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フリージング 新訳

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第19話 She is Rana Linchen 3

 
前書き
早めに投稿できた。でもいつも通り進みは遅いです。
最近花澤さんの役の演じ分けに感動してる自分がいる。
そして前書きに書くネタが尽きそう‼︎
では、どうぞ。 

 


初部屋入り。パンドラがリミッターと中を深めるための、いわばご褒美のようなものだ。それは、ウエストだけでなくどこのゼネティックスでも伝統的に行われている行為だ。

「分かった?アオイくん。」
「ああ、ありがとヒイラギさん。」

サテライザー先輩から、その初部屋入りに招待された俺は、その意味をヒイラギさんとアーサーに説明してもらっていた。

「でも意外ねぇ。サテライザー先輩、そんな伝統とか守とは思えないのに。」
「お前らなぁ……あ、そういえば、アーサーの初部屋入りはどうだったんだ?」

アーサーにはガネッサ先輩がいる。それなら、少しは知っているかと思ったのだが……

「いやぁそれがさ、途中までは記憶あるんだけど、ご飯食べた後すぐに寝ちゃったみたいで……」

ーヘタレか……
と思ったのは俺だけではないはずだ。ヒイラギさんも、なんだか呆れた顔してるし。

「っと、そろそろ時間だから俺行ってくるよ。」
「はいはい。せめて死なないようにね。」

死なねえよ、と軽口を叩きながら俺は先輩の部屋へと向かっていった。


一方その頃のサテライザーは……………

「こっちの方がいいかな…?いや、やっぱりこっち…?」

自室の鏡で、今夜の初部屋入り時に着る服を選ぶのに、悪戦苦闘を強いられていたのであった。

*****************

サテライザー先輩との約束にはまだ時間が少しあった。
だから、俺はふらりと学園内を散策して時間を潰していた。潰していた筈なのに…………

「いやぁ、本当に助かったであります!あ、これ美味しいでありますね!」
「そうかい、そいつは良かった…」

なんでこうなったんだろうなぁ⁉︎
原因は数十分前。さっきも言った通り学園内を散策していただけだった。

だが、思考は他のもとへと向いている。
あの夢のことだ。小鬼の言った事がどうしても気になる。

ーパンドラを殲滅しろ。

その台詞が頭から離れない。何故あんな夢を見てしまったのだろうか?
破壊願望があるわけではない。ましてや、敵でもない先輩たちを殺そうとなんてことも思ってない。

「なんだかなぁ……って感じだな…」

額に手を当てて溜息をつく。本当に、俺はどうしたのだろう?

「……ん?あれ誰だ?」

ふと立ち止まると、学園の案内板とにらめっこしている女性が目に入った。
浅黒い肌に、少し青みがかったロングヘア。サテライザー先輩のようにキチンと手入れされているわけでは無いが、どこか野生的な魅力のある女性だった。

服装からして、学園関係者ではまずないだろう。まるでどこかの民族衣装のような物を身にまとい、背中には巨大…と言っても差し支えないくらい大きなリュックが背負われていた。

「転校生か、何かかな?」

ここで彼女の元に行ったら、面倒ごとに巻き込まれる。そう思い、俺は方向転換しようとしたのだが……

「ようやく人を見つけたであります‼︎これでもう迷わないで済むでありますよ‼︎」

あえなく捕まった。早い!走るのすげえ早い!三十メートルを一秒で詰めてきたぞ!

「ちょっ、苦しいんだけどー!」

俺は謎の女性に抱きしめられながら、絶叫をあげたのであった。


で、現在。学園の食堂で謎の女性。ラナ・リンチェンにおごらされていた。

「よく食うな…いや、良いんだけどね。タダだし。」
「いえいえ。タダでも、本当にありがとうございますでありますよ。私、この学園に来て優しくされたのなんて初めてであります。」

……もしかしたら、見つけたのが俺で良かったのかもしれない。違う人だったら……うん、なんか色んな意味で危なかった気がする。

「で?ラナ…さんは何しにこんな人外の動物園みたいな所に?」
「呼び捨てでいいでありますよ〜。って、あれ?ここって動物園なのでありますか?」
「あ、いや……一種の比喩みたいな感じで流してくれれば……」

天然か?天然だな。田舎の人なのだろう。冗談が通じないというか、なんだかなぁ……

「で、ラナはなんでこの学園に?」
「……実はですね。」

ラナがフォークを置いて、徐に話し始める。

「私の運命の人を見つけに来たのでありますよ。」
「そ、そうなんだ……」

そうきたか……
うんめい?随分とメルヘンチックと言うか……なんというか……

「じゃあ、その運命の人の名前は?」
「わかりません。」
「…顔は?」
「わかりません。」
「……年齢は?」
「わかりません。」
「………どこにいるの?」
「わかりません。」

どうやって見つけんだよそんなの‼︎
もはや某名探偵に出てくる犯人だろうが‼︎

「だから、私はこの学園に来たのであります。」
「接続詞がおかしくないか⁉︎」

やべえ、すごい疲れた……って、あれ?ちょっと待て?

「やべえ‼︎約束まですぐじゃねえか‼︎」

ガタリと席を立ち、俺は先輩の部屋へと走ろうとする。

「あ、優しい方‼︎」
「悪い、本当に急用があるんだ!」
「せめてお名前を!」

ラナの律儀な正確に、少し苦笑いしながらも、俺は答える。

「カズト。アオイ・カズトだよ。」

そう言って、俺は走り去る。
目指すはサテライザー先輩の部屋だ‼︎

 
 

 
後書き
皆さんは直剣と曲剣どちらがすきですか?そろそろカズトの武器をバージョンアップさせなければ……
次回には、この話は終わり、その次にサテライザーvsラナをできそうです。
では、また次回。 
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