・助けて、と。僕の命・僕の仲間・僕の人生・僕の願い・僕の力・僕の才能を。僕を・・・・ただただ、それらを籠めて願った。それが人間としての最後の言葉だった。

「・・・・悪魔として生きる。それが我が主の願いであり、僕の願いでもあった。それでもいいと思った。けれど・・・・エクスカリバーへの憎悪と同志の無念だけは忘れられなかった・・・・いや、忘れても良かった。僕には・・・・」

今最高の仲間がいるんだ、一誠君に小猫ちゃん。復讐にかけられた僕を助けてくれた。特に一誠君はそれを気付きながらも、復讐の為に生きてきた僕を冷静な心で見てくれたし、一緒に鍛錬もしてくれた良い友と出会えた。共に聖剣使いを探し回っていた時に気付いたんだ。

『それだけで十分じゃないのか?』

と。だけど、同志達の魂が復讐を願っているとしたら、僕は憎悪の魔剣を降ろす訳にもいかない。だけどその想いは解き放たれた・・・・自分達の事はどうでもいいと、君だけでも生きてくれ。同志達は僕に復讐を願っていなかったし、願ってはいなかったんだ!

「でも全てが終わった訳じゃない」

そう終わりではない、目の前にある邪悪を打ち倒さないと僕達の悲劇は繰り返される。

「バルパー・ガリレイ。貴方を滅ぼさない限り、第二第三の僕達が生を無視される」

「ふん。研究に犠牲は憑き物だと、昔から言うではないか。ただそれだけの事だぞ?」

やはりあなたは邪悪すぎる!その時念話が飛んできた!相手は一誠君だった。

『木場、いや祐斗よ。フリードとエクスカリバーを倒せ!お前なら出来るはずだ!お前はリアス・グレモリーの「騎士」であり、俺の仲間で俺の友だ。戦え、あいつらの想い、魂を犠牲にしてはいけない』

後ろにいたリアス先輩達も次々と言ってくる。

「祐斗!やりなさい!自分で決着をつけるの!エクスカリバーを超えなさい!貴方は、このリアス・グレモリーの眷属なのだから!私の『騎士』は、エクスカリバー如きに負けはしないわ!」

「祐斗君!信じてますわよ!」

部長、副部長・・・・リアス部長!朱乃さん!

「・・・・祐斗先輩!」

小猫ちゃん。

「ファイトです!」

「祐斗さん、頑張ってください」

アーシアさん。・・・・皆。

「ハハハ!何泣いてんだよ?幽霊ちゃん達と戦場のど真ん中で、楽しく歌っちゃってさ。ウザいったらありゃしない。もう最悪。俺的にあの歌が大嫌い何スよ。聞くだけで玉のお肌がガサついちゃう!もう嫌もう限界!てめえを切り刻んで気分を落ち着かさせてもらいますよ!この四本統合された無敵の聖剣ちゃんで!」

フリード・セルゼン・・・・その身に宿る僕の同志の魂。これ以上悪用される訳にはいかない!この涙は決意の涙だ!

「・・・・僕は剣になる」

同志達よ、僕の魂と融合した同志達よ。一緒に超えよう・・・・あの時達せなかった想いを、願いを今こそッッ!

「部長、仲間達の剣となる!今こそ僕の想いに応えてくれッ!魔剣創造(ソード・バース)ッ!」

僕の神器と同志の魂が混ざり合うが、同調しカタチを成していく。魔なる力と聖なる力が融合していく。この感覚。僕の神器が、僕の同志達が教えてくれる。これは昇華だと。神々しい輝きと禍々しいオーラを放ちながら、僕の手元に現れたのは一本の剣・・・・完成したよ、皆。

「禁手『双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)』聖と魔を有する剣の力、その身で受け止めるがいい!」

僕はフリード目掛けて走り出した。『騎士』の特性はスピード!フリードが、目で僕の動きを追うようにしていたがフェイントを何度も入れていた。彼の視界から脱するが、僕の一撃はフリードは受け止めた。本当に大した『はぐれ悪魔祓い』だよ。しかし彼のエクスカリバーを覆うオーラが、僕の剣によってかき消されていく。

