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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第3話 学園の日常、聖女アーシア登場!

 
前書き
  

 
side:イッセー


 よう皆、第3話目にしてようやく主点になれたイッセーだ。…なんかメタい事言ってる様な…何言ってんだ俺?


『どうした、いきなり独り言を呟くなど…疲れているのか?』


 俺に声をかけて来たのはドライグ、かつて二天龍の一角としてあらゆる種族に恐れられ『赤龍帝』と呼ばれた最強の龍、今は聖書の神によって魂を神器に封じ込まれ俺に宿っている。


「何でもねえよ、よく分からんが呟いちまったんだよ」
『そういえば今日はあの娘がいないな?』
「ああ、何でも部活の方で呼び出しがあったみたいだぜ」


 まあ小猫ちゃんはオカルト研究部の部員だからあっちを優先するのは当たり前だしな。


『ククッ…何だ、寂しいのか?』
「はあ…?違えよ、久しぶりに一人になったから何しようか考えてたんだよ」


 さて何しようか…あっちから依頼は無いし久々に町に出て食い歩きでもしようかな…


『お前は本当に食ってばかりだな…ん、向こうから誰か走って来るが…』


 ドライグの言う通り向こうから誰かがこちらに走ってきた…ってあの二人は…


「こらーーー待ちなさい!」
「今日という今日は絶対に許さないわよ!!」
「ひいいいぃぃぃーーーッ!走れ元浜!!」
「全くいい所で…捕まってなるものか!!」


 走って来たのは男子二人と女子二人だった、後ろの女子二人が鬼のような形相で竹刀を振りかざしながら男子二人を追いかけている…っておいおいぶつかるぞ!


 ドンッ!


「ぐあッ!?」
「いてッ!?}


 俺にぶつかった男子二人は勢いよく吹き飛び尻餅をつく、え?俺は微動だにしなかったぞ。


「いてて、一体何が…ってお前は兵藤じゃねえか!」
「丁度いい所に…助けてくれ!」


 丸刈り頭の男子が俺に指を指して驚き眼鏡をかけた男子が俺に助けを求めてきた。


「ようやく追い詰めたわよ!」
「観念しなさい…って兵藤一誠!?」


 追いかけてきた女子二人は俺を見るなり後ずさる、しかし何でこの学園の女子は俺を見るたびに警戒するんだ?


『そりゃ普段から引かれるレベルで食ってばかりで喧嘩が強くて顔に三本も傷がありゃ関わりたいなんて思う人間はそういないだろう』


 ふ~ん、まあ確かに普通の女子なら俺みたいな粗暴そうな男子は嫌だろうな、木場みたいに爽やかなイケメンのほうがいいだろう。


「ど、どうして兵藤がここに…」
「いやな、歩いていたらこいつ等がぶつかってきたんだが…何かされたのか?」
「い、いえ別に!」
「そ、そうだ!私達部活があるんだった!それじゃ私たちはこれで!」


 女子二人はそう言ってそそくさと去っていった。


「ふうぅ~…助かった…」
「命拾いしたぜ…」
「命拾いしたじゃねえだろうが、今度は何したんだお前らは…どうせまた覗きでもしたんだろう?」


 俺は呆れながら二人の男子…松田と元浜に声をかけた。


 『変態二人組』…この二人は学園でそう呼ばれている、何故そう呼ばれてるのか、それは二人の行動にある。


「兵藤、お前も男なら分かるだろ?この高まるリピドーを押さえるには!覗くしかねえだろ!」
「いや違うだろ」


 顔を真っ赤にしてそう語るのは松田。見た目は爽やかなスポーツ少年だが実際は口を開けばセクハラばかり話す変態だ。聞けば中学時代にあらゆる記録を塗り替えた男らしいが今ではカメラを片手に女子高生のパンチラを追いかける毎日らしい。


「ふッ。俺の中に眠る魔性が叫ぶのだ、女子の裸が見たい…とな」
「いやカッコよくいっても駄目だからな」


 格好つけてそういうのは元浜。頭はかなりいいらしいが特技は女子の体型を数値化すること…どうやってるんだそれ?


「というかお前ら彼女がほしいんだろ?なら覗きなんてしたら意味ねえじゃねえか」
「ぐッ…そ、そんな事よりも兵藤!我々は聞いたぞ!」


 話をすりかえやがった…なんでこいつ等は興奮してるんだ?


