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魔法少女リリカルなのは 世界を渡りあるく者

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問題児編 第1章 手紙に誘われ
  三度航海者はカケラを渡る

 
前書き
ある意味、ここからは解決編とでも言うべき章になります

これまで出てきた伏線を全て回収していきますので、かなり長旅となる予定

それでもよろしければ、どうかお付き合いお願いします

さて、今回は説明回。文字数の割に話進んでません。ご了承を 

 
「たまにはこう、パソコンをカタカタやるだけの仕事ってのも悪くないな」

「情報処理担当の私に対する嫌味ですか?もう....。はい、ここにお茶とお菓子置いておきますよ」

「ん、悪いな」

現在、俺は課長室でティアナと共にお仕事中だ。主にこの間潰した管理局の高官共とつるんでいた組織の報告書を書いている。規模が規模だったんで、課長とその補佐である俺たちが担当している

ピピピ

ん?通信許諾?ok押すか

[やっほー。肩身狭い職場でお働きのお二人への定期報告よー。まとめてデータで送るからよろしくー]

お茶請けをもらいながら休憩しようとした所に面倒な奴から通信が入った

「はぁ...。ありがとうございますカレン・フッケバインどの?それから、いくらなんでもありゃやりすぎだ。ある程度は隠し通せるがこっちの身にもなってみろ」

「それに、私とトーマから作られた抗体で殺人衝動は抑えられてるから必要以上にすることないでしょうが。それなかったら今みたいに大っぴらに活動できなかったんだから感謝してほしいくらいなんですが」

俺とティアナが通信主をジトーっとした目で睨む。本人、元広域手配犯であるカレン・フッケバインはごめんごめん、と悪びれていない。その様子に俺は毎度の事ながら溜息をつく

「金はいつものとこに振り込んどく。次は自重しろ」

[りょーかい。それから偶にはこっち遊びに来たら?]

「そんな余裕ないし、あんなバトルジャンキーの巣窟に行く気もない。もう話す事ないから切るぞ」

これ以上面倒くさいことになる前に通信を切る。何故あんなにはっちゃけるようになったのか...。昔の裏取引の時はここまでじゃなかったのに...。俺は無意識に右手をこめかみに当てていた

「まあ、あの人も色々吹っ切れたんじゃないですか?復讐もあんな形ですが終わりましたから」

「それでも限度というものが...。はぁ...。ティアナ、少し休憩にしよう。お前が淹れてくれたお茶と作ってくれたお菓子食べながらゆっくりしようか」

俺は仕事用のデスクから離れ、普通のテーブルの方へと移動する。そこにはこの8年で料理がとてもとても上手くなったティアナ特製のお茶とお菓子が置いてある

俺はお茶を啜りながらお菓子ーーおはぎを口にする。うむ、このお茶に合う甘さ、すごく美味しい

「それで、今日はどんなとんでも話をしてくれるんですか?」

それは、ここ一ヶ月の俺とティアナの日課。俺の記憶の一部がティアナに流れてはいるが、それはほんの僅かでしかも幼少期の物だけだ。だから、俺が体験したことのある面白おかしい話を聞かせてほしいとティアナにお願いされたので、こういう時間に語っている

「そうだなぁ....。じゃあ、今日は俺がやらかした愚かで恐れ多い事の話をしようか」












ーーかつて一人の少年がいた。この話は、彼が師匠に救われてからまだそこまで時間が経っていないときの出来事だ

ある日、師匠が呼び出されて家に一人でいた時のこと。ある男が家を襲撃してきたんだ。そいつもまた、運命に翻弄された末に乗り越える術に気がつき、現在の運命の名を継ぐ師匠を倒しにやってきた存在だった

その頃の彼はまだ不完全で、幻想しか使えなかった上その幻想も精神的ダメージから完全には使えなかった。そんななか彼はその男と一対一で戦う羽目になった

力は互角どころじゃない、向こうのが断然上だった。そのままであればただ死ぬだけだった彼は、忌まわしき禁呪に手を出した

神降ろし。とは言っても神そのものではなく、自身の体を依代として神の力のみを降ろす奇跡ではあったが。彼が降ろしたのはただの神ではなく、人の思いが作り出した偽物の神。属性は無、名をオーディン。その手には斬鉄剣とグングニル、武の極致に至っているその神を身体に降ろすことにより彼は敵を打ち倒した。もっとも、倒したと同時に気を失ったが


