| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

アニメにおけるOCGデッキの可能性

作者:蕾姫
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

帝王の行進

アナゴ=サンに会いに行かんとしてみるなり。

というわけで現在俺は深夜の廃寮に来ております。

アニメファンなら一度は生で聴きたいあの声。いや、今聞かなくても別にいいんだが。

「ん?」

そんなわけで暗い廃寮の中をウロウロしているわけだが、地面にサイバー・ブレイダーのカードが落ちているのを発見した。あれ?明日香は恵が足止めしてるはずなんだが。

「マスター!」

「うおっ!?」

半霊(のように見える)のエアトスがいきなり壁からニュッと出てきたため心臓が口から飛び出そうになった。やめてくれ、あんまり俺、心臓は強くないんだ。

「……どうした?」

なんとか心臓を沈めると、荒い息を吐いているエアトスに問い掛けた。……というかなぜ精霊の息があがるんだ……。

「あっちに明日香さんが寝かされてたよ。あ、ものすごい顎の人も居たけど」

目的のやつか。

「ああ、ありがとう。あとは十代たちの足止めをしてくれればありがたい」

十代たちが来ると拗れるし、なにより俺は目をつけられたくない。

「手遅れだと思うよ?」

「なにか言ったか?」

「なんにも。わかったよ、マスター。ボクに任せておいて」

そう言うとスイーっと動いて壁の中に消えた。……水色なんて心臓麻痺で倒れればいいと思うんだ。

「……お、居たか」

さらに歩くこと数分、俺は開けた場所に居た。そこには蓋の開いた棺桶が設置してあり、中には明日香が転がされていた。

「彼女はぁぁぁ……深い闇の中に囚われているぅぅぅ……」

長々と響き渡る特徴的なビブラート。重々しく耳に残る重低音。アナゴ=サンだ。

「我が名は闇のデュエリスト、タイタンンン……あの者を救いたくは、私に闇のデュエルで勝たねばならないぃぃぃ」

そんなことはどうでもいい。重要なことじゃない。

……ヤバイ、腹筋を粉々にポヒョッと爆破されそう。

表情に出さないようにするので精一杯で言葉が出せず、デュエルディスクを構えることでデュエルする意志を伝える。

「ほぅぅ……恐怖で言葉も出せぬ状態でもあの者のためにデュエルを挑むかぁぁぁ……」

違います。

「よかろぉう! ぬぁらばその勇気に敬意を評そぉぉぉう! デュエェェルン!」

「……」

強敵過ぎる。ここまで(俺の腹筋が)追い込まれたのは初めてだ。さっさと片付けないと(俺の腹筋が)破けて離れてしまう。

「私のタァァァンン! 私はぁ、フィールド魔法ぅ万魔殿ー悪魔の巣窟ーを発動ぅぅぅ! ふふふ……さしずめ地獄の一丁目と言ったところぁぁ……」

いいえ。どちらかと言えば笑撃の三枚目です。

とはいえフィールド魔法だ。土が剥き出しの無骨な洞窟の広間がおどろおどろしい空間に変わる。

「さらぁに……インフェルノクインデーモンを守備表示でだぁす。一枚伏せぇ……ターンエンドだぁ!」

「俺のターン、ドロー。魔法カード、帝王の深怨を発動。手札から攻撃力2400かつ守備力1000、または攻撃力2800かつ守備力1000のモンスターを見せることにより、帝王と名の付いた魔法、または罠を手札に加えることができる。俺は手札の天帝アイテールを相手に見せ、デッキから連撃の帝王を手札に加える」

まずは上々。楽しんでいこう。

「ぬぁにぃぃ!?帝だとぉぅぅぅ!?」

そう言えばGXの時代の時点で帝テーマはあったなぁ。ちょっと手札補充が覚束ないテーマだけれど。

「HEROではぬぁいのかぁぁぁ!」

あ、一応プロ。十代のことは調べてきているのね。

十代?誰それ?俺、逢魔。

言わないけどさ。

「永続魔法、冥界の宝札を発動。カードを一枚伏せてからカードカーDを召喚」

Dと書かれた薄っぺらい特徴的な車が現れる。どこに乗るところがあるのだろうか?