「何をだよ」
「しらばっくれるな!あの学園のマスコットこと塔城小猫ちゃんが最近お前の部に入り浸ってるらしいじゃないか!」
「いつも食いっけしかないくせに!どうやって小猫ちゃんを落としたんだ!?」
「はあ?小猫ちゃんは食う趣味が合うから来てるだけだぜ」
「じゃあ付き合ってるとかではないのだな?」
「当たり前だろ、俺があんな可愛い子と付き合えると思うか?」
「うむ、そうか…」
「じゃああんな噂を流したのは拙かったかな…?」


 ガシッ!!


 俺は松田の一言を聞き逃さなかった。


「おい…今なんて言った?…噂だと?」
「あ、いやその…」
「何を流した…?」


 ちょいと語尾を強めて問い詰める、二人とも冷や汗をダラダラと流している。


「そのな…お前が小猫ちゃんを部室に連れ込んで…」
「裸エプロンにさせたり女体盛りをさせたりしてると…」
「てめぇらの仕業かぁぁぁ!!!」


 グイッ、ガキッ!!


 俺は松田をアルゼンチンバックブリーカーに、元浜に首4の字をかけた、通りで最近女子からの視線が痛いと思ったわ!!


「ふざけんじゃねえ!俺は食うことに対しては真面目なんだぞ!それに小猫ちゃんにそんな格好させられるかぁぁぁーーー!!!」
「ぐあああぁぁぁ!俺達が悪かったーーー!!!」
「何でもするから許してくれーーー!!!」


 その後二人を解放した俺は罰として今日の食い歩きの代金を出してもらった。




ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー


 
「ふう、食ったな…」


 松田達と別れた俺は帰路についていた、しかしあいつ等あんな噂を流してたとはな…全然気がつかなかったぜ。


『その腹いせにカツ丼3杯、天丼4杯、ラーメン6杯も食べたのか、あの二人泣いていたぞ』
「う…だが小猫ちゃんに裸エプロンとかアホじゃねえか?」
『何だお前…まさか照れているのか?』
「んな訳ねえだろう…ったくドライグまでからかいやがって…」


 今日はさっさと帰るか…


「はわう!」


 突然背後から声が聞こえ同時にボスンと路面に何かが転がるような音が聞こえた、何だ一体?


 俺は後ろを振り返る、するとそこにはシスターが倒れていた、それも両手を広げて顔面から突っ伏してるし…おいおい、大丈夫かよ…


「おい、大丈夫か?」


 俺は倒れているシスターに手を差し伸べた。


「あうぅ…どうしてこんな何もない所で転んじゃうんでしょうか…ああ、すいません、ありがとうございます」


 俺はシスターの手を引いて立ち上がらせる。


 ふわっ…


 その時だった、突然強い強風が吹きシスターのヴェールが跳んでいく、するとヴェールにおさまっていたであろう金色の長髪が露になった。


 ーーーッ!


 …正直一瞬心を奪われた、光に当りキラキラしたストレートのブロンドにエメラルドグリーンの双眸があまりにも綺麗だ…俺が食うこと以外に心を奪われるなんて…


「あの…どうかしましたか?」
「あ、いや何でもない。…怪我はないか?」


 俺は近くにあったヴェールをシスターに返し怪我がないか確認した。


「はい、怪我はありません。助けてもらいありがとうございます」
「それならいいが…君は外人だろ?随分と日本語が上手いな」
「はい、実は今日からこの町の教会に赴任することになりまして…日本語はその為に覚えてきました。流石に文字までは分かりませんがある程度なら日本語は話せます、えへへ。あ、貴方もこの町の方ですか?今日からよろしくお願いします」


 ペコリと頭を下げる彼女。人事異動って奴か?シスターも大変だな…


「でもこの町に教会なんてあったかな…いやまさかあそこか?」


 この町の外れに古びた教会らしき建物があったような…でもあそこって使われていたか…?


