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魔法少女まどか☆マギカ こころのたまごと魂の宝石

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第9話

あたし達が廃工場に到着すると、既に魔女は倒されていた。それを成したのは魔法少女に変身したさやかだった。

「さやか。あんた、魔法少女になったって事はまさか・・・」

「そう。キュウべえに恭介の腕を治して貰ったの。これなら恭介もまたバイオリンが弾けるようになるし、あたしもマミさん達と一緒に戦える。まさに一石二鳥でしょ?」

「バカじゃん。」

能天気過ぎるさやかを私は言葉で一刀両断した。

「・・・どう言う意味?」

「言葉通りの意味に決まってるじゃん。上条君はもう、新しい夢となりたい自分を見つけてたじゃん。それなのにそう言う事するのはタダの自己満足じゃん。」

「あんた・・・」

さやかはあたしを睨んで来る。

「日奈森あむの言う通りよ。」

その時、さやかの背後から暁美さんが現れた。

「転校生1号、あんたまで・・・」

「話を聞く限り、あなたが上条恭介の為に願いを使う必要性は無かったわ。」

「暁美さんの言う通りね。」

マミさんも、同じ意見みたいだった。それを聞いたさやかは信じられないと言った感じの表情をする。

「美樹さん、私は言ったハズよ。本当にその人の事を助けたいのか、それともその人を助けた恩人になりたいのか。そこをはっきりさせないと後で大変な事になるって。」

「・・・マミさんだけは、分かってくれると思ったのに!!」

すると、さやかはその場から走り去ってしまった。

「さやかちゃん、待って!!」

それをまどかが追いかけようとする。すると、暁美さんがそれを止めた。

「待ちなさい、まどか。」

「ほむらちゃん、どうして?」

「もう、意味が無いわ。」

そう言うと、暁美さんは去って行った。私達にその言葉の意味と言う疑問を残しながら。




次の日もあたしは学校でさやかに避けられた。それどころか、こっちから近付くと敵意をぶつけてくるまでになった。

「ヤバい。昨日言い過ぎたかも。」

「あむちゃん、しっかりして。」

業間にあたしが落ち込んでいると、ラン達が励ましてくれた。

「あむちゃん、あなたは間違った事は言ってないわ。」

「ダイヤの言う通りだよ。」

「ほらほら!元気出して!!」

「お菓子をどうぞ。」

「ありがとう、皆。」

皆のおかげで少しは元気になった。でも、やっぱりさやかの事が気になる。




放課後、あたしはキリカと織莉子の三人で一緒にショッピングしてたんだけど・・・✖️キャラが現れたせいで中止するハメになった。織莉子と別れてからあたし達はそれぞれアミュレットハートとブレイクファングにキャラなりして✖️キャラの所へ急行して浄化した。

「ネガティブハートにロックオン!オープンハート!!」

「ムリ〜!!」

そして、浄化されたたまごは何時も通り、持ち主の所へ帰って行った。

「ふう、やっと終わった。」

『お疲れ様、あむちゃん。』

浄化し終えて一息ついていると、キャラなりしてるランが声を掛けてくれた。その時スゥが言った。

「最近、何だか✖️キャラが現れるのが多くなっている気がするのですぅ〜。」

「そう言えばそうね。」

「まるでイースターが悪さをしてた時みたいだ。」

「『イースター?』」

ミキの言葉にキリカとキリカとキャラなり中のレンが首を傾げる。

「キリカ。イースター社は知ってるよね?」

「知ってるもなにも、世界的大企業だよね。それがどうしたの?」

「あたしがガーディアンだった頃、そのイースターがどんな願いも叶える魔法のたまご“エンブリオ”を手に入れる為に、子ども達からこころのたまごを抜き取っていたの。」

「え?ちょっと待って、何で世界的大企業がそんな事を!?」

「イースターの一番偉い人“御前”がエンブリオを自分のコレクションにしたかったから。」

「たったそれだけで!?」

「うん。まあ、今のイースターはそう言うの止めて、真面目にやってるんだけどね。それで、暴れてた頃はよくあたし達ガーディアンとぶつかり合っていたんだ。みんなのこころのたまごを守るのがガーディアンの使命だから。」