「ッ!本家本元の聖剣を凌駕すんのか、その駄剣が!?」

驚愕の声を出すフリード。

「それが真のエクスカリバーならば、勝てなかっただろうね・・・・でもそのエクスカリバーでは、僕と同志達の想いは絶てない!」

「チィ!」

舌打ちをしたフリードは、一度後退してフリードのエクスカリバーに変化があった。

「伸びろォォォォ!」

エクスカリバーが意志を持ったようにうねり始め、宙を無軌道に激しく動きながらこちらへ迫ってきた。その時一誠君から念話が飛んできた。

『それは擬態の聖剣の能力だ。どんなカタチでも変えられるものだ、気を付けろ祐斗』

一誠君がアドバイスしてくれた通り、あれは四本のエクスカリバーの能力を使えるみたいだ。更に剣は先端から枝分かれし、神速で降り注いでくる。これは天閃の聖剣の能力みたいだが、四方八方上下から縦横無尽に鋭い突きを放ってくるが僕は全て防ぐ。君の殺気は、分かりやすいからどこから来るのかはお見通しさ。

「何でさ!何で当たらねぇぇぇぇ!無敵の聖剣様何だろぉ!昔から、最強伝説を語り継がれてきたじゃないのかよぉぉぉぉ!」

フリードが叫ぶ。その姿は明らかに、楽しみと共に焦りの影が見えてきた。

「なら!ならこいつも追加で行ってみようかねぇぇ!」

聖剣の先端が不意に消える。透過現象?これは透明の聖剣の能力だ。刀身を透明にさせる能力だが、そんな能力があったとしても透明な刀身と僕の剣が火花を散らす。僕はフリードの攻撃を全ていなした。フリードは目元を引きつらせて、驚愕の表情になる。

「そうだ。そのままにしておけよ」

横殴りにゼノヴィアが介入してくるが、左手に聖剣を持っていて右手を宙に広げた。

「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ」

何かの言霊を発し始めるが、彼女は一体何をするつもりだ?疑問に感じていた僕の視界で空間が歪む。歪みの中心にゼノヴィアが手を入れたら、無造作に探り何かを掴むと次元の狭間から一気に引き出してくる。そこにあったのは、一本の聖なるオーラを放つ剣。

「この刃に宿りしセイントの御名において、我は開放する。・・・・デュランダル!」

デュランダル!?エクスカリバーに並ぶ程有名な伝説の聖剣だ。しかも斬れ味だけなら、最強だと聞いているが何故彼女が?

「デュランダルだと!」

「貴様、エクスカリバーの使い手ではなかったのか!」

バルパーばかりか、コカビエルも流石に驚きを隠しきれない様子だった。

「残念。私は元々聖剣デュランダルの使い手だが、エクスカリバーの使い手も兼任していたに過ぎない」

ゼノヴィアがデュランダルを構えると、エクスカリバーとの二刀流だ。

「バカな!私の研究では、デュランダルを扱える領域まで達してはいないぞ!?」

「それはそうだろう。ヴァチカンでも人工的なデュランダル使いは創れていない」

「では何故だ!?」

「イリナ達現存する人工聖剣使いと違って、私は数少ない天然物だ」

ゼノヴィアの言葉に、バルパーは絶句していた。ゼノヴィアは僕達と違い、元から聖剣に祝福された者だったようだ。

「デュランダルは、想像を遥かに超える暴君でね。触れた物は何でも切り刻むから、私の言う事も碌に聞く事はない。故に、異空間へ閉じ込めておかないと危険極まりないのさ。使い手の私ですら手に余る剣だ・・・・さてとフリード・セルゼン。お前のお蔭で、エクスカリバーとデュランダルの頂上決戦が出来る。私は今、歓喜に打ち震えているぞ。一太刀目で死んでくれるなよ?精々エクスカリバーの力を存分に揮う事だ!」

デュランダルの刀身が、フリードの持つエクスカリバー以上の聖なるオーラを放ち始めた。あのオーラは、僕の聖魔剣以上の力を発揮している!

