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リリカルクエスト

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58日目 ゆういちはみをかくしている

ークロノ sideー

今僕達は、途轍(とてつ)もない光景を目にしている。

みんなから言われた後、引いて見ていたんだが、10人でもあれだけ苦戦したドルマゲスを相手に、悠一は一方的な展開を繰り広げている。

それに何だ? あの馬鹿魔力は・・・

以前エイミィが計測した時は、魔力0と報告があった。

だけど、今感じるのは、ここにいる誰よりも強い魔力を放出している。

みんなに聞いても、『悠一だから』っと要領を得ない。

そのまま戦闘を見ていると、ドルマゲスが黒くて禍々しい霧に包まれた。

何て言えばいいのか、周囲に(おぞ)ましい魔力が満ちて、僕は管理局に入隊してからこれ程の恐怖を感じた事がない。

霧は巨大化し、暗雲に放電した雷が走っている。

ついに霧が晴れると、そこにドルマゲスの姿はなく、代わりに巨大な悪魔がいた・・・

悪魔は暗黒神ラプソーンと名乗り、召喚魔法だと思われる魔法で悪魔の大群を呼び寄せている。

僕達は、幾ら悠一でもこの軍勢を相手にするのは無理だろうと思い加勢しようとしたら、黒く荒々しい雷が軍勢に落ち、全て撃墜していた。

流石にこれには、みんなも呆気に取られていたが、

リンディ《みんな アースラに戻って! これ以上は危険です!!》

母さんからの通信が入る。

今回の任務、最初から危険なのは承知してるし、その覚悟だってしてるつもりだったんだが、目の前にいるラプソーンに、僕達は恐怖していた。

リンディ《いいですか これは悠一君からです アースラに戻ってください!!》

母さんは、今まで見た事もない位焦っている。

僕達は、指示に従い帰還すると、アースラは悠一を残して最大船速で戦闘区域を離脱し出す。

急いでブリッジに行くと、

リンディ「エイミィ サーチャーを出して映像を 安全区域に到達したら機関を停止してちょうだい」

冷静に指示を出している母さんに、『何で 悠一を残して逃げたんだ!?』とみんなが言う。

僕もみんなと同意見だ。

あんな非常識な相手を前に、仮に、管理局の全戦力を投入したとしても、勝てる見込みすらあるかわからない。

それを、1人の少年に押しつけて逃げ出すなんて、管理局はなんて無力なんだと思っていたら、空間が揺れ出した。


経験した事がない程大規模な次元震。


モニターに、最大望遠の悠一とラプソーンが映し出される。

その戦闘を見ていると、とてもじゃないが僕達が入る余地なんてない。

悠一を知るみんなも、あり得ない超魔法戦を前に沈黙していて、

リンディ「封印世界・・・ 記録では見てましたが まさかこれ程だなんて・・・・・」

母さんが、不意に零した封印世界。

『一体それはなんなのか?』と聞くと、

リンディ「もう 隠す必要はなさそうですね・・・ 封印世界と言うのは 私達管理局でも力が及ばない魔法がある世界です 一般の方々ですら 私達と同等かそれ以上の力を持っています ですが それだけでなく その世界には魔王 あるいは神と呼ばれる超常の存在がいるのです その昔 その世界に出向いた部隊が幾つもありました ですが 結果は(ことごと)く全滅 更には魔王の怒りを買い 一時期管理局は組織自体が崩壊しかけました」

では、あのラプソーンは・・・・・

リンディ「そして 当時の管理局は介入してはいけない世界を 封印世界と格付けしていきました そんな世界が 私が知ってるだけでも7つあります そして ドルマゲスは封印世界の魔導師 悠一君がドルマゲスが持つ杖にはある封印がされていると言ってましたが まさか封印世界の神だなんて・・・」

封印世界の事は、なんとなくわかった。

なら、悠一はその世界の出身なのか?

みんなは心配なのか、ずっとモニターを見ていて話しへの反応はない。

エイミィに魔力測定を頼むと、

エイミィ「最初からしてるんだけど 何個も計測器が壊れちゃったよ~ 私の計測器ちゃんが~」

『そうか』とモニターに向きかえると、またもあり得ない光景を目の当たりにした。

悠一の姿が変わってゆき、白い巨龍になっている。

もう、今何が起きてるのかわからなくなり、みんなは『悠一が~』って騒ぎ出してるが、ユーノの『見てればわかるよ』の言葉を思い出したので、ユーノに確認をすると、

ユーノ「僕も もう何が何だかわかんないよ・・・ でも あの龍は 昔絵本で見たマスタードラゴンみたいだよね」

ユーノは現実逃避してるのか、僕も昔読んだことがある童話に出てくるドラゴンの話をしている。

確か、天空の城の主で全てのドラゴンの祖と言われてるんだっけ?

ダメだ! 僕まで現実逃避したら・・・

気を取り直そうとしたら、これまでで最大の揺れが起こる。

何が起こった!?っとモニターを見ると、ラプソーンの姿が見えない。

すると、悠一は元の姿とでも言ったらいいのかわからないが人間に戻り、ジュエルシードを確保してどこかに転移していった。

母さんは、危険が無くなったと判断したのか、警戒レベルを落とし、戦闘区域にアースラを戻る様に指示を出してる。

現場に戻り、みんなにも協力して貰って魔力の残証など集め、悠一とラプソーンがどこに行ったのか解析を始めたが、使用された魔法は僕達が使うミッドチルダ式と違う為、すぐに解析とはいかず時間が掛かるそうだ。

その後、みんなに戻る様に言うと、テスタロッサ3姉妹とアルフそれにユーノは、このまま協力を申し出てくれて、立花達は学校があるらしく一旦地球へ戻っていった。
―――――
―――



それから数日間、アースラで解析に時間を費やすも行方はわからず、入れ替わりで来る立花やなのは達の情報では、悠一は地球に戻ってないそうで学校にも来てないらしい。

捜索も八方塞りになった時、一時帰宅していたテスタロッサ3姉妹から連絡が入った。

自宅に戻ったら、残りのジュエルシード7個と悠一からの置手紙があり、手紙の内容は、



『所用が出来たので 出掛けてきます』



なんとも簡潔な内容だ。

所用? この件以上に大切な事なのか!?っと問い詰めたいと思った。

それは、彼女達も同じ思いらしく、あの時程ではないが何か恐怖を感じたよ。

しかし、これで全ジュエルシード21個は回収して任務完了。

後は、事後報告をまとめないといけないんだが、プレシア・テスタロッサの冤罪、管理局の影、封印世界の神、これまでの出来事を管理局本部に報告出来る訳がない。

考えただけで、胃が痛くなって来た。

取りあえず、僕なりに報告書をまとめて、母さんに判断して貰おう。

ークロノ side endー

 
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