これで終わりならいいんだが、その後が地獄だった。起きた後、彼はそれはもう天地が変動するんじゃないだろうかというレベルで師匠に怒られた。トラウマのひとつにもなっているというか今でもあまり思い出したくないし記憶飛び飛びだけどな

「とまあ、こんな感じなことがあったなぁ...」

いまでもあれは馬鹿だなぁって思う

「怒られたってことは、その神降ろしにすごいリスクが有ったってことですよね?」

「その通り。今ならわかるけど、あの時やったことって憑依装着の応用なんだよ。ただこの技って本当はとっても危険なんだ。力と属性だけを自分の身に纏うんじゃなくて、力の持ち主の意識も降ろしてしまうんだ。だから元から話を付けているのなら別だけど、そうでないものを呼び降ろした場合そっちに乗っ取られる可能性がある。勿論そうならないように保険はかけるけど、それを乗り越えて主導権を握られる可能性もある。神なんて存在ならいとも簡単にやれるだろうな。されなかったのは奇跡に近いんだよ」

ティアナはなるほどと頷きお茶を啜る。俺も二個目のおはぎに手をつける。じゃあ、とティアナは首を傾げながら俺に問いかけた

「その、作られた神ってどういうことなんですか?」

「ああ、それはな」

ガサッ...

俺がティアナの疑問に答えようとした時、奇妙な気配となにかが動くような音が聞こえた。俺は素早く立ち上がり音の方向に運命刀を構える。今の感覚は転移というより...

「蒼炎さん、今の感覚に覚えが?」

ティアナも両手にクロスミラージュを持って警戒している。そして、ティアナが覚えの無い感覚ってことは、間違いないな

「魔法による空間転移じゃない。そもそもこの場所は許可したやつ以外転移できない不可侵領域。これを破るにはこの世界の正攻法じゃ無理だ。この感覚は、空間転移ではなくカケラ渡しだ。一体だれが」

そこで俺は、仕事用の机の上にさっきまではなかったものを見つける

「これは...?」

「手紙...?」

そう、手紙だ。表には達筆な文字で"遠藤蒼炎様、ティアナ・ランスター様"と書いてある。これが送られてきたのか?

俺はティアナに開けるぞと一声掛け、何があっても平気なように破魔(ディスペル)の用意をする

深呼吸を一つしてから、俺は、手紙を開いた

案の定強制転移術式が働いたが落ち着いてキャンセルし、手紙の内容に目を通す

" 悩み多し異彩を持つ少年少女に告げる "
その才能(ギフト)を試すことを望むのならば
◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎
我らの箱庭に来られたし
さすれば汝の原点(ルーツ)も明らかとなるだろう
" "


瞬間、思考が驚愕で染まった。開いた口が塞がらない

「蒼炎さん...。どうするんですか?」

ティアナも手紙の内容を確認し、全てを察してくれたようだ。相変わらず頭の回転が速い

俺が何百年と疑問に思っていた事がある。それはどうして俺がここまで大きな物を持っているのか

産まれはそう特別なものではないし、ましてや血脈になにかある訳でもない。しかしこの身には、人には過ぎる力がある。物事には必ず原因がある。俺が大きすぎる力を持っているという結果がなぜ起きたのか。その答えを見つける事は未だにできていない。最も元から必死になって探すということはしていなかったが、それでも疑問は疑問で、心の端に引っかかっていた

