オズのベッツイ
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第十一幕その十一
「結局私は何でも食べる娘ということね」
「それが一番いいと思います」
カルロスはそのアンに笑顔で応えました。
「何でも美味しく食べられますから」
「だからなのね」
「はい、何でも食べられることが一番です」
「だったらこのまま」
「好き嫌いなくいくべきですよ」
「じゃあこれからもね」
「はい、それで」
「何でも美味しく食べることにするわ」
こう言ってです、実際に。
アンはスパゲティもその次のお料理も食べていきます、勿論野菜料理もです。
そしてです、お肉もでした。出て来たのは山羊肉をステーキにしたものですがそのステーキもなのでした。
アンはとても美味しそうに食べます、ベッツイはそのアンをにこにことして見ています。そのうえでの言葉はといいますと。
「アンが食べているのを見ているとね」
「どうしたの、今度は」
「いえ、とても美味しそうに食べるから」
それで、というのです。
「見ている方も食欲が出るわ」
「そうなのね」
「そう、だからね」
「私が食べるのを見るのね」
「見ていいわよね」
「一緒に食べているのに見るなと言う人はいないわよ」
アンはにこりとしてベッツイに言葉を返しました。
「そんなこと言うのはおかしいでしょ」
「ええ、確かにね」
「だからよ」
それで、というのです。
「私はそうしたことは言わないから」
「それじゃあ見させてもらうわね」
「そうしてもいいわ、それじゃああらためて」
「このステーキも食べて」
「デザートもあるから」
「それもよね」
「楽しんでね」
そちらも、というのです。
「ケーキが出るから」
「どんなケーキですか?」
ナターシャはケーキと聞いてです、すぐにアンに尋ねました。
「やっぱりフランスかイタリアの」
「ドイツのケーキよ、正確に言うとオーストリアのケーキね」
「オーストリアの、ですか」
「ザッハトルテよ」
アンはにこりと笑ってそのケーキのこともお話しました。
「今日のデザートはね」
「ザッハトルテですか」
「シェフの作るデザートの中でも一番美味しいケーキなのよ」
そのザッハトルテが、というのです。
「だから皆もね」
「そのザッハトルテをですね」
「食べて、本当にびっくりする位美味しいから」
「それじゃあ」
「ええ、最後まで楽しんでね」
その食事を、というのです。そしてでした。
皆はお料理のコースを食べていってです、遂にザッハトルテを前にしました。ザッハトルテはとても奇麗な黄色です。
その黄色いケーキを前にしてです、アンは皆に言いました。
「黄色いカカオのチョコレートを使っているからなのよ」
「黄色いんですね」
「チョコレートの色じゃなくて」
「そうなの、だから色は黄色いの」
ナターシャ達にこうお話するのでした。
「けれど味はね」
「それはですね」
「他のオズの国の食べものと同じで」
「味は変わらないから」
このこと自体はというのです。
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