魔法少女まどか☆マギカ こころのたまごと魂の宝石
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第13話
私はまどか達を案内して、とある高級マンションに到着した。
「ここにきっと、優木沙々は居るわ。」
「ホントに?」
「ええ。」
美樹さやかが疑うけど、ここで間違い無いわ。これまでの“ループ”で優木沙々は何回もこの高級マンションの空き部屋を見滝原での拠点に使っていた。
「で、何処の部屋に居る訳?」
「そこまでは分からないわ。ここからは、彼女の手下の魔女の反応をじっくり探すしか無いわね。」
「でもほむらちゃん。ここのマンション、部屋番号を入力しないと入れないみたいなんだけど。」
まどかはそう言って入力用の端末を指差していた。
「大丈夫よ。手はあるわ。」
そう言って私は魔法少女に変身する。
「ちょっと暁美さん。まさか力強くで入るんじゃ・・・」
「そんな事はしないわ。一旦入り口から離れて。」
巴マミにそう言うと、私達は入り口が見える位置に隠れて様子を見た。
「皆、私の身体の何処かを掴んでおきなさい。」
「え?うん。」
私が指示すると、巴マミは左手、呉キリカが左肩、そしてまどかが右手を掴んだ。手を介して伝わるまどかの体温にドキドキするが、美樹さやかが髪を掴んで来たので、肘打ちをしておいた。そして、美樹さやかが右肩へ持ち替えた所でマンションの住人が入り口を開けた。
「今!」
私は魔法を発動させた。それにより、時間は停止する。
「暁美さん、これって。」
「そう。これが私の魔法、時間停止よ。本当はバラしたく無かったのだけれど。」
巴マミの質問にそう答えると、私は皆を連れてマンションの中へ入った。そして、入り口を開けた住人から見えない位置まで行くと時間停止を解除する。
「ここからは地道に優木沙々の連れている魔女の反応を探すしか無いわ。」
「そうね。皆、手分けして探しましょう。鹿目さんと呉さんは魔法少女のうち誰かと一緒に行動して。」
マミがそう指示を出すと、皆はマンション内の捜索を始めた。
暫くして、1つの部屋から魔女の反応が感知され、私達はそこに集合した。
「で、どうやって開けるの?」
「私に任せなさい。」
美樹さやかの質問に対し、私は特殊な工具を扉の鍵穴に突っ込んだ。
「ちょっと!それってピッキングじゃん!!」
「そうよ。でも、ドアを破壊するよりはマシでしょう?」
「いや、でもさあ・・・」
美樹さやかが文句を言っている間に鍵が開いて扉が開いた。私はそのまま中に入る。そして、そこで見た光景は・・・
「あむ。喉が渇いたわ。お茶を入れなさい。」
「はい。」
優木沙々がメイド服+首輪+犬耳と言う格好をさせた日奈森あむに奉仕させている物だった。後からやって来たまどか達はそれを見てポカンとしてるが、私はこれまでの“ループ”で似たような光景は何度も見ている。もちろん、メイド服を着せられていたのは日奈森あむでは無かった。それは志筑仁美だったり、上条恭介だったりしたが、今はどうでもいい。
「はっ!あなた達、どうしてここに!?」
と、ここでようやく優木沙々が私達に気付いた。
「決まってるでしょ!あむを返してもらうよ!!」
そう言ってさやかが魔法少女に変身した。
「残念ながら、そうは行きませんよ。」
すると、優木沙々も変身して、周囲に彼女の下僕の魔女による結界が展開された。
「皆、作戦通り行くよ!!」
美樹さやかがそう言うと、巴マミと呉キリカが変身し、まどかも弓を構えた。私は直様美樹さやかの足を払って転ばせる。
「あたっ!転校生、あんた何を!!」
美樹さやかが私に文句を言おうとした時、彼女の頭のあった場所を銃弾が通り過ぎた。それを撃ったのは、巴マミだった。
「マミさん!?」
「どうして!?」
突然、巴マミが美樹さやかを攻撃した事にまどか達は混乱する。でも、私はその原因が分かっていた。何故なら、これまでの“ループ”でも同じ事が起きていたから。
「あら、何で分かったのかしら?」
「さあ?何でかしらね?」
優木沙々の質問に私は惚けるように答える。
「転校生、もしかしてマミさんもあいつに操られてるの?」
「おそらく、あなた達と合流した時点でね。だから予定変更よ。私が巴マミと魔女を纏めて相手するわ。美樹さやか、あなたは優木沙々を倒しなさい。呉キリカは予定通り日奈森あむの足止めよ。」
「ちょっと転校生!あんた1人でマミさんと魔女全員の相手とか無茶にも程があるでしょ!」
「大丈夫よ。」
叫ぶ美樹さやかにそう答えると、時間停止を使って彼女から離れた。
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私とキリカさんは予定通りあむちゃんの所に来た。
「あむちゃん!目を覚まして!!」
「洗脳なんかに負けちゃいけないわ!!」
「あむ!」
『君はその程度の人間じゃ無いハズだろう!!』
私とエイミー、それにキリカさんとレンで呼びかける。その時・・・
「何で、来たの?」
あむちゃんが口を開いた。それと同時に4つの小さな影が現れた。ラン達だ。でも、いつもと姿が違う。ランは日焼けした肌に学ラン姿。ミキは黒いワンピースを着て髪が長くなっていた。スゥは和服のエプロンからエプロンを付けている。ダイヤは黒い服を着て肌が浅黒くなって髪型がポニーテールになっていた。色々な姿をしているけど、全員共通している物があった。それは、頭に✖️の飾りを付けている事だった。そう、皆✖️キャラになっちゃたんだ。
「あたしのこころ、アンロック。」