「もしかして教会のある場所を知ってるんですか!」
「ああ、心当たりはあるが…」
「あの…もしご迷惑でなければそこまで案内をして頂けないでしょうか?この辺りの道がまだ分からなくて…」


 迷子になっていたのか…急に見知らぬ土地に飛ばされて困っていたんだな。


「いいぞ、教会まで案内するよ」
「本当ですか!ありがとうございます、えっと…」
「兵藤一誠だ、イッセーと呼んでくれ。」
「私はアーシア・アルジェントと言います、アーシアと呼んでください」


 こうして俺は奇妙な縁でアーシアを教会まで連れて行く事になった。



ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー


 アーシアを連れて教会まで向かう途中で公園の前を横切る。


「うわぁぁぁん!」
「よしくん、大丈夫?」


 公園から子供の泣き声が聞こえてくる、どうやら転んで足をケガしたみたいだ、痛そうだな…


 ダッ


 俺がそんな事を考えているとアーシアは泣いている子供の側まで駆け寄っていく。


「大丈夫?男の子ならこのぐらいのケガで泣いてはダメですよ」


 アーシアはニッコリと微笑み子供の頭を撫でる、そしておもむろに子供がケガをした膝に手のひらを当てる。


 ポワッ…


「何だあれは……」


 アーシアの手のひらから淡い緑色の光が発せられ子供の膝を照らしていく、すると子供のケガがみるみると治っていく、あれはまさか…


『あれは回復系の神器だな、それもかなり強力なものだ』


 俺の中にいるドライグがそう語りかけてくる。


 ---神器……特定の人間に宿る、規格外の力。彼女もそれを持っているのか…?


「はい、これで大丈夫ですよ」


 子供のケガはあっという間に治っていた、子供とその母親は驚いた表情をしている、まあ非現実的な事が目の前で起きたんだ、無理はないな。


 母親はアーシアを化け物を見るかのような目で見ると子供を連れてそそくさと去っていった。


「ありがとう、お姉ちゃん!」


 子供はアーシアに感謝を言って去っていく。


「アーシア、それは…」
「これですか?これは治癒の力…神様が授けてくれた素敵な力なんですよ」


 微笑むアーシア、だがその表情は何処か寂しそうなものだった。
 

 ドライグから聞いた事があるが神器の所有者は大体が悲惨な目に合うそうだ。まあ無理もないな、人間は自分の理解を超えた現象や力を受けいられない生物だ、大抵はさっきの子供の母親みたいに化け物を見るような目で見て怯えてしまう。


(…アーシアにもあるんだろうか…そういった事情が…)


 俺は寂しそうに微笑む彼女に何も言ってやれなかった。



ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー



 そうこうしている内に目的の教会までたどり着いた。だがやっぱりボロイな、本当に人がいるのか?遠目で見ると明かりがついている、誰かはいるようだ。


「あ、ここです!良かったぁ」

 地図に書かれたメモと照らし合わせながらアーシアは安堵の声を出す、どうやらここで間違いないらしいな。


「本当にありがとうございました、良かったらお茶でも飲んでいきませんか?」
「えっと…」


 …何だろう、あの教会から嫌な感じがする…美食屋としての勘がそう俺に伝える。


「わりぃ、実は急ぎの用事があって…」
「そうなんですか?それなのに案内なんて頼んだりして…」
「いや気にすんな、困った時はお互い様だ」
「…イッセーさんは優しい人ですね」


 ニコッと微笑むアーシアを見てドキッとした、何か調子狂うな…


「それじゃまたな」
「はい、本当にありがとうございました、イッセーさん」


 アーシアはペコリと頭を下げて教会の方に歩いていった。


「………」
『入らなくて正解だったな』


 アーシアを見ていた俺にドライグが語りかけてきた。


「どういう事だ…?」
『あの教会から堕天使の気配を感じるからだ』


 堕天使…悪魔や天使と並ぶ三大勢力の一角…そいつ等があの教会に…?


「じゃあ待てよ…何故アーシアはそんな所に…?」
『それは分からん、だが一つ言えるのはあのアーシアという娘…唯のシスターではないということだな』
「…アーシア…彼女は一体…」


 俺は教会に入っていくアーシアの後姿を見ながらそう呟いた。




 

  
 

 
後書き
 この小説ではアーシアちゃんは日本語を勉強してきたという設定にしています、イッセーは悪魔じゃないから通訳は出来ないしかといって作者は英文が死ぬほど苦手で…申し訳ありませんがそのような設定でお願いします。
 今回は小猫ちゃんの次回予告は無しです。 
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