「そんなのアリですかぁぁぁ!?ここに来てチョー展開!クソッタレのクソビッチが!そんな設定はいらねぇんだよ!」

フリードが叫びながら、枝分かれした刀身が向かってくるが横薙ぎで、枝分かれしたエクスカリバーが砕かれて姿を見せた。

「所詮は折れた聖剣か、このデュランダルの相手にもならない」

ゼノヴィアはつまらなそうに嘆息するが、凄まじい威力だ。彼女の持つ破壊の聖剣など比べ物にならない。

「マジかよマジかよマジですかよ!伝説の聖剣エクスカリバーちゃんが、木端微塵の四散霧散かよっ!酷い!これは酷すぎる!かぁーっ!折れた物を再利用しよう何て思うのが、いけなかったのでしょうか?人間の浅墓さ、教会の愚かさ、色んな物を垣間見て俺様は成長していきたい!」

殺気が弱まった彼に一気に詰め寄ったが、彼も対応出来ないのでチェックメイト!僕の聖魔剣を受け止めようとしたが、木端微塵に砕き僕は勝利した。

「・・・・見ていてくれたかい、僕らの力はエクスカリバーを超えたよ」

『聖魔剣とは驚いたな相棒』

『本来なら有り得ない現象だが、しょうがないだろう。一応神シャルロットはいない事になっているのだから』

『相棒も聖魔剣は創れるのか?』

『ああ、聖剣と魔剣を合わせれば出来るさ。俺は創造神だがら、量産化も可能だろう』

画面越しで見ていたが、やっと木場は至った様子だな。これでまた禁手化が出来る奴が増えて嬉しい。木場はフリードと戦おうとしていたので、念話を飛ばして檄を送ってやった。俺はまだ介入する場まで待っていたので、部屋で待機していたがするとフリードの野郎が四本の聖剣の能力を使ってきたので、念話でアドバイスをしてから画面を見ていた。

ゼノヴィアは、何か言霊を言っていたが何だろう?と思ったらこりゃ驚いたぜ。あれは聖剣デュランダルだが、聖剣エクスカリバーと並ぶ程の聖剣だ。ゼノヴィアは天然の聖剣使いだったのか、聖剣エクスカリバーは砕かれて祐斗はフリードに斬り付けた事で終わった。倒れ込み、肩口から横腹まで傷を付けて鮮血を滴らせる。

「せ、聖魔剣だと・・・・?在り得ない・・・・。反発し合う二つの要素が混じり合う何て事はあるはずが無いのだ・・・・」

バルパーが表情を強張らせていたが、コイツを打倒しない限り悲劇は続くだろう。

「バルパー・ガリレイ。覚悟を決めてもらう」

祐斗は聖魔剣をバルパーへ向けて斬り込もうとしていたが、何かを言おうとしていた。

「・・・・そうか!分かったぞ!聖と魔、それらを司る存在のバランスが大きく崩れているとするならば説明は付く!つまり、魔王だけではなく、神も・・・・」

バルパーがタブーな事を言おうとした瞬間、光の槍によって絶命した。アイツも気付いたからコカビエルの槍によって、絶命させられたからだ。今は神が不在だと言う事だが、それは仮であり本当は生きているという事を知っているのは俺達黒神眷属だけだ。

「バルパー、お前は優秀だったよ。思考が至ったのも優れているが、故だろうな・・・・だがお前がいなくても別にいいんだ。最初から一人でやれる」

コカビエルめ、調子に乗りやがったな。アイツは心底笑っていたが、リアスに向けて高濃度の魔力を俺に撃てと言っていた。滅びの魔力を持っているリアスなら、高濃度圧縮した魔力弾を撃てるだろうが、リアスは震えてた。

あそこにいる全員が、コカビエルの眼光によって恐怖が支配するようになっていた。リアスは、高濃度圧縮した魔力弾を撃った。流石にコカビエルでも両手で抑えていたが、ローブなどが傷つき手には血のようなのが見えた。

コカビエルは、憑りつかれたように魔力弾を小さくしてやがて消滅させた。朱乃や祐斗と小猫ちゃんが、まるで相手されないかのように一撃で倒れてしまった。幸いそこにアーシアがいたから命に別状は無さそうだが、それ程強いらしい。

ま、俺からしてみればただの餓鬼にしか見えない。後方にいたゼノヴィアと祐斗は、共に斬りかかる。先に斬りかかったゼノヴィアで、コカビエルは光の剣を創り出して片手で迎え撃つ。

「フン!デュランダルか!一度壊れたエクスカリバーとは違い、こちらの輝きは本物か!しかぁぁぁし!」

「・・・・ッッ!」

空気が震えてから、耳鳴りが襲うがコカビエルは空いている手から波動を放ちながらゼノヴィアの体を宙に浮かせて回し蹴りを彼女の腹部へヒットした。

「がっ!」

苦悶の声を発し、ゼノヴィアが吹っ飛ばされていく。

「所詮は使い手次第。娘!お前ではまだまだデュランダルは使いこなせんよ!先代の使い手はそれはそれは常軌を逸する程の強さだったぞ!まあそれにだ、兵藤一誠のような使い手ならば充分に発揮したであろうな!」