私達が衝撃を受けている間に、あむちゃんがその言葉を淡々と告げる。すると、ラン達が“全員”たまごに戻ってあむちゃんの胸に吸い込まれた。そして、変身する。その姿は優木沙々と同じで道化師のような姿だった。でも、黄色をメインにした明るい優木沙々の衣装とは対照的に、こっちは紫を基調とした暗いイメージをしている。そして、頭にハート、右肩にスペード、左肩にクローバー、そして胸にダイヤのマークを付けて、顔には目の所が✖️になっている左側だけのピエロのお面を付けていた。
「キャラなり、ジエンドジョーカー。」
「しゅごキャラ4人同時に!?」
「そんな事が出来たの!?」
「クライマックスランス」
私とキリカさんが驚いていると、あむちゃんは右手に両端に刃のある黒い槍を取り出した。そして、それを構えて突撃して来る。
「私が前に出るから、まどかは援護をお願い!!」
キリカさんはそう言うと、あむちゃんに向かって行った。そして、互いが武器を振るってぶつかり合う。
「皆、あたしの事、最低って思ってるんでしょ?」
「何を言って!」
「自分の失敗を無かった事にする為に、ゆまちゃんを危険な目に遭わせようとした、そんな私に何の用なの?」
「決まってる!君を助けに来たんだ!!」
「嘘!誰もあたしなんかを助けてくれる訳ない!!」
あむちゃんの叫びと同時に槍と鉤爪がぶつかり合う。
「自分のことを“なんか”なんて言うな!普段の君なら、そう言うハズだ!!」
「うるさい!!」
あむちゃんはそう叫んで槍で何度も突くけど、キリカさんはそれを避けたり鉤爪で弾いたりする。どうしよう。これじゃ、2人が近過ぎて援護出来ない。そう私が考えていた時だった。あむちゃんの首にあった魔女の口付けが消えたのは。
「やった!」
きっと、ほむらちゃんがあむちゃんに口付けを付けていた魔女を倒してくれたんだ。でも、あむちゃんは止まらなかった。
「どうして!?」
「きっと、まだあの優木沙々と言う魔法少女が操ってるのね。」
私が困惑していると、エイミーが解説してくれた。
「でも、彼女を倒しても、完全にあむを救う事は出来ないわ。」
「どう言う事、エイミー?」
「魔女の口付けが取れたのに、まだ✖️が付いたままって事は、あの子の悩みは本物と言う事よ。つまり、洗脳から解放するだけじゃダメだわ。あの子のこころも救ってあげないと。」
「あむちゃんの、こころも・・・」
そこで、私は気付いた。マミさんは魔女を倒す事で皆の命を守ってるけど、あむちゃんは✖️たまや✖️キャラを浄化する事で、皆のこころを守っていたんだって。
「誰かを助けるって事は、その人の命だけじゃなくて、こころも助けなきゃいけないんだね。」
「そうよ。ならまどか、あなたはどうするの?」
「あむちゃんを助けたい。ただ、洗脳から解放するだけじゃなくて、悩んでいるこころも助けたい!」
「ええ。それじゃあ、行くわよ!!」
そして、私とエイミーは光に包まれた。
「私のこころ、アンロック!!」
私のその言葉と共に、エイミーはたまごに戻って私の中に吸い込まれた。そして、私の姿が変化する。リボンはキャラチェンジの時と同じで白くて長いもの。服は白いドレスになり、右手には弓が握られている。
「キャラなり!ワンダーマジック!!」
これが、私のキャラなり。皆の命だけじゃなくて、こころも救う為の姿。
「キリカさん!一度下がって下さい!!」
「まどか!」
『ついにキャラなり出来たのか!?』
「はい。あむちゃんの事は私に任せて下さい。」
「でも、初めてのキャラなりなのに、大丈夫?」
「大丈夫です。」
そう答えると、私はあむちゃんの前に出た。
「あむちゃん!」
「まどかまで・・・もう、あたしに構わないで!!」
槍を構えてあむちゃんは私を拒絶する。でも、私はそれで引き下がったりしない。
「あむちゃんは、悲しかったんだよね?」
「何を言って・・・」
「ゆまちゃんのパパとママを助けられなくて、ゆまちゃんのこころを救えなかったのが。」
それを聞いたあむちゃんは表情を驚愕で染める。
「もちろん、手を取ったゆまちゃんのパパを直接助けられなかった事も悲しかったと思う。でも、やっぱり一番助けたかったのはゆまちゃんのこころなんでしょ?」
「・・・そうだよ。でも、あたしは助けられなかっただけじゃなくて、無かった事にする為にゆまちゃんを危険な道に進ませようとした。」
「そうだね。確かに、ゆまちゃんをキュウべえと契約させようとしたのはあむちゃんだよ。でも、ゆまちゃんのパパとママを助けられなかったのは私達全員。だから、その事について1人で抱え込まなくてもいいんだよ。」
「まどか・・・」
あむちゃんは私の言葉を聞いて涙を流す。その時・・・
「あむ!何をしてる!!」
優木沙々があむちゃんに向かって叫んだ。
「そいつは甘い言葉でお前を騙そうとしてるんだ!さあ、戦え!!」
「あんたの相手は、あたしだ!!」
でも、さやかちゃんが斬りかかってそれを止める。
「だから悩む時は一緒に悩もう。それで、どうすればいいのか皆で決めよう。私達、友達でしょ?」
「うん。」
「よおし!あむちゃん、行くよ!!」
私は弓に鏃がハート形になっている矢をつがえた。
「いつでもいいよ。」
「うん。こころの✖️にロックオン!!」
私はあむちゃんのお面の目の✖️の部分に狙いを定めた。
「パーフィケーションアロー!!」
そして私が放つと、それは見事命中して✖️を打ち砕いた。
続く
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