「カードカーDをリリースし、デッキからカードを二枚ドロー。そしてこの効果を使った場合、自動的にエンドフェイズになる」

ハンドはこれで五枚。うち一枚は天帝アイテールだとバレている。まあ、何とかなる。

「……強欲な壷を使えばぁ、いいのではぬぁいかぁぁぁ?」

「趣味だ」

このやり取り、デジャブを感じる。

「私のトゥアアン、ドルォウゥゥゥ!」

腹筋のライフがヤバイ。

「インフェルノクインデーモンはぁ、スタンバイフェイズにライフを払わなければ破壊されるぅぅぅ……だがぁ、万魔殿ー悪魔の巣窟ーがあるぇばそのデメリットは回避できるのだぁぁぁ!」

おー、凄い凄い。そもそも使う人、ほとんどいないだろうけど。

「さらにぃ……私はジェノサイドキングデーモンを通常召喚んんん!」

上空から新たなデーモンが落ちてきた。チェスデーモンってワンキルデッキだったような……。

「この瞬間、手札のPSYフレームギアαのモンスター効果を発動する」

「ぬぁにぃ!?手札からだとぅ!?」

手札誘発ってこの時代、少なかったっけ?……ああ、クリボーくらいか。

「相手モンスターが召喚された時、手札からこのカードとPSYフレームドライバーを特殊召喚し、デッキからPSYフレームと名の付いたカードを一枚、手札に加える。俺はデッキからPSYフレームギアβを手札に加える」

ちょっと古い仮面ライダーのもののようなマスクと近未来的な姿の男が飛び出してくる。うん、格好悪い。

「攻撃力2500ぅ……だがぁ……私は堕落を発動するぅ!デーモンと名の付いたモンスターが存在する時ィ……相手モンスター一体のコントロールを得ることがでぇきるのだぁぁぁ! 私は、PSYフレームドライバーを選択ぅぅぅ!」

「この瞬間、手札の天帝アイテールのモンスター効果を発動する。墓地の帝王の深怨をゲームから除外し、相手ターンでもアドバンス……いけにえ召喚できる」

「ぬぁにぃぃぃ!?」

血の代償帰還はよ。

「PSYフレームギアαとPSYフレームドライバーをリリースし、天帝アイテールを召喚する」

堕落のカードから発生した瘴気がPSYフレームドライバーに襲い掛かるが、その瞬間PSYフレームドライバーは光の渦に巻き込まれる。そして瘴気はその光によって打ち払われ、中から真っ白な帝が姿を現した。

「冥界の宝札の効果により二枚ドロー。さらに天帝アイテールのモンスター効果。デッキから真源の帝王と汎神の帝王を墓地に送り、デッキから光帝クライスを特殊召喚する」

真っ金金の目に優しくない帝が登場する。そしてクライスはさらに光を強め……。

「光帝クライスの効果で天帝アイテールと光帝クライスを破壊し、二枚ドローする」

アイテールと一緒に驚いたようにこちらを振り向いた後、自爆した。

自害帝は轟雷帝だけじゃないんだぜ?

これで手札は八枚。

「自分の高ランクモンスターを破壊しただとぉう?くくっ、プレイミスかぁぁぁ?」

挑発してくるタイタン。こちらのデッキを知らないが故の悲しさよ。これでフィールド魔法まであったら絶望しかなかっただろうに。使わないけどさ。シンクロになるから。

「バァトォルゥだぁぁぁ!」

これまでにない気合いの入った言葉に腹筋が崩壊。ヤバイ、このトラップスタンはヤバイ……。

「ジェノサイドキングデーモンでぇ……ダァイレクトアタックゥゥゥ!!」

「手札のPSYフレームギアβのモンスター効果。このカードとPSYフレームドライバーを特殊召喚し、さらにバトルフェイズを終了する」

今度はドライバーがなんとも言い難い姿のフレームギアと共に登場し、妙な波動を放って攻撃を受け止める。ATフィルムかな?

「さらにその攻撃モンスターを破壊する」

ジェノサイドキングデーモンが捩れ、そして砕け散る。

「ぬぅぅぅ……だがぁ、万魔殿ー悪魔の巣窟ーの効果発動ぅぅぅ! デェッキからヘルポーンデーモンを手札に加えるぅぅぅ! さらぁに、手札のデスルークデーモンの効果発動ぅぅぅ! ジェノサイドキングデーモンを復活させるぅぅぅ!」

後続を呼んでも問題はない。エキセントリックデーモンやトリックデーモンがこの時代にあればまだよかっただろうに。

「ぬぅ……私はこれでターンを終了するぅ」

まあ、手札はヘルポーンデーモンだけだろうしな。だが。

「そちらのメインフェイズ2終了時、連撃の帝王を発動。その効果を使う。PSYフレームギアβとPSYフレームドライバーをリリースし、手札から轟雷帝ザボルグをアドバンス召喚」

