ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories
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SAO編 Start my engine in Aincrad
Chapter-7 二人の優しさ
Story7-6 痛みと不安
シャオンside
ある日、俺は64層の迷宮区に来ていた。
マッピングはほとんど終わっていたのだが、Bossの情報とフェイトストライクの最終強化素材を取りに来ていた。
ウィンドワスプの群れを乱獲しているせいか、モンスターのPOP率が落ちていたがすでに素材が集まっていたので問題はなかった。
ただ、未だにBossの情報が少なかった。
そこで敏捷力が高い俺が情報収集をすることになったんだ。
そうこうしていると、Boss部屋の前に着いた。
重い扉を開けるとさそり型のBossが現れる。
『The Saber Scorpion』
左手の鋏はそのままだが、針が付いた尻尾、右手の鋏は長い剣になっており、ソードスキルを使用する可能性があった。
シャオンは攻撃をせず、SEED Mode-Accelerationの力で攻撃をひたすら避け続ける。
中にはいくつか体を掠める攻撃もあった。
……なんだ……この不快感は?
その疑問の答えを出せず、俺はその部屋から撤退した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺がホームに戻ってきた時にはすでに日が暮れていた。
帰り道の屋台で買い食いしたので空腹ではないが、昼間のBoss戦での不快感に答えが出せなかった。
ピコーン
どうやらメッセージが届いたようだ。
アルゴからだった。
『シー坊、元気カ?
58層の特殊ダンジョンに64層Bossの情報があるみたいダ。
オレっちの代わりにちょっと調査してくれないカ?』
「うん、構わないかな」
俺がアルゴに即返信するとさらにメッセージが来た。
『フーちゃんに言わなくていいのカ?
今度のダンジョンは複雑で1日じゃ帰れないゾ?』
「……」
『構わない。あいつは1日ぐらいなら待てる。
一応キリトにも言っとく』
『ニャハハ、それなら心配ないナ。
もう情報はないから、後は頼んだゾ』
「苦労しそうだな……」
とりあえず、フローラにメッセージを送る。
すぐに返信が返ってきた。
『うん。すぐに帰ってきてね』
「すぐに、か」
俺はその日、明日に備えて早く寝た。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
次の日、朝に出発し、昼にそのダンジョンの前に来ていた。
「でっかー……」
とりあえず、入る。
ギー バタン
「!
マジかよ……」
ここでメニューを開いたときに、異変に気づく。
「フレンドが表示されない……」
これ、大丈夫かなぁ……
「考えんのは……やめよ」
このダンジョン『異変の連撃たち』の攻略に思考をめぐらせた。
フローラ、前みたいにならないといいけど……
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その異変に気づくまで、そんなにはかからなかった。
このダンジョン、ペインアブソーバがLv10ではない。
いくつかの攻撃が頬を掠めるのだが、64層Bossの攻撃の時と同じ不快感を感じた。
「これはやっかいだな……」
痛みを感じる。
この不快感はバットステータス『スタン』どころではないレベルの、見えないバットステータスを課す。
痛みが強いほど、人はうずくまる可能性が高い。
痛みに耐えるためだ。
ただ、それはこのデスゲームの中では致命的な行動だ。
焦る気持ちを抑えつつ、攻略を開始した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
攻略会議を9日後に控えた中で、俺は最下層までに3日かかってしまった。
強いモンスターがいた訳ではない。
トラップに引っ掛かって1フロアをひたすら逃げ回ったり、リフトアップのトラップで2つ上の階層に戻されたりした。
おまけにSEEDの連発で疲れすぎて安全地帯で半日爆睡×2とまできたもんだから、かなり時間がかかった。
でも、俺が心配したのは、攻略会議のことではない。
フローラのことだった。
以前、48層の超高難易度のダンジョンに行ったとき、1日近く家を空けたことがある。
その時、フローラは一人で俺の行方を探すほどさみしがったことがある。
その時よりも長いので、度を越えたようなことになりかねない気がした。
最下層には転移用の光があり、ここを解放するのに雑魚と戦った。
SEED Mode-Accelerationのおかげでそこまで時間がかからなかった。
が、フローラのことが心配だった。
しかし、他の懸念がある。
フェイトストライクの強化なしでは64層Bossに攻撃が通らない可能性があった。
もし、フローラが一人でBossのところに行っても助けられるだけの実力が出せないだろう。
また、フローラの今使っているツイストスリットの強化武器、ミールツイスターも丈夫さでは少し見劣りする。
俺はミズキにフェイトストライクの強化を頼むこととして、焦る気持ちを押し込めて転移用の光で地上に戻り、そこから転移結晶で54層のフライズへと向かった。
Story7-6 END
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