オズのベッツイ
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第十一幕その十二
「安心してね」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
「ええ、食べてね」
こうして皆でザッハトルテも食べます。黄色いチョコレートに覆われたスポンジもまた黄色です。その黄色いケーキをお口の中に入れますと。
チョコレートの強烈な甘さがお口の中を支配しました、その甘さにナターシャは満面の笑顔になってアンに言いました。
「王女さんのお言葉通りでした」
「美味しいでしょ」
「はい、とても」
「この強烈な位の甘さがね」
「いいですね」
「そうなの、コーヒーもあるから」
こちらもです、色は黄色です。ですがその上に乗っているクリームは白い普通のクリームと同じものです。
そのクリームを上に乗せたコーヒーを出してです、アンはこうも言うのでした。
「こちらもね」
「飲んで、ですね」
「味と香りを楽しんでね」
「わかりました、それじゃあ」
こうして皆はコーヒーも飲みつつザッハトルテを楽しみました。そうしてコースを最後まで食べると皆もうお腹一杯でした。
そしてお腹一杯になったところで、です。ベッツイは皆に言いました。
「じゃあこれからね」
「はい、エメラルドの都にですね」
「戻るんですね」
「そうしましょう」
こう皆に提案したのです。
「これからね」
「はい、それじゃあ」
「これから」
「あら、もう行くの?」
アンはベッツイ達のお話を聞いて目を瞬かせて尋ねました。
「今日はここで泊まったら?」
「いえ、折角ジャムを受け取ったからね」
「すぐにでもなのね」
「そう、エメラルドの都に帰りたいから」
だからだというので。
「もうね。発たせてもらうわ」
「一刻も早くエメラルドの都に戻って」
「結婚記念日まではまだ時間があってもね」
ヘンリーおじさんとエムおばさんのです、ベッツイが黄金の林檎のジャムをプレゼントする。
「それでもなの」
「早く戻って」
「そしてなの」
それで、というのです。
「記念日まで都の皆と喜びを分かちたいの」
「そうしたいからなのね」
「今はすぐに戻りたいから」
「そうね、それに早く発った方がね」
「困ったことがあっても間に合うわ」
時間的な余裕も出来るからというのです、ベッツイはもう発ちたいというのです。
「だから今から出発するわ」
「わかったわ、それじゃあね」
アンはベッツイの考えを受け止めました、そうして笑顔で言いました。
「また会いましょう」
「ウーガブーの国に来ていいかしら」
「どうぞ」
笑顔での返事でした、アンのそれは。
「何時でもこうしておもてなしさせてもらうわ」
「それじゃあね」
「ええ、またね」
ベッツイ達とアンは笑顔でお別れをしました、けれどそれは一時のものでまた一緒に楽しく遊ぶことを約束してでした。ベッツイ達はエメラルドの都に戻るのでした。
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