それを解決できるかもしれない手段が、道がある。どうするか、昔なら即決できたのだろうが、今は

「もし、これに乗ったとしたら。暫くは帰ってこれないかもしれないぞ」

「戻る時はこの時間に戻れます。それに、貴方は私がいないとだめですし私も貴方がいないとだめなんですよ?」

ティアナは優しく微笑んで、両手で俺の左手を包む。その温もりを感じて、俺は少し頬が緩んだ

「俺には勿体ない言葉だな」

もしこいつと出会ってなければ、今もここにいる事ができたのかわからない。今ではもう離れるなんて想像したくもないな

「わかった。この手紙にあった転送術式はキャンセルしちまったが、術式の残り香を追って移動する」

俺は左手に気を込め、目を閉じ集中する

「ティアナ、俺の手を絶対に話すなよ」

ティアナが頷いた気配を感じ、俺はカケラの海への道を開いた



「すご.....。記憶で見るのとじゃ全然違う...」

目を開いてみると、ティアナが目を輝かせて海に浮かぶ星々を眺めていた。黒の中に浮かんでいるカケラの数々は星の如く光を放ち、自己の存在を主張している

ティアナが感動しているのでもう少しここにいてもいいかと思ったが、長居はあまりいい影響を及ばさないので特定作業に入る。右手に持ったままの手紙に目を向ければ薄っすらと糸のようなものが見える

目で先を辿ってみると、奇妙なことになっていた




このことを言葉で説明するには、カケラの海がどのような構成になっているかを語る必要がある。俺たちはカケラと呼んでいる物は、平行世界、世界線、別宇宙などと呼ばれている物と考えてくれて構わない

そうだな、ここでは分かりやすいように平行世界という考え方を使って説明しよう

とりあえず一つのカケラーーすなわち世界に着目しよう。世界というものは一つ一つの行動で中身が変わる。ものによっては全く別の未来が待っていることだってある。例えば、ある人間が自動販売機の前に立ってアク◯リを買うかポ◯リを買うかで迷う。結果前者を買うか後者を買うかで分岐が生じる。すなわち、世界が変わらんだ。このように、少しの違いしかないような世界は隣り合わせのように平行して存在していると考えるのが平行世界論

ん?その分岐は全て運命によって決まっているのではないかって?

俺逹運命の魔術師が体現したように、運命は変えられる。可能性が0でない限り分岐ごとに世界が生じるってわけだ

ではこのような世界達はカケラの海ではどう見えるかと言うとだ。俺たちから見ると点。近づいて見れば太陽系みたいな感じかな。惑星の違いはまあ割りかし重要な分岐ごと。衛星や、惑星の近くにある星々は惑星に対してほぼ変わりがない世界といったところか。所で俺はさっき少しの違いと言ったが、例えば世界規模の戦争一つが起きるか起きないかも少しの違いに入る。勿論、少しは少しでも重要な分岐だから先程の太陽系のイメージでいくと、戦争が起きなかった世界が地球、起きた世界が火星って感じでミクロの視点で見れば離れてるっていう感じかな

では、大きな違いとは何か。例えば、なのは達がいる世界と遠坂達がいる世界は大きく違う。異なる点は世界の構造、基盤がそもそも違うんだ。この二つはもっと前、世界が産まれる瞬間に分岐している。そうだな、なのは達がいる世界をA、遠坂達がいる世界をBとしよう。どちらの世界も過半数の存在が幻想、所謂魔法や魔術に関して知らないが一般人でもその幻想に、奇跡に触れることができるというのが共通項。だが、その幻想の種類が違う。片方は全て数理で形どられ、片方は自然によって成り立つ。これは世界の基盤が異なることにより起こる差異だ。なのは達は科学として奇跡を振るい、遠坂達は神秘として奇跡を振るう。俺みたいな航海者がいなければ、魔術の存在がAに現れることはなかっただろう。それに、基盤が違うからAの世界の人間にBの世界の奇跡は使えない。俺と交わったティアナ、俺のクローンである海斗を除いては

さて、話が逸れてしまったな。このように世界の根底が異なると違いは大きくなり、それだけ距離も離れていく。中には奇跡を振るう術がない世界もある。それらをカケラの海で見てみると、銀河系同士のように離れていて、それら無限の輝きが宇宙を成す。俺たちはそれをとても遠くから見ている、と認識しているためにここを海と呼んでいるのだ。ちなみに俺たちがどうやって世界の中を見るかというと、一度認識した世界ならそれを手元に持ってくることができる。それに近い、言うなれば惑星の近くにある星なんかもまとめて持ってこれる。まあ中身はわかんないから、その中からでも目的の世界と完全一致するものを探すのは時間がかかるが

ふう。これでようやく本題に入れる。この手紙に繋がれた世界がどう見えるのか。さっきも言った通り世界は宇宙のようになっており、どれだけ重ねた歴史が近くとも離れているはずなのだ

