ブラック・ブレットー白き少女
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出会い
あれから数日後。
「お腹へった…………」
アリスは既視感
デジャヴ
が凄まじい事を呟きながら森の中を歩いていた。
(ガストレアが全然見つからない……)
そう、数日前にモデル・タイガーのガストレアを食べてからというもの、全くガストレアを見つける事が出来なかったのである。
(もう限界…………何か眠くなって来たなぁ…………)
死亡フラグにまみれた事を考えながらアリスは近くの木に寄りかかり、微睡み始めた。
「おいっ! こっちで誰か倒れてるぞ!」
眠りに落ちる直前に、そんな声が聞こえた気がしたが、そんなことは頭に入っていかなかった。
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「う、うーん」
目が覚めたアリスが始めに言った言葉は、
「知らない天井…………ん? 天井がない?」
「おっ! 目が覚めたか!」
目を覚ましたアリスに話かけて来たのは30代前半位であろう筋肉質な男だった。
ぐー
(お腹へった…………こいつ食べちゃおっかな…………)
空腹過ぎて何やら物騒な考え方になってきたアリスだったが、この男の次の言葉でそんな考えは全て吹き飛んでいった。
「ははは! なんだ、腹へってるのか! 食べたいなら今、飯を持ってきて「食べる!」…………早ぇよ」
こうしてアリスは食糧を手にいれたのだった。
「お前…………泣くほど食いたかったのかよ…………」
男の言う通り、アリスは号泣していた。
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「そう言えば、お前の名前は何て言うんだ?」
たらふくご飯を食べて満足していたアリスに男が聞いてきた。
「アリスだよ。あなたの名前は?」
「俺は栗原
くりはら
浩一
こういち
だ」
男ーー浩一はアリスにそう言った。
「じゃあ、一つ聞くけどここは何処?」
ここは未踏査領域のかなり奥の場所なので、普通の神経をしている人間はこんな所まで来ようとは思わないはずである。
「ああ、そのことか、ここは難民キャンプ…………っていうか亡命キャンプかな?
「亡命キャンプ?」
「ああ、大阪エリアから東京エリアまでな」
周りを見てみると、女子供から、老人もいて、浩一の様な屈強そうな男達は皆拳銃やアサルトライフルの様な物を持っている。
「ここに居るやつは皆、大阪エリアの独裁者、齊武宗玄のせいで仕事や家とかを失ったやつらだ」
「…………ちょっと聞いていい?」
「なんだ?」
少し真面目な顔になって聞いてくるアリスになにを聞かれるのかと思った浩一は、アリスの次の言葉にずっこけた。
「エリアとか、齊武宗玄とかって…………なに?」
ーーーーーーー只今説明中(´∇`)ーーーーーーー
「わかったか…………」
「うん! ありがとう!」
結局浩一は、この世界の常識をほとんど教えることとなったのだった。
「じゃあ、今度はこっちからの質問だ…………アリス、お前は何者だ?」
「? どう言うこと?」
「お前は俺達、亡命キャンプの斥候部隊に森の中で発見された。普通はあんなことに一人で居て生きていられるはずがない。お前の眼が赤いことからなんとなく予想はつくが一応聞く…………お前は何者だ?」
この問いにアリスはどう答えるべきかを瞬時に考える。
「親に捨てられて、その上運び屋みたいなやつらに絶対に戻って来れない様にって未踏査領域の奥まで連れてこられたんだよ」
一応嘘は言っていない。
「っ! そうか…………それはお前が『呪われた子供達』だからか?」
「たぶんね」
色々と穴のある回答では合ったが、浩一は捨てられたということだけを注目してたせいで違和感を感じずに受け入れた。
「まあ、俺達はお前が『呪われた子供達』だったとしても関係ない、ここに居たかったら居てもいいぜ」
その言葉にアリスは素直に驚いた、何故ならば、『呪われた子供達』は世界の何処に行っても、忌み嫌われる存在のはずだからだ。
「意味が分からないっていう顔してるな。周りを見てみろ、子供もいるだろ? あの子供達の半分は『呪われた子供達』だ」
「えっ?」
「俺達の中のほとんどのやつが仕事を失ったやつだって言っただろ?」
アリスは質問の意図が掴めないが一応頷いておいた。
「その時に暫くの間、外周区で暮らしてたんだが、最初の内は忌み嫌ってたが、接してる内に俺達と変わらない普通の人間だってわかったんだ」
「…………人間全員がそう思えればいいのにね」
「ああ、『呪われた子供達』は東京エリアが大阪エリアよりずっといい場所だって思ったらしくついてきたんだ。まあ、申し訳ないがガストレアが来たときは一緒に戦って貰ってるけどな」
アリスはこここそが『呪われた子供達』とっての理想的な場所だと思った。
「…………ここにしばらく居てもいい?」
「ああ、歓迎するぜ!」
こうして、アリスはしばらくの間、亡命キャンプにいることになった。
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それからさらに数週間がたった。
アリスは亡命キャンプでたまに襲ってくるガストレアと皆と一緒に戦ったりーーその時にこっそりガストレアを食べたーー、遊んだりして順調に東京エリアまですすんでいた。
この日までは。
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その日は背にした方角から気配がすると言うことで、斥候部隊が確認に行っていたのだが、戻って来た斥候部隊は半分
・・
だった。
「! おい、どうしたんだ!」
今日は非番だった浩一が血相を変えて戻って来れた斥候部隊に聞くとその内の1人が全員を地獄へ叩き落とす様なことを言った。
「あいつが…………アルデバラン
・・・・・・
が…………来た」
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