ゼノヴィアは空中で体制を立て直して、地面に上手く着地していたが一気に斬り込んでいく。祐斗はそれに合わせて同時に斬りかかる。ま、奴の言う通り俺がデュランダルを使うと力が発揮するだろうけど俺にはエクスカリバーで充分だ。

「コカビエル、僕の聖魔剣で貴方を滅ぼす!もう誰も失う訳にはいかないんだ!」

「ほう!聖剣と聖魔剣の同時攻撃か!面白い!実にいいぞ!来いッッ!そのぐらいでなければ俺は倒せんッッ!」

コカビエルはもう片方の手に、同じ光の剣を創ってから祐斗達の剣を捌いていく。祐斗の聖魔剣とゼノヴィアのデュランダルとエクスカリバーの二刀流でも、斬撃を難なくいなしていく。まあ剣の技量でも奴の方が上だろうし、回復した小猫ちゃんは拳を打ち込んだりしたがコカビエルの翼が鋭くなって斬り刻んだ。

そんで祐斗の聖魔剣もヒビが入っていたが、剣の堅強さは祐斗次第だからか集中が切れると硬度が下がるな。奴の全身から発生した衝撃波は、祐斗とゼノヴィアは為す術もなく吹き飛ばされた。体制を整えるがそのままだとコカビエルを倒せないぞ。

全員肩で息をしていたからか、まだまだ修業不足なのかもしれんな。聖魔剣によって、コカビエル周囲に聖魔オーラを放つ刃が出現するが正直言ってあれで囲ったつもりなのか?嘆息するコカビエルだったが、ついに奴は大きな失言したのだった。

「しかし、仕えるべき主を亡くしてまで、お前達神の信者と悪魔はよく戦う」

「・・・・どう言う事?」

リアスが怪訝そうな口調で訊くが、あれは天界や冥界でもタブーな話題だ。今そこで言うのかコカビエル。奴は、心底可笑しそうに大笑いした。まるで無知な者を笑うかのようにな。

「フハハ、フハハハハハハハ!そうだったな!そうだった!お前達下々まで、あれの真相は語られていなかったな!ならついでだから教えてやるよ。先の三つ巴戦争で四大魔王だけじゃなく、聖書に記されし神シャルロットも死んだのさ!」

とうとう言ってしまったな極秘中の機密事項を。あれは天界で言えば熾天使、堕天使で言えばアザゼルと幹部達ぐらいだ。悪魔側は知っていると思うが、リアス達は信じられない様子だったがまあそうだな。悪魔側でもこれに関しては、知らない事だと思えば当たり前だもんな。

「知らなくて当然だな。神が死んだ等と誰に言える?人間は神がいなくては、心の均衡と定めた法も機能しない不完全な者の集まりだぞ?我ら堕天使、悪魔さえも下々にそれらを教える訳にはいかなかった。どこから神が死んだと漏れるか、分かったもんじゃないからな。三大勢力でもこの真相を知っているのはトップと一部の者達だけだが、あともう一人いた。始まりの神とも言える人間、兵藤一誠もな。先程バルパーが気付いたようだったがな」

言ってしまったが俺も含まれてしまったので、半殺し確定以上の事をしないといけないなこの餓鬼は。いかん落ち着け。冷静になるのだ俺よ。

「戦後残されたのは神を失った天使、四大魔王と上級悪魔の大半を失った悪魔、幹部以外を失った堕天使。最早疲弊状態所じゃなかったが、どこの勢力も人間に頼らなければ種の存続が出来ない程まで落ちぶれたのだ。特に天使と堕天使は人間と交わらねば種を残せない。堕天使は天使が堕ちれば数は増えるが、純粋な天使は神を失った今では増える事など出来ない。悪魔も純血種が希少だろう?」

確かに俺はあの場にいたが、実は生きてる。アイツらに教えるのはまだ早いが、教えるんだったら大舞台で無ければ俺も楽しめない。カメラは、ゼノヴィアを捉えていたが力が抜けていた。

