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仮面の戦士

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第八章

 騎士はタックルを受けて吹き飛ばされ地面に叩きつけられた、その騎士に対して。
 ジュリオはさらに進み、タックルで終わらずに駆けてだ。そうして。
 騎士に馬乗りになった、そして腰から止めに刺す短刀を出したところでだ。王が席を立ってこう言ったのだった。
「勝負あり!」
「おお、勝ったぞ!」
「カサゴール卿が勝ったぞ!」
「仮面の騎士に勝った!」
「あの騎士に!」
「これが旦那様のもう一つの武器なんだ」
 レオはにやりと笑ってここでも言った。
「頭が」
「ああ、本当にな」
「思い切ったことしたと思ったが」
「それだけじゃなかったんだな」
「ああいうやり方もあるんだな」
「あえて切り札を誘いとして」
 剣を投げるその思い切った方法をだ。
「そしてなんだ」
「相手がそれをかわした時にか」
「次の一手を仕掛けるんだな」
「そしてそれが真の切り札」
「切り札を二枚出すのか」
「そうすることがな」
 まさにというのだ。
「旦那様の凄いところなんだよ」
「確かにな」
「あんたの言う通りだよ」
「いや、あの人凄いぜ」
「あんたの言う通り力だけじゃないな」
「頭だっていいんだな」
「そうなんだな」
「そうさ」
 レオは他の観客達ににやりと笑ったまま答えた。
「だからなんだよ」
「勝てた」
「そういうことか」
「頭も使って」
「それで勝ったんだな」
「そうさ、さて」
 主の勝利を喜びつつだ、レオはさらに言った。
「後はな」
「ああ、仮面の騎士のことだな」
「あの仮面だな」
「負けた時に脱ぐって言ってたけれどな」
「果たして正体は誰か」
「王と侯爵のみ知っているその正体がな」
「ここで明かされるな」
 観客達もこのことに固唾を飲んだ、そして。
 皆騎士の行動に注目した、決着が着いたのでジュリオは既に騎士から離れて距離を置いて立っていた。その彼の前で。
 騎士は立ち上がってだ、ゆっくりとだった。
 王に顔を向けてだ、こう言ったのだった。
「では陛下」
「んっ、その声は」
「随分高い声だな」
「しかも奇麗な声だ」
「あの声はな」
「女の声だぞ」
 皆その声を聞いてすぐにわかった。
「女の声というと」
「まさかあの騎士は」
「女騎士か」
「そうだったのか」
 皆声でそのことがわかった、そして。
 騎士はその彼等の目の前でだ、王にさらに言った。
「約束ですので」
「うむ、その仮面をだな」
「脱ぎます」 
 こう王に言うのだった。
「そうします」
「わかった、ではな」
「はい、これより」
 その女の声の騎士は王の言葉に頷いてだ、そのうえで。
 仮面に手を当ててだった、脱いだ。その素顔はというと。 
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