なのに、そのカケラは全てと繋がっていた

視覚的には宇宙の中心にある。しかしそのカケラを手元に持ってこよう(・・・)とするとどれだけ異常なのかがわかる。そう、そも持ってこれないのが異常。糸を辿ってとはいえ俺はそのカケラを認識したのだ。ならば手元に持ってくることはできる。では、なぜできないのか。その理由こそが、全てと繋がっているからである。さっき説明した通り、カケラを手元に持ってくるとそれに近い歴史を歩んだ物も付いてくる。一度でも入ればそれだけを持ってくることが可能になるが、生憎おれは一度もこのカケラに渡ったことはない。そして、このカケラを掴もうとするとだ。それにつられて宇宙全て(・・・・)が引っ付いてくるのだ。そうなれば当然、掴むなどできはしない

だが、それはおかしいだろう。とすればこの手紙が誘う世界は全ての世界と重なっているということになる。いやいや無理無理、そんなのあり得るわけな......。いやまて、確か元老院の議事堂は全てに重なってる。でもあれは上位世界に位置している。まさかカケラ全てが上位世界になってるなんて.......そんなこと有り得ないよな?

だが、これは朗報かもしれないな。少なくとも、例え俺の原点がわからなくともこんな面白そうな構造をしているカケラはそうそう見えない。仮にこの手紙が無ければどこぞの奇跡の魔女と同じような苦行しない限りはな。俺は内心笑みを浮かべつつ隣で未だに惚けているティアナの手を再度強く握りしめ

「こっちだ。ただどこに出るかはわからないし出た瞬間即戦闘もあり得る。準備オーケーか?」

「あ、はい!」

ティアナが頷いたのを見て、今いるカケラと手紙と繋がるカケラ、二つを繋ぐ糸をイメージしてそれに乗る。俺が渡る時のイメージはカケラ同士を重ねることだが、今回ははなから繋がっているためその必要はない。俺にとっては慣れた、ティアナにとっては初めての、カケラ渡り特有の感覚に襲われる。俺はいつもの通り目を閉じ、流れに身をまかせる。しばらくするとそよ風の音が聞こえ初め、だんだん音が強くなり風そのものを身体で感じるようになる。これは外に出る感じかなと思い始めた時、突如浮遊感が俺たちを襲った

「んな!?」

「きゃ!!?」

俺は反射的に目を開いた。するとそこから見えたのは

「高すぎるだろおおおおおおおおおお!!!」

遥か彼方に見える地上。俺たちが出てきたのはどうやら空の上、しかもぱっと見超超高度といっても良さそうなレベル

初っ端からこんなオチとか、この世界で本当に見つかるのかなぁ...


取り敢えずこの今まで見たことのない、俺にとって完全無欠なまでに異世界なカケラに置いて最初にすることが重力軽減とは、思いもしなかったとだけ言っておこう 
 

 
後書き
これを書いてる時に思った。ダンまちとff14のSSのネタが思い浮かんできて書くとしたらどういう構成にしようかな→ヴァレン某さん光の戦士にしようぜ!主人公はff14内の主人公と同じスペックな!!→超える力(フェイトっぽく言うと星の加護。文字通り様々なものを"超える"力。種族間の言語の壁から時間、果ては肉体を超え不滅になる事が出来る。ゲーム的にはイベントバトル死亡時、リトライする事によって最大HP、攻撃力、回復量が増加)って...あの世界だとどうなるかなぁ→死ぬ度に強くなるから強力な不死性と未来予知かな?→........あれ、これ敵無しじゃね?無双は無理だけど負けることないよな...→でもなんかいけそう



という脳内妄想が周りに回った私でした。予告程度なら書くかも




少年少女三人を助けつつ、4000mからの落下をこなした蒼炎。そこで彼はうさ耳の女性と子供に出会い、"箱庭"内部へと足を進めた

喫茶店で疲れを癒そうという少年の気遣いにより、そこそこ評判のいいお店に入る

しかしそこで出少し騒動があったがその程度。その後、各自の才能を判別するためにある店へと行く

そこで、二人はは思わぬ展開に巻き込まれ....

次回 第二話 最強の階層支配者 
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