「気に食わねえな。」

突然、あたしともキリカともしゅごキャラ達とも違う声が響いた。あたし達がその声をした方向を見ると、そこには紅い衣装を身に纏い、槍を手に持った女の子が居た。

「誰?」

「あたしは佐倉杏子。隣の風見野市の魔法少女だよ。」

「その隣街の魔法少女が何の用なの?」

しまった!?警戒するあまり外キャラが出ちゃった・・・

「ちょいと、グリーフシードを必要としない魔法少女ってのを風の噂で聞いたんでね。キュウべえに聞いたらあんた達の事を教えてくれたんだよ。」

「それで、協力関係になってもらおうって考えた訳?あたし達はグリーフシードが必要無いから?」

「まあ、それも考えたな。けど、やめた。」

やめた?自分で言うのも何だけど、あたし達と組むのは魔法少女にとってはかなり得になる事だと思うのに。

「じゃあ、何で会いに来た訳?」

「キュウべえからあんたらガーディアンの話も聞いて、思ったんだよ。さっきも言ったけど、お前らの事が気に入らねえってな。」

「気に入らない?どう言う事?」

「お前らは折角手に入れた力を自分じゃなくて他人の為に使ってるからな。」

「それの何処が気に入らない訳?」

「当たり前だ。✖️たま狩りだったか?何の旨味も無えのにんな事しやがって、ヒーロー気取りか?」

「バカじゃん。」

「んだと?」

「確かに、✖️たま狩りなんてしても、あたし達には何の得も無いよ。でも、あたし達は知ってるよ。こころのたまごに✖️が付くのは・・・夢を諦めちゃうのがどれだけ悲しい事か!」

「うん。私も、織莉子のこころに✖️が付いた時は悲しかった。」

キリカも、杏子の言い草は気に入らなかったみたいで、珍しく怒っていた。

「あんたには分かんないの?夢を諦めちゃう事の悲しさが!!」

あたしは杏子に言葉で訴えかける。けど・・・

「やれやれ。ここまでの理想主義者だとはな。こりゃ、痛い目見なきゃわかんねえみたいだな!!」

杏子は槍を構えて突撃してきた。

「え!?」

「あむ、下がって!!」

ガキンッ!!

すると、キリカが前に出て鉤爪で槍を払った。

「ぐっ・・・」

でも、その一撃は相当重かったみたいで、キリカは表情を歪めた。その後の展開はどう見てもキリカの防戦一方だった。


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今日、私はエイミーと一緒にさやかちゃんの魔女退治に付き合っていた。私に出来るのは弓での援護射撃だけだけど、マミさんともケンカしちゃったさやかちゃんを一人にしておく事は出来ないから。
さっきも路地裏で使い魔を一匹倒したの。

「一丁あがり。悪いねまどか。付き合わせちゃって。」

「いいよ、さやかちゃん。」

「さて、今日は他には居ないかな?」

そう言ってさやかちゃんは一度変身を解いてソウルジェムで魔女や使い魔の反応を探そうとする。その時・・・

ギンッ!ガキンッ!

奥の方から金属同士がぶつかるような音がした。

「何、今の音?」

「まどか、行ってみよう!」

「あ、待ってよ!」

すると、さやかちゃんが音のする方へ向かって行ったので、私もそれに付いて行く。その先では、キリカさんが紅い服を着て槍を持った女の子と戦っていた。その後ろではあむちゃんがオロオロしながら見守っている。