もういけにえ召喚って言うの、面倒になったからいいや。

雷纏う帝が登場。若干涙目にも見えるのはこれから起こる運命を予期しているからなのか。

「冥界の宝札の効果で二枚ドロー。さらに轟雷帝ザボルグの効果発動。轟雷帝ザボルグ自身を破壊し、互いのエクストラ……融合カードゾーンから俺が選んで八枚ずつ墓地に送る」

手札が八枚に。使い切れるのか、これ。

「私のぅ、融合カードゾーンはぬぁいいい!」

「まあ、それはそれで構わないが。俺はエクストラから旧神ヌトスを三枚、PSYフレームロードΩ三枚、PSYフレームロードΖ二枚を墓地に送る。旧神ヌトスのモンスター効果。フィールド上のカードを一枚破壊できる。俺が破壊するのは万魔殿ー悪魔の巣窟ー、伏せカード、そしてジェノサイドキングデーモンだ」

旧支配者の一柱であるヌトスの影が三つ現れ、SANチェックを要求し始める。

「ジェノサイドキングデーモンのモンスター効果かぁぁぁ! 効果の対象にぬあった時ぃ……ダイスを振って2か5が出たらその効果を無効にし破壊するぅぅぅ!」

タイタンの頭上からサイコロがフィールドに投げられる。少し、転がるとやがて5の目を上にして止まった。

「ふふふ……残念だったぬぁぁぁ!」

超然としているが俺は知っている。5が出た瞬間、小さくガッツポーズをしたことに。ちなみに伏せカードはデーモンの雄叫びだった。

「ならば墓地の真源の帝王の効果発動。墓地の汎神の帝王をゲームから除外し、このカードを攻撃力1000、守備力2400のモンスターとして特殊召喚する。そして俺のターン、ドロー」

無邪気に喜んでいるところ悪いが、俺の手札は九枚だぞ?

「手札から汎神の帝王を発動する。真源の帝王を墓地に送り、二枚ドロー。墓地のPSYフレームロードΩ三枚の効果。旧神ヌトスと共にデッキに戻す。さらに手札から帝王の深怨を発動。手札の邪帝ガイウスを相手に見せ、デッキから帝王の烈旋を手札に加える。さらに手札からワン・フォー・ワンを発動。手札のPSYフレームドライバーを墓地に送り、デッキから天帝従騎士イデアを特殊召喚する。そして天帝従騎イデアの効果により、さらに冥帝従騎エイドスを特殊召喚する」

白い小さな帝と黒い小さな帝が現れる。

「さらに帝王の烈旋を発動。相手フィールド上のモンスター一体をリリース素材とすることができる。これによりジェノサイドキングデーモンと天帝従騎イデアをリリースし、冥帝エレボスをアドバンス召喚。効果でデッキから連撃の帝王、帝王の烈旋を墓地に送り、インフェルノクインデーモンをデッキに戻す」

「インフェルノクインデーモンの効果発動ぅぅぅ! ダイスを振るぅぅぅ!」

気合いとともにダイスが転がり出す。出た目は2。二回連続成功とか……。

「ふふ、残念だぁったなぁ! 冥帝エレボスは破壊だぁぁぁん!」

「だが冥界の宝札の効果で二枚ドローする。手札の帝王の開岩を墓地に送り、冥帝エレボスのモンスター効果。墓地から天帝アイテールを手札に戻す。冥帝従騎エイドスの効果で俺はアドバンス召喚をもう一度行うことができる。俺は天帝アイテールをアドバンス召喚。デッキから帝王の轟毅と真帝王領域を墓地に送り、二体目の天帝アイテールを特殊召喚する。冥界の宝札で二枚ドロー。バトル、天帝アイテールでインフェルノクインデーモンに攻撃。さらにもう一体でダイレクト」

「ぐぅぅぅ!?」

4000→1200

アイテールの光がタイタンに襲い掛かる。そしてなぜかタイタンの身体が半分以上消えていた。いや、種はわかってるけど。

「ふふふ、これが闇のゲームだぁぁぁ……」

自分の身体で闇のゲームだとアピールしてくるデュエリストの鑑。

「メイン2。アドバンスドローを発動。天帝アイテールをリリースし、二枚ドロー。カードを三枚伏せてターンエンド。エンドフェイズに天帝アイテールを手札に戻す。これにより俺の手札は七枚だ。よって一枚墓地に送る」


