ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories
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SAO編 Start my engine in Aincrad
Chapter-9 新婚生活
Story9-1 繋がる想い、ここにあり
第3者side
55層の事件から日にちがたった。
シャオンはホームにいた。
フローラもそこにいた。
「今日はどうする?」
「何にも考えてないなぁ……攻略に行く?」
「OK。せっかくだし、75層のフィールドに行こっか」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
75層 フィールド
「そういえば……」
「どした?」
「75層ってさ見つけにくいダンジョンあるらしいんだけど、それっぽいところ見つけたんだ。
スキルの鍛練も兼ねて行ってみる?」
「そうだな、行ってみるか」
75層 ダンジョン 竜の巣窟
「竜系モンスターが多いね、ホント大変だよ」
「竜の巣窟なんだから多いだろうな。
でも、ここは未踏破だろ?竜だけとは限らないかもしれないな」
「ねぇ、シャオン君、探索のためにここで一回別れましょ」
「大丈夫なのか?」
「うん、全然いけるよ」
「…………分かった。そうしよっか」
2人は一旦別れた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
フローラ側
「…………とは言ったものの……別れないほうがよかったかな? 私一人じゃキツいかも」
フローラはスピードタイプ。シャオンもスピードタイプだが、攻撃力があるので多少楽になるのだが今は一人。
そんなことは言ってられない。
さらにここ何回かの戦闘で精神的に消耗していた。
「さすがに消耗が激しい…………でも、頑張らないとね」
カチッ
気づかないうちにフローラはある部屋に踏み込んでしまった。
そう、『モンスターハウス』に。
ビー ビー
「まさか……モンスターハウスに踏み込んじゃった?
ここのモンスターじゃ私一人でなんとかならない……」
ガスッ ズドン
「かはっ…………」
フローラはモンスターたちのまともに受けてしまった。HPが一気に減る。
ここはダンジョン。メールを送れないのでシャオンに聞こえるように大声で叫ぶ。
「きゃーーー!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
シャオン側
「やっぱ心配だな…………結構消耗してたようだし」
そう、シャオンはフローラが精神的に消耗していたことを見抜いていた。
それでも別れたのはフローラを信頼していたからだった。
「俺の完全習得したスキルは…………
片手剣、連二刀流、武器防御、索敵、投剣スキルか。
SEEDスキルはまだ950か。最近上がるペースが遅すぎるな。
何か足りないのか?」
ゴァァァ!
スパーン
「手応えないな」
『きゃーーー!』
「…………だから、無理しない方がいいんだよ!!」
シャオンは声の方へ走っていった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
シャオンはフローラのところにたどり着いた。
「シャオン君…………助けて…………」
「分かった!今すぐ助ける!」
シャオンはSEED Mode-Accelerationを発動し、一瞬で閃光と化した。
「えやぁぁぁぁぁっ!」
連二刀流スキル全方位技〔ラウンドサークル・スレッジ〕を放ち、一掃する。
「シャオン君!」
「まだ俺に近づくな!」
ズシーン ズシーン
「本幕のお出ましかよ!」
『General Dragon』
「フローラ、下がってろ!」
「うん!
! かはぁっ…………」
気づいてないうちにジェネラルドラゴンはフローラに一撃を加えていた。
HPが一撃でレッドゾーンに突入していた。
「フローラ!しっかりしろ!」
遠くから声をかけるシャオン。
「シャオン君……」
フローラは気を失った。
グァァァァァ
まだ攻撃しようとするジェネラルドラゴン。
「そうか…………斬られても文句ねぇよな!」
シャオンはジェネラルドラゴンに猛攻を開始した。
相手に攻撃させる暇など与えない。
イグニッションドライブを発動。
二刀流スキルの共通技〔ダブル・サーキュラー〕をはじめとして〔エクスパート・ドライバー〕〔ツイン・ファントムレイブ〕〔ソードダンス・オーバースピード〕
〔ツインソード・トランズレイド〕〔アイソレイト・イグニッション〕を次々に繰り出す。
「決めるぜ!フルアクセル…………」
一瞬で行う48連撃。連二刀流スキル技。
〔フルアクセル・ストライクエンド〕
それはジェネラルドラゴンのHPを削りきった。
「ストライクエンド!」
シャオンの声と共に爆散するジェネラルドラゴン。
SEED Mode-Acceleration イグニッションドライブもきれる。
しかし、その副作用も強く、精神的な消耗がとてつもなく大きい。
「はぁ……はぁ……終わった…………体力の消費が激し…………」
バタン
緊張の糸が切れたシャオンはその場に倒れてしまった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「シャオン君!」