「何よあいつ!?って言うか、あむの奴、あんな偉そうな事言っておいて、キリカさん任せとか。全く、バカはどっちだか!!」

すると、さやかちゃんが魔法少女に変身してキリカさんに加勢した。

「キリカさん!大丈夫!!」

「さやか!?どうして!?」

「この近くで使い魔倒したら、戦いの音が聞こえてきたんですよ!」

そう事情を説明すると、さやかちゃんは紅い女の子に斬りかかった。女の子はそれを槍で防御する。

「誰だ、お前?」

「見滝原を守る魔法少女、美樹さやかだよ!!」

「は?おいおい、ここはマミの縄張りじゃなかったのか?」

「マミさんを知ってるの!?」

「ちょっとばかしな!!」

そう言うと、女の子は槍を振るってさやかちゃんを弾き飛ばした。それをあむちゃんが受け止める。

「大丈夫?」

「・・・あんたに助けられるとはね。って言うか、あいつ何なの?」

「隣街の魔法少女だって。なんだか、あたし達ガーディアンの事が気に入らないとか言って襲いかかってきたの。」

「あんた、またあたしの時みたいに願いを全否定したりしたんじゃないの?」

「そんな事して無いって!!」

さやかちゃんとあむちゃんがそうやって口喧嘩してる間に、女の子の相手はまたキリカさんがやっている。

「センスは悪くねえが、戦い方がまるで素人じゃねえか。そらっ!」

女の子はキリカさんの鉤爪を上に向かって弾くと、槍を節の別れた多棍槍に変形させて、がら空きの胴体を切り裂いた。

「「「キリカ(さん)!!!」」」

「これで分かっただろ、あんたらみたいに他人の為に力を使う事のバカさが。」

女の子はそう言うけど、さやかちゃんがそれを無視してキリカさんに駆け寄った。そして、手を翳すとみるみる傷が治って行く。

「これって・・・」

「さやかの願いは癒し。ゆえに自分はもちろん、他人に対しても強力な治癒が行えるんだ。」

私が驚いていると、いつの間にかキュウべえが足元に現れて解説をしてくれた。

「キリカさん!大丈夫!!」

「う・・・さやか、私は斬られたんじゃ・・・」

「へえ、全治1ヶ月くらいの傷を負わせた積りなんだけど、それがお前の力って訳か。」

「あんた・・・もう許さない!!」

さやかちゃんはまた女の子に向かって突撃する。そして、互いに剣と槍を打ち合い始めた。

「と、止めないと!でも、どうしよう!!」

「何を言っているんだい、まどか。君にはちゃんと止められる力があるじゃないか。」

私が戸惑っていると、キュウべえがそう言ってきた。うん、そうだった。

「エイミー!」

「うん、キャラチェンジ!!」

私はエイミーとキャラチェンジすると、弓を構えた。

「さやかちゃん、一旦離れて!」

私が叫ぶと、さやかちゃんは後ろに下がった。それに合わせて私は矢を放つ。でも、紅い女の子はそれをあっさり槍で弾いた。

「へえ、それがオリジナル魔法少女の第1形態って訳か。そんなハンパな状態で戦いに出て来てんじゃねえよ!!」

そう言って女の子は私に向かって来る。

「「「まどか!!」」」

すると、さやかちゃんとあむちゃん、それにキリカさんが私の前に出た。

「シューティングスティンガー!!」

「スパイラルハート!!」

「ステッピングファング!!」

さやかちゃんは剣を召喚して矢のように飛ばして、あむちゃんはハートの飾りの付いたバトンを投げ、キリカさんは鉤爪を飛ばす。でも、その全てが槍に弾かれてしまった。そのまま、紅い女の子は3人纏めて薙ぎ払おうと槍を振りかぶる。その時・・・

ダァン!ダァン!

2発の銃弾が女の子の足元に当たった。その子はたたらを踏みながら後ろに下がる。そして・・・

「無駄な争いはよしなさい。佐倉杏子。」

「あら?暁美さん、佐倉さんと知り合いなの?」

「さて、どうかしら?」

紅い女の子と私達の間に割って入る形で、上からほむらちゃんとマミさんが現れた。


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あたし達のピンチを救ってくれたのは、暁美さんとマミさんだった。

「佐倉さん、どう言う事かしら。互いの縄張りを侵すのはルール違反のハズよ。」

マミさんが杏子にそう問いかけた。名前を知ってるって事は知り合いなのかな?

「別に、ただそこのチア女と眼帯女が気に食わなかっただけだ。あんたみたいに過去に縛られてる訳でもねえのに、綺麗事で力を使ってんだからな。」

「そう。でも、考え方は人それぞれよ。自分と違うだけで襲いかかるのは間違っているわ。それと、彼女達は私の大切な仲間なの。傷付けたりしたら、佐倉さんでも容赦はしないから。」

「そうかよ。で、そっちの黒いあんたは何でだ?」

「別に。ただ、無駄な争いを止めたかっただけよ。」

杏子の質問に暁美さんは素っ気なく答えた。

「分かったよ。あんたも相当な手練れみたいだし、マミと纏めて相手すんのは辛そうだ。今日はこれで引き上げる事にするよ。」

そう言うと、杏子は去って行った。

「待て!!」

それをさやかが追いかけようとする。すると、マミさんがそれを止めた。

「待ちなさい、美樹さん。新米のあなたでは佐倉さんには勝てないわ。」

「マミさん。あいつを知ってるんですか?」

さやかがそう聞くと、マミさんの口から衝撃的な言葉が飛び出した。

「ええ。あの子はね、私の弟子だったのよ。」


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路地裏から引き上げたあたしは、ビルを飛び越えながら風見野市へ帰ろうとしていた。

「しかし、どんな願いも叶える魔法のたまごか・・・」

あたしはガーディアンの連中が言ってた事と同時に、“家族”の事も思い出す。

「・・・ダメだ。あれはあたしのせいなんだ。無かった事にしてくれなんて、願えねえよ。」

「なら、私達にその情報を教えてくれないか?」

その時、後ろから声がした。振り返ると、そこには見覚えのある魔法少女達が居た。

「お前ら、あすなろ市の連中じゃねえか。こんな所で何してんだ?」

「ちょっとした探し物さ。それより、その願いを“叶えるたまご”について教えてくれないか?」


続く
 
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