「・・・・嘘だ。・・・・嘘だ」

真実を知るには、早すぎたのだと俺は実感した。アイツは現役の信仰者にて、神の下僕。神に仕える事を使命として生きてきた存在。ここで神の存在を全否定したようなもんだから、生き甲斐を失えばそうなるのも当然だから今まで秘密にしてきた事だ。祐斗も何を信じて、あの研究施設で過ごしていたのか。

「正直に言えば、もう大きな戦争など故意にでも起こさない限り、再び起きない。それだけ、どこの勢力も先の戦争で泣きを見た。お互い争い合う大元である神と魔王が死んだ以上、戦争継続は無意味だと判断しやがった。アザゼルの野郎も戦争で部下を大半亡くしちまった所為か『二度目の戦争は無い』と、宣言する始末!耐え難い!耐え難いんだよ!一度振り上げた拳を収めるだと!?ふざけるな。ふざけるなッ!あのまま継続すれば、俺達が勝てたかもしれないのだ!それを奴は!人間の神器所有者を招き入れねば、生きていけぬ堕天使共など何の価値がある!?」

強く持論をするコカビエルだったが、憤怒の形相となっていた。事の真相は、想像以上にアイツらへ衝撃を与えている。アーシアは口元を手で押さえ、目を大きく見開いて全身を震わせていた。悪魔になったといえ、彼女の信仰心は強いし死んでいないからだ。

「・・・・主がいないのですか?主は・・・・死んでいる?では私達に与えられる愛は・・・・」

アーシアの疑問にコカビエルは可笑しそうに答える。

「そうだ。神の守護、愛が無くて当然何だよ。神は既にいないのだからな。ミカエルはよくやってくれているが、神の代わりをして天使と人間を纏めているのだからな。神が使用していた『システム』が、機能していれば神への祈りも祝福も悪魔祓いであるエクソシストもある程度動作はする。・・・・ただ、神がいる頃と比べて切られる信徒の数が格段に増えた。そこの聖魔剣の小僧が聖魔剣を創り出せたのも、神と魔王のバランスが崩れているからだ。本来、聖と魔は混じり合わないが聖と魔のパワーバランスを司る神と魔王がいなくなれば、様々な所で特異な現象も起こる」

聖魔剣は、神と魔王がいなかったから出来ただけで、祐斗の才能と聖歌による力だけでは創れない代物。アーシアはコカビエルの言葉を聞き、その場で崩れ折れてしまった。彼女がショックするのは、無理も無い。

アーシアの人生の大半を神に捧げてきたからな、存在すると信じて自分の人生を犠牲にした結果がこれだ。心の中はさぞ複雑何だろうな。だが信じろよ、お前達が信じてきたものを。リアス達がいるにも関わらず、コカビエルは拳を天にかざす。

「俺は戦争を始める、これを機にお前達の首を土産に!俺だけでもあの時の続きをしてやる!我ら堕天使こそが、最強だとサーゼクスにもミカエルにも見せ付けてやる!」

ルシファーとミカエルに匹敵する力をコイツは持っている。リアス達だけでは叶わない敵。その時校庭が光り出したが、もうこんな時間か。だが壊してあるから問題ない。なので画面の方を向いた。

「ふふふ、ふはははははは。そろそろ時間切れのようだ、この町ごとお前達を滅ぼしてくれる!」

リアス達は逃げようとしたが、画面一杯光出して一瞬視力が失う程輝いていた。光が無くなると全員無事のようだが、それはそうだろう。無効化で壊しておいたからなのか、コカビエルは驚いていた。

「な、何故爆発しない?そして何も起こらないのだ!?」

その時第三者の声を聞きカメラを上に向けたら、サーゼクス率いる加勢の到着だった。間に合ったようだが、サーゼクスとグレイフィアと兵士諸君がリアスの元に向かった。

「よくも我が妹を傷つけたなコカビエル!」

「ようやく来たか、サーゼクス!戦争の決着とは行かないが来い!相手になってやる」

コカビエル対サーゼクスの戦いが始まったが、と言うか始まってしまった。俺の出番はあるのか?始まったはいいが、妹がやられてしまったのか非常に頭へ血が登っていた状態だった。出力が不安定のままになっていたので、いつもの力が出ないままとされていた。さてとそろそろ俺達の出番があるといいな。このままだとミニ戦争勃発してしまう。 
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