「んあ…………フローラ、無事か?」
「うん。無事よ。
でも……でも…………」
「どうした?」
「でも……私は……
私はあと何回…………こんなのを経験しないといけないの…………」
「何が?」
「だって……私……シャオン君に迷惑しか…………」
「いや、そんなことは…………」
「はっきり言って!!出会ったころも、48層のクエストも!55層の時も!ずっと!ずーっと!私…………シャオン君に迷惑しかかけてない…………
今日だって……SEEDを発動させて…………」
フローラの目には涙が溢れていた。
「いつか私が……シャオン君を間接的に殺してしまいそうで……怖い…………」
「…………そんなこと考えてたのか。
ここで話すのもあれだし、帰ろうか」
無言で頷くフローラ。
二人は転移結晶でソーレンスに戻った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
52層 ソーレンス 二人のホーム
二人で家に戻ると、シャオンはフローラをベッドに座らせた。
「シャオン君…………」
「今日、フローラの気持ちが知れて、俺はよかった」
「え…………?」
「そこまで俺のこと気にかけてくれてたことに、初めて気づいたんだ」
「そんな……私は迷惑…………」
「あんまり気負うなよ。迷惑とか頼ってばかりとか考えない方がいい」
「でも、シャオン君に頼ってばかりで……頼られようとしても迷惑になって…………」
「人には可能不可能、得意不得意があって当然なんだ。
俺にだって不可能なことや不得意なことはある。
でも、不得意とか不可能とか意識して直そうとしても、なかなか直らないだろ?
だから、自分の得意なこと、出来ることをやればいい」
「得意なこと……出来ること…………」
「フローラは優しい人だよ。誰かを全力で助けようとする。
48層のクエストの時だって、瀕死の俺を圏内まで運んでくれたし、64層でも……方法が極端だったけど、俺の役にたとうとした。
74層でも俺にハイポーションをくれただろ?
SEEDだって俺は使いたい時に自由に使ってるのにお前は心配してくれてる」
「……だって…………」
「SEEDは……フローラがそんなに気負わなくても、俺はちゃんとセーブして使ってるから大丈夫だ。
それに、みんな言ってた。
『フローラちゃんはシャオンのことになると必死だね』って」
「…………私……シャオン君いないと……何もできないから……
いなくなったら…………どうしようって…………」
「…………心配すんな、ずっとそばにいてやる。
ずっとそばで支えてやるから」
「えっ…………」
「フローラのそばに俺はずっといる。ずっと支えてやる。
約束する。死ぬまでずっとお前のそばで歩き続ける。
だから…………」
そこまで言ったところでシャオンの頬が少し赤くなる。
「だから…………?」
「…………フローラは死ぬまでずっと、俺のそばにいて、俺を…………支えてほしい。
俺の一生のパートナーとして、な」
「私でいいなら……喜んで!
ふぇぇ…………っ…………」
そう言ったフローラの顔からは歓喜の涙があふれていた。
「おいおい…………泣くなよ」
「だって……だって……今日が……今までで一番幸せな日で…………私は……世界一の……幸せ者に……
なれたんだもん…………」
「俺も、世界一の幸せ者になれたよ」
シャオンはフローラを強く抱き締めた。
「じゃあ、言葉を送るよ。
『Even if I used any words, they don't deserve just one word.
Even if I acted so much, they don't reach just one word.
So, I say that word “I love you.”
Only one word “ I love you the best in the world.”』」
「どういう……意味……?」
「『どんな言葉を使っても、その一言にはかなわない。
どんなことをしていても、その一言には届かない。
だから一言〈私はあなたを愛しています〉
たった一言〈私は、世界で一番、あなたを愛しています〉』」
「シャオン君……ひどいよ……涙が……止まらないよ…………
君の……言葉の……せいだよ…………責任……とってよ……」
「責任とるのは……かんべんしてくれよ……
でも、今日は泣きたいだけ泣けばいい。
けど、俺は泣かない。
笑顔を続ければ、幸せは離れない。
この幸せを、絶対に離さないからな」
時には兄と妹のようで、時には姉と弟のようで、時には幼馴染みで、時には恋人。
そんな二人は、そっと、未来への扉を開けた。
Story9-1 END
後書き
シャオンがしゃべった英語のセリフ、あれは完全オリジナルです。
にしても……シャオンかっこいいし優しい。
フローラ「うんうん! 私もそう思う!」
シャオン「めちゃ恥ずかしい」
あ、お二人さん、結婚おめでとう。
フローラ・シャオン「ありがとう」
これから末長く幸せに。
フローラ「次回からは新婚生活だよ!
次回も、私たちの冒険に!」
シャオン「ひとっ走り……付き合えよな♪」
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