おさまらなかった……。残念である。

「くぅぅ……私のターン、ドルォウゥゥゥ!」

引いたカードを見たタイタンの顔は綻んだ。

「私はヘルポーンデーモンを召喚んんん! そしてぇ、天よりの宝札を発動うううん! 互いに六枚になるように手札を補充するううのだあああ!」

ははは。さすがだな。こんな状況で引くとは。だが、すでに手札は満ち満ちているのだ。

「手札のPSYフレームギアδの効果発動。このカードとPSYフレームドライバーを特殊召喚しその魔法の効果を無効にし、破壊する」

「な、なにぃぃぃ!?」

残念でしたと。手札補充はさせない。

「さらに連撃の帝王の効果によりPSYフレームギアδとPSYフレームドライバーをリリースし、手札から烈風帝ライザーをアドバンス召喚。効果は使用しない。冥界の宝札の効果で二枚ドロー」

「ぐううう……ターンエンドだぁ……」

元気がなくなってしまったが大丈夫だろうか?(ゲス顔)

「俺のターン、ドロー。墓地の冥帝従騎エイドスのモンスター効果。このカードをゲームから除外し、墓地の天帝従騎イデアを特殊召喚。天帝従騎イデアのモンスター効果。デッキから冥帝従騎エイドスを特殊召喚する。墓地の真源の帝王の効果発動。帝王の烈旋を除外し、特殊召喚。真源の帝王と天帝従騎イデアをリリースし、天帝アイテールを召喚。効果でデッキから連撃の帝王と帝王の轟毅を墓地に送り、轟雷帝ザボルグを特殊召喚。天帝従騎イデアの効果で帝王の烈旋を手札に戻す。墓地の冥帝エレボスの効果。手札の帝王の烈旋を墓地に捨て、墓地から天帝アイテールを手札に戻す。さらに伏せてあった真源の帝王の効果。墓地の二枚の帝王の烈旋と連撃の帝王をデッキに戻し、一枚ドロー。さらに伏せてあった帝王の烈旋を発動。ヘルポーンデーモンと冥帝従騎エイドスをリリースし天帝アイテールを通常召喚。効果でデッキから帝王の烈旋と連撃の帝王を墓地に送り、デッキから凍氷帝メビウスを特殊召喚」

帝がいっぱい過ぎてタイタンが泡吹いてるが気にしない。天帝、轟雷帝、凍氷帝、烈風帝の計五人(天帝は二人)が揃っているのは圧巻だ。

地と闇と炎がはぶられるのはいつものこと。冥帝は冥界(墓地)から見守ってる。光は文字通り光になりました。

「五体でダイレクトアタック」

見た目は完全に自然災害のそれだった。それぞれの帝がそれぞれの属性の攻撃を放ったため、相乗効果でそうなったと思われる。これ、本物の闇のゲームだったら死んでるよね?

「ぬ、ぬああああっ!?」

1200→-12800

また盛大なオーバーキルだった。

タイタンは消えるように逃げ去り、この場には今だ眠っている明日香と俺だけが残された。

「さてと……」

「なにが'さてと'なんですか?マスター」

「っ!?」

ひょこっと現れるエアトスに再びビックリする俺。なに?ハマったのか?

「……というかなぜもうここにいる……」

「え?だってデュエル終わったでしょ?」

いや、確かにそうだが、なぜわかった。

ちょっと待て。その前に……。

「十代達の足止めは?」

「もう解除したけど……ダメだった?」

棺桶に眠る明日香。その前に一人で立つ俺。アカン、犯人、俺になるやん工藤。

「いや、ダメだろう。どう考えても勘違いされ……」

「明日香ー!!」

どうやら手遅れだったみたいだ。おのれドンセン……。 
 

 
後書き
はいはい、我のせい我のせい。

というわけでPSY帝です。いつものサイトに仮組みですが置いてあります。

そしていつものサイト、非常に使い辛くなりました。私はガラケーなのですが、ガラケーサービス終了とか……F○ck(ぉぃ

まあ、敵ターンは手札誘発で潰し、手札を増やしながら、自分のターンで潰しにいくデッキです。本当はフィールド魔法もあり、シンクロもするのですがGXなのでその機構は抜いてありました。

書いててわかった。冥界の宝札いらない……。

では次回もよろしくお願いします。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